- ジョジョ五部に関するトリビアをご紹介!
- ジョジョ五部の意外と知られていないトリビア28連発
- 第五部のテーマは『哀しみ』である
- 第五部のストーリーは約9日の間に起きた出来事である
- 五部では『JOJO』じゃなくて『GIOGIO』
- ブチャラティチームが全員美形なのはSMAPやジャニーズを意識していたから
- ブチャラティチームで素手の喧嘩が一番強いのはアバッキオ
- エアロスミスのパイロットの名前は「スミスさん」
- フーゴの怒りの叫び『クサレ脳ミソがァーッ』は本来『ド低脳がァーッ』だった
- ミスタはクリント・イーストウッド監督の大ファン
- ピストルズはミスタの撃った弾丸なら機関銃でも操作可能
- リトル・フィートのデザインの元ネタはフランスの漫画家エンキ・ビラル(のキャラクター)
- プロシュート戦のモチーフは浦島太郎
- ギアッチョのメガネは伊達メガネ
- 第五部にはジョジョ史上最高レベルにシュールな誤植がある
- ブチャラティは六部主人公、空条徐倫に会ったことがある
- ブチャラティチームは全員モテる
- ズッケェロはアルファベット読みであれば天国行きだった
- ザ・グレイトフル・デッドの元ネタの和訳は『偉大なる死』ではなく『感謝する死者』
- ギアッチョの有名なブチ切れセリフは海外版では内容が変わっている
- フーゴの登場コマ数はピストルズとほぼ同じ程度しかない
- 初期構想ではブチャラティチームの誰かが裏切り者になる予定だった。
- チョコラータとセッコのスタンド名の元ネタになったバンドは仲が悪いことで有名
- 五部をテーマにした公式小説が二冊出版されていて、どちらもフーゴがキーパーソンになっている
- フーゴは祖母から『パニー』と呼ばれて可愛がられていた(※『恥知らずのパープルヘイズ』より)
- ペリーコロさんの息子もパッショーネに所属している(※『恥知らずのパープルヘイズ』より)
- トリッシュは第五部の後で歌手になった(※『恥知らずのパープルヘイズ』より)
- アニメと小説(恥知らずのパープルヘイズ)でフーゴの過去設定が食い違っている
- リゾットは甥の復讐のためにギャングになった
- ドッピオは着実に本物の電話に近づいていた
- おわりに
ジョジョ五部に関するトリビアをご紹介!
(荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 第五部 カラー版 4』集英社 より)
外伝作品や文庫本あとがき、
雑誌のインタビュー記事など
ややマニアックめの知識を中心に、
ジョジョ五部の意外に知られていない
トリビアを28連発でお送りします。
あのキャラの意外な裏話や
小説版で描かれたあれこれから
作品の核心に迫るテーマの話まで、
第五部をより深く楽しむための情報を
たっぷりご紹介していきます。
それでは、どうぞ。
【ご注意】当記事には『ジョジョの奇妙な冒険第五部 黄金の風』のネタバレ要素が含まれます。
ジョジョ五部の意外と知られていないトリビア28連発
第五部のテーマは『哀しみ』である
第5部からは『ジョジョ』の柱となっている
血統のことももちろんあるんですけれども、
信頼していた組織に裏切られた人たちの哀しみというか、
生まれてきた哀しみみたいなものを描きたいなと思っていました。人間ってこの世に存在すること自体が哀しいんですよ。
だからこそ、人生を通じて喜びや
生まれてきた意味を見つけ出していくと思うんです。『JOJOmenon』 インタビューコーナーより
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2012年に連載25周年を記念して製作された
ファッション誌SPURのムック本
『JOJOmenon』のインタビューコーナーにて、
ジョジョ五部が『哀しみ』をテーマに
描かれていたことが荒木先生の口から語られました。
また、荒木先生は
文庫版30巻のあとがきでも同様に
ジョジョにおける『哀しみ』を語っています。
「第5部の「黄金の風」になって、
ぼくは以前の「ジョジョ」よりも、
もっと人間の深い悲しみだとか、
この世に生まれてくる事の
悲しさだとかいったものを
テーマに描きたくなって来ました。人間は生まれる環境によって
最初から幸せな人もいるし、
もし最悪な状況の場所に生まれてきたら
そういう人は、いったいどうすればいいのだろう?第5部「黄金の風」の登場人物たちはみな、
