あなたの時間を無限に溶かすゲームの姿をした底なし沼。「Elin」のススメ

ゲーム
elinのタイトル画面

はじめに

超お久しぶりです。

本日ご紹介するのは 昨年11月よりSteamでEA(早期アクセス)が開始されたElinというゲームです。

elinのタイトル画面


Steamの販売ページ

まず最初に断っておくとこのElin、ものすごく人を選びます。

ジャンルとしてはMinecraftやRimWorld、Kenshiなどと同じサンドボックスゲーなのですが、様々な面でElin特有というか、初見プレイでは戸惑うこと必至な独自仕様が多く、私も慣れるまでは驚きや困惑の連続でした。

かと言ってつまらないかと言えばそんなことはなく、私自身なんだかんだで既に100時間ほどをこのゲームに捧げてしまっています。(ガチな人はそれこそ500時間とか1000時間とか越えてる方もザラなのでこれでもまだまだ浅瀬ですが...)

本日はそんなElinについて、良いと感じた部分も悪いと感じた部分も全て含めて忌憚なくレビューしてみたいと思います。

Elinってどんなゲーム?

Elinは後述するフリーゲーム、Elonaの続編として開発がスタートし2024年11月1日にEA扱いで販売が開始されたゲームです。

ジャンルは公式の言を借りるなら「サンドボックス型のオープンRPG」であり、プレイヤーは明確な目標やストーリーを持たずに、与えられた世界の中で自由に遊ぶことができます。

一応縦軸となるストーリーは存在しているのですが、一般的なRPGのようにメインストーリーを進めないと解放されない要素はほとんどなく、あくまでもサブクエストやクラフト要素など同様にプレイヤーが好きなタイミングで進められるゲーム内の一要素という立ち位置に収まっています。

またこれは地味に重要な点なのですが本作は現在もEA(開発中)の状態にあり、大体週一くらいの頻度でコンテンツ追加が行われています。

この点に関しては良し悪しがあり、よく言えばリアルタイムで頻繁にコンテンツが追加されていくので飽きずに遊べるという点がありますが、悪く言えば作りかけの、いつ完成するという保証もないゲームとも言えるわけで、購入の際は事前にその点を了承する必要はあるかと思います。

一応、公式発表では2026年後半の正式リリースを予定しているとのことで、未完成品はちょっと…と言う方はもう少し様子を見るのもありかもしれないですね。

前作Elonaについて

Elinの前作に当たるElonaについて軽く触れておきます。

Elonaは2007年にリリースされたフリーのシェアウェアであり、その自由度の高さと中毒性で多くのプレイヤーを沼に落とした一方で、あまりにとっつきにくいゲーム性からダウンロードしたソフトをゴミ箱に捨てる行為を指す「ゴミ箱ダンク」とも揶揄された怪作です。

elonaのキャプチャ画像

elonaのキャプチャ画像

ElinはElonaと同じ舞台(ノースティリス)の数十年後という設定であり、Elona既プレイ者ならニヤリとする要素が多々あるようですが、別にElona未プレイでも全く支障はありません。というか私自身その立場です。

Elonaの名前や評判は知っていたのですがプレイはしておらず、今回は噂に名高い作品の続編という興味もあってElinをプレイし始めたのでした。

ちなみに他の方のレビューに目を通すとElinはElonaと比べてかなり一般向け、マイルドめの調整がされており、理不尽だったり不親切だったりする要素が色々とオミットされているそうです。

ただ、既存プレイヤーからはElonaの頃の刺激や個性が失われたという否定的意見もあり、その辺りは結構賛否両論のようですね。

steamのレビュー

steamのレビュー

慣れるまでは困惑の連続?なゲームシステム編

Elinに特定の主人公は存在しません。

ゲーム開始時にキャラクリ画面があり、そこで外見や名前、年齢、種族など事細かな設定ができるようになっています。

Elinのキャラクリエイト画面

Elinのキャラクリエイト画面

この辺りの作りの細かさで本作がプレイヤーがゲーム内での役割を演じる、本来の意味のロールプレイを重視した作品であるということが窺えますね。

キャラクリを終えるとElinのゲーム内世界についてのおおまかな説明が流れ、その後プレイヤーキャラクターが草原で目を覚まし、操作が可能となります。

目を覚ましたプレイヤーのそばにいたのはフードを被った謎の男女二人組。彼らの話によると、森の中で倒れていたプレイヤーを介抱してくれていたとのこと。

Elin エイシュランドのセリフキャプチャ

Elin エイシュランドのセリフキャプチャ

それは良いのですが、続いて二人組の男の方であるエイシュランドなる人物がプレイヤーに土地の権利書を渡し、拠点の開拓を勧めてきます。

見ず知らずの人間を介抱してくれた上に、土地の権利書までくれるとは何て気前の良い人たちなのでしょう(棒読み)。

ともあれ、こうしてプレイヤーの物語が始まったわけですが、最初のうちは色々と手探りでプレイを進めていくことを強いられます。

Elin フィールド画像

最低限のルールや最初にすべきこと、物語の節目となるおおまかな目標などは会話やミッションで指示してくれますが、どのように拠点作りを進めるか、拠点作りのための素材をどうやって収集するか、次にどこへ向かえばいいかなどについてはプレイヤーが自分の裁量で決定していくこととなります。

