本国で話題騒然!"SCP-4205"が話も演出も秀逸すぎた件(日本語訳つき)

SCP

今、本場で一番ホットなSCP

f:id:ama46572222:20190213083213j:plain
Cliché-Con 2019 - SCP Foundation

現在投票受付中のCliché-Con 2019の参加作品に、
450票というダントツのup voteを獲得している
『SCP-4205 "In The Eyes of the Beholder"』
というSCPがあります。

f:id:ama46572222:20190213083228j:plain
SCP-4205 - SCP Foundation

実際にページを開いて頂くと分かりますが、
このSCPには他とは一味違う
かなり手の込んだ演出方法が採用されています。

そして、なぜその演出の理由は
記事の内容を読み進めることで
明らかになる仕掛けとなっているのです。

しかし惜しむらくはこのSCP、
公式の日本語訳がまだない。

なら、どうするか?

自力で訳すしかないでしょう。

…結果、やりました。
私の貧弱な英語力をフル活用して
10時間ほどかけてなんとか最後まで
日本語訳を完成させました。

あくまで個人による非公式訳なので
訳のクオリティについては保証しかねますが、
今一番ホットなSCPを一早く体験する手段として、
元記事と並べてお読みいただければと思います。

それではどうぞ。

※もし本文中の誤訳等お気づきになりましたら、
メール[daima761300★gmail.com(★を@に)]か
twitterでお知らせ頂ければ随時修正対応します。

SCP-4205『凝視する瞳の中で』

014205‑AnomArch‑52‑57‑44

マーク博士が俺を雇ってから、
初めて自分でSCPの報告書を書くことになった。
ここ3ヶ月というもの、
俺は報告書の書き方のコツを掴むために
ひたすら過去のデータベースを熟読してたっけな。

ここにどれほどのおぞましいくそったれが
あるかについて、俺はもう話しただろうか?

例えば、虫けらにスペイン語を話させる
クソったれのメイソンジャーなんてのもあったな。

からかってるわけじゃないぜ。

まあともかくだ、
ついにこのことを書く時が来たんだ。
こいつは財団史上最高に
イカした報告書になるだろうよ。
まあとにかく読んでみなって!

SCP-4205-DRAFT-01
著者:次席研究員ウェイド・ダリッツ
ステータス:審査のために送信されました

アイテム番号:SCP-4205
オブジェクトクラス:safe
脅威レベル:イエロー

特別収容プロトコル:
SCP-4205は実体を持たず
また比較的最近発見されたこともあり、
これを収容する方法はまだ見つかっていません。

SCP-4205が目撃された場合、
直ちにサイトの監督者および
ウェイドダリッツ次席研究員に報告されます。
SCP-4205のすべてのビデオ録画は
財団データベースdbs-4205の指定された
アーカイブに保存される場合があります。

説明:
SCP-4205は琥珀色をした一対の眼球で、
主に窓枠のような構造体の中の
半透明のガラス内に出現します。

SCP-4205を目撃した人物には
ほとんどのケースで急速な脳死が発生します。
この現象はほとんどの事例で確認されており
例外はいままで一件のみ報告されています。

またSCP-4205の犠牲者の脳活動は
自然死によって観察されるよりも
はるかに急速に停止することが確認されています。

SCP-4205は1992年12月11日、
ウェイド・ダリッツ次席研究員により
SCP-4205が観察室から99階の
尋問室までの間の強化ガラス内に
出現しているのが観察された際に
初めて発見されました。

彼はその後、サイト監督者の
マーク・フォーサイス博士に、
SCP-4205がビデオ内で観察された
観察室の監視映像を再検証するよう依頼しました。

過去2年間の監視映像の
さらなる検証の結果、他に6例の
SCP-4205の発生が発見されました。
それらは以下のとおりです。

/ *発生事例をここに記載する* /

SCP-4205のさらなる研究が必要であり、
指導者として次席研究員ウェイド・ダリッツと共に
マーク・フォーサイス博士によって承認されています。

レビューステータス:DENIED(却下)
注意 :
『ダリッツ、これはあまりにも雑な仕事だ。
第一、オブジェクトクラスは危険性ではなく
封じ込めの容易さに基づくものだ。

それに脅威レベルとはなんだ?
君がこれを考案したのか?
ともかくあまりにも間違いだらけだ。

これからは私が君のデスクへ出向いて
直接手助けをする。
君はもう学生じゃないんだ、
もっと上手くやって貰わなくては困るのだよ。』

加えて、ファイルの先頭に
次の文章が残されていました。

私は「君を雇った」のではない。
君は自分の可能性を証明した。
今こそそれに応えてみたまえ。

—MF

> - 次のファイル -

daimaによる補足・考察

1ページ目。

エントリは新米研究員
ウェイド・ダリッツによる
SCP-4205の報告書の草稿から始まります。

しかしこの草稿は
内容が不適切であるとして
監督者であるマーク・フォーサイス博士によって
却下されています。

SCPオブジェクトの脅威レベル - SCP財団

ちなみにここで
マーク博士が「でたらめ」と
評している脅威レベルは
フランス支部で考案された財団用語ですが、
少なくともマーク博士はそれを知らず、
また正式な報告書に使用することも
認められていなかったようですね。

024205‑AnomArch‑52‑57‑44

FND–ARCH 8ɀ19

SCP-4205-DRAFT-01bs
著者:次席研究員クソひどい
ステータス:提出待ち
アイテム番号:80085
オブジェクトクラス:くっだらねぇ
脅威レベル:何だってんだくそったれ!

特別収容プロトコル:
そいつはただの目玉だ。
そいつは人を殺す。
でも俺は殺されない。
ああ、なんてツイてるんだろうな!