理由があって社会から外にはじきだされ、
そこでしか生きて行けない状況に
おかれてしまっています。しかし、そこは完全に弱肉強食の世界で、
「悪」によって包囲されていたとしたら、
その場所で「正義」を貫けるのだろうか?文庫版30巻「はじめに」より
確かに五部はそれまでのジョジョと比べて
主人公メンバーが皆悲惨な過去を抱えていたり、
エピローグで『人は皆運命の奴隷である』という
決定論的な主張が展開されたりと
終始暗い雰囲気が付きまとっていました。
またこの『哀しみ』と
『人間を束縛する運命』というテーマは
六部以降にも受け継がれていて、
中でもプッチ神父やジョニィ、ジャイロの
過去エピソードには特にそれが
色濃く表れていたように思えます。
ジョジョが連載30周年を経て
今なお多くの読者を惹きつけるのは
漫画作品としての面白さはもちろんのこと、
こうした普遍的かつ哲学的なテーマに
真っ向から向き合っている作品だから
という部分もあるのかもしれませんね。
第五部のストーリーは約9日の間に起きた出来事である
ジョルノが初登場した日から
ディアボロを倒した日までの日数を数えると
わずか9日程度しか経過していないことが分かります。
これは他の部と比較しても
ぶっちぎりの最短記録であり、
ジョジョ以外であっても
10巻以上続いた漫画作品で
これほど作中の時間経過が短いのは
かなり珍しいケースだと思われます。
参考までに、ジョジョの他の部との
比較表を作成してみました。(回想・エピローグ除く)
(参考 :1-6部世界の年表 - ジョジョの疑問スレ まとめ Wiki*、ジョジョの奇妙な冒険における年表 - Wikipedia)
1部 | 約9年間(1880年〜1889年) |
---|---|
2部 | 約1年間(1938年〜1939年) |
3部 | 約3ヶ月間(1987年11月〜1888年1月) |
4部 | 約3ヶ月間(1999年4月〜1999年7月) |
5部 | 約9日間(2001年3月29日〜2001年4月6日) |
6部 | 約5ヶ月間(2011年10月〜2011年3月) |
7部 | 約3ヶ月間(1890年9月25日〜1891年1月19日) |
改めて 第五部のスケジュールを眺めてみると
リゾットを除く暗殺チームとの戦闘が
4日目〜5日目の早朝という
ほぼ1日の間に全て収まっているという
驚きの事実に驚きを隠せませんね…
五部では『JOJO』じゃなくて『GIOGIO』
第五部の単行本は
裏表紙の『JOJO』テキストが
『GIOGIO』に変更されています。
これにはきちんと理由があり、
イタリア語で『 JOJO』を発音すると
『ヨォヨォ』となってしまい
弱々しい印象になってしまうため
より『ジョジョ』の発音に近くなる
『GIOGIO』表記に変更したそうです。
ブチャラティチームが全員美形なのはSMAPやジャニーズを意識していたから
ユリイカ2007年11月臨時増刊号 総特集=荒木飛呂彦 鋼鉄の魂は走りつづける
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2007年に発行された
雑誌ユリイカの特別増刊号内収録の
荒木先生への鼎談記事より。
第五部が連載していた90年代後半のジャンプは
80年代以前人気だった男臭い劇画漫画が姿を消し、
美形で細身の男キャラが活躍する
女性読者を意識した漫画が人気となっていました。
第五部のこうした方針転換も
そういった時代の空気を取り込んだ
結果だったのかも知れないですね。
ちなみにネタ元である
雑誌ユリイカの鼎談記事は
対談相手のK女史がいわゆるあっちの趣味の人であり、
その奔放な言動が当時のジョジョファンの間に
少なからぬ物議を醸しました。
そういった部分も含めて興味のある人は
一度本誌をネタで読んでみるのも
いいかもしれませんね。
(積極的にオススメはしませんが)
ブチャラティチームで素手の喧嘩が一番強いのはアバッキオ
五部連載当時のジャンプ本誌に
掲載されていたミニコーナー
『気分はJOJO!』のQ&Aコーナーより。
確かにアバッキオはチームで一番体格が良く、
警官時代に逮捕術なども習得していた可能性大なので
素手の喧嘩が一番強いのも納得です。
そしてそんな設定持ちなのに
スタンドは戦闘向きでないと言うのが
荒木先生らしくてまた良いんですよね。
エアロスミスのパイロットの名前は「スミスさん」
同じく『気分はJOJO!』より。
エアロスミスのコックピットよく見ると
