ここ最近、個人的に気になっていることがある。
ジョジョ六部のアニメ化に関する情報が
一向に聞こえてこないことだ。
これまでの部(1部~5部)では
約二年のスパンでコンスタントに
新シーズンが放映され続けてきたこともあり、
第五部の放映開始から丁度二年目にあたる
今年の春辺りにでも発表が来るかと思ったがそれもない。
原作の人気のピーク期からはやや外れる五部ですら
十分な盛り上がりを見せていたように思うのだが、
一体これはどういうことなのだろうか?
本日はこの由々しき問題(?)について、
人生の半分以上(15年)をジョジョの一ファンとして歩んできた
私の視点から考察してみたいと思う。
※本記事はジョジョの奇妙な冒険に関するネタバレ要素を多分に含みます。閲覧の際はその点をご了承ください。
仮説1 : 単純に6部が人気のない部だから
えー、いきなりですが身もふたもない話です。
そもそも六部に人気が無いという。
こういう話をすると中には
「そんなのお前の主観だろ」と
憤りを感じられる六部ファンの方もおられるかもしれませんが、
残念ながらこの仮説には公式による
客観的な証拠があるのです。
それが2018年8月14日に
ジョジョに関する様々な統計データを作成する目的で開催された
ジョジョサピエンスというファン参加型イベントにて、
1万7000件のビッグデータに基づいて算出された
「ジョジョファンが最も支持する部のランキング」データです。
ご覧の通り、ビッグデータという否定の余地のない
強力な根拠に基づいたこのランキングにおいて
六部は得票率8.5%という、
下から数えた方が早い順位に
収まってしまっているんですよね。
しかも一応ビリではなかったとはいえ
六部より下に位置しているのは僅か五巻という
六部の三分の一以下の巻数で完結した第一部と
未完結で、なおかつamazonレビューなどでも
あまり芳しくない評価を多く耳にする第八部のみ。
おまけに数字をよく見てみれば
六部の一個上の順位の第二部は
得票率11%超えでそれ以下の部を大きく
突き放しているという厳しさです。
誤解を恐れずに言えば
私自身六部の順位については
まぁこんなものだろうなといった感想でしたし、
実際に今までの経験の中でも
ジョジョの中で六部が一番好きという人には未だかつて
出会ったことがありません。
(ネットではそういう意見も時々見受けられますが)
これではアニメ化に対するインセンティブが
十分に働かないのも仕方ないかもしれないですね。
仮説2 : ジョジョそのもののブームが沈静化気味だから
ここまで図らずも六部を叩くような形になってしまいましたが
実はジョジョというコンテンツの人気も
一時期に比べると大分沈静化しているのではないかと思います。
私がそう考える根拠は主に次の二つ。
根拠その1:円盤の売り上げが3部以降右肩下がりになっている
根拠その2:ジョジョに関するメディアミックスの動きがここ数年急速に鈍化している
根拠その1についてはまたもや統計データですね。
1st Season(1&2部) | 25,671枚 |
---|---|
2nd Season(3部) | 9,946枚 |
3rd Season(4部) | 6,315枚 |
4th Season(5部) | 4,760枚 |
※比較対象は各シーズンの第1巻の数値
【ソース】
アニメDVD・BD売り上げまとめwiki
【05/13 – 05/19】2018年秋アニメ・2019年冬アニメBD売り上げ 海外の反応「バニーガール、ジョジョ、五等分、全て大成功!」|ネット民の反応:国内・海外のゲーム・アニメの反応まとめ!
並べてみると一目瞭然ですが
円盤の売り上げが1st Seasonをピークに
綺麗に右肩下がりに落ちています。
個人的には知名度と人気が一番高いはずの第三部のセールスが
思ったより振るわなかったのが意外でしたね。
三部は既に一度OVAでアニメ済みなこともあって
既存ファンからするとやや新鮮味に欠けていたからでしょうか。
続いて根拠その2については、
逆に10年台初頭頃の勢いがおかしかっただけかもしれません。
ジョジョ展の開催にまさかの1部アニメ化。
そしてPS4のビッグタイトルASBの発売(内容は賛否両論でしたが…)と
まるでイルミナティかフリーメーソンの幹部に
ジョジョファンが就いたのではないかと思わされるほどの
急激な露出ラッシュが続き、一時期は明らかによくわかっていないような
一部の芸能人までもが便乗してテレビでジョジョ好きを公言していた有様でした。
もっともその勢いも今では大分落ち着いて、
基本的には好きな人は好きな、
マイナーの中のメジャー作品といった
ポジションに再び落ち着いた感があります。
ブームが起こった原因は謎ですが、
ともあれブーム時の方が売る側としては
好都合なのは間違いないので、
今の状況がブーム時に比べて
六部アニメ化にとって逆風気味であることは間違いないでしょう。
仮説3 : 6部には魅力的なキャラクターが少ないから
仮説1に続いて6部自体を原因と見る仮説です。
個人的に6部には味方側はともかく、
特に敵キャラクターの方に
ファンがグッズを集めたくなるような
魅力的なキャラクターが乏しい様に感じます。
例えば、ジョジョ六部を全巻通して
読んだ経験のある方に試してみて欲しいのですが、
あなたは六部に登場した敵キャラクターのうち、
何人の名前をそらで言えるでしょうか?
