はじめに
こんにちは、daimaです。
本日は、私がこれまでの
27年間の人生に出会ってきた
数多くの漫画作品の中でも、
文句なく最上級に面白く、
かつ他人様にオススメしたいと思えた
10作品を感想付きでご紹介します。
完全に個人の趣味趣向で選んでいるので、
年代や掲載誌などは全くのバラバラであり、
基本的に近年の作品ほど前に置かれています。
それではどうぞ。
インベスターZ 三田紀房 全21巻 完結済み
- 作者: 三田紀房
- 出版社/メーカー: コルク
- 発売日: 2013/09/20
- メディア: Kindle版
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「投資」をテーマとした面白くてタメになる漫画
お金って何だ?
創立130年の超進学校・道塾学園に、
トップで合格した財前孝史。入学式翌日に、財前に明かされた学園の秘密。
各学年成績トップ6人のみが参加する
「投資部」が存在するのだ。彼らの使命は3000億を運用し、
8%以上の利回りを生み出すこと。それゆえ日本最高水準の教育設備を誇る
道塾学園は学費が無料だった!(amazon商品ページより引用)
「ドラゴン桜」
「エンゼルバンク」の三田紀房による
"投資"と"お金"をテーマにした漫画作品。
北海道の中高一貫校『道塾学園』を舞台に、
入学試験を満点で入学した
中学一年生の財前孝史が、
各学年で最も優秀な6人の生徒が
運営する投資部に入部し
巨額のお金を扱う投資の世界へ
足を踏み入れる姿が描かれています。
斬新な設定もさることながら、その見せ方が巧い
amazonのkindleストアで、
10巻まで無料公開という
太っ腹さにつられて読み始めた本作。
そして読み始めると
これがなかなかどうして面白く、
結果として10巻以降も継続して
購読することになりました。
本作はまず中高生が
何百億もの資産を運用するという
投資部の設定が斬新で目を引きます。
そして、その設定をベースに、
三田マンガお得意の
数字や論理、データを駆使した
説得力ある解説が加わることで、
漫画として面白いだけでなく、
読んで投資に関する基礎知識も身につく
有益な作品に仕上がっているのです。
インベスターZが扱う内容は
株、Fxといった基本的なものから
ベンチャー投資、不動産
生命保険までと幅広く、
特に私のような将来に不安のある
若年世代にとっては
どれも興味深いものばかり。
そして本書はそうしたテーマを
登場人物の投資対決や身近な家族の問題に
上手く絡めて描いているので、
読者も身構えることなく
自然体でお金の話題に入っていくことが
できるようになっています。
また、作中で紹介する各投資について
メリットだけでなくデメリットについても
可能な限りフェアな視点で
描こうとしている姿勢は非常に好印象。
投資の面白さだけでなく、
リスクについてもしっかり触れているので、
個人的には、一番お金について学ぶべき
小・中学生にも読んで欲しいと思えるくらい
内容としてかなり真っ当です。
総じて本作は、将来のために
お金の知識を持っておきたい大人にも、
将来に備えてお金について
勉強しておきたい学生にも、
そしてシンプルに面白い漫画を
読みたいという方にも、
自信を持ってお勧めできる一冊です。
BEASTERS 板垣巴留 全9巻 連載中
- 作者: 板垣巴留
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2017/01/06
- メディア: Kindle版
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マンガ大賞に輝いた新進気鋭の青春漫画
肉食獣と草食獣が共存する世界。
そこには、希望も恋も
不安もいっぱいあるんだ。チェリートン学園の演劇部員レゴシは、
狼なのにとっても繊細。そんな彼が多くの動物たちと
青春していく動物群像劇が始まる!!(amazon商品ページより引用)
本作は書店員を中心とした
有志による漫画賞、
マンガ大賞の第11回受賞作であり、
私もその評判を耳にして
この作品を読み始めました。
BEASTERSの描く世界は
狼や兔、犬、猫、鳥、ワニなどの
擬人化された動物たちが
人間よろしく社会的な生活を
営んでいるという、まるで
かのディズニー映画「ズートピア」を
彷彿とさせるようなもの。
しかしながら、ズートピアが
「差別」という社会的なテーマを
核心に据えていたのに対し、
本作は逆に「恋愛」という
個人的なテーマに
より比重が置かれています。
本能か愛情か?狂おしいほど繊細な心理描写に唸る
主人公のレゴシは
私立チェリートン学園に通う
内気なハイイロオオカミの高校生。
そんな彼が本来ならば捕食対象である
ドワーフラビットのハルに
恋をしてしまったことから
様々な騒動が巻き起こります。
狼の本能を抑えきれずに
ハルを食べてしまいそうになったり、
肉食の友人たちから誤解を受けたり、
ハルと一緒にいるだけで
周囲から後ろ指をさされたり…
レゴシはそうした経験を重ねる中で、
自分が感じている感情が
本当に純粋な愛情なのか?