人影が写っているのがわかりますが、
この人物には「スミスさん」という
名前がついているそうです。
この名前はナランチャがつけたものなのか、
それとも荒木先生が気まぐれで
つけただけのものなのかは不明ですが
ナランチャの性格からすると
自分でつけた可能性が高そうですね。
フーゴの怒りの叫び『クサレ脳ミソがァーッ』は本来『ド低脳がァーッ』だった
フーゴがレストランで
ナランチャの頰にフォークを
ぶっ刺した場面の台詞の内容が、
雑誌掲載時およびコミックスの初期と
それ以降では別の台詞に差し替えられています。
またそれに合わせたのか
この場面に続くナランチャの台詞
『何だと…
低能って言ったな…
〜〜〜
殺す』
も同様に
『何だと……
クサレ脳ミソって
言ったな…〜〜〜
人を見下す言い方は
良くない!』
というなんだかに不自然な台詞に
差し替えられてしまっています。
そういうテーマで「善」と「悪」の対決を描こうとすると、
リアリティのある「悪」の表現に対し、
あの少年漫画の「自主規制」の「権力」っていうか、
「暴力」っていうのが、突然作品を攻撃して来ます文庫版30巻の巻末「はじめに」より
荒木先生はこうした表現規制に対し、
文庫本あとがきなどで度々苦言を呈しており、
表現者としての立場と社会の圧力との間で
頭を悩ませていたことが伝わってきます。
ミスタはクリント・イーストウッド監督の大ファン
コミックス扉ページの
キャラクタープロフィールより。
ちなみに一番好きな映画は
『マディソン郡の橋』だとか。
同作は大人の不倫をテーマとした
感動的な恋愛映画ですが
一見単純そうな(失礼)ミスタが
こういう映画を好むとは
個人的にちょっぴり意外な気がしましたね。
ちなみに荒木先生も
イーストウッドの大ファンを公言していて
JOJOmennonでは両者による
夢の対談まで実現させています。
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またクリント・イーストウッドといえば
今では映画監督としての方が有名ですが
最初にその名を世に広く知らしめたのは
マカロニ・ウェスタンの名作
『荒野の用心棒』の主人公役としてでした。
もしかしたらミスタがガンマンになったのも
クリント・イーストウッドへの
憧れからだったのかもしれないですね。
ピストルズはミスタの撃った弾丸なら機関銃でも操作可能
『気分はJOJO!』より。
ピストルズはミスタが撃った弾であれば
形状や重量問わず操作が可能なようです。
もしミスタが機関銃使いだったら
スタンド名は『SEX PISTOLS』ならぬ
『SEX MACHINEGUNS』だったかもしれませんね。
(連載時期を考えればありえない話ですが)
ただこれには荒木先生による注釈があり、
『ミスタが撃った銃弾であれば
どんな銃でもスタンドを使用できるが、
ミスタは一発撃てば絶対に命中させられるので、
機関銃の類は必要ない』とのこと。
リトル・フィートのデザインの元ネタはフランスの漫画家エンキ・ビラル(のキャラクター)
ジョジョファンの間では有名な話ですが
荒木先生は海外のファッション誌や漫画から
インスパイアされたデザインやポージングを
たびたび自分の作品に登場させています。
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ちなみにフランスといえば
ルーブル美術館で有名な芸術のメッカですが、
2009年にはBD(バンド・デシネ)の特別企画として
荒木先生の『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が
ルーブル美術館に展示されたことがありました。
その後一般向けに書籍化もされていて、
荒木先生の渾身の絵(フルカラー)と
ストーリーを大判で楽しめるほか、
実際の展示の様子や
ルーブル見学を楽しむ荒木先生の
姿もおまけで掲載されています。
(ちょっとお高いですけどね)。
プロシュート戦のモチーフは浦島太郎
これはネット上でまことしやかに囁かれる
噂に過ぎない話であり裏付けはないのですが、
五部のプロシュート&ペッシ戦は
童話『浦島太郎』のオマージュである
という面白い説があります。
思い返してみれば
『亀(ココ・ジャンボ)』
『玉手箱(ザ・グレイトフル・デッド)』
『釣竿(ビーチ・ボーイ)』と
確かに必要な役者は揃っていますね。
乙姫は…トリッシュ?
