ジョジョリオンはなぜつまらないのか

ジョジョの奇妙な冒険

f:id:ama46572222:20171231132105j:plain

こんにちは、daimaです。
本日はウルトラジャンプで連載中の
「ジョジョリオン」について
意見したいと思います。

前提として、私はかれこれ十年以上
『ジョジョの奇妙な冒険』という
作品を愛読し続けてきた一ファンであり、
当記事は作品をただ乏しめる
意図のものではありません。

ですがジョジョリオンについては、
私のような往年のファンにとって、
どうしても「おや…?」と
思う部分が少なからずあり、

今回はそのもやもやを吐き出す目的で
記事を投稿してみました。

最新刊17巻に見る疑問点

ジョジョリオン 17 (ジャンプコミックス)

ジョジョリオン 17 (ジャンプコミックス)

そもそも、私がこの記事を
書こうと思ったきっかけは、
最新刊17巻を読んで、
その後、上記amazonレビューに
目を通した時でした。

レビュー内容を分析すると
30件以上集まったレビューのうち、
星1レビューが3割
星2レビューが2割を占め、
現時点でのレビュー平均が2.5点という
異様な低評価。(記事投稿時点)

これは、これまでの
ジョジョリオンのコミックスの
評価平均と比較しても異様に低く、
「カーズっち」「ナランチャのUボート」
「九十九十九」などの舞城節で
ジョジョファンの脳をかき乱した
伝説的珍作ノベライズ、
JORGE JOESTARと同レベルの低評価です。

JORGE JOESTAR (JUMP j BOOKS)

JORGE JOESTAR (JUMP j BOOKS)

↑ネタとしてみれば面白い、舞城氏はある意味天才かもしれない

なぜ、17巻に限ってこうなのか?
その原因については、
レビュー内容に詳しく
目を通すことで見えてきます。

コミックスが薄い!

まず、薄い。
ページ数にして168ページ。
前巻の16巻は192ページ収録であり、
その差24ページ。
ソフト・マシーンの
攻撃でも受けたのでしょうか

つまり、実質一話弱分ボリュームが少ないのに、
コミックスの値段は同じ
なのです。

amazonレビューではこの点に対し、
「出せばどうせ買うんだろ?
というファンを舐めた心理が透けて見える」

という辛辣な指摘がありました。

…まぁ、実際私などは
その言葉通りページ数問わず毎回
コミックスを買ってるわけですが。

展開がワンパターンでマンネリを感じる

もっとも、コミックスが
多少薄い程度のことは、
ファンからすればそれほど
大きな問題ではないと思います。

思い返せば、SBR18巻など
同様に薄い巻はこれまでにも
いくつかあったわけで、
要は、多少冊子が薄かろうとも、
最終的に中身が十分に面白ければ
それでよかろう
というのが
読者としての素直な思いなのです。

しかし、ジョジョリオン17巻は、
その肝心の内容が、これまでに
指摘されていた悪い点を
全て詰め込んだかのような
内容だった
ことがいけませんでした。

まず目につくのが展開のワンパータンさ

「新たな敵スタンド使いが登場」

→「主人公、または味方が敵スタンドの能力に巻き込まれる」

→「的スタンド能力が起こす異常事態の描写」

→「主人公が苦戦しつつも機転でピンチを切り抜ける」

→「敵スタンド使いを倒す」

→「新たな敵スタンド使いが登場」…

ジョジョリオンは基本的に、
このパターンの繰り返しです。

このパターンを
17巻の内容に当てはめると…

「アーバン・ゲリラ&岩生物が登場」

→「定助&康穂が敵スタンドの能力に巻き込まれる」

→「ピンチを能力で切り抜ける」

→「アーバン・ゲリラ&岩生物を倒す」

→「新たな敵、プアー・トムが登場」

といった具合に説明できます。

もちろん、過去のジョジョも
大筋ではこのパターンに従うのですが、
展開の縦筋として
要所要所に物語を大きく動かす
イベントを挟むことで、
読者がマンネリを感じないように
することに成功していたように思えます。

例えば第四部であれば、
物語の中盤から吉良吉影という
物語を引っ張る大ボスが登場し、
第五部であれば、物語中盤で
ボスの娘の護衛から、
ボスの撃破に目的がシフトすると言った
物語の大きな転回がありました。

