このSCPが凄い!予想外すぎるオチが面白い報告書10選

UFOの画像SCP

はじめに

こんにちは、daimaです。

本日は私が最近読んだSCP報告書の中でも、
オチのインパクトが凄かったものを
全部で10本、ネタバレ解説付きでご紹介します。

例によってネタバレ部分は
折りたたみ状態となっていますので、
クリックで開閉して閲覧ください。

それではどうぞ!

予想外すぎるオチが面白い報告書10選

SCP-7328 - 宇宙人終来

UFOの画像

SCP-7328 - SCP財団

SCP-7328は起源不明の超大型恒星間宇宙船であり、
現在地球から約2.5天文単位の距離に存在しています。

─ SCP-7328 報告書内記述より

SCP財団に宇宙人襲来!?

SCP-7328に記録されているのは、
突如として地球低軌道上に出現した謎の宇宙船と、
そこから地球に降り立った
複数の爬虫類型宇宙人についての記録です。

しかもこの宇宙人、
E.Tのようにフレンドリーであるならまだしも
地球に入り込むや否や財団施設内に無断侵入し、
O5-1の認証情報で多くの機密情報を盗み出した

というのだから穏やかではありません。

財団のセキュリティをも易々と掻い潜る技術力に
こちらの手の内を探るかのような不気味な行動…。

この正体不明な敵を相手に
財団は人類の未来を
守り切ることができるのでしょうか…?

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SCP-7328-AはO5-1の不在中、O5-1の認証情報でサイト-01の機密端末にアクセスされたという通知をRAISAが受け取った際に発見されました。

機動部隊アルファ-1("レッド・ライト・ハンド")は端末に到着すると、SCP-7328-Aの死骸を発見しました。

SCP-7328-BはSCP-7328-Aの死骸から摘出された金属製の円筒型通信装置です。この通信装置を経由することで、SCP-7328-Aはアクセスした機密情報の一部、もしくは全部をSCP-7328に中継していたと考えられています。

SCP-7328-Aの死亡から43分後、SCP-7328は突如進路を変更し、太陽系外へ加速し始めました。同時にSCP-7328-Bがメッセージの受信を停止し、その後すぐに電源が故障しました。

異常な手法と非異常な手法を併用して作業を続けた11ヶ月後、SCP-7328-Bに向けたSCP-7328の最後のメッセージが翻訳されました。

「この星は一体全体何なんだ」

─ SCP-7328 報告書内記述より

宇宙人さん、まさかの敵前逃亡www

はるばる宇宙の彼方からやってきて
財団から機密情報を盗み出すことに
成功した彼らが目にしたものは
地球どころか宇宙全体の滅亡をも引き起こしかねない
あれこれやの記録数々でした。

その上、侵入を試みた仲間の一人が
ミーム殺害エージェントに引っかかって
死亡したことも重なって
とうとう彼らの忍耐も限界を越えたのでしょう。

「こんなふざけた星にこれ以上いられるか!」とばかりに、
来た道を一目散に逃げ帰ってしまったのでした。

…侵略か、それともただの調査だったのか、
彼らの目的は最後まで謎のままでしたが、
その謎が明かされる機会は
どうやら二度と訪れなさそうですね。

SCP-4280 - 汎次元侮辱お仕置き瓶™

お札の画像

SCP-4280 - SCP財団

悪口を言うと罰金を取られるアノマリー。

SCP-4280は30cm×30cm×50cmの
密閉されたガラス瓶です。

表面には“汎次元侮辱お仕置き瓶”という名称に加えて
下部に2列の空欄が設けられていて、
ここに人の名前と期間が書き込まれた場合に
SCP-4280の異常性が発揮されます。

その異常性とは、
「対象となった人物が侮辱的な発言をした場合に
その程度に応じて銀行口座から"罰金"を強制徴収する」
という、いろんな意味でSCPっぽくない不思議なもの。

ご参考までに、財団が調査した
罰金額の一例を引用しておきます。

SCP-4280が認識し、罰金を科す侮辱のリスト (及び各侮辱に対して科される具体的な金額)

  1. 悪態を1つ含む侮辱 (例: こん畜生、サノバビッチ、クソ野郎) - 5.00ドル
  2. 悪態を複数含む侮辱 (例: クソ畜生、サノバファッキンビッチ、ファッキンクソビッチ) - 7.00ドル
  3. “お前の母ちゃん”への言及を含む侮辱 - 0.50ドル
  4. 個人の体格、容姿、話し方に焦点を当てた侮辱 - 10.00ドル
  5. 個人の性格に焦点を当てた侮辱 - 15.50ドル
  6. 個人の家族、友人、ペットに焦点を当てた侮辱 - 18.50ドル
  7. ポップカルチャーのキャラクターや歴史上の人物への言及を含む侮辱 - 18.50ドル
  8. 任意の要注意人物・要注意団体に焦点を当てた侮辱 - 25.00ドル
  9. 個人の宗教、種族、性的指向に焦点を当てた侮辱 - 30.00ドル
  10. 個人の障害やその他の制限に焦点を当てた侮辱 - 40.00ドル
  11. “このwereling trehiogのkrakeling suplan!”というフレーズを含む侮辱 - 50.00ドル