大ボスのプッチ神父とDIOの息子である
リキエル、ウンガロ、ヴェルサスあたりはまぁ出てくるとして、
あとは一番最初の敵でその後も何度か出番のあったグェスや
キャラにインパクトのあったマックィイーン、
ストーリー上大きな役目を担っていたスポーツマックス辺りが
せいぜい関の山ではないでしょうか。
これが、それ以外の例えば
ヨーヨーマの本体のあいつとか、
ジョンガリとか、ウェストウッド看守とか
ミューミューとかケンゾーとか
無重力のあいつとかあたりになると
もはや名前を教えられても顔が思い浮かばないくらい
記憶が怪しくなってくるのではないでしょうか。
一方で五部以前では
例え大ボスじゃなくても暗殺チームや
チョコラータ&セッコ、山岸由花子、
ヴァニラ・アイス、ワムウ、エシディシ、血管針カルテットなどなど、
ここで描きだすには余白が足りないほど
記憶に残る奴らがごろごろいたように思えるんですよね。
話は少し脱線しますが、
私はこの原因について、
荒木先生が5部の半ばあたりから
少し「狙いすぎた」変人キャラを
連発するようになってしまったことも
原因の一つではないかと考えています。
つまりジョジョ=変人が沢山出てくる漫画
という印象が読者の間に根付いてしまったせいで
ジョジョに登場する変人に対するハードルが極端に上がってしまい、
結果として生半可なレベルの変人では
記憶に残ることすら難しくなってしまったのではないかという仮説です。
この説が正しいかどうかは分かりませんが、
それはさておきキャラ人気が弱いとなると心配されるのが
アニメと連動して展開される様々な関連商品の売れ行き不振です。
特にフィギュアなどは
キャラクター人気が9割みたいなところがあるので
もし六部がアニメ化しても
そのラインナップは恐らく
以前の部と比べてかなり渋いものとなるでしょう。
思えば六部はアニメ以前にもグッズ化に恵まれず、
メディコスの立体物でも五部以前は
主人公チームと大ボスを除く人選として
噴上裕也や暗殺チーム、果ては
エニグマの少年みたいなどこに需要があるのか(美形っちゃ美形だが高校生の子持ちのシングルマザーのパンティー盗んでドヤ顔決めるようなヤツだぞ…?)
ちょっと意味不明なキャラまで立体化されていたのですが、
六部に入ってからというものプッチ神父以外の
敵キャラの立体化はほぼ無く、
大ボスのプッチですらC-MOONとメイドインヘブンの立体化が
未だ音沙汰なしという体たらくです。
商売だからしょうがないとはいえ
レギュラーの一人であるF・Fすら
フィギュアが存在していないというのは
六部ファンにとっては辛い状況ですね。
仮説4 : 人種差別に関するエピソードに触れたくないから
六部既読勢ならよくご存じかと思いますが、
六部の作中には人種差別の問題を絡めた
重要なエピソードが存在しています。
最初に注意書きはしてあるので
ネタバレ全開で進めますが、
それはウェザーリポートという
主人公の味方の一人であるキャラクターの
誕生にまつわるエピソードです。
このウェザーリポート、見てわかるように
本来は白人の両親の子の間に生まれた白人の子だったのですが、
産まれたその日に子供を死産で亡くした黒人の母親によって
こっそり死んだ赤子とすり替えられたことで
黒人の子として育てられたという非常に複雑な過去を背負っています。
そして彼を生んだ本当の両親というのが実は
六部のラスボスであるプッチ神父の両親であり、
すまわちウェザーとプッチは
血のつながった実の兄弟同士だったのです。
(ちなみにプッチ神父の肌は褐色ですが黒人ではありません。ファンの間では自黒の白人なのではないかと推測されています。)
もっともこうしたいきさつを
当のウェザー本人は知る由もなく、
貧乏な黒人の母親の元で
ちょっとワルの入ったハンサムな青年に成長、
さらにある時ぺルラという少女と出会いお互いに恋に落ちます。
これによってウェザーの人生にも
ついに春が訪れたかと思いきや、
運命とは残酷なもので、あろうことか
このぺルラが実はプッチ神父の妹であり、
すなわちウェザーの実妹でもあって、
二人は本来絶対に結ばれてはいけない間柄だったことが
出会いのシーンからほどなくして読者に明かされます。