レビューステータス:未送信

> - 次のファイル -

daimaによる補足・考察

2ページ目。

ダリッツ君大荒れです。
マーク博士の厳しい評価が
よっぽど応えたのでしょうかね。

このページの
「でも俺は殺されない」という記述から
1ページ目の「例外」(=SCP-4205を見ても死亡しなかった人物)
がダリッツ自身であったことが判明します。

034205‑AnomArch‑52‑57‑44

4a 52 4e 4c 2d 57 44

JRNL-WD-121192
やぁ父さん。
今日仕事で起きたことのせいで
最悪の一日だったよ。
まぁ、当たり前の結果ではあったんだけどさ。

そうさ、俺がSCPの報告書を
作成したのはあれが初めてだった。
ミスが起きるのは分かりきったことだった。
そうじゃないか?

俺は自分が正気じゃなかったとは思わない、
俺は「脅威レベル」がくだらない考え
だってことは分かっていたんだ。
ただ、何か新しいことにトライしてみたかったんだよ。

本当にうかつな事をした。

2回目の草稿をマークに送ったとき、
俺は取り返しのつかない痛手を被った。

もし、俺がそのまま自分でやっていたら
おそらく間違いなく解雇されていたはずだ。

マークでさえあれを許すことはできないだろう。

何年も自分のゴミを処理する大学生活、
おそらくそんなことはありえないだろうが
もし彼がまだ愛想をつかしていなければ…
彼は多分俺を無給のインターンに降格して、
そいつら一人が俺を刺し殺すまで
俺にDクラスの案内役をさせただろう。

俺が今することは、
彼が俺に直せと言った
項目のリストをここに作成することだけだ…
そして明日になったら全部手直しする。

・オブジェクトクラスをKeterに変更
・でたらめな脅威レベルの記述を削除する(彼の言葉ではなく俺の言葉)
・収容プロトコルから俺の名前を削除する。
・出現事例を追加し、完成しない限り草稿を提出しないようにする(俺の言葉ではなく彼の言葉)
・全体的な調子を修正する

大学での経験は俺が財団の仕事をする上で、
何一つタメにならなかった。

分析化学はガラスの中に出現して
人々を殺す目玉について、
俺に何かを考えさせてくれることはなかった。

俺は今、次に自分が
何をすればいいのかさえ分からないんだ。

だからこれからそれを見つけなきゃいけない、
マーク博士が俺のためにしてくれたことを
裏切るわけにはいかないんだ。

明日、話をしよう。

daimaによる補足・考察

3ページ目。

頭を冷やしたダリッツは、
反省と決意を父親にメールで送ったようです。
メールの文章からは、ダリッツが父親に対して
強い愛情と信頼を寄せていることが伝わってきますね。

果たしてダリッツはここから
自身の評価を巻き返せるのでしょうか?。

044205‑AnomArch‑52‑57‑44

>> データの破損が検出されました...
>> 5%のデータが破損しています...
—スキップ—

SCP-4205-DRAFT-02
著者:次席研究員ウェイド・ダリッツ
ステータス:提出待ち

バージョン比較:
SCP-4205-DRAFT-01 :: SCP-4205-DRAFT-02

商品番号:SCP-4205
オブジェクトクラス:keter

特別収容プロトコル:
SCP-4205は実体を持たず
また比較的最近発見されたこともあり、
これを収容する方法はまだ見つかっていません。

検死を行う際は、犠牲者を
サイトの検死官の元へ搬送しなければなりません。

さらに追って通知があるまで
二つの異なる空間を互いに見るための
半透明の薄いシート状の物体を含む
全ての部屋に、異常に対抗する目的で
実験用ラング - スクラントン安定機を投入し、
加えてそれぞれの部屋には常に二人以上の
人員が配置されるようにしなければなりません。

説明:
SCP-4205は琥珀色をした一対の眼であり、
主に窓枠のような構造体の中にある
半透明のガラス内に出現します。

SCP-4205を目撃した個人には、
ほとんどのケースで急速な脳死が起こります。
現在までに死亡に至らなかった
既知のケースは一件のみです。
SCP-4205は現在のところ
その空間を独占している
個人に対してのみ出現しています。

蘇生活動の間、犠牲者の脳活動は
自然死で通常観察されるより
はるかに早く進行することが確認されています。

検死の間、犠牲者は外見上
身体機能になんら損傷がないように見えます。

しかしながら脳には主に扁桃体、
海馬、内側側頭葉、および後頭葉を中心に
広範囲の神経損傷が生じることが
明らかになっています。

ただし同時に脳のすべての部位は
感電や頭蓋外傷に似た
何らかの形の損傷を示していました。

SCP-4205の最初の発見例は
次席研究員ウェイド・ダリッツが
1992年12月11日に観察室と
尋問室99階までの間の
強化プラスチック(メタクリル酸メチル)の中に
SCP-4205が現れるのを観察したケースです。

監視室のセキュリティ映像を確認したところ、
テープに異常な電気的損傷があったものの、
SCP-4205はビデオ映像内に観測されました。

さらに過去2年間の監視映像を検証した結果、
他に6つのSCP-4205の発生例が発見されました。

発生順に時系列でリストしています :

曝露者1
GOC副連絡係「ジーナ」

発生日
1990年1月5日

発生場所
サイト19内待合室

概要:
サイト19のスタッフの一人が
サイト監督者のブライト博士を回収する間、
副連絡係の"ジーナ"は待合室として知られる
ある収容室に残りました。

この待合室は北東の壁に
一つの観察窓を備えています。

SCP-4205はこの観察窓の反射ガラスの中でに出現し、
約8分の間、非能動的に副連絡係を監視しているように見えます。

この間監視映像には軽度の電気的損傷が見受けられました。

そしてその後、副連絡係がSCP-4205を発見し、
その生命の消失とともに
椅子から転げ落ちることとなりますが、
彼はその直前に部屋の周囲を当てもなく
覗き込むようなそぶりを見せています。

彼の遺体はそれから約5分後に
ブライト博士の助手によって発見されました。

補遺:

この事件は、GOCと財団の間に
重大な外交的事件を引き起こしました。
SCP-4205と死亡の因果関係は、
許容される範囲内でGOCと共有されています。

 / *怠け者のろくでなしに代わって残りの事例を記入してください... * /

SCP-4205のさらなる研究が必要であり、
指導者として若手研究員ウェイド・ダリッツと共に
マーク・フォーサイス博士によって承認されています。

レビューステータス:未送信

daimaによる補足・考察

4ページ目。

1ページ目の報告書に
大幅な手直しが加えられました。
(元記事では追記のあった部分が
緑色で表示されています)

またここで初めて
犠牲者の具体的な描写に触れられています。

054205‑AnomArch‑52‑57‑44

79 75 6d

JRNL-WD-121292
やあ、父さん。

俺は7時間ずっと
この端末を見つめていたよ。

俺が何かに集中している時、
どんな風になるかは知ってるよね。

それに、俺の部屋の照明は壊れてしまった。

だから今俺は端末の光だけに頼っている。
自分の目がパサパサに乾いているのを感じるよ。

...何か適当な食事を摂らないとな。

最近は家にいても仕事の延長のように感じるんだ。
俺はいつもこの端末を持ち歩いている。
こいつが受け取るのは財団の活動を目的とした
厳格な指示だけで他のことは何もなし。
当たり前だけど、こいつで
ゲームすることはできないだろうな。
AppleやIBMとは似ても似つかないし...

もうどうでもいいんだ。

俺の心の中には
ヒリヒリするような感覚があった。

俺には自分がなぜ
まだ生きているのか理解できない。
俺以外の人々は皆死んでしまった。
6人と…それから俺。

なぜ俺なんだ?

俺は特別な人間なんかじゃない。

まぁ、母さんはそう言ったかもしれないど
それはあの人が俺の母親だからだ。
あの人の性格はよく分かっているよね。

あれを見てからというもの、
俺は他に何も考えることができないんだ
昨日はほとんど眠ることができなかったよ。
だから今日は早く寝ようと思うけど、
多分あれが役に立つだろう。
それに明日になったら食欲も出るだろうさ。

俺のことは心配しないで、大丈夫だよ。

> - 次のファイル -

daimaによる補足・考察

5ページ目。

再び父親へのメール。
なのですが、なんだか心配になるような
描写が増えてきました。

まるで自分だけが生き残ったことに
負い目を感じているようですが…?

064205‑AnomArch‑52‑57‑44

>> データの破損が検出されました...
>> 20%のデータが破損しています...
- スキップ -

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SCP-4205が発見されました。

発生順に時系列でリストされています。

影響を受けた人物
GOC副連絡係「ジーナ」

発生日
1990年1月5日

発生場所
サイト19内待合室

概要:
サイト19のスタッフの一人が
サイト監督者のブライト博士を回収する間、
副連絡係の"ジーナ"は待合室として知られる
ある収容室に残りました。

この待合室は北東の壁に
一つの観察窓を備えています。

SCP-4205はこの観察窓の反射ガラスの中でに出現し、
約8分の間、非能動的に副連絡係を監視しているように見えます。

この間監視映像には軽度の電気的損傷が見受けられました。

そしてその後、副連絡係がSCP-4205を発見し、
その生命が絶たれて椅子から転げ落ちることとなりますが、
彼はその直前に部屋の周囲を当てもなく
覗き込むようなそぶりを見せています。

彼の遺体はそれから約5分後に
ブライト博士の助手によって発見されました。

補遺:
この事件は、GOCと財団の間に
重大な外交的事件を引き起こしました。
SCP-4205と死亡の因果関係は、
許容される範囲内でGOCと共有されています。

影響を受けた人物
サイト11副料理長見習いローナ・マイケルズ

発生日
1990年3月18日

発生場所
サイト11内の料理学校の入り口

概要:
サイト11副料理長見習いのローナ・マイケルズと
他の2人の調理師見習いはサイト11内の
調理学校の清掃と夜間の戸締りを任されていました。

他の2人のシェフは夕方に出発しましたが、
マイケルズはさらに1時間10分の間そこに残ります。
そして彼女は3歳の娘の誕生日と思われるケーキを
焼くために訓練用キッチンを無断使用します。

脚注5:
マークならきっと
これは報告書に記載すべき
事柄ではないと言うだろうが…
まぁいいさ。俺は人間で、
これは俺にとっては重要な事柄だから。

ケーキを焼き終えて後始末を済ませた後、
彼女は建物から外へ出て行きます。
続いてエントラスの控え室に着くと、
彼女はリングからキーを探すために視線を落とします。
そして彼女が目当てのものを見つけた次の瞬間、
彼女は外壁のガラスに映るSCP-4205を目撃し、
マイケルズはケーキと一緒に崩れ落ちます。

彼女の遺体は翌朝、サイト11の料理長
グラッサ・フレデリコによって発見されました。

補遺:
なし

影響を受けた人物
サイト19守衛 マーク・マーカス

発生日
1990年6月11日

発生場所
サイト19の地下駐車場[ST-PL] F9 被害者が所有する車の車内

概要:
サイト19の守衛マーク・マーカスは
この日休憩中にサイト19 ST-PL F9への
エレベーターを出て行く姿が確認されました。
彼は自分の1985年製ダッジ・チャージャーに乗り込み
(いい趣味してやがるな…)
それから彼は昼寝を始めました。

20分後、マーカスは目を覚まし、
車のフロントガラスに
SCP-4205が出現しているのを発見します。

マーカスの遺体は
彼が休憩から戻らなかったことを
心配した妻が捜索要請を出した後、
翌日になってヴィルヘルム・グランコックによって発見されました。

補遺:
犠牲になった人々と...その家族。
かけがえのない人々。そして、俺は…?

