まえがき
全世界1千万(適当)の褪せ人が首を長くして待ち続けたDLCコンテンツ、SHADOW OF THE ERDTREE。
私も配信初日からプレイを始め、50時間を超えるプレイを経てようやくラスボスの撃破に至りました。
結論から言うと、自分の中で勝手に期待値が上がりまくっていたにも関わらず、なおそれを易々と越えてくる満足度の高さ。
強敵達との手に汗握る死闘。
立体的で創意工夫に満ちたフィールド、ダンジョンの探索。
豊富な追加武器、防具、祈祷、魔術、アイテム。
一癖も二癖もあるNPCイベントなどなど、
私がエルデンリングのDLCというものに期待していたほぼ全ての要素が網羅されていました。
GOYを獲得した超大作の追加コンテンツということで、半端なものをお出しするわけにはいかないというプレッシャーはあったと思うのですが、そんな気負いなど微塵も感じさせない内容だったのはフロム恐るべしといったところですね。
とはいえ、部分部分で不満点がなかったわけではないというのもまた偽らざる心境。
遊ばせてもらってる身分で贅沢な話ですが、ほとんど完璧な内容だからこそ瑣末な不満点が気になってしまうということもあるのです。
そのようなわけで本日は、私が感じたSHADOW OF THE ERDTREEの素晴らしい点と「これはちょっと…」というBAD POINTをそれぞれ列挙しながらおさらいしていきます。
記事の性質上、DLCコンテンツのネタバレが多分に含まれますので、その点はご注意ください。
それでは、どうぞ。
エルデンDLCのいいとこ
探索がクッソ楽しい
自分がフロムゲーの何が好きかっていうとやっぱり一番は探索なんですよね。
ダクソ1の病み村とか灰の湖あたりがわかりやすいんですけど、好奇心でどんどん進んでいるうちに気づいたらめちゃくちゃヤバそうなエリアに入り込んでしまっている。あのゾクゾクくる感覚が好きなんです。
エルデンでは祝福の間隔がだいぶ短くなったから昔のようなスリルは減ったけれど、それでもエッセンスとしては変わらずに継承されている。
DLCだと、その辺りの感覚は奈落の森とかギザ山あたりのエリアに特に色濃く現れていたでしょうか。
あの辺って、DLCの本筋からすると完全な寄り道でしかなくて、その上本編ほどわかりやすい動線の誘導もないので、先に言った「行けるところをとりあえず進んでいていたらやばいところに来てしまった」感がマシマシですごく楽しかったです。
それと探索といえばもう1つ、本作はマップの高低差が本編以上に生かされていたように思います。
最初に訪れる墓地平原から崖下のエリアが見えるんですけど、そこはかなり後にならないと訪れることはできないという、逆に後でそこに到着して「ここって最初に見えてたあそこだよね」となるのが面白かったですね。

フィールドごとのビジュアルというかロケーションもそれぞれ違った個性が与えられていて、ちょっとした観光地巡りみたいな楽しさもありました。
ちなみにマイベストプレイスは青海岸。

エルデンは過去作に比べて比較的明るくて綺麗なマップが多くて、血生臭い戦いの旅路に一抹の癒しを添えてくれます。
追加武器防具、祈祷、魔術、アイテムの豊富さ
新武器について

DLCの中でも特に注目されたのが、事前に100種以上追加とアナウンスされた新武器の内容でした。
2年もの間、本編の武器を使い倒してきた生粋の褪せ人たちにとって新たな武器の追加は砂漠に降る雨のようなものであり、公式から軽大剣やら仙峯寺拳法格闘やらの武器種が発表されるたび界隈には期待に満ちた空気が流れたものです。
そして満をじして我々の元に届けられた新武器たちは、少なくとも私の目から見てどれも1度は使ってみたくなる魅力あるものばかりでしたまぁ一部あんまりにもあんまりなポンコツがあったのは否定しないが…
全体的に、シンプルな強武器というよりも、本編で不足していたピースというか、各ビルドで痒い所に手が届くような追加がなされていたという印象。
自分の場合、筋よりの筋神ビルドだったのでその目線から具体例を述べると、1つには高速移動して超威力の戦技を放つ古隕鉄の大剣があり、他にも筋神に不足していた中距離攻撃を補う花岩の槌、血派生の伸びが良く盾チクに向くソードランスなどビルドを限定しても使いでのある武器多数。
どれも明確な個性がありながら本編の武器を喰ってしまうほど万能というわけでもなく、よく考えられた調整がなされていたと思います。
祈祷や魔術についてはビルドの関係上あまり触れてないのですが、いろいろ声を聞くとこちらは使えるものとそうでないものの差(通称宴会芸)が大きく賛否両論な印象。
特に話題なのはボス絶対殺すマンとして広く知られる拒絶の棘でしょうか。
動画などで動きを見た限り、制作側で想定していたゲーム性を損なうレベルで強力に見えたのでそのうちお仕置きされるかと思っていたのですが直近のアプデではまさかのスルー。実はそこまででもないのか、それとも様子見されているのか…
と言った感じで、自分のビルドの関係上少々偏った視点にはなりますが、個人的には追加武器に関してはかなり満足しています。
新防具について
武器と並んで注目されていた防具の追加についてですが、個人的にはこれまた大満足でした。
特に嬉しかったのが、中〜重量級の鎧系防具にかっこいいものがいろいろ追加されたこと。
それなんて狂戦士の甲冑な孤牢シリーズを皮切りに、羅刹シリーズも禍々しさが格好いいし、緑青シリーズなんかも大山羊やライオネルほど主張が激しくなくて良き。