そして読者意外にもう一人、
この事実をいち早く知ったプッチ神父は
妹を傷つけない形で二人の仲を解消させようと
町の私立探偵に別れさせ屋の仕事を依頼します。
ところがこの探偵というのが
実は(ここまで何回「実は」って書いただろ…)
白人至上主義団体KKKのメンバーであり、
ウェザーが黒人の子であることを知ると
仲間と共にこれをリンチし
さらにぺルラをレ〇プしてしまいます。
リンチが終わり、KKKが去った後、
ウェザーは何とか一命をとりとめていたものの
ウェザーが死んだと勘違いしたぺルラは
近くにあった崖から身を投げて自殺。
このことから人の運命に
強い疑念を抱いたプッチ神父は
「人は運命を克服しなければならない」という
独自の思想に憑りつかれるようになり、
さらに全ての発端である自身への復讐にやって来た
ウェザーを返り討ちにしてその記憶を消去、
やがてウェザーはG.D.S刑務所に収監され、
後に徐倫達と出会ってプッチの野望を阻止する
仲間に加わるのだった…
という一連の挿話がここで取り上げる「ウェザー・オリジン」の全容です。
ご覧いただいて分かるようにこのストーリー、
六部を語る上では絶対に外すことのできない
重要エピソードであり、またそのことから
六部を映像化するなら絶対に
人種差別の描写も外すことは出来ないんですよね。
そしてBLM運動や17年末の「笑ってはいけない」で
日本でも物議をかもしたブラックフェイス表現の糾弾など
人種差別に特に敏感になっているこのご時世に
ここまで露骨なエピソードをやるというのが
作り手にとってはかなり気が気でない
であろうことは想像に難くありません。
もちろんこの話でKKKの男たちは完全な悪役であり、
最後にはきちんとその報いを受けてはいるのですが、
それでも被る必要ない火の粉を
敢えて被りに行く大人はそう多くはないでしょう。
これはもう単純に時期が悪かったとしか言いようがないですね。
仮説5 :「ボヘミアン・ラプソディ」問題
キャラクターの腕が吹っ飛ぼうが脚がもげようが
あるいは未成年がタバコを吸おうが、
時に黒塗りも活用して
制作を断行してきたジョジョアニメですが、
六部に関してはそんな百戦錬磨のジョジョアニメにおいても
映像化の鬼門と思われるあるスタンドが存在しています。
それはDIOの息子の一人である
ウンガロのスタンド能力「ボヘミアン・ラプソディ」。
その理由は百聞は一見に如かず。
次の画像を見て頂ければ瞬く間に理解して頂けることでしょう。
(ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン 12巻より)
ゲェーッ!
この特徴的な尻尾は、まさかミッ〇ー?
なぜこんなことになったのか念のため説明しておくと、
まずボヘミアン・ラプソディの能力は
創作のエネルギーを利用して
架空のキャラクターを距離も数も問わず実体化させるという、
ジョジョの中でもひと際とんでもない能力であり、
このミッ〇ーもその能力によって現実化した
数多くのキャラクターの一体でした。
そしてこの回にはこれに留まらず、
他にもマジン〇ーZやアト〇、ケ〇シロウ、
スパイダー〇ンなどの数多の
版権キャラクターがゲスト登場しており、
もしこれらすべての版権を真面目にクリアしていたら
それだけで予算が根こそぎ吹っ飛んでしまうことが予想されます。
そうなると現実的なのは
場面の省略や改変ですが、
ただでさえ面倒くさいファンが多いジョジョにおいて
下手な妥協もできないという罠。
もっとも版権の問題といえば
既に過去のシーズンにおいて、
スタンドやキャラクターの名前の元ネタの
多くが洋楽のパロディであるという最大のネックを
海外版のみスタンド名変更という荒業で乗り切った
実績があるので、これはその気になれば
他の理由ほどは厳しい問題にはならないかもしれないですね。
おわりに
1ファンとして、せっかくここまで続いて来たのだから
SBRまでは※アニメ化をやり切ってもらいたいという気持ちはあるのですが
それでも「やっぱり売れねぇだろうな」という予感もあったりして非常に複雑な心境です。
(※ジョジョリオンは…ナオキです)
ジョジョ六部の明日はどっちだ…?