不思議なダンジョンシリーズといえば、主に
『トルネコの大冒険シリーズ』
『風来のシレンシリーズ』
『ポケモン不思議のダンジョンシリーズ』
『チョコボの不思議なダンジョンシリーズ』
『ディアボロの大冒険※フリーゲーム』
などが知られる、ダンジョン探索型ゲームの事です。
ローグライクゲームは日本でも1980年代から存在したが一般的なゲームとは言えなかった。
しかし、1993年に発売した「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」で大きく変化する。
トルネコの大冒険は、日本で馴染みの薄かったローグライクゲームを普及させる目的で作られたゲームである。以前から大人気であったドラゴンクエストの世界観を使って内容も徹底的に遊びやすく設計された。
具体的には大ヒットしたドラゴンクエストの「コマンド方式」の採用と、キーボード打ち込み方式のやり方を撤廃、
アイテムの解説をゲーム中に容易に見られるようにしたり、分かりやすいチュートリアル(解説)の導入、
グラッフィクや音楽の導入、などなど。
また 「1000回遊べるRPG」というキャッチコピー(宣伝文)が付けられ話題となった。
その甲斐あって、トルネコの大冒険は人気になり日本でローグライクゲームは一気に普及した。その続編である「風来のシレン」もますますローグライクゲームの普及につながった。
今日のローグライクゲームと言えば「不思議のダンジョンライクゲーム」の意味で使われることも多い。マンガ・ゲームの二次創作作品においても不思議のダンジョンを土台とした作品を発表している物が多い。
不思議のダンジョンシリーズでダンジョンゲームの知名度があること、遊びやすいという中毒性が、同人ゲームにおいても人気となる理由のようである。
(ニコニコ大百科より引用)
その高い中毒性でコアなファンの多いジャンルですが、かくいう私も『風来のシレン』シリーズ(SFC~64)にドハマリした経験があります。
一手のミスが死につながるスリル、限られたアイテムを駆使して危機を潜り抜ける快感に病みつきとなり、一時は寝食を忘れるほどに熱中したものです。
ですが、『不思議なダンジョン』の一般的な知名度は低く、2012年にポケモン不思議のダンジョン最新作『マグナゲート』が発売されて以降、新作情報も全くと言っていいほど耳にしません。
冒頭で挙げたシリーズの国内売り上げを見ても…
トルネコの大冒険シリーズ
タイトル | 売り上げ本数 |
---|---|
トルネコの大冒険(SFC) | 約80万本 |
トルネコの大冒険2(PS) | 約57万本 |
トルネコの大冒険3(PS2) | 約50万本 |
風来のシレンシリーズ
タイトル | 売り上げ本数 |
---|---|
風来のシレン(SFC) | 約20万本 |
風来のシレン2 鬼襲来! シレン城!(64) | 約23万本 |
風来のシレン3 からくり城の眠り姫(wii) | 約10万本 |
風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ(DS) | 約9万本 |
風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス(DS) | 約4万本 |
チョコボの不思議なダンジョンシリーズ
タイトル | 売り上げ本数 |
---|---|
チョコボの不思議なダンジョン(PS) | 約117万本 |
チョコボの不思議なダンジョン2(PS) | 約52万本 |
チョコボの不思議なダンジョン 時忘れの迷宮(Wii) | 約10万本 |
ポケモン不思議のダンジョンシリーズ
タイトル | 売り上げ本数 |
---|---|
ポケモン不思議のダンジョン 青の救助隊・赤の救助隊(DS) | 約147万本 |
ポケモン不思議のダンジョン 時の救助隊・闇の救助隊(DS) | 約155万本 |
ポケモン不思議のダンジョン マグナゲートと∞迷宮(3DS) | 約42万本 |
(Wikipediaより引用)
安定して50万本以上をキープしていたトルネコシリーズは2002年の3で打ち止め。(2006年には、同じドラクエシリーズからヤンガスの不思議なダンジョンが発売されていますが、販売本数は不明)
風来のシレンシリーズは2がピークで3からは大幅な右肩下がり。
チョコボシリーズは1作目がミリオン達成していますが、2007年発売の『時忘れの迷宮』は僅か10万本止まり。
残る『ポケモン不思議なダンジョン』シリーズが1、2作目で100万本を突破し好調に見えますが、最新作の『マグナゲート』は50万本にも届いていません。
『不思議なダンジョン』をこよなく愛する私としてはとても歯がゆい状況です。
そこで今回は、綿脚にとって特に思い入れが深い『風来のシレン』シリーズの歴史を振り返りながら、『不思議なダンジョン』が復活する為の方策を考えてみたいと思います。
風来のシレンという傑作とその凋落
出会い
私が『不思議なダンジョン』に始めて触れた作品は、『ドラクエ』のネームバリューがある『トルネコの大冒険』(1993)ではなく、『風来のシレン(SFC)』(1995)でした。
小学生低学年の頃に、向かいに住んでいた友人にこのゲームを貸してもらってプレイしたのが始まりだったと記憶しています。
最初はその『和』を意識したシブい世界観と小気味よい音楽に惹かれ、
(音楽担当は、ドラゴンクエストでも知られるすぎやまこういちさん!)