影響を受けた人物
無力化されたSCP-048 [SCP-048-N]

発生日
1990年11月20日

発生場所
エリア14特別収容室QM-X15

概要:
SCP-048-Nの特別収容プロトコルは
SCP-4205からの影響をとりわけ受けやすいものだった。

SCP-048-Nは数千歳であると自称する、
中東出身の栄養失調の幼い(およそ8-10歳)
女の子のような外見をしたヒューマノイドの一種です。

SCP-048-Nはそれが一般に
男性の姿として描かれているにもかかわらず、
自身をカナン神話の神ヤムであると主張していました。

また、SCP-048-Nは
自身が存在している空間を
強制的に水で満たす能力と、
不透明な物体の表面を
通過する能力を持っていました。

しかしSCP-048-Nは透明な物質は
通過することができなかったため、
SCP-048-Nは特別収容プロトコルとして
常にガラス製の立方体の中に収容されていました。

1990年11月20日、
エリア14でSCP-048-Nの観察室にいる
研究者向けの避難訓練が行われました。

それから2分以内に、
SCP-4205はSCP-048-Nの
収容キューブの6面全てに出現しました。

その後SCP-048-Nは
エリア14の監督者である
リアー博士による死亡確認と
neutralized(無力化)が宣言されています。

補遺:
SCP-048-Nのneutralizedが
リアー博士の過失ではないことが知らされたとき、
博士は非常に安堵した様子を見せました。

SCP-048は神として
十分な性質を持っていたことから
生前は財団の有用な資産だったと考えられており、
そのうちの1つはバアルの敵神を持つことが知られています。

影響を受けた人物
アダム・サイドフ

発生日
1991年6月11日

発生場所
後で追記する、ウェイド

概要:
今すぐ記入する、ウェイド

補遺:
後で、ウェイド

影響を受けた人物
イエテペレ(ピート)トゥレイ

発生日
1992年10月8日

発生場所
この男はとにかく退屈していた

概要:
おそらく退屈している人を追いかけ回すのだろう。

概要:
でもテオ(※訳注:後述するセオドア[Theodore]博士の略称と思われる)は退屈などしていない...

影響を受けた人物
セオドア・クエール博士

発生日
1992年12月9日

発生場所
サイト19のSCP-965の収容保管施設内

概要:
SCP-965-1の定期検査の際に、
クエール博士はSCP-4205を
保管施設の窓の中に発見しました。

しかし、ダリッツ次席研究員のケースと同じく
クエール博士が他の犠牲者のように
直ちに死亡することはありませんでした。

補遺:
この事例はクエール博士がSCP-965の事件を
「どうやら眼が出現しているようだ」と
報告するまで発見されませんでした。

より多くの情報を求められたとき、
クエール博士は他の事件と一致する説明を話しました。

SCP-965の性質上、SCP-965の
収容エリアの映像で記録することが出来ないため
クエール博士とSCP-4025の遭遇を
映像で確認することはできません。

しかしながら、クエール博士はこの事例の前に
SCP-4205の存在を認知してはいませんでした。

実験記録SCP-4205

担当者名
ウェイド・ダリッツ次席研究員

日時
1992年12月13日

実験監督者
マーク・フォーサイス博士[クリアランスレベル3] 不在

概要:
SCP-4205との再遭遇時、
私はそれに触れてみようと試みました。

結果:
その感触はあなたが二つの風船を擦り合わせて
その片方からあなたの腕に伝わる感覚のようです。

私の体全体は除いてください。

私は本当にそれに
触れることができませんでした。

それはガラスの前にも後ろにもいません。
ガラスの中にいるのです。

そして、私を見ているのか
そうでないのかもわからない。

あれは本当に目なのだろうか?

SCP-4205のさらなる研究が必要であり、
指導者として若手研究員ウェイド・ダリッツと共に
マーク・フォーサイス博士によって承認されています。

レビューステータス:未送信

> - 次のファイル -

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daimaによる補足・考察

6ページ目。

ダリッツが追記したものでしょうか、
このページにはSCP-4205の犠牲者の名と
その死の状況が記録されています。

中でも興味深いのが、
他のSCPであるSCP-048-Nが
このSCPによって殺害されている点です。

ちなみにこのSCP-048は
なぜかこの番号にばかり質の低い
SCPの記事が繰り返し投稿されたことで、
最終的にはその状況を皮肉った
『この番号に指定されたSCPは
何らかの方法で最終的に必ず無力化される』

というメタネタ絡みのオチがついた
曰く付きのSCPオブジェクト。

そんなSCP-048をここで持ち出したことは
恐らく後述するSCP-4205の『裏テーマ』
意識してのことでしょう。

またもう一つ注目したいのが
このページを境にしばしば画面の歪みが
発生するようになることです。

この現象はのちに明かされる
SCP-4205の持つある特性の
伏線となっています。

074205-AnomArch-52-57-44

父さん。

別の誰かがいるんだ。

俺は一人じゃない。

俺は一人じゃない。

俺は

一人

じゃない。

クエール。
そうだ俺はクエールを知っている。
彼とは歳も近い。
もっとも、財団にいる期間は
俺よりずっと長いけどな。

彼は俺のように二回の落第の後の
悲惨な後始末をする必要はなく、
時間を費やして立派に大学時代を切り抜けた。

もっとも、彼が
プレキシガラスの学名を使用すべきかどうか
判断しようとして収容手順の
たった1行を書くためだけに10時間も
費やす必要はなかったと俺は思うけどな。

明日だ。明日になったら彼と話そう。

それと、俺はまた幻覚を見始めたようだ。

昨晩、俺はベッドの上でゴロゴロしていた。
俺はあらゆることを試していた。
ラジオをオンにして、
不愉快なソフトジャズを聴くこともしたさ、
あなたが大好きなそいつは
俺にとっちゃあ最高の睡眠導入剤だからな。(怒らないでくれよ)

