マリオカート8での変化を踏まえて、不遇のマリオカートダブルダッシュを再評価してみる

ゲーム

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(公式サイトより引用)

マリオカートというブランド

スーパーマリオカート                       (SFC)  …売上本数(382万本)
マリオカート64                                 (N64)  …売上本数(224万本)
マリオカート ダブルダッシュ!!         (GC)    …売上本数(83万本)
マリオカートDS                                (DS)    …売上本数(400万本)
マリオカートWii                                (Wii)    …売上本数(367万本)
マリオカート7                                   (3DS)  …売上本数(222万本)
(wikipediaより引用)

マリオカートシリーズといえば、いわずと知れた任天堂の主力タイトルの一つ。レースゲームにランダムで入手できる『アイテム』の要素を持ち込むことで裾野を広げ、現在まで大衆向けレースゲームにおける定番の地位を確立しているシリーズです。
その歴代のソフト販売本数も、上記に記載したデータをのとおり、『ミリオンなど超えて当然』と言わんばかりの大記録が並んでいます

…並んではいるのですが…明らかに一作だけ、場違いに思えるほど売り上げの劣る作品が混ざっています。
それこそが、今回取り上げる作品。『マリオカート ダブルダッシュ!!』です。

歴代『マリオカート』の中でも、特に『ダブルダッシュ』(次いで64)に親しんできた私としては、まさかここまで売り上げが少なかったとは予想しておらず、ちょっとショックを受けてしまいました。

ゲームキューブという土俵

まず初めに、なぜ『ダブルダッシュ』の販売本数がシリーズ中最下位となったのか?その点について軽く触れておきます。既にご存知の方は読み飛ばして頂いても大丈夫です。

そもそも、『ダブルダッシュ』の発売されたゲームキューブ(以下GC)というハード自体が、先行して発売した『PS2』の好調もあり、売り上げの振るわない不遇なハードでした。(サードパーティ製のソフト数にも乏しかった)任天堂歴代ハードと比較しても、現行機の『WiiU』を除けば最も販売台数の少ないハードだったのです。(任天堂公式HP参照)


Console Damage Test! - YouTube

その為、GCはその異常な耐久性をネタとして『鈍器』という不名誉な称号を与えられたり、ディスクの代わりに『ハム』や『チーズ』等の食品を突っ込まれる憂き目にあったのです

ソフトを遊ぶために必要なハードの絶対数が少なければ、たとえ出来の良いソフトでも相対的な売り上げが落ちてしまいます。

ですが、あくまでもそれは『ハード』側の問題であって、ソフト自体の問題ではありません。実際にGCは、『カービィのエアライド』や『スマッシュブラザーズDX』、『ピクミン』、マイナーところでは『動物番長』など多くの良作ゲームを輩出しています。

そして『ダブルダッシュ』もまた、GC不遇の煽りを受けた良作のひとつだったのではないかと私は思うのです。

レースゲームの皮をかぶったパーティゲーム

このゲームには、特徴的な2つのシステムが存在します。

まず1つ目は、マリオカート初の『二人乗り
目新しさはありましたが、それがゲームを面白くしたかといえば微妙なところで、その後のシリーズが総じて『一人乗り』に戻ったところを見ると、あまり成功した試みとは言えなかったようです。

そして2つ目が『スペシャルアイテム
キャラクター毎に専用の特別なアイテムが設定されており、通常のアイテムと同様にアイテムボックスから出現するシステム。このスペシャルアイテム』こそが、『ダブルダッシュ』を面白くしている最大の要因だと思います。

例えば『ワリオ』でプレイすれば『ボム兵』が使える。『ピーチ』ならば敵のアイテムから身を守る『ハート』が使えると言った具合に、今までは性能と外見のみでしか違いの無かったキャラクター達に、新しく個性付けをすることに成功しているのです。