拠点作りに没頭するもよし、外の世界を冒険するもよし、ネフィア(ダンジョンみたいなもの)を攻略するもよしとまぁとにかく自由です。

ただし、素材の収集やクラフトにはスタミナを消費しますし、スタミナの回復には睡眠が必要になるので、1日に取れる行動には限度があります。

また、ゲームが進むと説明されますが、日が進むことには幾つかのデメリットがあり、無為無策で時間を浪費し続けることはできない仕様となっています。

そのため限られたリソースをどう配分するかという匙加減にプレイヤーの個性が発揮されるところであり、本作のプレイ体験に深みを与えている部分でもあります。

情報が氾濫しているUI

この辺で本作のUIについても触れておきましょう。

Elin フィールド画像

上記のキャプチャをご覧いただければお分かりかと思いますが、画面内のあらゆる箇所に情報が横溢しており、初見では戸惑うこと必至です。

例えば上記の一例だけ見ても初見の方は、「右上に並んでるアイコンは何?」「下の赤、青、黄のバーは何?」「【くさい】Lv. -4 感覚」って何?というかク⚪︎は食べ物じゃないよね…などなど山ほど疑問が頭に浮かぶのではないでしょうか。

これらに関しては、なんというか慣れるしかありません。
最初は意味わからなくても、プレイしているうちに必ず「あぁ、あれってそういう意味だったのね」と気づきが得られる瞬間が訪れます。

ググれば外部サイトなどで情報を得ることは容易いですが、個人的には分からないことが分かっていく過程も含めて本作の魅力だと思っているので、これからプレイされる方は可能な限り前情報なしで、この奇妙奇天烈なElinワールドを堪能されることをお勧めします。

作れるもののボリュームが超膨大! クラフト要素

Elin クラフト画面

自由度の高さがウリのElinですが、中でも拠点のクラフト要素の自由度は群を抜いています。

上記キャプチャだと全然種類が少なく見えますが、これは初期状態でありゲーム内で作業台の作成やレシピの収集を行う事で作れるものはどんどん増えていきます。

建築はもちろん、料理、お店、畜産、農業、鍛治、などプレイするほどに出来ることが増えていき、あれもこれもと手を出している内に時間が湯水のように流れていくのがElinの恐るべき点です。

ここにプレイヤーの家を建てて、ここは作業場、ここは倉庫、ここは仲間の家…などとレイアウトを考えながら自分好みの拠点を作り上げていく過程はまさに至福のひとときですね。

この拠点づくりの楽しさは、過去に自分がプレイした中だとkenshiというゲームのそれに似たものがあるように思います。もっと知名度のあるゲームで言えば私は未プレイで恐縮なのですがMinecraftやRimWorldを類例として挙げる方が多いですね。

kenshiのキャプチャ

kenshiのキャプチャ。kenshiに脳を焼かれた人はelinにもハマる適性在り…と勝手に思ってます。

また他にも、拠点に対して特殊な効果を発揮する「条例」を設定できたり、拠点に配置した待機中の仲間にいろいろな仕事をさせて利益を得たりとともかくできることが多いというのが特徴です。

これまた独特! Elinの戦闘システム

Elinの舞台となるノースティリスは戦乱の世であり、あらゆる場所にモンスターやならず者が蔓延っているため戦いを避けて通ることはできません。

しかしながらこの戦闘もまた一癖あるものです。

Elinの戦闘画面

第一に、本作のダメージ計算はTRPGでよく使われる「1d6」とかの表記で表されます。1d6なら6面ダイスを1個ふってダメージ値が決定されるという訳ですね。

武器の性能もこのダイス表記によって表されていますので、ご存じない方は最低限これだけでも抑えておくと良いでしょう。

また、防御に関するパラメータが防御値と回避値に分割されており、敵の回避値が高い場合は何回殴っても全くダメージが通らないという事態も起こり得ます。

この仕様に気づかず、延々と敵を殴り続けてなんで倒せないんだーと憤る体験はElin初心者のあるあるではないでしょうか。

そして第二に、魔法に消費マナと使用回数の概念があることです。

つまり、魔法は一定のMPを消費するだけでなく、魔法ごとに使える回数も決まっているという訳ですね。

回数を使い切った魔法はスロットから消えてしまいますが、魔法書を読んだり睡眠中に魔法の夢を見ることで回数を補充することができます。

また魔法は使えば使うほど性能が成長していきますので、魔法主体のプレイをするときはメインウェポンにする魔法を増やしすぎないほうが効率的かもしれません。

そして第三は戦闘のテンポ感です。

Elinではドラクエみたいに「⚪︎⚪︎の攻撃 ××は10のダメージを受けた!」などの親切なメッセージ表示は一切なく、正確なダメージ量を確認できる情報源はHPバーの減少のみであり、気づいたら自キャラが死んでいたなんてこともしばしば。