ギアッチョのメガネは伊達メガネ
ジョジョで最も
メガネが似合うキャラといえばギアッチョですが
そんなギアッチョのメガネは
もしかしたら伊達眼鏡ではないかという疑惑があります。
というのも、ジョルノ&ミスタとの戦闘中に
メガネが破損する描写があり、さらに
その後裸眼で戦闘を続行しているものの
特に支障をきたしていないように見えるためです。
▲ミスタの銃弾でメガネを破壊されるも…
▲特に支障なく戦闘続行
確証はありませんがもしそうだとすれば
ギアッチョは暗殺の任務中にもファッションを気遣う
かなりのお洒落さんと言うことになりますね。
第五部にはジョジョ史上最高レベルにシュールな誤植がある
リゾットとドッピオの名勝負が繰り広げられた
カーラ・ディ・ヴォルペのとあるワンシーンにて、
ジョジョ史上最高にシュールな
誤植が発生してしまいました。
アバッキオにお礼を言う
サッカー少年たちの台詞が
「行くぞオアア」
「こっちこっちオアアアーーーッ」
という奇怪な叫び声になっているのです。
おそらく元は「行くぞオラア」
「こっちこっちオラアアアーーーッ」
という台詞だったのでしょうが、
ラとアを間違えるという単純な誤植の結果
こんな珍妙な面白台詞が生まれてしまったのでした。
しかもこのコマはタイミングが悪いことに
アバッキオの死という五部でも
一二を争う衝撃的なシーンの
直前のコマだったこともあって
ますますファンの間で語り草となったのでした。
ブチャラティは六部主人公、空条徐倫に会ったことがある
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本編ではなく、
2012年に雑誌SPURの特別付録として
読み切り掲載された外伝作品
『徐倫、GUCCIで飛ぶ』でのお話。
この話の中で徐倫は
東京にある親戚の家に向かうために
空港を訪れた17歳の女子高生、
ブチャラティとアバッキオは
空港で逃げ出した『ユニコーン』を
追う政府関係者、そしてついでに
ポルポそっくりの『団長』が
ユニコーンの元の持ち主として登場していました。
本編の時系列からして
パレルワールドもしくは
スターシステム的な演出かと思いますが
現在の絵柄で再びブチャラティたちが
動く姿が見られたのはファンとして
新鮮な嬉しさがありましたね。
ブチャラティチームは全員モテる
『気分はJOJO!』より。
作中では殆ど
女っ気のなかった五部メンバーですが
女性からはしっかりモテていたようです。
またこのQAには補足があり、
『全員 「自分が一番モテる」と思っているらしい…』
らしいです。…ブチャラティも!?
ズッケェロはアルファベット読みであれば天国行きだった
ナランチャがズッケェロの名前で
「天国・地獄・大地獄」占いをしていましたが
もしアルファベットの「mario zucchero」で
占っていれば13文字なので天国行きでした。
そもそもイタリアにも
この遊びはあるのでしょうか…?
ザ・グレイトフル・デッドの元ネタの和訳は『偉大なる死』ではなく『感謝する死者』
プロシュート兄貴のスタンド能力
『ザ・グレイトフル・デッド』には
公式で『偉大なる死』という和訳が添えられていますが
元ネタのロックバンド『Grateful Dead』※のバンド名は
チベット仏教の寓話『感謝する死者』に由来していて、
和訳としてもそちらが正確な訳となります。
(ちなみに『偉大な』の綴りは"Great"であり
Greatfulという単語は存在しない。)
参考までに元ネタの
『感謝する死者』は次のようなお話です。
『感謝する死者』
旅人がある村にさしかかると
村人たちが道に倒れて死んでいる男を
棒でなぐったり、石をぶつけたりしていた。
旅人が驚いて尋ねると、
「この男は葬儀代を残さずに死んだんです。
こうしてやるのが村のしきたりなんです」と言う。
旅人は持っていた最後のコインを村人たちに渡し
ていねいに埋葬してくれるよう頼んだ。村を出て旅を続けていたある日
ひとりの若者と出会い、旅人に同行するようになる。旅人が川に落ち急流に流されたときは
この若者が飛び込んで助けてくれた。
大怪我をした足は薬草を探してきて治してくれた。
食べ物がなくなったときは果実をもってきてくれた。旅人をたくさん助けてくれた若者は
ある日別れを告げて別の道を歩いていった。若者が風のように去ったあと
旅人ははじめて気がつく。
若者はあの日あの村で死んで倒れていた若者だった。引用元(南風椎の森の日記)
これはこれで荒木先生が
好きそうな奇妙なお話ですね。
岸辺露伴は動かないシリーズの
1エピソードとして漫画化されても違和感なさそうです。
ギアッチョの有名なブチ切れセリフは海外版では内容が変わっている
ヤツらを探し出すために………
『根堀り葉掘り聞き回る』の…
『根掘り葉掘り』…ってよォ~~。『根を掘る』ってのはわかる…。
スゲーよくわかる。
根っこは土の中に埋まっとるからな…。だが『葉堀り』って部分は
どういう事だああ~~っ!?