それとも捕食本能が変形した
危険な欲望なのか?と思い悩むようになり、
そのいじらしい姿を見ているうちに、
結果として読者は自分自身のことのように
レゴシを応援せずには
いられなくなってしまうのです。
動物の本能と
思春期の性衝動を重ね合わせた
着眼点の独創性もさることながら、
読み手の自然な感情移入を促す
著者の巧みな心理描写は
見事という他ありません。
また、脇を固める
サブキャラクター達も魅力的で、
演劇部の花形役者ながら、
人知れぬ苦労を抱える
アカシカのルイや、
レゴシに一目惚れした
ハイイロオオカミの
正統派美少女ジュノ、
レゴシの想いに警告を与える
パンダの心療内科医など
個性的なサブキャラクターが続々登場し、
およそ3感を超えたあたりから
その面白さが一気に加速していきます。
このように、大胆な世界設定と
キャラクターの魅力が組み合わさって、
今一番目が離せない作品になっている
BEASTERS。
ラブコメとしても、
青春ものとしても、
社会派作品としても楽しめる、
文句なしにオススメの良作です。
イノサン 坂本眞一 全9巻 完結済み(続編あり)
- 作者: 坂本眞一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/05/15
- メディア: Kindle版
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残酷で美しい、自由と平等について考えさせられる歴史漫画
18世紀、「自由と平等」を望み、
現代社会の出発点となったフランス革命。その闇に生きたもう一人の主人公
シャルル-アンリ・サンソン。彼は、パリで死刑執行人を務める
サンソン家四代目の当主。その過酷な運命に
気高く立ち向かった“純真”を描く、
歴史大河の開幕──!!(amazon商品ページより引用)
「モートゥル・コマンドーGUY」
「孤高の人」の坂本眞一による、
フランス革命期の有名な処刑人
シャルル=アンリ・サンソンを
主人公とした歴史漫画。
第17回文化庁メディア芸術祭にて
審査委員会推薦作品に選出されています。
この作品については、
以前単独で紹介記事を
投稿していますので、詳細な感想は
そちらをご覧いただきたいですが、
あえてより端的に本作の
魅力を伝えるならばそれは、
「超画力」「丹念な考証」
「圧倒的なドラマ性」の
三点に集約されると思います。
読者を惹き込む画力とリアリティとドラマ性
その緻密な表紙絵からも見て取れるように、
本作の画力は、少なくなくとも
私がこれまで読んできた漫画の中では
確実に最高レベルに位置するものでした。
そして、その画力は
処刑行為の残酷さをより際立たせ、
本書が訴えかけるテーマ性に、
より一層の厚みを与える役割も
果たしています。
次に、時代考証については
衣服や食事から決闘の作法、
処刑の方法や段取りに至るまで、
現存する資料を元に正確に描写されており、
フランス革命期の混沌とした空気感が
非常によく伝わってきます。
ただ一方で登場人物の風貌は
軒並み耽美的に美化されており、
基本的に美男美女ばかり出てくるので
そこはもしかしたら
引っかかる人がいるかもしれませんね。
最後にドラマ性について。
処刑人の家に産まれながら
生来優しい性格の持ち主であり、
処刑人の仕事とこの世の不平等に
強い疑問を抱いて育った
主人公のシャルル。
作中ではその苦悩と葛藤が
これでもかと描き込まれており、
読者はそんなシャルルの立場から
生命の尊さや運命の理不尽さ、
そして平等な社会の意義について
様々なメッセージを汲み取ることができます。
私たちが今当たり前のように
享受している自由と平等は、
あまりに長い血塗れた犠牲の
歴史の上に成り立つものである…
