【評価・レビュー】『エルデンリング』はなぜゲーマーを惹きつけるのか?

ELDEN RINGのキャプチャPS4ゲームレビュー

発売から早2月ほどが経過した
フロムソフトウェアの最新タイトル『エルデンリング』(ELDEN LING)。

当ブログに訪れてくださっている方の中にも
エルドの王を目ざしてプレイの真っ最中という方は多いと思いますが、、
かくいう僕もまさにその状態で、
発売日に購入して以来というもの
リモートワーク中の休憩時間などをも費やしながら
毎日のように狭間の地を旅しています。

どこまでも広がるフィールドを霊馬で駆け抜け、
各所で待ち受ける難敵たちとギリギリの戦いを繰り広げる…

それだけでもう脳からやばい汁が出るほどの快感なのですが
ある時ゲームを終えてふと冷静になって思ったことは
「なんでこんなに楽しんだろう?」という素朴な疑問でした。

思えば僕ももう30歳。
親に隠されたゲーム機を自力で見つけ出してまた遊んでいた
あの頃の憑かれたようなゲーム欲はとうの昔に失われ
近頃では世間で話題になっているタイトルを
話題作りのために半ば義務的に遊ぶということが増えていた中で、
エルデンリングに関しては当時に限りなく近い気持ちで楽しめています。

このことは単に、エルデンリングの難易度が高いからだとか、
ゲーマー向けに調整がされているからとかいうだけではなく
もっと根本的な、ゲーム作りの思想的な部分に
何か理由があるように感じられてなりません。

そのようなわけで、本日は僕のプレイ感想をもとに
『エルデンリングがゲーマーを惹きつける理由』について、
『探索』、『発見』、『成長』の3つの観点を軸として
良い部分だけでなく悪い部分も含めて
余すことなくレビューしていきたいと思います。

※未プレイの方に配慮して、
ネタバレには配慮した内容にしていますが
最低限のキャプチャ画像などは掲載しているので
その点にはあらかじめご留意いただければと思います。

美麗な世界と尽きないイベント。探索の面白さで言えば間違いなく神ゲーの域だ

一口にオープンワールドと言ってもその実態はさまざまで、
中にはただ綺麗なだけ、広いだけで中身が希薄だったり
展開がワンパターンですぐマンネリを感じてしまうような
オープンワールドゲーも存在します。

ですが、エルデンリングは違います。
過去作品のそれとは比較にならないほど広大になったマップには
そこかしこに古びた遺跡やダンジョンへの入り口が存在し、
敵の配置や地形なども多種多様なので
プレイしていて全く飽きるということがありません。

ELDEN RINGのキャプチャ

ELDEN RINGのキャプチャ

ELDEN RINGのキャプチャ

ELDEN RINGのキャプチャ

とりわけ今作で僕がゾクゾクするのが、
以下のキャプチャのように遠くに
今まで見たこともない巨大な敵を発見したシチュエーションです。

ELDEN RINGのキャプチャ

近づいたらどうなるのか…
今の自分で勝ち目があるのか…
そんなことを考えながら
恐る恐る距離を詰めていく瞬間の緊張感は
エルデンリングの最大の醍醐味の一つだと思います。

ELDEN RINGのキャプチャ

また、イベントといえば本作はNPC関連のイベントもかなり豊富。

マップ上で出会えるNPCのお願いを聞いてあげたり
特定の条件を満たすことでイベントが進み
貴重なアイテムが入手できたりするのですが、
そのどれもがフロムらしく一癖も二癖もあるキャラクターばかりで、
彼らのバックグラウンドを想像するだけでも楽しくなります。

禍々しさと美しさの同居した美麗なグラフィック

エルデンリングの舞台となるのは
狭間の地と呼ばれる場所なのですが、
このマップ造形がなんというか、
フロムの本気を感じさせるものすごいクオリティとなっているのです。

ELDEN RINGのキャプチャ

ELDEN RINGのキャプチャ

ELDEN RINGのキャプチャ

まるで映画『ロード・オブ・ザリング』や
ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を彷彿とさせる造形美。

ちなみに『ゲーム・オブ・スローンズ』といえば
その原作小説である『氷と炎の歌』シリーズを書いた
ジョージ・R・R・マーティンがエルデンリングの
世界設定に参加していることも有名ですね。

また、今回は移動手段として霊馬トレントが加わったことで
広さ、高低差ともに過去のフロムゲーとは
比較にならないほどパワーアップしており
プレイしているとあまりの迫力に息を呑んでしまうこともしばしば。

グラフィックの美麗さだけでいえば
他にも並ぶゲームはあるかと思いますが、
ゲームの風景に圧倒された体験は
後にも先にもこのエルデンリングだけです。

さらにグラフィックに関してもう一つ付け加えると、
ソウルシリーズに近いプレイ感を持つエルデンリングでは
戦闘の際に地形や障害物を活かした立ち回りが重要な戦略となっていて、
こうした地形のバリエーションの豊かさは
バトルに複雑性や戦略性を付与する上でも役立っています。


▲有利な位置から狙えば強敵にも無傷で勝てるかも?