二刀グレスタ使いの視点からすると ジャンプ攻撃力アップ効果がついて墓守鳥の鎧よりカット率で優れる墓守鳥の黒羽鎧の追加も嬉しいところ。
世界観を壊すことなく本編とはまた違った味わいのある防具が多数追加されていて、コーディネートに悩む楽しみがありました。

ちなみに防具関連で一番面白かったのはレダと同志たち戦後に角人くんの亡骸から装備を剥ぎ取った時。
「薄汚れたふんどし」てお前…
本編の反省が活かされたボス戦

DLCのボスはごく一部を除き、手応えのある闘いが楽しめる絶妙な調整がなされていたと思います。
本編で特に不満の多かった複数ボスは一切登場しなかったし、英雄のガーゴイルや実体モーグのように一定時間フィールドにダメージゾーンを残すボスも確か出てこなかった(はず)。
火の巨人のように相手がデカすぎて途中から何と戦っているのかよくわからなくなるようなデカボスもいなかったし、全体的に見て本編で不評だった要素は極力無くそうという配慮が感じられました。
それでいて決してヌルすぎるという事はなく、大体のボス戦が初見ではあっけなく倒され、その後数回挑み直して動きを理解し、大体10回くらいやり直したあたりで突破できるようになるという計算された難易度。
特に本作ではどのボスもド派手な大技を1つは持っていて、そういう技を完璧に見切って反撃を叩き込む瞬間というのがソウルシリーズをプレイしていて最高の瞬間の1つでもあります。
ただ、それでも理不尽ムーブが皆無というわけではなく、中には黄金カバの突進やガイウスの突進、暴竜ベールの空中2連ブレスのように理不尽に片足突っ込んでるんじゃないかという行動もちらほら見られました。
例の王? あれはまた後ほどじっくりと…
そのようなわけで、個人的にボス戦に関しては難易度、緊張感、演出など総合的に見て概ね満足の出来栄え。心配していたボスの種類も少ないと感じる事はないレベルで、尚且つ追憶ボスに関しては本編の使い回しボスみたいなのがいなかったのも好印象でした。
戦って楽しかったボスでランキングするなら、メスメル、影樹、ミドラーあたりが上位でしょうか。
シチュエーションの盛り上がり具合で言うとラスボス前のレダと同志たち戦も外し難いですね(腐敗壺ポイポイ横槍糞野郎のムーア君は一生悲しいままでいてね)
魅力ある新規NPC達

DLCで配信前から話題を集めていたもう1つの要素が新規NPCたち。
プレイヤーと同じくミケラを追うものという目的以外は完全に謎な彼らが一体何者なのかどんな素敵な装備が剥ぎ取れるのかプレイ前から期待感はMAXでした。
で、実際に最後まで完走した上で振り返る彼らの印象はというと、やはりというか一筋縄ではいかないキャラクターばかりでした。
最初は同志として集まった者たちが、ミケラの魅了が壊れたことで互いを信じられなくなり、最後は2陣営に分かれて殺し合いに発展してしまうというのが、人間の哀れさというか、弱さのようなものを感じさせましたね。
その中でも個人的に印象的だったのがティエリエとアンスバッハ。
フラグを満たすと唯一プレイヤー側に立ってくれる二人ですが、前者はプレイヤーへの嫉妬、敵対という心の弱さを表すイベントを経て最終的にトリーナの言葉を信じて神に立ち向かうという一連の流れが美しく、後者はその誠実な人柄とまさかの出血鎌スタイルという意外性に心を掴まれました。
レダ?
あー あの人はなんていうか、粛清好きサイコパスというか、もっというとヨシフおじさんというか、その程度の印象しかもてなかったですね。せめてもう少し人柄とか過去を掘り下げてくれれば好きになれた気もするのですが…
新たな戦術!弾く硬雫の魅力