それから俺は右側に向き直って、
ベッドルームの窓を見るとそいつが居た。

再びだ。

最初の時と同じように
俺は自分が緊張しているのを感じた。
それを見つめている間、
まるで時間が止まっているかのようだった。

あなたは夜の恐怖を知っているだろうか?
俺は子供の頃からそれを経験していた。

それはあなたがいなくなる前のことだったが、
俺は今まであなたに話したことはなかったと思う。

ふと目が覚めると、
体が板みたいにガチガチに固まっていて、
足が引っ張られるような感じがして、
おまけにオズの魔法使いに出てくる
邪悪な魔女のそれに似た笑い声が聞こえてくるんだ。
(話は逸れるけど、それはあなたのせいだ。
あなたはそれが俺をおかしく
させていたことは知っていたのに
むしろ言葉でからかっていただろう?)
そうしてしばらくすると、ちょっと一息ついて、
何も見ないようにするためだけに
自分のベッドを這い上るくらいのことはできたものだった。

だけど今度は違う。
今度はどうやら少しづつ動けるようになるようだ。
まるで、関節の固い結び目が一つづつ解かれるように。

それから俺はベッドから起きた。

だけどそれはまだそこにあったんだ。

今ここで俺にくっついている。
マーク博士は俺にSCP-4205のための
いくつかのテストを考えておくようにと言っていた。

どこに居るのかさえわからないものを
どうやってテストしろというんだ?

だがこれは俺にとってのチャンスだ。
俺は何もしないわけにはいかなかった。

俺が思いついたのはそれに触れることだけだった。
本当ならもっとマシな何十もの実験があるだろうから
明日になったら俺は自分をパンチしなくてはと思うが、
とにかくその時思いつくのは触れることだけだった。

とにかく俺はあなたもご存知の…それに触れた。

マジで何も起きなかった。

全身に奇妙な震えを感じたが、それだけだった。

俺は誰にも言わなかった。
俺の最後の二つの草稿はどちらも提出していない。
俺はただプロジェクトから外されたくないだけなんだ。
これはみんなに俺の価値を証明するチャンスなんだ。
ファック、俺はみんなに話さないといけない。
何かが起きているんだ。
こんなのまともじゃない。

俺は母さんに電話するつもりだ。
でも、このことを全て明かすわけにはいかない。
ファック、嘘なんてつきたくないのに。

こんな時、側に誰かがいてくれたらいいのに。
あなたさえ居てくれないなんて…

あーあ、ごめん、そんなつもりじゃなかったんだよ。
気が参ってるんだよ。本当にごめん。

おやすみ、父さん。
あなたがいなくて寂しいよ。

daimaによる補足・考察

7ページ目。

このページの記述からは
ダリッツの父親が既に
死亡している可能性が読み取れます。

そして同時に
ダリッツが幼い頃に体験した恐怖の思い出と
親しい知人と思われるクエールに関しての
記述が登場しています

このクエール(博士)は
この後も度々その名が登場する
重要人物です。

084205-AnomArch-52-57-44

SCP-4205-DRAFT- ??
著者:次席研究員ウェイド・ダリッツ
ステータス:SubmMm ????
? #:SCP-4205
オブジェクトクラス:??

特別収容プロトコル:
SCP-4205を収容する方法は発見されていません。
収容は不可能です。弱点はありません。

SCP-4205の全ての発生事例は
発見され次第直ちにサイトの監督者に報告されます。

検死を行う際は、犠牲者を
サイトの検死官の元へ搬送しなければなりません。

さらに追って通知があるまで
二つの異なる空間を互いに見るための
半透明の薄いシート状の物体を含む
全ての部屋に、異常に対抗する目的で
実験用ラング - スクラントン安定機を投入し、
加えてそれぞれの部屋には常に二人以上の
人員が配置されるようにしなければなりません。

SCP-4205を見た上で死んでいない
貧しい、不幸な魂もすぐに殺されるべきです。
SCP-4205は明白な間違いを犯しました。

蘇生活動の間、犠牲者の脳活動は
自然死で通常観察されるより
はるかに早く停止することが観察されています。

検死の間、犠牲者は外見上
身体機能になんら損傷がないように見えます。

それにしてもつまらねえな。
くだらない脳科学のことなんか
ぶっちゃけ理解してねえし、
内容は検死官のレポートから
コピっただけだ。どこのまぬけが
脳のことなんか気にするっていうんだ?

SCP-4205の最初の発見例は
ウェイド・ダリッツ次席研究員が
1992年12月11日に凍った命の旗を舐めて
動けなくなったときに起こりました。

SCP-4205は形を有しています。
それはそれがそこに無いかのようです。
もしくもしくは宇宙に空いた
裂け目のようにあります。

空っぽではありません。

私の目はそれを見ることを欲しますが
私の脳がそれを許可しません。
トラッキング不良のCRTモニタに黒い線が表示され、
それが画面上をスクロールするだけのようなものです。

誰も気にしていないようなので、
死ぬことになった幸運な6つの事例は
リストに加えられないでしょう。

PQJhlOtxm2
dsklIs20X4Y9XJnhRIOa2g
4ZdhXxtSudvab25cEvgPWjO1
4JHcOIhRpzv9dUeBrnx8n2e
d1z6XgfRxSArtm8O7yrrN

daimaによる補足・考察

8ページ目。

ダリッツの衰弱とフラストレーションが
一気に表出したかのような内容です。

「SCP-4205は明白な間違いを犯しました。」の部分は
ダリッツが自分は死ぬべきだったと
考えていることの表れでしょうか…

094205-AnomArch-52-57-44

ファック

俺はただキンタマの中の
くそったれなそいつらを
ファックしたいだけだ。

もうどうでもいい。

どうとでもなっちまえ。

彼らがこれを見ているかどうかは関係ない。

俺はあなたがこれを読むことができる
ということを知っているからといって
躊躇するつもりはない。

なぁ、父さん。

結局、俺はあなたと話をしているんじゃない。
財団はいつだって監視している。
もし俺がスクリーンを振ったら、
彼らはそれを見ることができるんだろうか?
俺はそうであってほしいと思うね。