─ SCP-4280 報告書内記述より

アノマリーにしては妙に社会的というか、
一般的にNG度の高い侮辱ほど
罰金額も高額になっているのが興味深いですね。

ちなみに最後の「wereling trehiogのkrakeling suplan」
というのは、次元-4752という
別次元でで広く知られている侮辱語だそうです。

このように、何かと実験欲をそそる
このアノマリーに対し、
財団はDクラスや博士を被験者とした
複数の実験を行ったのですが、
その過程でいくつか予想しない結果が起こって…?

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報告書に記載されている
SCP-4280の実験結果は全部で4件あります。

どれも興味深い内容でしたが、
中でも最後の1例は秀逸でした。

被験者名: リース・マーテンス博士

期間: 48時間

被験者の銀行口座残高: ██████ドル

序: マーテンス博士は、他人を侮辱するような発言を一切せず、概して気持ちよく一緒に働ける研究者であると同僚たちから常に評価されている。

結果: SCP-4280は当初、マーテンス博士から全く金銭を徴収できなかったが、指定期間が終了する約30分前になると、マーテンス博士のあらゆる発言に対して10ドルを徴収し始めた。指定期間の終了時、SCP-4280は“そのクソみてぇな良い子ぶった真似を止めやがれ”とマーテンス博士に告げた。

注記: どうやらSCP-4280は、人がそこまで親切になれるとは思っていないようですね? - マーテンス博士

─ SCP-4280 報告書内記述より

…SCP-4280くん。
君、絶対中に人いるよね??

しかもこのひねくれたダブスタぶり…
あまりに多くの悪口を聞きすぎて
人間不信にでも陥ってしまったのでしょうか…

SCP-6654 - 何だって?

葵ポロシャツを着た白人男性

SCP-6654。

SCP-6654 - SCP財団

自分が知らない概念の影響は受けないおじさんの話

SCP-6654は一見すると
縞柄の青いポロシャツを着た
普通のおじさんです。

SCP-6654には自身が観察したり、
真実であると信じた現象以外からの影響を
受けないという特性があります。

これは、SCP-6654が怪我や病気、
老化といった概念を知らない限り、
SCP-6654は怪我をせず、病気にもならず、
歳も取らない不老不死の存在であり続けられることを意味します。

実際、SCP-6654は
1923年から一切外見が変化しておらず、
そのためにSCP財団によって確保され、
収容、および研究の対象となっています。

この興味深いアノマリーに対し、
財団は真相を究明しようと
インタビューを実施しますが、
しかしその謎の多い異常性と
本人の癖のある性格のためにインタビューは難航。

そんな折、財団のマレー博士が
インタビュー中にある言葉を口にした途端
SCP-6654に異変が起こり…?

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※報告書中に記載されている
最後のインタビュー内容を以下に引用します。

SCP-6654: いつもの奴はどうした?

マレー: 誰のことでしょうか?

SCP-6654: レジーだよ。背が高くて、髪が茶色で、声がうざったい男。毎週の検診はあいつが担当してたはずだ。

マレー: それは… 収容違反があったんです。危険なものが逃げ出して、彼を襲いました。1 週間ほど前です。

マレーは口ごもり、目元を拭う。

マレー: 彼は… 亡くなりました。

SCP-6654: 何だって?

マレー: すみません、きっとすぐには受け入れ難いでしょうね。親しかったのですか?

SCP-6654は笑う。

SCP-6654: え? いや冗談じゃない、あいつは癪に障る奴だった。だが彼が何だって?

マレー: ああ、成程、あなたが不死身なのを忘れていました。呑み込むにはややこしい概念に違いないです。

SCP-6654: フジミ?

マレー博士が沈黙する。

マレー: 気にするような事ではありませんよ。

SCP-6654: おいおい、興味を持たせてそれは無いだろう。

マレー: 本当に何でもないんです!

SCP-6654: いいから教えてくれ。

マレー: その… 不死身ですよね。不屈。永遠。死ぬことができないという意味です。

SCP-6654が恐怖の表情を浮かべ、後ろによろめく。

SCP-6654: 何ができないって?