さらに実際にプレイする事でその奥深い戦略性に魅了され、本当にこのゲームを1000回以上プレイしたものです。
初代ということもあり難易度は高めですが、それも含めて魅力あふれる作品だったと思います。
64での再会
私がSFCシレンと出会ってしばらく後の2000年秋、『風来のシレンシリーズ』初の3D作品である、『風来のシレン64 鬼襲来!シレン城!』が発売されました。
当時、自分と同じような子供の姿のシレンがイカダで急流を下るcmを見て、とてもワクワクしたことをよく覚えています。
本作では『城づくり』を初めとした多くのやりこみ要素が追加され、難易度こそ前作より低下したものの、ゲームとしての面白さは損なわれず、さらに遊びの幅を広げた仕上がりになっていました。
中でも当時ハマッたのが、新システムの『モンスターの壷』と『黄金の間』。
『モンスターの壷』とはモンスターに投げつける事で捕獲し、捕獲したモンスターを仲間として好きなときに壷から呼び出せるアイテム。
敵だったモンスターといっしょに行動できるのが新鮮で面白かったですし、仲間にしたモンスターと話したり、もののけ王国で捕まえたモンスターの説明を読むのも楽しみでした。
『黄金の間』は、特定のダンジョンの特定の階層でのみ出現するボーナスステージのようなもの。
ですが、厄介な事に黄金の間へ進む階段は特定フロアの壁の中にランダムで埋まっており、普通にプレイしていては見つけることはできません。そこで、『大部屋の巻物』や『大砲の弾』といった、壁を崩せるアイテムを使用して階段を探す事になります。
黄金の間には、この手間に見合うだけのレアアイテムが用意されており、運よく発見できたときは本当に嬉しかったものです(高難易度ダンジョンなら尚更)。
私にとってシレンシリーズで一番長く遊んだゲームであり、個人的に一番思い入れの有る作品でもあります(VCで配信されたら絶対買うのになぁ…)。
携帯機でもシレン
2001年にゲームボーイカラーで発売された『風来のシレンGB2 砂漠の魔城』は、私にとって初の携帯機シレンでした。
(GB初は1996年発売の『月影村』ですが、私は未プレイ)
この作品については、前2作に比べてそれほどやりこんでいないので詳しくは書けませんが、やはり当時は『いつでもどこでも不思議なダンジョンに潜れる』というのが衝撃的でした。
また内容についても肉を投げる事でモンスターの技を覚えるンフーや、ターン制限の有る天下一ワナ道会など、光るものが多いゲームだったと思います。
しかしなんといっても『不思議なダンジョン』は携帯機ととても相性が良いジャンルですし、今後シレンシリーズが復活する為には切り離せない要素だと思います。
シレン3という絶望
シレン64から8年後の2008年、私の中で『風来のシレン』も既に良い思い出となっていた頃、『風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫』がWiiで発売されるというビッグニュースをネットで知りました。
私は、昔あれほど自分を熱狂させてくれたシレンシリーズのナンバリング最新作ということもあり、迷うことなくにこのゲームを予約。
そして発売日当日に、大きな期待を持って『シレン3』をプレイしたのですが…
…
『電波じみたストーリー』
『モンスターの個性を否定するかのような属性攻撃』
『仲間が死んだら強制的に失敗扱い』
『序盤からレア装備を入手できる可能性皆無』
『なんかよく分からん壮大な設定』
『選ぶ意義の薄すぎるノーマルモード』
『言動が変で感情移入できないキャラクター達』
『欠点ばかりが目立つレベル継続制』
『シレンが狂戦士化しても、棒立ちで死ぬまで殴られ続ける仲間達』
『創意工夫を否定するかのようなボス戦』
『盾を装備できないしようとしないセンセー』
…
…
一番残念だったのは、このゲームが『不思議のダンジョンとしての面白さ』ではなく、見せ掛けのグラフィックやストーリー方面に力を入れて製作された事です。
シレン3の悪評については既に各所(amazonレビューとか個人ブログとか…)で散々言われてきた事ですので、自分からはこの程度で止めにしておきます。
ちなみにこのシレン3、本編は一応クリアしましたが、クリア後のお楽しみ要素をやり込む気力はどうしても起きませんでした。