最後にちょっとピンポイントな話題になるのですが、DLCでは新たに弾く硬雫という結晶雫が実装されました。
これは5分間の間ジャストガード判定が出るようになり、ジャスガに成功するとカット率アップ、スタミナダメージ減少、ガードカウンター強化といった恩恵が受けられるといった仕様となっています。
ご存知の方はSEKIROの弾きをイメージしていただけるとわかりやすいかもしれませんが、タイミング的にはあれよりもいくらか易しめだと思います。
で、これの何が素晴らしいというと第一に従来のゲーム性が大きく変わり、新鮮なプレイが楽しめるという点、そして第二にこれまで微妙に影の薄かったガードカウンターが俄かに有用になるという点があります。
ジャスガ成功時の恩恵がかなり強く、これまではすぐ割られていた武器ガードや小〜中盾によるガードが意味を持つようになり、取りうる戦略の幅が一気に広がりました。5分間というボス戦の間ならまず切れない持続時間の長さもGOOD。
ガードカウンターの強化も十分実践レベルで、リスクを低減しつつ相手の体制をガンガン崩していけます。
ぶっちゃけここまで根本的なゲームシステムを変える結晶雫が出てくるというのは予想外で、嬉しい驚きでした。
ネットの声を見ても概ね好評のようなので、次のソウル系の新作ではもしかするとジャスガ要素がさらに前面にpushされてくる可能性はありますね。
ただ、pushされすぎてゲーム性がSEKIROよりになりすぎるというのも個人的にはちょっと考えものかなぁと思ったりしないでもないのですが…
エルデンDLCのここがダメ
ラスボスの強さが理不尽すぎる

はい、出ました。
約束の王、ラダーンこと通称ミケラダーンですね。
こいつと初めて対峙した褪せ人の大半は2つの点で衝撃を受けると思います。
1つは本編で散々印象付けられてきたあのラダーン将軍の全盛期が見られる、戦えるという点。
もう1つはその絶望的なまでの強さ。
とにかく避けられない、隙がない、崩れない敵だけ楽しそう
それまでの全てのDLCボスをグレスタ二刀流でわからせてきた私ですが、このミケラダーンに関しては5戦ほどして「だめだ、このままじゃ丸一日かかっても勝てん」と逆にわからせられる始末。
高周回とかじゃなく、1周目で加護も18まで集めている。レベルも150ある。それなのにあの全くどうしようもない感は衝撃的でした。
普通のボスなら例えやられても、何回かリトライして動きを洗練させていけば勝てるなという予感が持てるものなのですが、こいつに関してはそんな予感を持つことすら許してくれません。
その上、体力が7割を切るとミケラが出現して第二形態に移行し、ただでさえ苛烈な攻撃が輪をかけて強烈 & 隙が少なくなるという悍ましさ。
体力ゲージは1本とはいえ、根本的な体力が他のボスとは段違いなので何の慰めにもなりません。
そんなこんなで心折れかけた私ですが
ここまで来てクリアを諦めるというのはあり得ない話。
故に私は泣く泣くグレスタ二刀を封印。
相手の動きや耐性を観察し、勝利への方程式を練り直すことに。
その結果行き着いたのが指紋石の盾 + 弾く硬雫でガチガチに固めつつ、レドゥビア&蟻棘のレイピアでチクチクと状態異常を叩き込んでいくという あまりにも誉がなさすぎる戦術。誉は影の地で死にました。
加えて、鬼門となる第二体系からはこれまで縛ってきた遺灰も解禁。
写身に祈りの一撃をつけたグレスタを持たせて餅つき大会を開催するという完全に誉を打ち捨てた戦術でようやく撃破に至ったのでした。
ただ…
そうまでして勝利を得た時、
私の心に去来したものは、達成感よりもむしろ一抹の虚しさでした。
こんなので本当に勝ったと言えるのか、相手の動きを掌握し、完全に回避できるようになってこそ完全なる勝利と言えるのではないか…
まぁ私の都合のいい脳みそは最終的には勝ったんだからいいじゃんとなったのですが、
機会があれば一度、開発側はプレイヤーに対してどういう感情を味わってもらいたくてあのボスをお出ししたのか、聞いてみたいところではあります。
ラスボスなのに弱すぎて肩透かしとかよりは全然マシですが、もうちょっとこっち側にサービスというか、気持ちよく戦える余裕を持たせてほしかったかなぁ…(考えが甘い?)
イベントフラグの不親切さ
これは他所でもよく言われている点ですが、影の城に近づいただけでイベントフラグが進んでしまうのはどうかと。個人的にもいくつかイベント見過ごした気がするし…
あと、粛清イベントですね。
レダちゃんの粛清提案を無視した結果、イベントアイテムの取得フラグが消滅し、コンプを目指すなら最低でも3周が確定してしまいました。
しかもこのイベントでもらえるのが刺し貫く交差樹 or 速斬でどちらも有用という…
ストーリーの消化不良感
ラスボスを倒した後の演出が淡白すぎる…
ミケラくんにはもうちょっと自分の計画というか
欲を言えば本編含めた世界設定のコアに繋がるようなヒントを残してから逝って欲しかった。
あと、これは仕方ないといえば仕方ないのかもしれないけれど
DLCと本編が相互にほぼ不干渉というのもちょっと寂しかったですね。
これが例えば、メスメル前の祝福でメリメリの特殊会話が聞けたり、ミケラを倒していた場合にマレニア戦の前に特殊台詞が発生したりするだけでもだいぶ違ったと思うんですよね。
最後に
色々と文句も言ってしまったけれど総合的には払ったお金以上の価値ある貴重な体験でした。
この時代にここまで骨太なゲームを送り出し続けてくれているフロムには感謝しかありません。
これからもぶれないスタイルで挑戦的なゲームを世に送り出し続けてもらいたいですね。