SCP-6654が大声で叫び、床に倒れ込む。SCP-6654の皮膚は急速に変形し、全身に何層ものひだが形成される。SCP-6654は咳と痙攣を抑え切れなくなり始め、身を守るように身体を丸める。頭髪が著しく細くなり、白髪になってから完全に抜け落ちる。SCP-6654の泣き声は嗄れた弱々しいものに変わり始め、体質量も大きく失われて、皮膚の下にはっきりと骨格が見えるようになる。

マレー博士はたじろぎ、速やかに収容室から走り出る。

30秒後、SCP-6654が生命活動を停止する。

この事件以降、SCP-6654によるそれ以上の異常活動は記録されていません。
Neutralizedへの再分類は保留されています。

─ SCP-6654 報告書内記述より

結論から言うと、
財団はアノマリーの不用意な取り扱いのために
貴重な実験材料を1つ失う結果となってしまいました。

とはいえ、
こんな些細なことで不老不死で亡くなるなら、
マレー博士がうっかりしなくても
遅かれ早かれこうなって
しまっていたような気もしますけどね。

SCP-6764 - マディー

SCP-6764の外見参考図

対話中にSCP-6764が提供した外見参考図

SCP-6764 - SCP財団

SMSを通じて仲間を増やそうとする悪霊少女

SCP-6764に指定されているのは
"マデリーン" または"マディー"を自称し、
SMSを通じて不特定多数の個人に
メッセージを送ってくる異常な実体です。

SCP-6764のメッセージがいつ、
誰に送られてくるかについて法則性はなく、
ネットがつながっていない環境でも
メッセージの送受信が可能である異常性を有しています。

以下は、典型的な
SCP-6764の発生イベントの一例です。

SCP-6764の発生イベントの一例

このように、SCP-6764は会話の中で
砕けた文体を使いながらもあの手この手で
相手が死に至るような行動を取らせようとしてきます。

もっともこのやり取りを見る限り
SCP-6764の手口はあまり巧妙とはいえず、
"まともな人なら"こんな誘いにはまず乗らないでしょう。

実際にSCP-6764とのコミュニケーションが原因で
誰かが死に至ったケースは"ほとんど"確認されておらず、
オブジェクトクラスもSafeに指定されています。

見た感じ、SCP-6764は
別の誰かを幽霊仲間に引き込もうとして
このようなメッセージを送っているように見受けられますが、
一方的にメッセージを送られる側からすれば迷惑この上ない話ですね。

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SCP-6764にとっての最大の過ちは、
当時、建設現場で働いていた
ジョン・ゴードンという男を標的に定めたことでした。

SCP-6764の発生イベントの一例

なんとこの男、
あろうことかSCP-6764の誘いに乗って
稼働中のセメントミキサーへダイブしてしまったのです。

そして…
これが(SCP-6764にとっての)悪夢の始まりでした。

SCP-6764の発生イベントの一例

SCP-6764の発生イベントの一例

まさかの幽霊ストーカー、爆☆誕。

あれほど仲間を欲しがっていたSCP-6764が
ここまで拒絶反応を示すとは、
実物のゴードンはよっぽどアレな感じなんでしょうね…

まぁ、元を正せばSCP-6764はただの自業自得だし、
一般の人々はこれでSCP-6764が懲りれば
迷惑メッセージを送られることも無くなるだろうし、
当のゴードンは理想の相手に出会えて幸せそうだしで
最終的にはめでたしめでたしだったんじゃないでしょうか(適当)

SCP-1631-JP - 睡眠学習

鉛筆とノート

SCP-1631-JP - SCP財団

あなたは自分の事、どれくらい知ってますか?

SCP-1631-JPは日本支部の
斎末 弥生博士にのみに確認されている
奇妙な明晰夢についての報告書です。

その夢とは、
机と椅子と筆記用具以外何もない部屋の中で
自分に関するクイズを解かされるというもの。

しかも、同じような夢が、
クイズの内容だけが博士の人生の足跡を
追うように変化しながら
何年にもわたって継続しているというのです…。

果たしてこの不可思議な現象の先に待つものとは??

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異常の発生から9年が経過したある日、
斎末博士が眠りから目覚めなくなり、
加えてその側には博士が夢の中で見たのと似た用紙が、
博士を罵倒するような文章付きで
毎朝きっかり7時に出現するようになりました。

大学で歴史の臨時講義を行なってくれた教授の名前も覚えていないのですか?
ヒントも出したというのに。貴方にはガッカリです。

そのような状況が3週間ほど続いたのち、
ようやく斎末博士は眠りから覚めたのですが、
目覚めた瞬間に激しく取り乱し、
博士は機動部隊によって沈静化させられることとなります。

また、この時には
以下の内容を記した用紙が出現しています。

基礎からやり直すことになりましたが、
これで貴方は自身について理解できましたよね。お疲れ様でした。

なんとも意味深なこの文章。

財団がその本当の意味を知ったのは、
続いて行われた斎末博士へのインタビューの時でした。

██博士: まずは、斎末博士。貴方の身に何が起きたかを教えてくれますか?