そのことを改めて認識できただけでも、
本作は私にとって大きな収穫となる
読書体験でした。
ちなみに「イノサン」は
9巻で完結していますが、
その実質的な続編
「イノサン Rouge ルージュ」は
現在もヤングジャンプで連載中。
こちらはシャルルの妹
マリーが主人公となっており、
フランス革命に向けて
物語が大きく進行中です。
1日外出録ハンチョウ 萩原天晴 全4巻 連載中
- 作者: 福本伸行,萩原天晴,上原求,新井和也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/06
- メディア: Kindle版
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生きるって素晴らしい!今一番面白いギャグ漫画
地の獄…! 底の底…!
帝愛地下労働施設…!劣悪な環境である地下にいながら
「1日外出券」を使い、
地上で贅の限りを尽くす男がいた…!その名は大槻…!
E班・班長にして、
1日を楽しみ尽くす匠…!飲んで食って大満喫…!
のたり楽しむ大槻を描く、
飯テロ・スピンオフ第1巻‥!(amazon商品ページより引用)
福本伸行氏の代表作、
賭博破戒録カイジに登場した敵役の
中年男性大槻を主人公とする
スピンオフギャグ漫画。
その内容は、
地下強制労働施設の班長という
大槻の設定を活かして
グルメ × 物販ビジネス × あるあるギャグ
を散りばめた非常にゆる〜いもの。
大槻とその腹心の部下である
沼川、石和の三人が、
地下労働とビジネスで貯めた通貨
「ペリカ」で買える1日外出件を使って
グルメ三昧に興じたり、
カラオケや海へ遊びに行ったり、
旅行に出かける姿が描かれます。
と、設定自体はなんとも地味なのですが
そのギャグの切れ味は鋭く、
大人なら誰しも共感できる
食事時や人間関係のあるあるネタや、
原作設定を活かした
パンチのあるネタなどが目白押しで、
読んでいて思わずうなずいたり、
吹き出してしまうこともしばしばでした。
貧しくとも日々の小さな幸せを大事にする大槻たちに共感
また、本来であれば
借金地獄で悲惨な境遇にある
大槻たちが、様々な工夫や
発想の転換によって
最大限にエンジョイしようとする
その姿には、一人の人間として
思わず共感せずにいられないものがあります。
100円ショップで商品開発会議をしたり、
アンテナショップを巡って
各地の特産品に舌鼓を打ったり、
一人キャンプに出かけて、そこでかつて食べた
母のカレーを再現しようとしたり…
彼らのそんな姿を見ていると、
借金もなく自由なはずの
自分のほうがむしろ、
不自由な生き方をしているような
気がしてくるから不思議です。
このように本作は気楽に笑えて
読後は幸せな気分になれる
素敵な漫画であり、
個人的には今一番面白い
ギャグ漫画だと思っています。
できれば先に元ネタのカイジを読んでほしい
一つ気をつけたい点としては、
本作は原作未読の方でも十分楽しめますが、
やはりその面白さを最大限味わうには、
原作のカイジを読んでおいたほうが
良いということです。
- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: フクモトプロ/highstone, Inc.
- 発売日: 2013/07/25
- メディア: Kindle版
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こちらも、危険なギャンブルのスリル満点の
文句なしに面白い作品なので、未読の方はぜひ。
銀と金 福本伸行 全11巻 完結済み
- 作者: 福本伸行
- 出版社/メーカー: フクモトプロ/highstone, Inc.