しかし、ジョジョリオンの場合は
その物語の展開が
いまいち弱く感じてしまうのです。
この点について、次の段落で
もう少し深く考えてみましょう

物語のゴールが一向に見えてこない

ジョジョリオンの場合、
17巻に至っても未だラスボスの正体はおろか、
その目的すら明らかにされていません。

他の部で17巻といえば、
SBRであれば、既に
ヴァレンタイン大統領との
決戦に入っていた時期であり、
そもそも六部以前であれば、
全て17巻以内でひとつの部が
完結していたものです。

ところが8部では、
岩人間という敵グループこそ
登場していますが、その規模や
組織の実態、そしてリーダーについてなど
読者が知りたい最大の謎が
一切明かされないまま物語が進んでいます。

17巻で新たに
登場したプアー・トムも
岩人間のリーダーなのか、
組織でどういう役割なのかなど一切不明。

過去作であれば、「DIOを倒す」、
「吉良を追い詰める」、「ボス(ディアボロ)を倒す」
、「プッチ神父を倒す」、
「レースに優勝する or 聖人の遺体を揃える」

といった明確な物語のゴールが
少なくとも物語の中盤には
明確に示されていました。

しかし、第八部にはそれがなく、
読んでいる側としては、
今物語が全体から見て
どの程度進んでいるのかわからず、
今ひとつモチベーションを
上げきることができないのです。

主人公、東方定助に感情移入しづらい

これは、完全な個人意見ですが、
ジョジョリオンの主人公定助は、
歴代ジョジョと比べると、
今ひとつ感情移入したくなる
魅力に欠けてしまっているように
思えてなりません。

その第一の理由は、
定助の目的に対して
いまいち共感し辛いという点です。

そもそも定助の目的とは、
作品序盤のうちは、
失った自分の記憶と
正体を見つけること
でした。

これが本人にとって
切実な問題であることは
理解できるのですが、
第二部の「祖父の世代の因縁と
人類の危機に立ち向かう」

あるいは七部の「レースに優勝して
無実の少年を救う」、「マイナスから
0に戻りたい」
という、
明快な動機に比べると、
どうしても強く心揺さぶられる
ということがありません。

中盤で自分の正体を知った後、
定助の目的は、吉良の母親であり、
仗世文の命の恩人でもある、
ホリィさんの命を救うことにシフトします。

「母親(恩人)の命を救いたい」
という目的自体は、確かに
シンプルで共感しやすいものです。

ですが、なにせ定助が
この決意をしたタイミングが
14巻も経過した物語中盤であり、
またホリィさんの人物描写や
定助、吉良との絆を感じさせる
サブストーリーも少なく、
物語を動かす動機としては
まだ足りないものがあるように
思えてしまいます。

ちなみに、母親を救うという目的は、
第三部の空条承太郎も同じでした。

ただしあちらは
三部当初から目的が明確になっていて、
さらにホリーさんの承太郎に対する
愛情が短いながらも
きちんと表現されていて、
さらに不良の承太郎が、
母のために立ち上がるというギャップもあり、
物語の動機としては
ジョジョリオンよりずっと
強力に機能していたように思えます。

名脇役、名悪役の不在

ジョジョリオンには、
今までの部には必ずいた
名脇役、名悪役が圧倒的に不足しています。

作中のバトルはほとんど定助が行い、
他はあったとしても広瀬康穂が
ちょろっと戦うか、東方常秀が
本筋に絡まないところで戦う程度。

しかも、バトルの比重が
定助に偏ることで、
必然的にソフト・アンド・ウェットが
万能にならざるを得ず、後述の
ソフト・アンド・ウェット万能すぎ
問題
にも繋がっています。

そもそも戦闘に向く味方が少ない

ジョジョリオンに登場するスタンドは、
おそらく意図的に戦闘に向かない
能力が多めに設定されています。

例えば東方家の面々を見ると、
大弥やつるぎの場合は
能力が限定的で戦闘描写が難しく、
鳩や常秀の場合は、
戦闘向きではあるものの、
性格上、定助とは利害があまり一致せず、
何かと本筋に絡む機会を逸しています。

長兄の常敏に至っては現状、
常助に敵対的な立場を取っており、
母の花都はまだ具体的な行動が
描写されていません。

東方家の家長憲助は、
一家の中では一番定助に協力的であり、
戦闘にも使えるスタンドを持っていますが、
立場上、家を離れて
定助と動き回ることは難しいでしょう。

また、仗世文を慕っていた作並カレラは、
スタンドが「毛を生やす」という
これまた戦闘向きでないことに加え、
自己中心的な性格であることから
やはりバトルに絡めることが
難しいキャラクターです。

定助のバトル、多すぎじゃない…?