斎末博士: ……違います。

██博士: え?

斎末博士: 私の名前は空木です。そう習いました。

斎末博士: そこに書かれていた問題文は私の名前を問うていました。
……でも、私は何も分からなかったんです。

██博士: それは、名前を忘れてしまったと?

斎末博士: 名前だけじゃありません。
生まれた場所も、家族も、職場も、友人も、
どんなに些細なことですら答えられなかったんです。

斎末博士: あぁ、私が間違えた時に壁に文字が浮かび上がるんです。
そしてその文字が答えを教えてくれたり、私を励ましてくれていたんです。

██博士: なるほど。

斎末博士: そうやって私が間違えては答えを覚えてを続けて、
[数秒間の沈黙]私は自分のことを何でも知っている状態になりました。
だから、私はもう間違えなくなりました。
どんなことを聞かれても答えられるようになりました。
そうしたら合格という言葉が壁に浮かんで、
気づいたら知らない部屋で、見知らぬ貴方達がやってきて、それで……[咳をする]

██博士: そうですか。……1つ聞きたいのですが良いでしょうか?

斎末博士: 何ですか? どんなことを言われても知らないものは知らないですよ?

██博士: その、母親についてですがーー

斎末博士: 母親? 母ならもう亡くなりましたよ。飛び降り自殺でした。

██博士: [数秒間の沈黙]そうですか。もう、別人なんですね。

─ インタビュー記録: SCP-1631-JP 2023/03/18より

なんということでしょう。

目覚めた後の斎末博士は
自分が斎末という名前だということも、
財団で働く研究者であることも、
かつて自分の母がSCPがらみの事故で死亡し、
それをきっかけに財団職員を志した過去すらも忘れ去り、
空木という別人の記憶を上書きされてしまっていたのです。

報告書にはその後、
斎末博士"だった人物"は再び錯乱したため
鎮静剤を打たれて標準人型収容室に収容されたこと、
そしてそれ以来というものSCP-1631-JPの出現が
一切観測されなくなったことが記録されています。

これで本報告書は終わりとなりますが、
SCP-1631-JPの正体や目的は
最後まで明らかとなることはありませんでした。

個人的にはこんな恐ろしく理不尽なアノマリーが
野放しになっていることほど怖いことはないので、
財団の皆さんにはなるべく早めにその正体を掴んで
きっちり無力化していただきたいものですね…。

SCP-1790-JP - 事故再発防止講習士クエスチョナー・モーブ

SCP-1790-JP - SCP財団

世の中の危険から身を守る方法を考えさせてくれるアノマリー

SCP-1790-JPは要注意団体、
超電救助隊HERO※に救助された人の元に出現し、
どうすれば事故に遭わなかったかを
対話の中で考えさせるという性質を持つ人型アノマリーです。
(※SCP-1790-JPとは、自分をヒーローだと思い込んでいる精神異常者の集まりヒーローを自称し、ヒーロー活動を行うアノマリー集団の総称。ただし、救助の方法に問題がありで余なに被害を広げることも多い。)

こちらについても、
まずは実例から見てみましょう。

対象: 窪川 俊(当時9歳)

付記: この映像は財団によって確認された初めてのSCP-1790-JPの出現を記録したものです。対象はSCP-1099-JPによって記録の日付の30日前に外傷による慢性硬膜下血腫を摘出されています。記録当時は財団のフロント医療施設「岡豊総合病院」で経過観察をしていました。

<記録開始>

SCP-1790-JP: やあ、こんにちは。

(対象は驚いた表情を示す)

SCP-1790-JP: 驚かせちゃったかな? 怪しい人ではないから安心してね。今日は君に大切なことを聞きに来たんだ。

(SCP-1790-JPは対象の背中をさすり、リラックスさせる)

対象: 大切なこと?

SCP-1790-JP: そう、大切なこと。君は少し前に頭のけがを治してもらっただろう?

対象: うん。

SCP-1790-JP: そんなけがを二度としないよう君に考えてもらうんだ。どうやったらけがをしないか。それが大切なこと。だから、お兄さんと一緒に考えていこうよ。

対象: わかった。

SCP-1790-JP: それじゃあ、まず質問をさせてもらうね。君はどうしてけがをしちゃったのかな?

対象: えっと……自転車で転んじゃって、それで頭を打っちゃって。

SCP-1790-JP: 正解だ! 君は自転車で縁石に乗り上げちゃって地面に頭をぶつけちゃったんだ。じゃあ次の質問だ。どうすればケガしなくて済んだかな?

