【SCP財団】依談ハブの最恐taleベスト10

髭つらの男性の似顔絵SCP

夏の暑さも吹き飛ぶ恐怖をあなたに…

世界の終末、人類の存在そのものに影響を与える超常現象、次元間を飛び回る要注意団体。
SCP財団は、迫り来る脅威との果てなき闘いを日々続けています。

しかしそんな中で、ともすれば取るに足らないものと解釈されるような怪異も。
私たちの知らないところで、もぞもぞと蠢動していました。

もしかしたら怪談という枠組みからも、すべりおちてしまうようなお話を、
ここでは、依談[yidan]と呼ぶことにします。

─依談 ハブページ内「世界観」より

こんにちは、daimaです。
本日はSCP財団の依談ハブの中でも
特に私が「これは怖い!」と感じた
極上のtaleをベスト10のランキング形式でご紹介します。

それではいってみましょう。

依談ハブの最も怖いtaleベスト10

10位 電柱ぢゅろん

電柱ぢゅろん

この話を聞いたのなら、いつか目の前に「電柱ぢゅろん」は現れる。
そして、あなたはそれに気付けない。

気付けない。

電柱ぢゅろん - SCP財団

電柱ぢゅろんなる都市伝説についてのtale。

このtaleはやっぱり最後のオチが良いですね。

怪異と言うのは得てして
このようにミームと言う遺伝子を
残し続けていくものなのかもしれません。

9位 あまいしる

夏の河原

「とんぼ川で遊んではいけません」と、小学校の教師から口喧しく言われ始めたのは小5の頃からだったろうか。
禁止された理由は覚えていない。
恐らく川で溺れる危険があるからとか、川の近くで子どもを見つめている不審者が頻出したからとか、そんな大人の事情だろう。
遊び場が公園になったのはそれからだった。

あまいしる - SCP財団

本日ご紹介する中でも
一番キモチワルイ(褒め言葉)かもしれないtale。

しかし有名なくねくねとか八尺様とかもそうですが
夏という季節はどうしてこうも
怪談話と相性がいいんでしょうね。

8位 四股鳴らし

みぎて みぎあし ひだりあし ひだりて
あります あります
なくなりません なくなりません

四肢鳴らし - SCP財団

「幽霊や妖怪より生きている人間の方がずっと怖い」

今ではもう聞き飽きた感のあるこの文句ですが
それでもやっぱり好きなんですよねぇ、こういう話。

7位 ドアノブ

ドアノブ

「あ」

「開いちゃった」

ドアノブ - SCP財団

今までご紹介したどのお話とも
一味違った怖さのあるtale。

もし自分が
こういう状況に巻き込まれたらと思うと
本当にゾッとします。

6位 姉の屍体

 姉の七つめの屍体が浜に揚がったのは今年の梅雨の頃です。

姉の屍体 - SCP財団

一度死んだはずの姉が
死体として何度も繰り返し出現するという
不条理な恐怖を描いたtale。

自分の頭ではうまく表現できませんが
人間の根源的な恐怖心に訴えかけるような
沁み込むような不気味さのあるお話です。

個人的には、特に
最後の1文がクールで
素敵だと思いました。

5位 地蔵崩し

地蔵

「石が置いてあったんです」
 
ある日、高浜さんが言った。
訊くと、登校中に大きな石が置かれているのを見たという

地蔵崩し - SCP財団

田舎の学校に赴任した新任教師が
ある日生徒から
「道に変な石が置いてあった」
という相談を受けるところから始まるtale。

出だしから不穏な気配が途切れなく続き、
最後のオチでは一気に落とす。

短編のツボを無駄なく押さえた
とても魅力的なお話でした。

4位 カンテサンス

Q これが幽霊に見えますか

しかし、そんな予想は実際の結果とは少し違っていました。

夏休み、そして恐らくは彼らが滞りなく実行した夏合宿を境に
「対話の憩い カンテサンス」の成員は、妙なことを口にするようになったのだといいます。

曰く、「幽霊が見えるようになれた」と。

カンテサンス - SCP財団

語り手の地元にかつて存在した、
「対話の憩い カンテサンス」なる
不気味な自己啓発セミナーにまつわる恐怖体験のtale。

怪談や幽霊譚がなぜ人口に膾炙するかという
メタ的な視点も含んだ構成となっており、
読んでいるうちに、自分がこのtaleの世界に
少しづつ絡め取られていくような錯覚を覚えました。

特に最後の"「カンテサンス音声1-1」一部の文字起こし"などは
読むだけで何か本当に悪い影響を受けるんじゃないかと心配になってくるほどの「それらしさ」。

こういうのは、日頃からホラーというものに
よくよく向き合っている人でないと書けないでしょうね。

3位 誕生日

火のついたローソク

え、なんで急にこんな話をするかって?
ほら、今日って凄い暑いじゃん?
だから、ちょっと怖い話でもしようかなあって思って。
大丈夫大丈夫、そんなに怖くはないから。

誕生日 - SCP財団

続いては、意味がわかると
怖い系の秀作をセレクト。

舞台はある高校生の少女の誕生日会。

その少女が集まった友人に対し、
少女の家に祖母の代から伝わる
誕生日についてのある2つの奇妙なルールを
余興がわりに語るという体で話が進んでいきます。

何気ない言葉の中に潜む、
語り手の「本当の意図」に気づいた時、
きっとあなたも震えるような戦慄を覚えることでしょう…。

以下ネタバレ▼

ディスカッションにも特に解説がなかったので
以下に私なりの考察を補足しておきます。
(もしかしたら全然見当違いかも...)