スペシャルアイテムはどれもが違った長所を持ち、しかも使って面白いものばかりだったのも素晴らしい点です。(周りでは『クッパこうら』や『ジャンボバナナ』が人気でした。あれをつり橋のド真ん中に置いたりするのが楽しかった。)

さらには、前述の二人乗り要素がある為、スペシャルアイテムも二種類を選んで走る事になます。

攻撃向きのスペシャルアイテムと防御向きのスペシャルアイテムで組んでみたり、出現順位のかぶらないスペシャルアイテム同士で組んでみたりと、組み合わせを考えるのもまた楽しみの内でした。

ですが、この『スペシャルアイテム』も本作限りのシステムとなってしまいました。恐らく、マリオカートWiiからはWi-fiによるネット対戦が実装された為、キャラ間の性能差がハッキリし過ぎるのは良くないという理由があってのことでしょう。
(それでも結局は『ファンキーバイク・ウィリー』になったがな!)

思えば『マリオカート64』もヤバめのショートカットが盛り沢山で、レースゲームとしては問題が多々ありましたし、(それも面白さの内だとは思いますが)『ダブルダッシュ』は『ネット対戦の無い』マリオカート最後の作品にして、『レース風パーティーゲーム』としてのマリオカートの集大成のような作品だったのではないかと思います。

・ここがヘンだよダブルダッシュ

・赤コウラをドリフトからのミニターボで直前回避可能。なので歴代作品で一番赤コウラが無能なゲームと言える
・基本的にアイテムの性能が激強なので、下手に1位を取るよりわざと下がって良いアイテムを取った方が強い。(二人乗りなので1度に取れるアイテムも二倍)
・直ドリ天国。まっすぐコースを走ると損をする。常にクネクネドリフトすべし
・全てのスペシャルアイテムが使えるキングテレサボスパックンが理不尽に強い

といった具合に、『対戦レースゲーム』として見れば難点の多いゲームではありましたが、この豪快な『大味さ』が逆にアツいゲームだったのです。

最新作、マリオカート8に見るゲーム性の変化

今年春に発売された最新作『マリオカート8』は私ももちろんプレイしたのですが、美麗なグラフィックとマリオカートの基本を抑えた堅実な作りに感動しつつも、オンライン対戦をこなしていく内に、ある『違和感』を感じることになりました

あれ、マリオカートなのに、一発逆転が滅多に無いぞ…

コースを覚え、カーブではインをキッチリと取り、直線でドリフトなどせず、各所でのアクションを逃さず決める事で始めて勝てる…スター一個で最底辺からのお手軽大逆転などない、実力>運のまっとうなマリオカートがそこにはあったのです。

中級者以上の戦いでは、序盤で落ちこぼれた者が返り咲く目はほぼありません。まるで現実社会のようなシビアでフェアなマリオカートに、『別に1~2ラップは最下位でも平気の平左。強力アイテム連打でいくらでも逆転可能』なダブルダッシュ的マリオカートに親しんだ私は、一抹の寂しさを覚えたのでした。

もちろんこれは悪い事ではなく、顔も知らない人同士が大勢で遊ぶネット対戦においては必要な調整であったことに間違いはありません。
完全な実力勝負でこそ得られる静かな充足感というものも確かにありました。
ですが、気の知れた人間同士でワイワイ遊ぶときには、『ダブルダッシュ』のあの大味で豪快なゲームバランスが恋しくなる事もあるのです。

最後に

今回の記事における『ダブルダッシュ』評は、完全に私個人の主観的感想です。『ダブルダッシュ』で真っ当なレースを楽しんだ方のほうが普通に多いと思います。
ですが、やはり私には今の高度に調整された『マリオカート』とはまた違った、ある種ファジーな楽しさがこのゲームにはあったんじゃないかと思っています。

10年以上も昔のゲームですが、今遊んでも十分に盛り上がるゲームだと思います。大勢で気楽でド派手なレースを楽しみたいような時には、あえてもう一度このゲームを手にとってみるのもアリではないでしょうか。

ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました。

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