対象: うーんと……転ばなかったら、ケガしなかった?

SCP-1790-JP: うーん。不正解だ。君の出来ることで、ケガしない方法が聞きたいな。そうだ! 質問を変えよう。実は君は自転車に乗っていた時にあるものをつけ忘れていたんだ。何かわかるかな?

対象: あ、ヘルメット。

SCP-1790-JP: 正解だ! 君は事故の時ヘルメットをしてなかったのさ。それで大けがをしてしまったんだ。ヘルメットは頭を守る大事なものだから絶対着けなきゃいけない。分かったかな?

対象: うん。分かった。

SCP-1790-JP: いい返事だ! 起きてしまった事故はしょうがないけど、二度と事故しないように防止することはできる。ヘルメットを着けることを学んだ君はもうこんな大けがすることはなくなるね! よくできました。

対象: ありがとう、お兄さん。

SCP-1790-JP: どういたしまして。大切なことがよくわかったようだね。それじゃあ、バイバイ!

対象: 待って! お兄さん、名前は?

SCP-1790-JP: お兄さんの名前かい? 私の名前は事故再発防止講習士クエスチョナー・モーブ! 悲しい事故が再発しないよう全国のみんなに教えて回ってる、正義のヒーローだ!

(SCP-1790-JPは消失する)

─ 映像記録1: 日付1997/09/30 より

<記録終了>

備考: 対象は記録の10日後に記憶処理を行った後解放されました。

あれ?なんか普通にいい奴っぽくないですか??

子供にも感謝されちゃってますし。

アノマリーといえば体感的に9割くらいは
碌でもない結果をもたらすものばかりなので(偏見)、
子供が出てきた時点で少し身構えてしまいましたが
この様子だとそれは杞憂だったようですね。

あと何か情報を補足するとしたら、
SCP-1790-JPは財団が捕獲しようとすると
その場から消えてしまうため、
実質的に収容不可能であるという点でしょうか。

ともあれ、特に危険性もなさそうですし
このアノマリーについてはこれくらいにして
次のアノマリーの紹介に移りましょうか…?

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こういう一見いい奴っぽいアノマリーに限って
ドス黒い本性が隠されているのがSCP財団のある種のお約束ですが、
このアノマリーもまた例外ではありませんでした。

別のある事例では、
家事で夫を亡くした直後の女性の前に現れ
容赦ない「講習」を披露しています。

SCP-1790-JP: 火事のことを思い出すと辛いよね。でも、これは必要なことなんだ。あなたがもう悲しい出来事に出会わないため、ちゃんと火事について振り返らないとダメだよ!頑張って!

香宗我部博士: 辛いと思われますが、正直に答えてください。

対象: なんで、なんでこんな

SCP-1790-JP: どうした? 聞こえないよ。もっとはっきり答えて!

対象: (嗚咽)どうすればよかったんですか。

SCP-1790-JP: それはあなたが考えるんだ! この火事であなたは大切な家族を失ってしまった。せめて、残されたあなたが悲劇をもう繰り返さないようこの場で学ぶんだ。そうだ! 質問を変えよう。実はね、あなたの夫は生前たくさんのうつ病の兆候を見せていたんだ。そうだなあ、あなたも見てそうなものは3つくらい! 何だかわかるかな?

(以降対象は回答を拒否。)

─ 映像記録2: 日付1999/03/30 より

うーむ、清々しいほどのサイコっぷりですね。

しかしながら、このアノマリーについて
特筆すべきは報告書最後に記載されている
3件目の事例です。

その事例にてSCP-1790-JPは
脳の損傷で植物状態となった
19歳の被験者の元に出現したのですが…

SCP-1790-JP: やあ、こんにちは。
(少し沈黙)

どうしたの? 返事がないよ。
もしかして、寝ているのかな?
そんなわけないよね!
しっかり目が覚めてるみたいだし。

よし。じゃあ私が自己紹介するよ。
私は事故再発防止講習士クエスチョナー・モーブ。
今日は君に大切なことを教えに来たんだよ。
いくつか質問したいけどいいかな?

おーい、聞こえてる?

SCP-1790-JP: やあ、こんにちは。(少し沈黙)どうしたの? 返事がないよ。もしかして、寝ているのかな?そんなわけないよね! しっかり目が覚めてるみたいだし。よし。じゃあ私が自己紹介するよ。私は事故再発防止講習士クエスチョナー・モーブ。今日は君に大切なことを教えに来たんだよ。いくつか質問したいけどいいかな? おーい、聞こえてる?

SCP-1790-JP: 事故のことを思い出すのは辛いかもしれないけど、
いくらなんでもだんまりはよくないんじゃないかなあ。
事故から何も学ばなくていいの?