あんまりにも落胆したので、プレイ後同じく期待を打ち砕かれた兄弟と一緒に、不満点について散々吐き出した後このゲームを雪に埋めて墓を立てました。合掌。
ちなみにこのゲームについての批評はこちらの記事が的確でオススメです。
シレン4,5について
シレン3の悪夢から2年後の2010年
・『風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ』
・『風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス』
の2作品が同じ年のうちに(!)携帯機のDSにて発売されました。
このゲームに関しては、兄弟が(3に懲りずに)購入したものをプレイさせてもらっただけですが、少し触れておこうと思います。
4からはハードが携帯機のニンテンドーDSに移り、3での反省からかストーリーやゲーム性は大分改善されて遊びやすくなっていました。
また、4から『昼夜』システムが新登場。これは、夜になると『たいまつ』で視界を確保する必要があり、さらに通常攻撃がほぼ効かない夜のモンスターが出現。それらは使用回数の決められた『技』でないと倒せないというシステムです。
夜のモンスターは攻撃力が非常に高く一撃死の可能性もあり、独特のスリル感が楽しいシステムでした。
同人ゲーじゃないんだから…
ゲームとしての面白さは問題なかったのですが、個人的にどうしても気になった事がひとつあります。
それがゲーム中に収録されている『モンスター図鑑』の説明文。
どこかで見たようなネタがこれでもかと詰め込まれています。
これなんかはモロに2chネタだし…
まさかのジョジョネタ。これら以外にもまだまだある。
さりげないネタならまだしも、ここまで露骨にネタを盛り込まれると逆に引いてしまいましたし、ネットのノリを公式のゲームに持ち込むのは考え物です。
売り上げはもどらず
モンスター図鑑のフザケっぷりはともかく、ゲームとしては期待以上に面白かったDSの2作ですが、売り上げは4が約9万本、5に至っては約4万本程度という寂しいものでした。
これは、3の悪評がネットに広まった事で『風来のシレン』というブランドがユーザーの信頼を失った事、システムの複雑さに拍車が掛かり新規参入が困難になってしまった事が原因だと思われます。
(そもそも同年度中に急いで二作も出す必要があったのかどうか…)
不思議なダンジョンシリーズが復活するには?
最後にここまでの内容を含めて、不思議なダンジョンというコンテンツが持つ魅力を、私なりにまとめてみたいと思います。
1.同じダンジョンでも入るたびに全く違う冒険(=ゲーム体験)をプレイヤーに提供出来ると言う点。
同じダンジョンでも、入るたびに様々な条件がランダムで変化するので、マンネリを感じにくいという強みがあります。
2.プレイヤー自身が考え成長出来るゲームであるという点。
例えば、低い階層で『幸せ草』(Lvを1つ上げる)というアイテムを拾ったとします。
ここで大抵の初心者は、これを自分(シレン)に使ってレベルを1上げますが、ある程度の経験者ならこれを『あなぐらマムル』という敵に向かって投げつけます。
しあわせ草を投げられた『あなぐらマムル』は『どうくつマムル』という攻撃力と防御力が非常に高い上位の敵に進化しますが、『どうくつマムル』は異様に体力が低いという弱点があるため、ギタン(ダンジョンでよく拾えるお金。敵に投げると防御力を無視して金額の10%のダメージを与える)投げ等でアッサリと倒す事ができます。
どうくつマムルを倒せば大量の経験値が手に入るので、結果として自分にしあわせ草を使うよりも大幅にレベルを上げる事ができます。
このように、プレイヤー自身の知識や経験によって、アイテムや罠、敵の価値が大きく変化する点も『不思議のダンジョン』の魅力だと思います。
3.ギャンブル的な面白さ
『不思議なダンジョン』では、知識や経験と同じかそれ以上に運のよさがモノを言います。
たとえ、熟練のプレイヤーであっても良いアイテムに恵まれなかったり、危険な罠を踏んだりすればクリアは厳しいですし、逆に初心者でも序盤にレア武器や強力アイテムを入手出来ればサクサク冒険を進められる可能性があります。