上記のような事情に加え、
物語が定助の個人的な
目的によって動いていることから、
ジョジョリオンのバトルの大部分は
定助(とS&W)によるものとなっています。

1巻定助 vs 東方常秀
1巻定助 vs 笹目桜二郎
2巻定助 vs 東方大也
3巻定助 vs 虹村京
4巻定助 & 東方常秀 vs カツアゲロードの住民
6巻定助 vs 東方つるぎ(バトルと言えるかは微妙)
7巻定助 & 東方憲助 vs 八木山夜露
9巻定助 vs 東方常敏(クワガタ対決)
10巻東方つるぎ & 広瀬康穂 vs 大年寺山愛唱
11巻定助 & 作並カレラ vs エイ・フェックス兄弟
12巻定助 & 東方鳩 vs 田最環
14巻東方常秀 vs 苦竹財平(ミラグロマン)
15巻定助 vs ドロミテ
16巻定助 & 広瀬康穂 & 豆銑礼 vs アーバンゲリラ & 岩動物

参考までに、17巻までの
主要なバトルを列挙してみました。
(※巻数は戦闘開始時点基準、過去編は除く)

振り返って見ると、全体のうち
9割以上の戦闘
定助主体であったことがわかります。

これは、3部以降の
ジョジョシリーズと比較しても
圧倒的に高い割合であり、同時に
ヴァニラアイス戦やスポーツマックス戦、
じゃんけん小僧戦、リゾットvsディアボロ戦など、
脇役たちによる名バトルが
数々生まれてきたジョジョの歴史を思うと
かなりもったいない状況ではないか
と思えてしまうのです。

敵の使い捨て感が惜しすぎる

ジョジョリオンの
敵役といえば岩人間ですが、
彼らが敵として十分に魅力的であるか
といえばそれも疑問です。

人間と違う種族、という
不気味さはよく伝わってくるのですが、
現在のところその目的は「金儲け」
「人間社会に溶け込むこと」という、
どうにもこぢんまりしたものであり、
読んでいて、こいつらは
絶対に倒さなきゃヤバイ

思わせられる凄みに欠けています。

五部のホルマジオ
プロシュート兄貴、六部のリキエルのような
熱さがあるわけでもなく、
敗北=死という設定上、
同じく日常を舞台とする四部の
間田敏和山岸由花子のように
再登場して生活風景を垣間見せて
キャラを深掘りするといった機会もなく、
どうにも個々の印象が
薄くなってしまいがちです。

キャラのファッションセンスや、
チェリーコークが好き、
救心を愛用しているなどといった
細かいキャラ付けは
相変わらず秀逸なだけに、
こうしたキャラの使い捨て感
どうしても残念に思えてなりません。

ただし、ラスボス
未だ登場しておらず、
今後、DIOや吉良、
ヴァレンタイン大統領脳のような、
魅力あるラスボスが
登場する可能性は残されています。
そこにはまだ、期待したいところですね。

絵に”凄み”が感じられない

これは他処のレビュー内でも
よく聞かれた意見ですが、
最近のジョジョは絵がごちゃごちゃして
何が起こっているのか分かり辛い
という指摘があります。

ただ私の場合、ジョジョの絵が
見辛いのは今に始まったことではなく、
そこはそれほど気になりませんでした。

ですが、これはファンとして
あまり言いたくはないことですが、
主に七部中盤以降、絵から
ジョジョの持ち味でもあった「凄み」が
抜け落ちて、妙に淡白に
なってしまったように思うのです

ジョジョの奇妙な冒険 [函装版] JOJONIUM 7 (愛蔵版コミックス)

ジョジョの奇妙な冒険 [函装版] JOJONIUM 7 (愛蔵版コミックス)

これは、ジョジョ展のポスターや
最近の過去作のキャラ絵を見れば
一目瞭然であり、
例えばジョジョニウム表示のカーズなど、
ローマの地下遺跡ではなく、
新宿二丁目のバーを探したほうが
よっぽどエンカウントしそうな
細いオネエに成り果てています。

(もし、あのファッションで接客する
バー「柱の男」があったら
それはそれで面白そうですが…)