次同じような事故に遭った時、ヒーローが助けてくれるとは限らないんだよ?
ちゃんと答えてね。君は、どうして頭をけがしちゃったのかな?

SCP-1790-JP: ねえ、君。これは君が考えなきゃいけない問題で、
私はその手助けをしてあげているんだ。

この事故で君は大切な友達を失ってしまった。
それでも、君は生きてるじゃないか。
君が悲しい出来事を繰り返さないようにこの場で学ぶんだ。
君は、どうして頭をけがしちゃったのかな?

SCP-1790-JP: 答えられないかな?

もしかして、元の質問のほうなら答えられるかな?
君は、どうして頭をけがしちゃったのかな?

(対象は終始反応を示さない)

─ 映像記録3: 日付1999/05/25 より

その後もSCP-1790-JPは
無反応の対象に延々と話しかけ続け、
それによってこれまで収容不可能だった
SCP-1790-JPの収容が図らずも成立してしまった…
というのが本報告書のオチでした。

しかしこれ、
3件目の被験者がいつか亡くなったら、
SCP-1790-JPがまた
収容違反しちゃいそうなんですが
その辺は大丈夫なんですかね…?

SCP-1973-JP - メアリー・スーの怪物

SCP-1973-JP - SCP財団

絶対に勝つ、最強のアノマリー降臨!?

あなたは「メアリー・スー」
という言葉をご存じでしょうか。

メアリー・スーとは創作におけるスラングの一つであり、
作者の自己陶酔のために理不尽なまでに理想化された
オリジナルキャラクターを揶揄する目的で
用いられることの多い用語です。

そして、このSCP-1973-JPは
そのメアリー・スーを
具現化したかのような存在なのです。

戦闘であれ弁論であれ
SCP-1973-JPが誰かと戦う場合、
予測不能の現実改変イベントが発生し
最終的には必ずSCP-1973-JPが勝利を収めます。

また、SCP-1973-JPと接触した人物の
SCP-1973-JPに対する評価は極端に良いか、
極端に悪いかのどちらかに二極化されます。

このように、周囲を巻き込んで
大きな影響を及ぼすアノマリーであり、
その上「必ず勝利する」性質から
安定した収容も困難です。

連絡が遅れたことをまずはお詫びします。
私たちは失敗しました。
SCP-1973-JPはもう間もなくサイト-██の外に出てくるでしょう。

サイト-██はやつの汚らわしい欲望に汚されました。
かつて研究者たちが世界を守るために日々戦い続けていた戦場は、
SCP-1973-JPを称賛し彼を中心とする壊れた世界になってしまいました。

財団の理念を胸に秘めた勇敢な職員は、
今や彼の栄光を称えるための人形にすぎません。

とうとう財団サイトが
丸ごと乗っ取られる事態に…

このまま世界は
SCP-1973-JPの天下に
変わってしまうのでしょうか?

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サイト管理者役であるD-2554からのメッセージが届きました。
予想されていた時期より若干早めですが、添付ファイルの数、暗号メッセージからまだ余裕はありそうです。

「助けてくれ」はおそらくフェイクでしょう。
推測な上未発表のものですが、ジーン博士の予想は正しいでしょう。
職員向けカバーストーリーFGH-0”杞憂の世界”は成功しているとみていいです。
とりあえずの対抗策として、プロトコルSUE-1973は有効であると考えられます。
より強い記憶誘導剤を使用すれば確実になると思われます。

このままプロトコルSUE-1973を特別収容プロトコルに組み込むことを上層部に提案します。
完全とは言えませんが、SCP-1973-JPの興味が外へ行くのをだいぶ遅らせることが出来るはずです。

─ サイト管理者役 D-2554からのメッセージ より

財団が敗北した…と思いきや、
実はDクラスを財団職員役にして
SCP-1973-JP偽の勝利を与え続けることで
当面の被害を抑え込むことには成功していた
、というオチ。

虚しい存在には
虚しい勝利を与えるという
皮肉の効いた結末が洒落てますね。

SCP-1080-JP - たまご綴じ

SCP-1080-JP

SCP-1080-JP - SCP財団

異常なフライパンに隠された悲劇の物語とは…

SCP-1080-JPは内底が
果てしなく深い異常空間に繋がっている
直径16cmのステンレス製調理鍋です。

また、SCP-1080-JPが裏向きになっている場合、
その内部からは卵黄、卵白、水、塩、鶏胸肉、玉ねぎの混合物が
途切れることなく流出し続けます。

このアノマリーは2018年に
██県███市の放棄された給水塔の内部で発見され、
同じ場所では当時15歳の少女の死体が発見されています。

この少女とアノマリーに
どんな関係があったのか。

その謎を解く鍵は、少女が死の数日前に
友人宛に送っていた手紙の中にありました。

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失敗したら、たまごに全部包んじゃえばいいからさ。
パパがいて、ママもいて、たまごとじが包んでくれる場所に私がいるなら、それは失敗じゃない。