育て方も攻略ルートもプレイヤー次第!ここまでやるかという自由度の高さに驚いた

僕がエルデンリングをプレイしていて
もう一つ感心させられたことが
圧倒的なプレイの自由度の高さでした。

RPGなので、ある程度の攻略順序は決まっているのですが
それ以外の攻略順序はプレイヤー自身が決めることができます。

初期レベルの状態で
適正レベルが70とかのエリアに突っ込むこともできますし、
なんなら最初のエリアの大ボスを放置して
他のエリアの大ボスを倒すなんてことも自由にできます。

また、ストーリーを進める上で
倒さなければならないボスというのが
実はゲーム全体から見ればほんの一握りであって
それ以外のほとんどのボスは
別にスルーしても良いというのも特徴的ですね。
(この辺りはダクソやSEKIROやブラボからそうでした)

フロムゲーといえばこれ!育て方自由なビルド要素が面白い

ソウルシリーズから続く
フロムゲー恒例のレベルアップ&キャラビルドシステムはエルデンリングでも健在です。

レベルアップは敵を倒すともらえる
ルーンをレベルに応じて消費して行えるのですが、
その際にどのパラメータを強化するかは
プレイヤーが自由に選ぶことができるのです。

ELDEN RINGのキャプチャ

ちなみに選べるパラメータは以下の8通り。

  • 生命力
  • 精神力
  • 持久力
  • 筋力
  • 技量
  • 知力
  • 信仰
  • 神秘

どのステータスをどの配分で上げるかによって
装備できる武器や使える技(魔法)が全く違ったものになり、
この辺りの試行錯誤もまた醍醐味の一つと言えるでしょう。

僕はPVでの魔法の格好よさに惹かれて
純魔(知力をメインに鍛える)でビルドしていますが
2週目はいろんな武器が装備できる
筋力系のビルドを目指したいと目論んでいます。

補足 : 自由度が高いと何が嬉しいか

エルデンリングのように
自由度の高いゲームで嬉しいことの一つは
プレイバリューが増えることです。

フロムゲーは周回を前提にした作りになっていることが多いですが、
プレイの仕方や後述するキャラビルドを変えることによって
周回でも新鮮な気持ちで遊び直すことができるんですよね。

そしてもう一つ嬉しいのが
エルデンリングの世界に対する没入感が増すことです。

行こうと思えばどこへでも行けるけど、
そこで何が起きるかはわからないし、
起きたことは自己責任というのは考えてみれば現実と同じであり、
このことがエルデンリングの世界を
現実にあるもののように感じさせることに一役買っています。

こうした工夫によってプレイヤーは
まるで自分が狭間の地を探検してその場で起きたことを
体感しているようなリアルなゲーム体験ができるわけですね。

新機軸!遺灰(霊体)を駆使した擬似協力プレイが生み出す戦略性

エルデンリングを語る上でもう一つ外せないのが
本作で初めて導入された遺灰(霊体)システムです。

これは、道中で手に入る各種遺灰を
FPを消費して使用することで霊体を召喚し、

仲間として一緒に共闘できるというもの。

ELDEN RINGのキャプチャ

ELDEN RINGのキャプチャ

NPCを呼んで助けてもらうという意味では
ダクソの白霊NPCに近いシステムではありますが
遺灰の場合は呼び出すNPCを自分で好きに選べたり、
ボス戦以外でも呼べる場面があったりと
より自由度が高い仕様になっています。

霊体は基本的にあまり攻撃力の高くないものが多いですが、
何より敵のターゲットになって攻撃を逸らしてくれるのが便利で、
あるとなしとでは攻略難易度に大きな差が出ます。

また、遺灰によって呼び出されるNPCの数や
戦い方、機動力などが全く違うので、
場面ごとに有効な位牌を探る面白さもあります。

コミュ障でも安心な非同期オンライン要素も健在

ソウルシリーズからの伝統となっている
非同期オンライン要素はエルデンリングでも健在です。

PSオンラインに加入していれば、
他プレイヤーの行動が幻影になって見られたり、
どこで死んだかが血痕となって見られたり、
あとはおなじみのメッセージも見られますし
自分で残すことももちろんできます。

ELDEN RINGのキャプチャ

特にこのメッセージは
エルデンリングをプレイするならぜひ体験したいところ。

待ち伏せや隠し通路のあるところでは
それを教えてくれるメッセージが残されていることが多いので
攻略をスムーズに進められるようになります。

一方で中には落ちたら死ぬ崖の際に
「この先に貴重なアイテムがあるぞ」という
メッセージを書いて転落を狙ったり
隠し通路がないのに隠し通路があるぞという
メッセージを残す愉快犯が少なからずいるのも
ソウルシリーズからの変わらぬ伝統ですね。

エルデンリングのここがイマイチ!?