- 発売日: 2013/07/20
- メディア: Kindle版
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シリアスな福本漫画の最高傑作
裏社会で頭脳と心理戦を駆使して
巨万の富を得ていく男達の
活躍を描いた賭博コミック。競馬でスッカラカンになってしまった
森田鉄雄(もりた・てつお)は、
平井銀二(ひらい・ぎんじ)に声をかけられ、
日当10万円の仕事を持ちかけられる。そして翌日、みかん箱10箱を運んだ森田は、
その箱の中には不正融資で得た
10億円が入っていると平井から知らされて……!?「カイジ」「アカギ」と並び称される
福本伸行の代表作の一つ。(amazon商品ページより引用)
福本漫画の最高傑作はどれか?
という話題になると、
必ずと言っていいほど名前の上がる本作。
その最大の魅力は
手に汗握る逆転劇の連続と、
それを成立させる
トリックの妙にあります。
作中で行われるギャンブルは
賭け額と同等の札束の上を歩き
本物の絵を見抜く『金の橋』や、
一試合で何十億もの金が動く青天井ポーカー、
負ければ地下に軟禁され
一生飼い殺しにされる西京麻雀など
どれも常軌を逸したものばかり。
そして、若さ以外
何も持たない森田鉄雄と、
裏社会のフィクサー
平井銀二の名コンビが
それらのギャンブルを
読む者の予想を超える方法で
次々と乗り越えていく様子は
この上なく面白く、
ページをめくる手が
止まらなくなることうけあいです。
無駄な引き延ばしも無し。ラストはちょっとあれだけど…
また、近年アカギやカイジなどで
その引き延ばし体質を批判されることも
しばしばある福本氏の作品ですが、
この銀と金に限って
そのような引き延ばしは殆どなく、
各エピソードが絶妙な長さで
それぞれ綺麗に完結している点も
非常に好印象。
実在の政治家をモデルにした
キャラ(伊沢さんとか…)が出てきたりして
時代背景に多少古さが感じられる点と、
打ち切りのようなラストが玉に瑕ですが、
それらを差し引いてもお釣りがくるほどに
面白すぎる珠玉のギャンブルマンガ。
スリルのある漫画をお探しの方や、
頭脳戦、心理戦の描写が優れた
漫画を読みたいという方は、
ぜひ本書を手にとってみてください。
ジョジョの奇妙な冒険(1部〜4部) 荒木飛呂彦 全48巻 完結済み
ジョジョの奇妙な冒険 第1部 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 荒木飛呂彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: Kindle版
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やっぱりこれは外せない
イギリス貴族ジョースター家の
一人息子・ジョナサン。紳士となることを目指し
不自由ない暮らしを送っていた。だがその生活は「侵略者」
ディオ・ブランドーの出現で一変。事あるごとにジョジョを陥れる
ディオの傍らには、石仮面が不気味にたたずみ……。
(amazon商品ページより引用)
自分の人生に多大な影響を与えた
という意味で、やはりこの漫画は
外すことができません。
思い出話になって恐縮ですが、
私が初めてジョジョを読んだのは中学生の頃。
当初私は、ジャンプの中で
明らかな異彩を放つその絵柄から
本作を食わず嫌いしていたのですが、
ある日、友達の濃いオタクの薦めを受け
恐る恐る第一部を古本屋で
手に取ってみることにしたのです。
しかし、いざ読み始めてみると
これが不思議と引き込まれるものがあり、
第二部を読む頃にはすっかり
お気に入りの漫画の一つになって、
スタンドバトルが本格化する
第三部中盤を読む段に至ると、
私は日々友人とスタンド議論を戦わせ
夜はファンサイトに入り浸る、
完全なるジョジョオタと化していたのです。
根性論で勝ち負けが決まらないことの衝撃
ジョジョの面白さを語る時
私が一番に挙げるのは、
頭脳と機転で勝ち負けが決まる