じゃあ、百奈は受験、頑張って。

─ 回収された便箋の内容 より

問題の手紙を読むとわかるのですが、
持ち主だった少女はDV家庭で、
母に殺された父の遺体や
自殺した母の遺体をこの鍋の中に隠していました。

ですが、最後には自分自身も
転落自殺する道を選ぶこととなり、
その際に「また家族でやり直せるように」と
SCP-1080-JPを頭に被った状態で
屋上から給水塔へと身を投げたのでした。

SCP-1080-JPの回収後、財団はその内部に
卵のような形状のSCP-1080-JP-b-1が
存在していることを確認しています。

また、SCP-1080-JP-b-1は日に日に巨大化し、
その中からは日本文化圏で自然に発生する生活音や
微振動に酷似した音が聞こえるそうです。

まるで、いつの日か、
少女の望んだ温かい家庭が
その中から孵るとでもいうかのように…

SCP-CN-2835 - 私は何処に?

病室のような部屋の写真

SCP-CN-2835。ここは何処だ?

財団職員の誘拐事件発生…!?

11人の白いコートを着た謎の人型実体(SCP-CN-2835-A)によって、
未知の機械が置かれた謎の部屋(SCP-CN-2835)に監禁されたと訴える
ある財団職員が書いた報告書。

…のはずなのですが、よく読むと
所々に不自然な点があるような…?

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報告書最下部を選択反転状態にすると
以下の隠しメッセージを読むことができます。

「O5-1……」

「申し訳ありません、サー。手は尽くしました。O5-1の認知症は末期です。今ここに閉じ込められていると気づけているのが奇跡です。」

「他に方法は無いのか?」

「治療を続けても、O5-1の病状は重くなっていくだけのようです。アルツハイマー病は不治の病だと、貴方が一番分かっていることでしょう。最早O5-1はO5評議会の座に留めておくには相応しくありません。」

「本当に……可哀想に。」

─ SCP-CN-2835報告書内 隠しメッセージ より

そう、本報告書は実は正式な報告書ではなく、
末期の認知症に侵されたO5-1が
混乱した認識の中で書いた私的な報告書だったのです。

ちなみに報告書中で
SCP-CN-2835に指定されていたのは
O5-1が拘束された病室で、
SCP-CN-2835-A扱いされていたのは
見舞いに来た残りのO5メンバーでした。

なんとも衝撃的というか、
そうきたか…!といった感じのオチでしたが
個人的にはそれとは別に
O5もまた人の子かという
ある種の物悲しさをも感じた報告書でした…。

SCP-4514 - お前を殺す物

ナイフの画像

SCP-4514

このナイフ、人を殺せます

SCP-4514は一見すると
普通の折りたたみナイフです。

ですが、以下のような条件を
満たした場合に異常性を発揮します。

  • 血液の40%を失うように個人を傷つける
  • 脳へ重篤な損害を与えるように個人を傷つける
  • 心臓へ重篤な損害を与えるように個人を傷つける
  • 呼吸不全を引き起こすように個人を傷つける

個人がSCP-4514の異常性を活性化させるような方法で傷つけられた場合、その個人は死亡します。

─ SCP-4514報告書内記述 より

あれ?

気のせいでしょうか。
なんだか当たり前のことしか
書いてないような気がしますね。

これだけでは正直よくわからないので、
続いて本アノマリーの実験記録を見てみましょう。

実験 #: 1

被験者: D-3314、36歳白人女性。健康体。

手順: SCP-4514を用いて、被験者に腕に小さな切開(深さ0.125cm、長さ3cm)を作る。

結果: 被験者は生存した。

実験 #: 2

被験者: D-3314、36歳白人女性。健康体。

手順: 被験者を鎮静させ、SCP-4514を用いて被験者の脚に大きな切開(深さ1cm、長さ10cm)を作る。その後、傷口は縫合される。

結果: 被験者は生存した。

実験 #: 3

被験者: D-8833、93歳アジア人男性。脳機能障害有り。

手順: 被験者を鎮静させ、SCP-4514を用いて刺す。刺突は脳を目標とし、可能な限り迅速に行う。

結果: 被験者は終了した。

実験 #: 4

被験者: D-11424、131歳白人女性。頸部の手術に起因する合併症により、筋肉の痙攣、麻痺に苦しんでいる。

手順: 被験者を鎮静させ、胴体の中央部に大きな切開(深さ1cm、長さ10cm)を作る。切開部を通して50%の血液が失われてもなお被験者が生存している場合、傷口が縫合され、十分な量の血液が自己血輸血により被験者へ戻される。

結果: 40%の血液を身体から失った後、被験者は終了した。

─ SCP-4514報告書内 実験記録 より

…まぁ、なんというか
そりゃ死ぬでしょとしか
言いようがない感じですね。

ただ、少し気になるのは
被験者の中にかなり、
というか下手しなくても
ギネス級の超高齢者が含まれていること
です。

被験者にするにしても
なぜわざわざこんなレアな人たちを
選ばなければならなかったのでしょうか…?