葉っぱが掘れるかっつーのよーーーッ!ナメやがってこの言葉ァ
超イラつくぜぇ~~ッ!!
葉っぱ掘ったら
裏側へ破れちまうじゃあねーか!掘れるもんなら
掘ってみやがれってんだ!
チクショーッ。
どういう事だ!どういう事だよッ!クソッ!
葉掘りってどういう事だッ!
ナメやがって、
クソッ!クソッ!
上記引用文は有名な
ギアッチョのキレ芸独白ですが、
この文章は日本語特有の言い回しの
おかしさを扱っているために
そのままでは外国語に翻訳できない
という問題があります。
それでは、
ジョジョの海外版コミックスでは
この部分はどう表現されているのか、
イタリア語版コミックスの
該当箇所を見てみると…
Brutta faccenda.. Credo che per trovarli...
(やな任務だぜ…。やつらを見つけるには…、)
...dovrò indagare un po'... ma sarà come cercare un ago in un pagliaio...
(もうちょいよく調べなきゃいけねーな…。しかしそんなもん、麦わらの山から1本の針を探し出すようなもの…。)Tsk... Un ago in un pagliaio...
(チッ!麦わらの山に針1本って…。)Che modo di dire idiota...
(すっげー馬鹿な言い回しだ…。)Non ha assolutamente senso...
(全っ然わけがわからねー…。)Chi è l'idiota che va a lavorare con l'ago su un pagliaio...
(どこのどいつだ、麦わらの山の上で針を使って仕事するなんて馬鹿は…。)...e poi LO PERDE? E soprattutto, perchè diavolo dovrebbe mettersi A CERCARLO?!
(しかも針を『なくす』だぁ?その上なんで針を『探さなきゃ』いけねーんだ!?)NON POTREBBE ANDARE A PRENDERNE UN ALTRO, QUEL BRUTTO IDIOTA?!
(もう1本もらいに行けねーのかーーーッ、馬鹿かそいつはーーーッ!?)QUANTO CAZZO COSTERÀ UN AGO DEL CAVOLO?! È UNA PERDITA DI TEMPO INUTILE CERCARLO IN PAGLIAIO!
(たかが針1本いくらするっつーんだよ~~~ッ!?麦わらの中を探すなんて時間の無駄じゃねーかァーーーッ!)E DOVE MINKIA L'È ANDATO A TROVARE QUESTA MERDA DI UN PAGLIAIO, AL GIORNO D'OGGI?!
(どこにいんだよッ、いまどきそんなクソを麦わらから探すなんてカス野郎はッ!)COSA STRAKAZZO DOVEVA CUCIRE SOPRA UN PAGLIAIO, QUEL KOGLIONE INTEGRALE?! QUESTE COSE MI MANDANO IN BESTIA!
(麦わらの上で縫い物してたってどんなクソ野郎だよッ、どんなクソ馬鹿野郎だよッ!超イラつくぜーーーッ!)http://www.geocities.co.jp/Playtown-Queen/2213/diary/diary0601.html#0127b-01より
ギアッチョがキレる対象が
イタリアでより一般的な
「干し草の中から針を探す」という
ことわざに差し替えられていました。
ちょっとしたことですが、
国ごとの文化の違いが垣間見えて
なかなか面白いですね。
フーゴの登場コマ数はピストルズとほぼ同じ程度しかない
作中での戦闘回数が一回のみという
ジョジョの主人公チームメンバーとしては
屈指の出番の少なさを誇るパンナコッタ・フーゴ。
そんな彼の原作内での登場コマ数は
約360コマでなんとミスタのスタンド
セックス・ピストルズと
ほぼ同同程度しかありません。
五部初読時にフーゴがあのまま
エピローグまで2度と登場しないだなんて
いったいどれほどの人が予想できたでしょうか?