戦闘描写の面白さです。
これは、それまで「努力」や
「想い」や「覚醒」が勝敗を決める
一般的な少年漫画に慣れきっていた
当時の私にとって、
天地がひっくり返るような
衝撃であり、だからこそ私は
ジョジョという作品に
心底惚れ込むことになったのでした。
特に、スタンド戦も描き慣れた
第四部に至ると、その駆け引きの
面白さは頂点に達し、中でもラストの
吉良吉影(バイツァ・ダスト)戦のアツさは、
第三部ラストのDIO戦と並んで
今も漫画史に残る名勝負だったと思っています。
しかし、(自分にとって)最高なのはあくまで四部までだった
しかし、そんな私でも
ジョジョの全てを
手放しで褒めるわけではありません。
正直なところ、第五部に入ったあたりから、
スタンドバトルの複雑さが徐々に増し、
また勝敗の理由づけについても
それとなく無理を感じるものが
多くなってきます。
(キング・クリムゾンの能力や
レクイエムが起こす現象などは、
初読時かなり理解に苦しみました。)
そしてその傾向は
第六部でピークを迎え、
第五部に輪をかけて難解な
能力が続出するばかりか、
過去のスタンドの焼き直しのような
能力もいくつか見受けれられるなど、
この頃には素直に
バトル内容を楽しむことが
できなくなっていました。
続く第七部では
一度世界観のリセットが入り
題名もスティール・ボール・ランに
一新して心機一転を図ったものの、
結局はスタンドの設定や
過去の部の類似キャラ、
類似能力が登場する有様であり、
いくつか見所はあったものの
4部以前の内容ほどに
熱中することはありませんでした。
そして現行作の第八部は
より従来のファン向けの
傾向が強くなっており、
さらに個人的にいくつも
突っ込みたい部分があって、
単体の漫画作品として
非常にオススメし辛い状態です。
このような事情から、
本稿で私がおすすめするのは
1部〜4部までに限定しています。
多くの人に読んで貰いたいが、クセの強さは否めない
アニメ化に映画化と、
今ではすっかり人気漫画の
仲間入りを果たしたジョジョですが、
それでも本作が強烈に
人を選ぶ作風であることは変わりません。
この作品が持つ磁力に
吸い寄せられるか反発するか、
それは全て読み手次第と言えるでしょう…
寄生獣 岩明均 全10巻 完結済み
- 作者: 岩明均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
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シンイチ…『悪魔』
というのを本で調べたが…
いちばんそれに近い生物は
やはり人間だと思うぞ…他の動物の頭に寄生して
神経を支配する寄生生物。高校生・新一と、
彼の右手に誤って寄生したミギーは
互いの命を守るため、
人間を食べる
他の寄生生物との戦いを始めた。(amazon商品ページより引用)
生命とは何か?を問いかける究極のSF漫画
私と「寄生獣」の出会いは、
小学生の頃、ネットで見た有名な
『ぱふぁ』のコマのコラ画像が初で、
その頃の私は本作をちょっと変わった
グロ漫画程度に思っていました。
中身をきちんと読んだのは中学生の頃で、
古本屋で見かけた1、2巻を
何気なく購入したことがきっかけです。
しかし、そうして
内容に目を通してみると、
その独創的な寄生生物の描写や
ロジカルでシビアな戦闘描写、
そして何より、生命や倫理についての
重厚な哲学的テーマ性に触れ、
「これは俺が今まで読んできた漫画と
全く異質な面白さのある漫画だ!」
と電流が流れたような衝撃を受けて
全10巻を一気に読破するに至ったのです。
特に、人間と寄生生物の
友情と別れを描いた
ラストシーンは感涙必至。
読み始めた頃はただただ不気味だった
ミギーというキャラクターを、
物語の流れの中で
あれほど魅力的に昇華させた
作者の手腕に脱帽です。
原作版か、次点でアニメ版の鑑賞がオススメ。映画版は…
ちなみにこの「寄生獣」、
その根強い人気を物語るように
連載終了から20年後の2014年に