3時間。

3。

時間。

マーク・フォーサイス"◯ラ舐め短小"博士が
三時間も俺をに怒鳴り散らしやがった。
分じゃない、時間だぞ。

俺はプロフェッショナルじゃない。
俺はガキだ。
俺は出来損ないだ。
俺は卒業を認められるべきじゃなかった。
彼(マーク)は俺を助けるべきじゃなかった。
彼(マーク)はこれまで一体俺の何を見ていたというんだ。
(これは全部彼が言ったことだ)

そして俺の言葉
俺はめちゃくちゃだ、
彼が正しい。彼が正しい!
俺は彼を知っている。
彼が最終的に言ったのは
確かに俺が長年自分自身に言い続けてきたことだった。
家に送り返された。
俺はSCP-4205の担当から外された。
俺は間違いなくクビになるだろう。

彼は俺が「見張られている」と言った。
俺は家を離れることを許可されていない。
だけど、俺はもうすでに見張られている。

ちょっと待って、
俺の新しい友人にご挨拶をさせよう。

いや、何でもない。

ああ、そう、俺はまだ
あなたに言ってなかったね。
彼らは今もずっとそこにいるんだ。
目。
彼らはあらゆるところにいる。

寝室の窓
正面玄関の窓。
台所の窓。
リビングルームの窓。

でも、俺の正面の窓にはいない…
その窓は好きじゃないみたいだね。

さっきくそったれのコップにそいつが
見えたことすら誓ってみせるよ。

何が起こっているのかわかない。
俺はあまりに怒りすぎて今更怖くなってきた。
でも…
俺がここで行き詰まるというなら、
俺はそれをテストするかもしれない。
それは止めるつもりはない。

ああ、また嫌という程
怒鳴り散らされる前に、
俺はクエールを見つけた。
彼は…元気そうに見えた。

目を見てから今日まで
何も起こらなかったと私に言った。

多分俺は夢中になってるんだろうな。
彼ともっと話しができればいいのに。
俺は大学時代から彼を賞賛していたんだ。

だけど、もう遅すぎる。
財団が俺を棒でつついている間に、
俺は多分この家で老衰で死んじまうだろうな。

あなた、俺、俺の輝かしい"アイ"フレンド、
そしてこれを読んでいる人たち。

敬具

..................... /´¯ /)
.................... / /¯../
................... / .... /
............. /´¯ /'...'/´¯¯`・¸
.......... / '/ ... / .... / ....... /¨¯\
........( '(...´ ... ´....¯〜/' ... ')
......... \ ..................... /
..........''... \ .......... _。・ ´
............ \ ..............(
.............. \ ............. \ ...

daimaによる補足・考察

9ページ目。

さらなる混乱。
とうとうダリッツは財団をクビになり、
さらに自室で軟禁状態に
されてしまったようです。

ダリッツの運命やいかに…?

104205-AnomArch-52-57-44

SCP-4205-DRAFT-0 .... 4?
著者:囚人ウェイド
ステータス:N ????? A
? #:SCP-XXX
オブジェクトクラス:keter
エントリ全体を編集するのは面倒なので、
言われたようにメモだけ残しておきます。

概要
近づいているような感じがあることを追記してください。
クエールのように全く影響を受けないものを追記してください。
クエールのファーストネームは何でしたか?
それが所有権を主張していることを追記してください。
それが固定されているように感じられることを追記してください。

テスト
テスト1

懐中電灯でそれを照らす

結果
何も起こらない

テスト2
ほうきでガラスを叩く

結果
固定されている感じがわずかに増す。
数秒後に散逸する。

テスト3
それと対話を試みる。

結果
しばらく時間がかかったものの、
それは答えました。
ですが、私はそれが伝えたことを
ここに書くことはできません...
そうしないように言われたから。

テスト4
それとキャッチボールをしてみる。

結果
ボールが窓を破壊ました。
破片になったガラスの中に
それがいるのが見えました。

テスト5
それに触れてください。

結果
いやだいやだいやだ俺はしたくない俺はしたくない

daimaによる補足・考察

10ページ目。

SCP-4205に対する
実験結果のまとめのようです。

ですが『"囚人"ウェイド』という表現や
文の内容から見てその実験は
財団がクビにしたダリッドを
実験台のように扱って
行われているもののようです。

114205-AnomArch-52-57-44

>>データの破損を検出しました...

>> 24%のデータ破損…

- スキップ -
←戻る

???????? nderstand(理解した)。
ほんの1日のことだったんだ。

ああ、本当に、
たった1日なんだ。

そいつはお前は目なんだと俺に伝えようとした。
でも、俺はそいつが嘘つきだってことは分かっている。

そいつは俺に食事をしないようにも言った。
知ったことか。
とにかく空腹じゃないんだ。

俺はママに電話しようとたけれど
彼女の電話番号を思い出すことができなかった。
電話機が俺に吼えたてる直前に
ダイアルトーンが聞こえた。

SCP-4205のための報告書。
俺はこれを完成させなければならない。
しなくちゃならないんだ。
マークの言ったことなんか関係ない。

父さんは俺たちの家の電話番号を覚えてる?
もしそうなら俺に教えてくれよ。
どうか、どうか、どうか、頼むよ。
???うか、頼???
残りのファイルは破損しています。

33%のデータ破損

124205-AnomArch-52-57-44

H8ɀ19
ターミナル4
>もっと見る-d 124205-AnomArch-52-57-44

←戻る

SCP-4205-DRAFT-⧲•⧲
著者:ウェイド
ステータス:いいえ
アイテム番号:X
オブジェクトクラス:自宅で

特別収容プロトコル:
収容できないものは収容できません。
あなたは決してそうしないだろう。
もしあなたがそれを望んだとしてもだ。
俺はここから出て行く。
俺は俺の窓から飛び出して行く。
あなたに俺を止めることはできない。

俺は書かなければならない。
書くことは俺の記憶を助けてくれる。

そうだ!そうだ。
やめろ。
俺に嘘をつくな、やめろ。

そこへ行って、見つける。
見つける。
彼を探すんだ。
テオ
俺は彼に会える。

彼に会うといつも腹の底に感じるあの感覚。
強く、心地よい抱擁。
どうして俺は彼に伝えなかったんだろう?