以下に、話の中で重要と思われるポイントを列挙します。

  • 少女の家は由緒ある古い家系
  • 少女の家には2つのルールがある。「代々伝わるお守りを持ち歩くこと」と「誕生日、そして産まれた時間には、家の外にいること」
  • お守りは、少女がまだ母親のお腹の中にいる頃に祖母が作ったもの。
  • ルールを守った場合、本人に小さな不幸が起こるだけですむ。ただしその程度は年々悪化している。
  • ルールを破った場合、本人の代わりに近くにいる不特定多数の人々が災いの標的になり死亡する。
  • ルールを破った場合、災いで死亡した人数分の年数だけ、本人は一切の災いを逃れることができる(ルールを破っても問題ない)。
  • 少女はこれまでに2回だけルールを破ったことがあり、1度目は祖母が、2度目は両親が亡くなっている。
  • 両親が亡くなったのは一昨年。去年の誕生日は少女に災いは起こらなかった。

この中でも特に注目したいのが、
ルールを破った場合に災いを受けるのが
本人ではなく周囲の他者である点
と、
災いで死亡した人の数だけ
本人が災いを受けずに済む年数が増える点
です。

それを踏まえて次の発言を振り返ってみましょう。

そして去年、私に良くないことなんて起きなかった。

それで、全部分かったんだ。

──早紀ちゃん、大丈夫?
顔色が悪いよ?
皆も、どうしたの?
え、お守り?
今日は家に置いてきたよ。
だって、持ってきたら、意味ないもん

これらの発言から、ルールを破ったら
何が起こるのか十分に理解した上で
この日は少女が意図的にお守りを忘れてきたことが読み取れます。

つまるところ、少女の本当の目的は
自分の身代わりとして誕生日会に集めた友人達を
災いの生贄に捧げることだったのではないでしょうか。

そしてもしこの想像が正しければ、
序盤で少女が発した次のセリフも
また少し違った味わいをもって響いてきます。

私?私ももちろん作れるよ。
おばあちゃんとママから教えてもらったり、作り方の書いてある古い本を読まされたからね。
作り方なんて教えるわけないじゃん。教えても皆にとっては意味ないもん。

皆にとっては意味ないもん、
どうせ今日死ぬんだから、と…。

2位 西濱██氏に関連する分類待ちの情報

髭つらの男性の似顔絵

まだおいかけてくる
返したはずなのに

西濱██氏に関連する分類待ちの情報 - SCP財団

これまたなかなか凄い一作。

西濱██なる男性が失踪した事件の顛末を
断片的な情報の羅列を通じて浮かび上がらせる
モキュメンタリー風のtaleなのですが、
文章だけでなく画像や音声も交えた情報の見せ方がうまく、
読み始めるとたちまちその内容に引き込まれてしまいました。

要所要所の描写で
西濱氏が失踪したおおよその理由を察しさせつつも、
核心の部分はあえてぼかしたままにすることで
こちらの想像力を掻き立ててくる点も見事。

夏の夜にピッタリの、
冷や汗滲む秀逸なホラーです。

1位 達磨

達磨

嗚呼、まったく笑えない。

達磨 - SCP財団

これは冗談抜きにマジで怖かった!

読み始めは「なんだこれ?」と思わされ、
中盤で「あ、そういうことか」と気付かされ、
最後のオチで心臓が縮むほどの恐怖感を味わわされる。

これはもう完全に
アイディアの勝利ですね。

殿堂入り

当ブログで既に紹介済み&かなり有名で既読の方も多そうなのであえて選外としたもの。

SCP-511-JP けりよ

SCP-511-JP - SCP財団

しんに

しんに - SCP財団

これらは同じ著者様(Pear_QU)の手によるもの。

どちらも文句なしに面白いですが
本当に洒落にならないくらい怖いので、
もし未読であれば事前にしっかりと心の準備をしてから
手をつけてみることをお勧めします。

おわりに

以上、依談ハブの最恐taleベスト10でした。

SCP-173に端を発するSCP財団は
元々ホラーコンテンツを扱うサイトではありますが
それはどちらかといえば欧米的なスプラッタホラーであり、
一方今回ご紹介した依談は
伝統的なジャパニーズホラーの系譜に属するものが殆どでした。

どちらがより怖いか、
というのは個人の好みの問題かと思いますが
個人的には後者の方が、
遅効性の毒の様に時間をかけて
じわじわと恐怖が増してくる分(良い意味で)苦手です。

思えばこの記事を書くために
依談ハブのtaleを一気に見返してからと言うもの、
夜一人で作業している時に妙な物音がしたり、
背後から視線を感じたりすることが増えたような気がします。

まぁきっと単なる
自意識過剰にすぎないのでしょうが…

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