全二十四話でアニメ化されており、
さらに同年、前後編の二部構成で
実写映画化もされています。
ただ、映画に関しては、
一般受けを意識したと思われる
いくつかの改悪によって
本作の重要なテーマが
かなり希薄になってしまっているので、
今から寄生獣を楽しみたいという方は
全体の大まかな流れを拾えている
アニメ版(Huluなどで配信中)を見るか、
可能であれば原作コミックスの購入を
強くおすすめします。
ちなみに、岩明氏は現在
アフタヌーンでアレクサンダー大王の
書記官エウメネスを主人公とした
歴史漫画ヒストリエを連載中。
- 作者: 岩明均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
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私はこちらも追っていますが、
入念な時代考証と
岩明氏ならではの味付けが効いていて
かなり面白い作品に仕上がっています。
一つ残念なのは、単行本の
発刊ペースがちと遅いことですね…
(2003年開始で既刊10巻…)
攻殻機動隊 士郎正宗 全2巻 完結済み
- 作者: 士郎正宗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/10/05
- メディア: コミック
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大人気サイバーパンク作品の原作漫画
西暦2029年。
通信ネットワークに覆われ、
膨大な情報が世界を駆け巡っている
超高度情報化社会。しかし国家や民族、
そして犯罪は依然として存在していた。より複雑化していく犯罪に
対抗すべく結成された特殊部隊……
公安9課に所属する
その組織の名は、『攻殻機動隊』!1989年より「ヤングマガジン海賊版」に連載され、
緻密な物語構成と卓越した画力、
そして膨大な情報量で
大ヒットとなった士郎正宗作品!!(amazon商品ページより引用)
士郎正宗による、
義体や電脳などのテクノロジーが
高度に発達した近未来を舞台とするSFマンガ。
近年、スカーレット・ヨハンソン主演で
ハリウッド映画化されたことが
記憶に新しいですね。
さて、この
攻殻機動隊という作品については
原作の漫画版よりもむしろ、
1995年の押井守による映画版や、
2002年のProduction I.Gと
神山健治監督による地上波アニメ
「攻殻機動隊 S.A.C」で
その存在を知ったという方が
多いかもしれません。
実は私も、
小学生の頃にアニマックスで観た
攻殻機動隊 S.A.Cから
その世界に入ったクチであり、
漫画版を読んだのは
それよりしばらく後のことでした。
しかしながらそれでも尚、
攻殻機動隊という作品の
本当の凄さを知るためには、
この原作漫画を読むことを
避けて通ることはできないと
私は断言できます。
漫画界のオーパーツ
まず、この作品を読んで
私が一番に驚かされたのは、
1980年代末という
まだ一般家庭にインターネットすら
普及していない時代に、
あれほど緻密で斬新な
電脳世界を描いた
著者の慧眼でした。
作中に登場する光学迷彩や義体、
フチコマなどの各種技術には
全て科学的、合理的な理由づけがあり、
またそれらは宇宙論から工学、医学、
生物学、果てはオカルトに至るまで
幅広い分野に精通した著者の
膨大な知識量によって支えられています。
そしてその
緻密に構築されたな近未来世界に
様々な犯罪者、テロリストが現れ、
さらにそれらと戦う草薙素子ら
公安9課の面々が登場することで、
攻殻機動隊の物語が成り立っているのです。
作中最強のハッカー「人形使い」について
本作の物語の構成は
基本的に時系列に沿って進む
一話完結のオムニバス形式ですが、
もう一本、作品全体を貫く縦糸として
正体不明の最強ハッカー
「人形遣い」の存在があります。
人形遣いは決して人前に姿を現さず、
ネットを介して他者を操ることで
様々な事件を巻き起こします。