どうして俺は自分に言い聞かせなかったんだろう?

俺は外に出なくちゃいけないんだ。
頼むよ。

どうして彼は俺を外に
出してくれないんだろう、父さん?

俺が外に出られることはないだろうが
だが俺はどうしても出て行きたい。

The-
それは

The

から始まる

だけど、俺は思い出せないんだ。

俺の名前はウェイド、
彼に伝えるぞ。
近いうち、どこか散歩に行かないか、
それは…それ…そ…
いい場所を知っている。
すぐ近所さ。

それはテオ(Theo)だ。テオ。

君はできる..?.

テオ、俺をハグしてくれ、
それだけが俺の望みだ。
それだけでいいんだ。

さようなら。

> - 次のファイル -

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daimaによる補足・考察

12ページ目。

閉じ込められたウェイドの独白。

ここではウェイドは
度々クエールに言及していますが
文脈から察するにウェイド(男)は
クエール(男)に対して
密かな恋愛感情を抱いていて、
なおかつそれを打ち明けられなかったことに
長い間後悔を抱いてたものと思われます。

しかしなぜ、そんな後悔の記憶が
この場面で出てくるのでしょうか?
その答えはSCP-4205の持つ
ある残酷な性質に深く関係しています(後述)。

134205-AnomArch-52-57-44

>もっと見る-d 134205-AnomArch-52-57-44

>>不正なデータが検出されました...

>> 8?%の破損

- スキップ -
???
?????????ainment Proc ??????:何だ?やめろ、やめろ。
俺の…俺の?目をつぶる。なんども言うな。
大股で走る。見て。
い、いやだ。
な??なぜ?
オー、オー、オーケー。

これ これは説明に含まれていない。
電気を流した針金のような素早い火花を伴った
静。電気。

シーッ、静かにしろ。
俺はもう終わらせたいんだ。

それは匂いがする。
あれじゃない、あれでもない、違う。
そうだ、まるであの時の…

あなたがパンを焼いた時にのことを覚えてる?
俺が本当に小さかった頃。
最初に思い出したのはその匂いだった。

ベビーベッドで目を覚ますと
そのパンの香りが漂ってくる。
俺は覚えている...だけど俺は
それを噛んで食べたときの味は覚えていない。
俺はそれを噛んだ記憶はないんだ。

ああ、ああ、それはその匂いがする
それにそいつは鳥の群れのような
尖った形状に見える。

あなたは覚えてるだろうか?

俺は覚えている。
公園で俺と同じ名前のものを見つけると
あなたはいつもそれが
俺にちなんで名付けられたんだよと言った。
そして空を飛ぶ鳥の群れを眺めたっけ。

一面の青の中にある液状のもの。
無数の黒い斑点たち。
なぜ彼らはあんな風に動くんだろう?

ガラスの外のそれはそんな風に見える。
何百もの鳥のように
青い液体に混じる黒い液体のように
混沌でありながら制御されている
あれはなんて名前の鳥なの、父さん?

報告書を完成させなくてはならない。
電気の重さはどれくらいだろうか
それはできる ????????
????それ ???????? ????

致命的なデータの破損
システム全体が破損する危険性があります。

同意して続行しますか?

daimaによる補足・考察

13ページ目。

ここではウェイドの
より幼い頃の記憶が語られています。

そして…

New Document On Database

ターミナル4
データベース上の新規文書

- ロード -
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SCP-4205-FINAL
著者:上級研究員マルコム・ヤング博士
ステータス:1998年12月11日に提出され
1998年12月25日に承認されています。
アイテム番号:SCP-4205
オブジェクトクラス:keter

特別収容プロトコル:
SCP-4205は現在収容されていません。
その状態は不明であり、効果的な収容方法に関する
活発な研究が進められています。

SCP-4205の全ての出現事例は直ちに
サイト監督者のJacob Ythへ報告されます。

SCP-4205のビデオ記録は視覚的な異常がないか
フレームごとに分析されなければなりません。

また、視聴の際は近くの電子機器の
データ破損を注意深く監視しなければなりません。

初期の実験により
SCP-4205は鉛ガラスによって
消極化または忌避されることが明らかになっています。

  1. 特別プロトコルを表示4205-Δ+

概要:SCP-4205は視覚的に知覚され、
透明な媒質の中に2つの琥珀色の
光る眼球として出現する認識災害です。

SCP-4205が出現する媒体は
二つの離れた空間を互いに見るための
窓として機能している必要があります。

これまでのところSCP-4205の
出現が確認されたのは :

強化ガラス
曇りガラス
フロートガラス
試作型対ミーム汚染ポリマーシールド
プレキシガラス

SCP-4205を直接見た曝露者は
即座に不可逆的な脳死状態となり、
500ミリ秒以内に測定可能な
すべての神経活動が停止します。

SCP-4205の出現が記録された
デジタル映像には常に
一定の映像の歪みとデータ破損が生じます。

これらの記録の各フレームごとの解析結果は、
曝露した人物がしばしば訪れていた
さまざまな場所を示します。
この影響についての分析は現在進行中です。

f:id:ama46572222:20190212213908g:plain
訳注※元記事の動画からGIFで抜粋

REC-4205-09BD1内で確認できるSCP-4205。
知られている中で最も長時間の記録映像です。

ある事例では、曝露者が
遭遇中に使用していた財団の端末は、
後に重大なテキストおよび
データ破損が発生した状態で発見されました。

ネットワーク編集ログによると、
発見事例から端末の検査までの2時間半の間に、
ファイル014205-AnomArch-52-57-44から
134205-AnomArch-52-57-44までが連続して挿入され、
データベース上のSCP-4205の位置にアーカイブされました。
これを削除する試みは失敗しています。
(※訳注ここで2時間半の時間がかかっているのは
90年代当時のネットワークの遅さを反映してのものである)