初期構想ではブチャラティチームの誰かが裏切り者になる予定だった。
文庫版あとがきによると最初のプロットでは
アバッキオ、ナランチャ、ミスタ、フーゴのうち
誰か一人が裏切り者になる予定だったそうで、
その中から最終候補となったのが
フーゴだったそうです。
ですが五部を書き進めるうちに
荒木先生の中でフーゴに対して愛着が湧いてしまい、
またかつての仲間を殺すのは
少年漫画としてあまりに陰惨すぎるという理由で
結局このプロットは破棄されることとなりました。
フーゴ離脱後に登場した
チョコラータの能力がパープルヘイズに似た
無差別大量殺戮系なのもその名残で、
本来はボス側に寝返ったフーゴが
ジョルノたちを襲撃する筋書きだったようです。
チョコラータとセッコのスタンド名の元ネタになったバンドは仲が悪いことで有名
第五部屈指の仲良し(?)コンビ、
チョコラータとセッコのスタンドといえば
『グリーン・ディ』と『オアシス』ですが、
この両者の元ネタになった同名のバンドは主にギャラガー兄弟が噛み付くせいで
お互いに仲が悪いことで有名です。
オアシスのギャラガー兄弟が
グリーン・ディのヒット曲
「Boulevard Of Broken Dreams」を
「Wonderwall」の盗作だとして訴えたり、
oasisのノエル・ギャラガーが
グリーンデイとそのファンをこき下ろしたり…
もっともチョコラータとセッコの間にも
真の友情は欠片もありませんでしたし、
荒木先生もそうした事情を踏まえた上で
あえて両バンドをチョコラータとセッコの
スタンド名に採用したのでしょうね。
五部をテーマにした公式小説が二冊出版されていて、どちらもフーゴがキーパーソンになっている
五部を題材とした外伝小説は現時点で
『ジョジョの奇妙な冒険 2 ゴールデンハート/ゴールデンリング(2001年 大塚 ギチ, 宮 昌太朗 著)』
『恥知らずのパープルヘイズ(2011年 上遠野浩平 著)』
の二冊が出版されています。
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そしてこの二冊はどちらも
原作ではひたすら影の薄かった
あのパンナコッタ・フーゴを
前者ではボスからの刺客として、
後者ではなんと主人公に抜擢して
大々的にフィーチャーしているのです。
原作であまり語られなかったキャラだからこそ、
二次創作の題材にはうってつけだった
ということでしょうか。
フーゴは祖母から『パニー』と呼ばれて可愛がられていた(※『恥知らずのパープルヘイズ』より)
そんな彼の心の支えは、
優しい祖母の存在だけだった。「いいかい、かわいいパニー。
どんない辛くても苦しくても、
きっと神さまがおまえのことを守ってくださるよ」いつもそう言って
ケーキを焼いてくれる祖母だけが、
彼にとって安らぎを与えてくれる人だった。『恥知らずのパープルヘイズ』より
パンナコッタなのでパニー。
男の子のニックネームとしては
ちょっと可愛らしすぎる感もありますが
とにかく悲惨なフーゴの回想の中では
珍しくほっこりするエピソードです。
しかしこの優しい祖母が
貧農の出身という理由で
貴族主義的なフーゴ家の中ではむしろ
疎外された存在だったというのだから
実のところやっぱり切ない
エピソードなんですよね…
ペリーコロさんの息子もパッショーネに所属している(※『恥知らずのパープルヘイズ』より)
恥知らずのパープルヘイズには
ペリーコロさんの息子という設定の
ジャンルッカ・ペリーコロが登場しています。
ジャンルッカは幼い頃に
大病で命を落としかけたところを
組織に救われた過去があり、
そのため父と同じように
組織に対して強い忠誠心を持っていました。
ジョルノが組織のボスに君臨した際ジャンルッカは
丸腰でジョルノに疑念を持つ幹部の元へ向かい
その説得に当たる度胸と行動力を見せ、
スタンドを持たない身でありながら
ジョルノの側近に登用されています。
トリッシュは第五部の後で歌手になった(※『恥知らずのパープルヘイズ』より)
恥知らずのパープルヘイズでは
トリッシュがパッショーネと関わる以前から
歌手として活動していたという設定が追加され、
されに最終章ではラジオ番組に出演している様子まで描かれています。
原作では顔も知らない
父親のせいで暗殺者に命を狙われたり、