人形遣いの正体は
作中の終盤で明かされますが、
作中ラストで人形遣いと
草薙素子に起きるある展開は
その正体以上に衝撃的なものでした。
ネタバレになってしまうので
その詳細を語ることはできませんが、
それは「人工知能は魂(ゴースト)を
持つのか?」という本作最大の
テーマについて大きく切り込むものであり、
初読時は漫画でここまで
深淵なテーマを語りうるものなのかと
ただただ圧倒されたものです。
士郎正宗は本気で頭がおかしい(褒め言葉)
長くなってしまいましたが、
つまるところ私が言いたかったことは
「押井守や神山健治ももちろん凄いけど、
一番偉大だったのは攻殻機動隊の世界を
最初に作り上げた士郎正宗なんだぜ」
ということ。
今でこそAI技術が
もてはやされていますが、
当時、あそこまで深く
人工知能と人間の魂の
境界について表現したのは
世界広しといえども
士郎正宗ただ一人でしょう。
アクが強く難解で、
人によっては意味不明に思われがちな
この作品ではありますが、
世界のSF史に革新的な一歩を残した
偉大な作品として、
SF(と多少のエロ描写)に抵抗がなければ
ぜひとも読んでみてほしい傑作です。
バットマン キリングジョーク 全1巻 完結済み
バットマン:キリングジョーク 完全版 (ShoPro books)
- 作者: アラン・ムーア(作),ブライアン・ボランド(画),秋友克也
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2010/01/21
- メディア: 大型本
- 購入: 22人 クリック: 239回
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アーカム精神病院からゴッサム最凶の
犯罪王ジョーカーが消えた。脱獄に成功したジョーカーは、
ゴッサム市警本部長ゴードンを拉致し、
さらにその娘バーバラを刃にかける。フリークスの集まる遊園地で
繰り広げられる悪夢の饗宴……はたしてジョーカーを狂気に駆り立てる
過去とは何なのか?最悪の一日が幕を開ける…。
(amazon商品ページより引用)
アメコミ史に残る伝説的金字塔
前評判の良さと、
クールな表紙デザインに惹かれて
購入した大判のアメリカン・コミック。
作画はブライアン・ボランドで、
原作はウォッチメン、Vフォーヴェンデッタの
アラン・ムーアが担当しています。
その内容は、誰もが知る
人気ヒーローのバットマンと
その宿敵ジョーカーの対決と並行して、
ジョーカーの知られざる誕生秘話が
描かれるというもの。
鬼才アラン・ムーアがペンをとった
脚本構成は一切の無駄がなくスタイリッシュで、
ヒーローコミックらしい外連味は残しつつも、
善悪や運命というものについて
深く考えさせる哲学性も内包しています。
こんなにクールな漫画が他にあっただろうか?
そして、その優れた脚本を支えるのが、
作画担当のブライアン・ボランドによる
正確で力強い作画であり、さらにそこへ
こだわり抜かれた装丁の美しさも相まって
本書はコミックスの枠を超えた
アートのような風格すら漂わせています。
私自身、それほど
アメコミを読むほうではないですが、
このキリングジョークに限っては
3ヶ月に一回は読み返すほどの
お気に入りになりました。
一冊完結であり、
有名なバットマン&ジョーカー主演で
さらにその完成度の高さから
アメコミ初心者の方にも
自信を持っておすすめできる一冊。
ちなみに本書には
作画のブライアン・ボランドによる
同時収録の短編漫画
「AN INNOCENT GUY」が
同時収録されています。
こちらは、ブライアン・ボランド氏
本人が紙面に登場して、
ブラックなユーモアを交えながら
善悪について語るというもの。
こちらも、平和そうな顔をして
とんでもない計画を並べ立てる
ボランド氏と、作品内で〇〇される
バットマンの姿が印象深い、
なんとも記憶に残る一編でした。
風の谷のナウシカ 宮崎駿 全7巻 完結済み
- 作者: 宮崎駿