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SCP財団に詳しい方は途中で勘づいたかもしれませんが、
この報告書の最大のネタバラシは
報告書の最後に添付されている、
倫理委員会のバイオレット・メスメル博士から
実験担当者のヤング博士に宛てられたメッセージの中にあります。

ヤング博士、

私達は貴女の実験記録を審査し、過度かつ不当な物だと見做しました。

しかしながら、正直に言えば少し前には、貴女のSCP-4514の過剰な試験には気付いていました。実験の為にDクラスを積極的に集めるのは稀なことです。結局、実際の職員の試験は避けられませんでした。

私達は、次のステップの在り方を議論する必要がありました。SCP-4514の被験者を選出する為の標準化されたプロセスを作成する、この事業を一般に提供する、等です。

とどのつまり、お分かりの通り私達は、組織としての私達の基本原則に立ち戻りました。世界は私達に現状を再定義することを余儀なくさせましたが、それを元に戻すことは私達の仕事ではありません。私達がどれほど永遠の安寧を望もうが、そこへ手を伸ばす行為を正常性は決して許しはしません。

表向きには、貴女はSCP-4514プロジェクトから外されます。

内実には、何も問題ないでしょう。 人生なんてクソ喰らえだ。

- 倫理委員会、バイオレット・メスメル博士

─ 倫理委員会、バイオレット・メスメル博士からのメッセージ より

特に注目したいのが最後の「 人生なんてクソ喰らえだ。」の部分。

この部分はSCP財団の「死の終焉ハブ」へのリンクとなっており、
このSCP-4514が死の終焉ハブと同じ世界の話であったことを意味しています。

そして、死の終焉ハブといえば
ある日突然、あらゆる生き物が死ななくなったことで
人口爆発、老化による終わらない苦しみなどの
様々な問題に見舞われたディストピア世界を描くハブでした。

そして、もうお気づきかと思いますが
そんな世界において
「人を殺すことのできるナイフ」というのは、
これはもう異常(アノマリー)以外の何ものでもないのです。

…というわけで、
なぜ普通のナイフがSCPオブジェクト扱いされていたのかという
理由についてはこれで明らかになりましたが、
ここでさらにもう一点、
先に引用したバイオレット・メスメル博士の
メッセージ内容に着目してみましょう。

その内容を見返してみると、
ヤング博士がSCP-4514を用いた
「過剰な試験」を行っていたこと…
つまりSCP-4514を用いて
過剰に人を殺めていたことがわかります。

では、ヤング博士がなぜ
そのような行為をしたのかというと、
それは、死の終焉ハブの前提を踏まえれば
倫理的な目的から
発したものであったと推察できます。

つまり、
死という概念が消え失せた世界で
いつまでも死ぬことができず、
老い続けて苦しむ人々を見かねたヤング博士は
実験責任者の立場を利用し、
SCP-4514で彼らを「解放」し続けていたのです。

財団側もそのことには気づいていて、
最初のうちは見てみぬふりをしていたのですが、
それも長くは続きませんでした。

なぜなら、死の終焉ハブの世界では
「全ての生物が死なないこと」が正常であり、
それに反して「異常な存在」である
SCP-4514を使い続けることは
財団の基本原則である
「正常性の維持」に反することだったからです。

結果としてヤング博士は
SCP-4514プロジェクトから外され、
SCP-4514もO5評議会の承認を得なければ
実験すら行えないお蔵入りとなってしまったのでした。

…そんなわけで、
善意から組織の方針に逆らった
ヤング博士もそうですが、
彼女に最後通達をしたメスメル博士もまた
どこかやりきれない思いがあるように見えるのが、
なんとも後味の悪い(褒め言葉)報告書でしたね…

最後に

以上、意外なオチの報告書特集でした。

こういうタイプの報告書は
最初は意味がよくわからないのだけれど、
読み進めるうちに少しづつ全容が見えてきて、
最後にはネタバラシでガツンとやられる感じが
痛快で読むのがクセになりそうです。

今後も面白い報告書を見つけ次第
まとめて記事でお届けしたいと思います。

それでは。

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