私も初見プレイの時は、何気なく遭遇した盗賊に近づいた瞬間に自キャラが死亡し唖然としたことを覚えています。(最大体力の低い種族だったせいもあるのですが)

このように何かとクセの強いElinの戦闘ですが、武騎手の豊富さや属性、状態異常、攻撃可能班員を踏まえた位置取りなどを絡めた戦略性はかなり高めで、データを比較検討しながら試行錯誤するのが好きな方なら十分以上に楽しめるのではないかと思います。

プレイヤーに厳しい要素の数々

Elinには一見すると理不尽とも思えるようなプレイヤーに厳しい要素が存在します。

その一つが死亡時ペナルティです。

Elin 死亡画面

本作では標準的な難易度設定の場合、死亡しても何度でも復活できるのですが、その代わり特定のパラメーターの経験値が減少してしまうというペナルティが発生します。

厳密に正確ではない例えになりますが、ドラクエなら全滅するたびに「ちから」や「すばやさ」が減ってしまうイメージです。

その上所持金も一定額ロストしてしまうので、一般的なRPGのデスペナルティとしては重めの部類と言えるでしょう(死亡した地点に戻って回収は可能)。

ただ、このペナルティがあることでプレイに一定の緊張感が生まれていることも事実ですので、個人的には悪い仕様ではないと感じています。

この死亡時ペナルティはプレイ中最も身近に意識することになるペナルティですが、実は他にも色々と厄介なお邪魔要素があります。

ネタバレになるので詳しくはいえないのですが、特定の貴重アイテムを使わないと解除できない不可避のデバフ要素があったり、些細な選択ミスで長期的なデメリットを背負わされたりと流石にこれはきつい…と思わされることもしばしば。

こうしたデメリット要素の中にはこまめにセーブデータのバックアップをとることで実質的に回避可能なものもあるので、なるべくストレスフリーでプレイしたい方はそのような対応を取ることをお勧めします。

...そういう理不尽も含めて全部受け入れるのもロールプレイの醍醐味という考え方もありますが。

Elinのここがイマイチかもしれない

自分が楽しんで遊んでるゲームのイマイチな点を書くのは気が引けるものですが、得てしてレビューというのはネガティブな内容ほど参考になる内容になりがちなものですので忌憚なく書かせていただきます。

結局のところEA(未完成品)であるということ

今Elinを買うと考えた場合、一番のネックはやはりEAであるという点でしょうね。
それなりのお金を出して未完成品を購入するということに気が進まない方は少なくないと思います。

私は現状の内容でも3000円の価値はあったと感じていますが、それは私の主観でしかありません。

特にメインストーリーが完結していない点は特筆すべき点であり、買ったゲームはクリアまでプレイしないと気分が良くないという方にはお勧めできません。

ゲーム的にもかなりクセが強く合う合わないの差が大きいと思いますので、購入前の体験版のプレイは必須かと思います。

演出的な素朴さが目立つ

Elinのグラフィックや音楽などは個人的にとても好きなのですが、小規模チームによる開発ということもあり、正直演出的な素朴さが目立つ部分はあります。

例えばモンスターは基本一枚絵でアニメーションなどはなく、毒状態時に色味が緑っぽく変化するといったことすらありません。

これは大型のボスモンスターも共通で、強敵とのバトルという手に汗握る場面であっても、どうしても書き割りと戦っているような入り込めなさを感じる部分はありました。(ドット絵自体は美麗でよくできるんですけどね。)

この辺りを味と感じるか物足りなさと感じるかで評価が大きく分かれそうな気もします。

良くも悪くも作業ゲー

このゲームは特定の抜け道を知っていない限り序盤の金策がちょっと大変で、私などはひたすら花を摘んで売りまくる作業を繰り返す羽目になりました。

また、クラフトのための材料集めやそれほど変わり映えしないネフィアの攻略などどうしても作業感が強く、単調な作業の繰り返しが苦手な方は苦痛を感じるかもしれません。

逆に作業が好きならこれ一本で数百時間遊べる神ゲーに早変わりするのですが...

こんな人にオススメ

最後に私が考える、Elinをお勧めしたい人のタイプをまとめてみます。

  • 何かを作ることやデザインを考えるのが好きな方
  • 単純作業の繰り返しがあまり苦痛に感じない方
  • コスパ重視。3000円で100時間以上遊べるゲームをお探しの方
  • ロールプレイが好きな方
  • わからないことに試行錯誤で取り組む過程が好きな方

総じてクセが強く、人を選ぶゲームではありますがSteamのレビューを見るとすでに500時間、1000時間プレイした人もザラであり ハマる人はとことんハマるタイプのゲームだと言えます。

比較的時間に余裕があって、のんびり自分のやりたいことができるサンドボックスゲーをお探しの方はまずこのElinを無料の体験版でプレイしてみてはいかがでしょうか。

それではまたの機会に。

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