不死身の凶悪スタンドに飛行機内で襲われたりワキガ臭いミスタと身体が入れ替わったりと
散々な目にあったトリッシュでしたから、
外伝小説はいえちゃんと幸せになれた
描写があって本当によかったと思います。
また、新書版以降に収録されている
書きおろし短編『トリッシュ、花を手向ける』では
トリッシュがブチャラティの故郷へ墓参りに行き
そこでブチャラティの母親とであう
エピソードが綴られていました。
アニメと小説(恥知らずのパープルヘイズ)でフーゴの過去設定が食い違っている
フーゴが道を外れるきっかけとなった
『大学教授を辞書で滅多打ち事件』ですが、
恥知らずのパープルヘイズとアニメ版では
それぞれフーゴがキレたきっかけが異なっています。
恥知らずのパープルヘイズでは
教授がテストの点数が悪かった理由を
祖母が亡くなったことで動揺していたからと
説明するフーゴをマンモーニ呼ばわり
したことが直接のきっかけとなっていたのに対し、
アニメ版では憧れの教授が
フーゴに性的関係を迫ったことが
事件の引き金となっていました。
一ファンとしては
どちらを正史と見るか判断に悩むところですが、
ここはパラレルワールド理論を持ち出して
それぞれ別の世界線のフーゴの身に降りかかった
災難だったと考えるのが無難でしょうかね。
リゾットは甥の復讐のためにギャングになった
◯彼が14歳の時 いとこの子供が
酒酔いによる自動車にひかれ死亡。
社会はドライバーを数年の刑で済ませたが
彼は決して許しはしなかった◯4年後 18歳の時 そのドライバーを暗殺。
以後リゾット・ネエロは
裏の世界で生きる事となるJC58巻 ぼくの名はドッピオその②より
暗殺者というと普通は
冷酷非情だったりお定まりの
クレイジーキャラとして描かれがちですが、
そこは流石荒木先生。
こうしたギャップを感じさせる背景を盛り込む事で
キャラクターの魅力をグッと高めています。
ちなみにジョジョの敵役と言えば
それまではDIOやカーズ、吉良吉影など
生まれつきの悪といった連中がほとんどで
意図的に同情の余地が生まれないように
描かれていた節があります。
荒木は吉良の家族について
「吉良の母親はかわいがりすぎる
虐待みたいなものを吉影にしており、
父親の吉廣はそれを知りつつも
止められなかった申し訳なさから、
息子が殺人鬼だと知っても守ろうとしていた」
という裏設定があったことを語っている。しかし、そうした裏側を描いてしまうと、
「悲しい過去を持つ悪役」
になってしまうため、
少年誌の制約上あえて
作中には出さなかったという『集英社ジャンプリミックス ダイヤモンドは砕けないvol.28 吉良吉影の新しい事情編(4)』巻末インタビュー「荒木飛呂彦 吉良吉影を語る」後編より
ですが時代の変化や
荒木先生自身の
考え方の変化もあってか、
五部以降はこのリゾットを始め
DIOの息子たち(6部)ウェカピポ(7部)など
悲惨な過去を抱えた敵キャラが
続々物語上に登場するようになりました。
こうした変化を考えると
のちに荒木先生が連載の場を
青年誌に移したのも
当然の流れだったのかもしれませんね。
ドッピオは着実に本物の電話に近づいていた
『とおおるるるるるる』と口ずさんだ後に、
ボスからの連絡を電話じゃないもので受信する
一人芝居が有名なボスの副人格ドッピオですが、
作中で彼が電話がわりにしていたものを
時系列順に並べると、
着実に本物の電話に近づいていたことがわかります。
- タクシーのミラーについていた人形
- 煙草のすいがら
- カエル
- アイスクリーム
- おもちゃの電話
- 線の切れた受話器
- 携帯電話(※取れず)
最後に至っては通話可能な
本物の携帯電話に手を伸ばしています。
(手に入れる前に事切れてしまいましたが)
これもまた、ディアボロが
『真実に到達することは決してない』
ことに対する比喩だったのでしょうか。
おわりに
以上、ジョジョ五部のトリビアでした。
こうした裏話を知っておくと
また一味違った目線でジョジョの物語を
楽しむことができますね。
五部アニメももうすぐ折り返し地点ですが
今後も名勝負、目場面が目白押しで
最後まで目が離せない展開が続きます。
個人的にはボスの時飛ばしを
アニメでどう再現するのかが見ものですね。
それでは、アリーヴェデルチ!