異常の発見とそれに付随する災害、
ならびに収容の失敗は、
機動部隊Xi-6 "セント・エルモの灯”の創設を促し、
これがSCP-4205の調査に割り当てられました。

次席研究員ウェイド・ダリッツの死後、
不正にアーカイブされたファイルの
徹底的な調査がMTF Xi-6によって行われました。

これらのファイルを通して伝えられた体験は、
その異常な影響に関する
いくつかの情報を明らかにしましたが、
その体験が曝露したすべての人間の間に
共通する事象であるかどうかの
確認を行うことはこれまでのところ不可能でした。

ダリッツ次席研究員の自宅で
すべての透明な物質の結晶学的分析を行った結果、
建物の正面玄関ドアに設置された窓は
34%酸化鉛の釉薬で覆われていました。
これは特別手順4205-Δの実施につながり、
その後の15ヶ月の間、SCP-4205に関連する
死亡者数を84%削減しました。

映像資料によって確認が取れた
37の曝露事例が記録され、
その中に生存者は一人もいませんでした。

影響を受けたすべての人物のアーカイブが
MTF Xi-6によって編集され、
完了時にこのファイルに配置されます。

特記事項:
セオドア・クエール博士を
財団職員データベース上で検索しましたが
一致する情報は得られませんでした。

財団エージェントは後に、
ノースカロライナ州ファーゴに住んでいた
故ウェイド・ダリッツの元同級生である
セオドア・クエール博士を特定しました。

この個人に対する質問は、
これまでのところ
必要であるとは考えられていません。

daimaによる補足・考察

14ページ目(最後)

SCP-4205についての正式な報告書ですが、
これはウェイドではなく
マルコム・ヤング上級研究員という
別の財団職員によって書かれたものです。

しかもその報告内容は
ウェイドを含む全ての犠牲者が
0.5秒で脳死したというもので、
前述したダリッツの報告書とは
明らかな矛盾が存在しています。

しかしながら
正式な報告書はあくまでも
この『SCP-4205-FINAL』です。

では、ウェイドの報告書は
なんだったのか?
それをあとがきで補足します。

あとがき

以上がSCP-4205の本文です。
ウェイドの身に何が起きたのか
ご理解できましたでしょうか?

そうでない方の手助けとして、
ディスカッションページ内に投稿された
作者からの解説文を一部訳して引用します。

この話には3つの異なる
レイヤーが存在してます。

(中略)

レイヤー1:
ダリッツの主観的体験です。
それは7日間続き、
私たちはそれがエントリーごとに
書き出されたものを読んでいきます。

これはジャーナルの日付から
明確に読み取ることができます。

レイヤー2:
ダリッツが死亡するまでに要した
実際の0.5秒間です。
彼は文字通りSCP-4205を見て、
その0.5秒後に死亡しました。
先述した七日間の体験は
実際に彼の身に起きたように
見えただけのことでした。

レイヤ3:
データベースに挿入された実際のエントリです。
これがアップロードされるまでに2時間半かかりました。
これは、ダリッツの物理的に入力したためではなく、
またデータがローカルに書き込まれるのに
時間を要したためでもありません

データは、財団のローカルネットワークを介して送信され、
財団データベースに格納されなければなりませんでした。
これは全て1990年代初頭にあったことであり、
ご察しのように彼らはすべてのデータを転送するのに
かなりの時間を必要とするダイヤルアップ接続を
行なっていた可能性があります。

ここで指摘されているように
この話には

①約7日間の出来事を記録したダリッツの報告書(SCP-4205が見せた幻覚で現実ではない)
②ダリッツがSCP-4205を見て他の犠牲者と同様に0.5秒で脳死した事実(現実で起きたこと)
③ダイアルアップ接続のために2時間半かけて財団データベースに送信されたダリッツの報告書(SCP-4205が引き起こした現象)

の3つのレイヤーがあり、
それらが組み合わさってひとつの
叙述トリックを産み出していたわけですね。

これらの情報を総合して
SCP-4205についてを端的に説明すると、
『ガラスなど半透明の薄い物質に突如出現し、
見たものを例外なく0.5秒で脳死させ、
さらにその際に、犠牲者にとって最大の
悲しみや精神的苦痛をもたらす幻覚を見せる
オブジェクトクラスketerのSCP。』

といった風にまとめることができます。

そしてダリッツはこのSCPによって
『職場からクビを宣告される恐怖やら
幼少時に感じた夜の恐怖やら
幼少期に父に先立たれた孤独感やら
空腹や睡眠不足による身体的苦痛やら
好きな相手に想いを伝えられなかった後悔やら』

たっぷり一週間分脳内にミックス上映された挙句
現実世界ではわずか0.5秒に抵抗する間も無く
殺害されてしまったわけですね。

…どんだけ底意地が悪いんでしょうかコイツは。

しかしそれを踏まえて考えると、
タイトルの「In The Eyes of the Beholder」も
犠牲者がSCP-4205の作り出す幻覚の中に
囚われることの暗示だったことが納得できます。

またこのSCP記事には随所に
『新人記事執筆者に向けての分かりやすいレクチャー』
という裏テーマ(?)的なものが見え隠れしています。
(※ディスカッション内で作者公認済み)

その意図は先述した
曰く付きのSCP-048をわざわざ出す点や
「プレキシガラスの学名を使用すべきか迷って
たった1行書くために10時間も費やした」という記述、
そして1ページ目のダリッツの不適切な報告書と
最終ページのマルコム上級研究員による
正式な報告書の対比などに見ることができます。

まとめ

今までにない「読ませ方」の工夫で
読み手を一気に物語世界へ引き込んだこのSCP。

著者の技術力と発想力に
敬意を払わずにはいられません。

さてそれでは名残惜しいですが
そろそろお別れとしましょう。
私はこれから、自分の部屋の窓を
鉛ガラスに張り替える作業に
戻らなくてはなりませんので…

⧲•⧲< bye!

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