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1987/07/01
- メディア: コミック
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「火の7日間」とよばれる戦争によって、
巨大文明が崩壊してから千年。荒れた大地に腐海という死の森が広がっていた。
主人公・ナウシカのいる風の谷が、
恐ろしい巨神兵を使い腐海を
焼き払おうとするクシャナたちに侵略された。腐海の森と共に生きようとするナウシカと、
腐海を焼き払おうとする人々。だが、その腐海には、秘密があって……。
(amazon商品ページより引用)
誰もが知っている映画の、意外と知られていない原作漫画
月刊アニメージュにて、
1982年から1994年までの
足掛け12年の歳月をかけて連載された
宮崎駿氏による長編マンガ。
同名のアニメーション映画
「風の谷のナウシカ」の
原作に当たる作品でもあります。
おそらくこの記事を
読まれている方の99%くらいは
「ナウシカ」をご存じでしょうし、
実際に映画版を一度も
見たことのないという人の方が
少数派かもしれません。
しかしながら、
その原作である本書を読んだことがある、
という人は意外に少なく、
私的にこれは非常に
もったいない状況だと思うのです。
映画版は物語全体のほんの序章に過ぎなかった
というのも映画版ナウシカは、
原作の全七巻のうち二巻あたりまでの
内容しか扱っておらず、さらにこれから
面白くなるぞという山場の目前で、
足早にストーリーが完結しているのです。
(これには、映画の上映当時
まだ原作が完結していなかった
という事情がありましたが)
漫画版ナウシカでは
映画版にも登場した風の谷や
トルメキア、蟲たちに加え、
独自の宗教を持つ
部族国家の土鬼(ドルク)や
蟲を操る被差別者の蟲使い、
賢者のような森の人らが登場し、
それら勢力がお互いの目的のために
時に争い、時に手を組むなどして、
まるで現実世界の戦争のような
混沌とした情勢が描かれています。
そして、主人公のナウシカは
そのどこにも属さず、生命に対する
愛情という一点のみを行動原理とし、
各勢力の対立を調停して
より高次な答えへと導く指導者としての
役割を担っているのです。
作中では文明批判や
戦争の悲惨さ、支配者の愚かさなど
宮崎駿流の問題定義が繰り広げられ、
最終的にそれは、人間の生み出した
巨神兵"オーマ"と墓所という
2つの被造物へ収斂し、
物語は怒涛のラストを迎えます。
そのラストシーンにおいて、
ナウシカは人類の未来を左右する
ある重大な決断を下すのですが、
その是非については、
今もファンの間で議論が絶えません。
本作にはその柔らかなタッチに反して、
それを読むひとりひとりに対し、
ナウシカはこの道を選んだが、
果たしてあなたはどう考えるのか?
と、問いを突きつけるかのような
鋭さがあるのです。
このように本書は、
漫画の限界を遥かに超えた
遠大な思想的深みを持つ大作であり、
個人的に、今回ご紹介した
他の全てを差し置いてもまず
これを読んで欲しいと思えるくらい
一押しの作品です。
アニメ畑で培われた動きを感じさせる絵の迫力に圧倒。
また、そのストーリー性に加えて
宮崎氏は絵のうまさも尋常ではなく、
例えば蟲の大群が押し寄せる
シーンの圧倒的な書き込みや、
作者のミリオタ気質を感じさせる
各種軍用機の細密なディティール、
そして、アニメ映画としての
腕が存分に発揮された躍動感ある
アクションシーンの描写などは
読んでいて思わず息を飲んでしまうほどの
凄まじい迫力があります。
私は今まで、本書を何度
読み返したかわからないほどですが、
毎回読み絵終える度、
本当にこの人は天才なんだなぁと
しみじみ思い知らされています。
幸い、全七巻を
新品で全巻揃えても
3,000円前後という
大変お手頃なお値段ですので、
未読の方は是非一度
これを期に本作を
読んでみてください。
きっと、ナウシカや
宮崎監督に対する印象が
大きく変わるはずですよ。