ボスの再戦がめんどくさい問題

フロムゲーは死に覚えが基本にも関わらず
再戦が妙に面倒臭い奴らがしばしば存在します。

死に覚え必死の大ボスなのに
祝福からボス部屋までが妙に遠いとか、
ボスの第一形態を倒してからやられた場合に
また第一形態からやり直させられるだとか…

それとおんなじような問題を抱えたボスが
エルデンリングにもチラホラ存在します。

再戦が面倒臭いというのは、
負けた時のリスクという意味で無意味ではないかもしれないですが
あまりに負けが混むと
プレイしていて無駄な時間にしか思えなくなってくるので
ここは人によっては結構なストレスポイントになるのではないかと思いました。

まぁそれでも例えば初代ダークソウルあたりと比べると
本作ではリスポーン地点のマリカ像が存在していたり
祝福の配置も多めになっていたりで
かなり快適にはなっている方ではあるんですけどね…

PS4版だと大量の敵が出てくる場面でよく処理落ちする

僕はPS4版でプレイしているのですが、
大量の敵が一度に沸くような場面では
必ずと言っていいほど処理落ちが発生し、敵の挙動がカクカクになりました。

そのために難易度が上がるということはないので
気にしなければどうということもない点ですが、
人によっては残念に感じるかもしれませんね。

SEKIROあたりと比べると戦闘のバランス調整は若干大味かも

これは仕方ないことなのですが、
エルデンリングは選べる武器や戦術の幅が広い分
同じフロムゲーのSEKIROなんかと比べると
戦闘バランスという点ではやや大味な部分があります。

例えばとあるボスが柱に引っかかってプレイヤーのところに来られず、
その間に遠くから遠距離魔法をちまちまぶつけるだけで倒せてしまって拍子抜けしたり、
逆にゲーム中盤以降の敵の攻撃力が高すぎて
こっちが即死するのが半ばデフォになって辛くなってきたり…

少なくともSEKIROみたいに
ボス一体一体に対して
完璧に緻密な調整がなされているわけではないので(水中の首無し?聞こえんなぁ)
そこは期待しすぎないほうが吉でしょう。

また、チキン戦法が許されているというのは、
見方を変えればアクションが得意ではないプレイヤーへの
救済と言えなくもないですしね。

全体的に人を選ぶ作風なのは相変わらず

発売前から大いに注目され、
早くも国内出荷が100万本を超えたエルデンリングですが、
人を選ぶゲームであることは
従来のフロムゲー同様に変わっていないように思いました。

説明を最低限に省き、プレイヤー自身に想像させるストーリー性、
リアルでグロテスクなキャラクター造形、
死んで覚えることを前提とした難易度設計、
暗く、退廃的で、殺伐とした世界観。

そのどれもが特に日本におけるゲームのマーケットの主流とは正反対のもので、
苦手な人ははっきり苦手だと感じるタイプのゲームだと思います。

もっとも、ブランド的に考えれば
下手にマジョリティに迎合して中途半端な内容になるほうが最悪なわけで、
そういう意味でエルデンリングがフロムらしさを全開に出した作品に仕上がったことは
全く喜ぶべきことだったと思います。

まとめ エルデンリングは世界観とゲーム性に拒否反応がなければ100時間は軽く遊べる神ゲーだ!

お世辞にも万人ウケするとは言えませんが、
エルデンリングはこれまでのフロムゲーの伝統を受け継ぎながらも
数々の要素を加えて全く別の次元に昇華させた素晴らしいゲームだと思います。

過去のフロムゲーで悪かった部分も
かなり意識的に改善されているので
フロムゲー入門編としてもおすすめできる一作です。

  • フロムゲーが好き
  • ロードオブザリングやゲームオブスローンズの世界観が好き
  • 重厚な世界観にどっぷり浸れるようなゲームが好き
  • 歯応えのあるアクションゲームが好きで死に覚えゲーに抵抗がない

もしあなたが上記のいずれかに当てはまるならば、プレイして絶対に損はないでしょう。

逆に次のような場合にはちょっと注意が必要かもしれません。

  • ストーリーはわかりやすく感動できるほうが好き
  • 次に何をしたらいいのかわかりやすく示してくれるゲームじゃないと楽しめない
  • 怖いゲームや殺伐としたゲームが苦手
  • ゲームは基本的に攻略サイトを見ながら効率よく進めたいほうだ

特に最後の点に関して言えば、
本作は『前情報なしで』遊べるかどうかが
プレイ体験に大きな影響を及ぼすタイプのゲームですので、
プレイ前の情報収集は極力最低限に抑えることをお勧めします。

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