このように、今回はレアアイテムが引けるかな?とワクワクしながらプレイする楽しみがあると同時に、反対に運が悪ければいつ死ぬかもわからないというスリル感も味わう事もできるのです。
4.様々な作品とのコラボが可能な柔軟性
例として、フリーゲームの『ディアボロの大冒険』は、従来の不思議なダンジョンの面白さは継承しつつ、各種要素を、
『装備アイテム』 →『スタンドDISC』
『武器強化アイテム』→『コミックス』
『合成』 →『クレイジー・ダイヤモンド』
といった具合に、既存の設定をジョジョ風に上手く置き換えた事で高い完成度のゲームとなっていました。
不思議ダンジョンは他作品とのコラボレーションが比較的用意なジャンルであり、まだまだ多くの作品とコラボレーション出来る可能性を秘めていると思います。
結論
以上、思いつくままに書き出してみましたが、『不思議なダンジョン』は、まだまだ書き切れないほどの魅力と可能性に満ちたコンテンツです。
私の結論としましては、不思議なダンジョンというジャンルにはまだまだ開拓の余地が残されており、従来の骨組みを残しつつ新規参入の手段を確保すれば、今後また大ヒット作が産まれる可能性も大いに有ると思います。
結論は出ましたが、最後にシレンシリーズの今後を予想してお別れしたいと思います。
シレンシリーズの今後は?
シレンシリーズは今後、どうすれば復活出来るかを考えてみたいと思います。
1.据え置き機での開発 (WiiU、PS4など)
現状、『風来のシレン』の最新作を据え置き機で開発する事は、メリットが少なくデメリットの方が大きいと思います。
これについては『シレン3』の失敗が格好の例であり、繰り返し説明する必要も無いと思います。
こちらについても、『シレン4』、『シレン5』で売り上げが回復しなかった事を見ても厳しい選択だと思います。
ですが、4、5共にゲーム自体の評価は低くなかったので、その路線をさらに強化しつつ、更に新規プレイヤー獲得への細かい配慮が出来れば再起の目はあるかもしれません。
3.ソーシャルゲームとしての開発
私としては、今一番チャンスがあるように思える分野です。
実は、『風来のシレン』のソーシャルゲーム自体は既に存在していたのですが、それも2012年6月時点であえなくサービス終了しています。
iPhone AC 番外レポート : 風来のシレン みんなで不思議のダンジョン
上記のリンク先で詳しくレビューされていますが、このゲームは名前こそ風来のシレンではあるものの、内容は私達の想像する『不思議のダンジョン』とはかけ離れたものだったようです。
私を含め、多くのユーザーが期待しているのは初代や2で感じたあの面白さであって、ソーシャルゲームであってもその点だけは外してはいけないと思います。
それを踏まえたうえで、私としては、
・風来救助隊のシステムによる全国の他プレイヤーと連携要素。
・重課金プレイヤー向けの武器持込ダンジョンと、テクニック重視のもっと不思議なダンジョンを用意。
・『肉』ダンジョンや『罠』ダンジョンを用意
・ガチャで武器やアイテムを配布。
・武器掛けやもののけ王国などの収集要素を用意
・過去のシリーズから仲間キャラが登場。
・ストーリーは無くても良い。グラはドットでもOK。
・ダンジョンのスコアを全国のプレイヤーと競える風来掲示板を設置
こんな感じで上手く作れば流行るんじゃないかなと思います。ダンジョンは一度作ってしまえば繰り返し遊べますし、階層の少ないスコアアタック用のダンジョンを作って、通勤通学の時間にちょっとダンジョンに潜るなんてのもウケそうです。
最後に
以上、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。私も風来のシレンを愛する一人として、出来る事ならチュンソフト様には是非とも続編を製作していただきたいものです。
それが無理ならシレン2をVCで配信してくださいお願いします
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- 出版社/メーカー: チュンソフト
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