また、モブキャラの
杜王町の住民たちが、
軒並みできの悪いマネキンのような
虚ろで生気のない表情をしている
点も受け付けません。

ジョジョといえば、
味のあるモブキャラたちも
隠れた見どころであり、
例えば第四部であれば、
吉良の同僚や、ムカデ屋の親父
ジャミラ(莉央ちゃんの隣人)など、
今でも記憶に残る
生き生きとした名脇役たちがいました。

しかし、ジョジョリオンに出てくる脇役は、
カツアゲロードの住人や
常秀をリンチしようとした店長など、
性格が悪い上に可愛げがないという、
どうしようもないやつらばかりで、
読んでいてちょっとした不快感すら感じます。

(そのリアルな嫌さが狙いなのかもしれませんが…)

こうした変化を、
作風の変化として受け止めるのが
ファンとしては正しい姿勢かもしれませんが、
第三部後編から第五部にかけての
あのギリシャ彫刻のように美しい
絵に惚れた身としては、
今の枯れ木のような無機質な絵柄に対し、
一抹の寂しさを覚えずにはいられません。

主人公のスタンドが万能すぎる

ジョジョの醍醐味といえば、
手に汗握る頭脳戦と、
スタンド能力の駆け引きですが、
ジョジョリオンはこのスタンドバトルも
正直つまらないです。

その最大の原因は、主人公定助の
「ソフト・アンド・ウェット」の能力が
あまりに万能すぎるからでしょう。

そもそも、「奪う」能力
というのが抽象的であり、
「〜を奪った」と主張すれば
大概の状況が打開できてしまうため、
本当にこんな敵に勝てるのか!?という
緊迫感がなく、「どうせ奪う能力で
逆転するんでしょ」
という
予定調和的な印象を抱いてしまいます。

例えば、17巻のアーバン・ゲリラ戦を見ても、
・シャボン玉で定助の体重を支える描写には
さすがに無理があるのではないか?

・あれほどの大爆発を間近で受けて
なぜシャボン玉で防御できたのか?

・そもそも合体状態のアーバン・ゲリラに
シャボン玉を送り込めるなら、
なぜもっと早い段階で視力や聴力などを
奪っておかなかったのか?

などなど、様々な疑問が気になって
純粋にバトルを楽しめませんでした。

今更ジョジョのバトルに
突っ込むのは野暮かもしれませんが、
それにしても粗が多すぎはしないでしょうか。

あと、ヒロイン広瀬康穂の
ペイズリー・パーク。
あれもいただけません。

ペイズリー・パークの能力は、
「自分や他人を行くべき方向や場所に導く能力」
と作中で定義されています。

しかしそれは同時に、
「〜だから〜という行動をとり、
そして〜という結果を得て逆転」
というジョジョの頭脳戦の過程を
丸ごと台無しにしかねない能力であり、
理屈込みでバトルを楽しみたい私としては、
ペイズリー・パークの能力にる逆転は、
どうにも腑に落ちない、
ご都合感のあるものに映ってしまいます。

一方、レギュラーの一人である
常秀の「ナット・キング・コール」
触れた部分にナットを設置し解体でき、
違った物体同士を接続することもできる
という応用性の高い能力であり、
こういうスタンドこそ
バリバリ活躍して欲しいものなのですが、
いかんせん本体の常秀が
小物&ヘタレであり、
一向に強敵とのスタンドバトルを
魅せてくれる気配もありません。

「手綱に波紋を流して神砂嵐を封じる」

「イギーの砂を巻き上げて暗黒空間の軌道を読む」

「治す能力で敵の肉体を治し、追跡する」

「老化させる能力を自分に使い、
老人に変装しだまし討ちする」

などといった、かつて私たちを
魅了した熱い頭脳戦を、
スタンド能力を出す以上は
ジョジョリオンにも期待したいものですが、
もうそれは無理な願いなのでしょうかね…?

おわりに

以上、私がこれまで
ジョジョリオンを読んで感じた
不満点のすべてでした。
あくまでも個人的見解ですが、
全て率直な感想です。

色々とキツく書いてしまいましたが、
それでも、今後ジョジョリオンの
新刊が出ればやっぱり買うと思います。

好きなシリーズが、自分の好きだった頃と
かけ離れていく姿を見るのは辛いですが、
一ファンとして、作品が続く限りは
その動向をチェックし続けて
いきたいと思います。

ジョジョに興味があるなら以下の記事もおすすめ!

タイトルとURLをコピーしました