【SCP財団】その芸術、危険につき。Are We Cool Yet?が登場する面白い報告書10選

Are We Cool Yet?のロゴSCP

はじめに

SCP財団の要注意団体の1つ、
Are We Cool Yet?関連の報告書の中でも
特に高い評価を得ている10本をご紹介します。

SCP財団

Are We Cool Yet?とは?

Are We Cool Yet?(以下 AWCY)
"Cool"であることを何よりの至上価値とする
アナーティスト(異常芸術家)の集団です。

日本語に訳すなら
「俺たちはまだクールか?」
といった意味合いでしょうか。

彼らは自分達の創作物を
あえて人目につきやすい場所に
"展示"することが多く、
そのたびに多くの市民が
生命に危険に晒されています。

とはいえそうした行為はあくまでも
彼らにとっての"Cool"を追求するための手段であり、
中には暴力的行為を好まないメンバーも存在しているようです。

Are We Cool Yet?のキャラクター性について

AWCYはカオスインサージェンシーなどとは異なり、
財団の敵とも味方とも言い切れない存在です。

彼らの目的はあくまでも"Cool"の追求であり、
その目的のためなら財団と敵対することも、
逆に協力することも厭いません。

全体的に愉快犯的な、
トリックスター的なキャラ付けがなされることが多い印象で、
GOIの中でも特にミステリアスな存在です。

Are We Cool Yet?の技術力について

最終的にはヘッドカノン次第とは言え、
いくつかの報告書に見られるAWCYの"作品"の中には
下手をすれば財団すら壊滅させられそうな物騒な代物や
1つの世界を丸ごと創造したのではないかと思われるものも含まれており、
その潜在的なポテンシャルは計り知れないものがあります。

それに加え、組織自体が独特の行動原理を持つ上に
メンバー間の意思の統一も希薄なため
次にどんな行動を見せるかの予測がしづらく、
財団にとっては下手な敵対組織よりも厄介な存在と言えるかも知れませんね。

Are We Cool Yet?が登場する高評価な報告書まとめ

SCP-368-JP - Are You Really Cool?

私はそれを、たった一つの残された方法だとは思わない。
冴えたやり方とも思わない。

SCP-368-JP - SCP財団

ある芸術家が入居していたアパートで発見された、
認識災害を引き起こす複数の芸術作品についての報告書。

AWCYの誘いに対し、
最後の最後で自分の信念を選び取った
芸術家の生き様に胸を打たれました。

そもそも、人を傷つけたり殺したりする作品を
芸術と称して憚らないような連中が
本当に"cool"なわけないんだよなぁ…。

SCP-892-JP - ミス・げいじゅつはばくはつだ ヴァンダリズムに反逆を

芸術は爆発だ、ああそうかい、ならお前の作品も爆発してしまえ、糞野郎

SCP-892-JP - SCP財団

人間の女性の声で会話ができる、
体長10cmほどの粘土像についての報告書。

このアノマリーの誕生には
AWCYともう一つ、「博士」という別の要注意団体が関わっており、
報告書を読み進めることでその真相を知ることができます。

それにしても、
成り行き上とはいえあのAWCYが
相対的に善玉に見えてしまうとは、
博士の胸糞ぶりは圧倒的すぎですね。

SCP-1414-JP - 希望

願わくば、また夢を語り合ったあのカフェで。

We can become cool.

SCP-1414-JP - SCP財団

AWCYの元メンバーである
ミクス・オミクスなる人物の邸宅についての報告書。

その敷地内からは辛辣な批評が添えられた
複数の異常物品(SCP-1414-JP-1)が発見されたほか、
同じDNAを持つ複数の人骨が埋葬された
複数の墓地も発見されています。

肝心のオミクス氏は行方不明であり、
全ての真相は残された状況から推測するしかありません。

果たしてあなたは
この謎を解くことができるでしょうか…?

最後まで読んだけど意味わかんなかったよ、という方へ▼

ディスカッションにもネタバレがなかったので
参考までに私なりの考察を記しておきます。

---

ミクス・オミクスはAWCYの元メンバーだったが
そこで芸術家として成功することができず哲学者に転身した。

そんな経緯もあり、
彼は兼ねてから芸術家の成功が
生まれ持った「才能」だけで
決まるかどうか確かめたいと考えていた。

オミクス氏と違い"芸術家"として
成功を収めていたAWCYの現役メンバーの中にも
これと同じ疑問を抱くものは複数いて、
彼らの協力のもとオミクスはある実験を行うことができた。

それは、協力者たちのDNAから
複製したクローン人間に芸術作品を作らせ、
その出来栄えを確かめるというもの。

もし出来上がった作品が優れていれば
芸術家の能力は才能で決まるといえるし、
逆につまらないものであれば
才能だけでは決まらないといえる
とオミクス氏は考えたのだった。

ちなみにこのクローン説の
根拠となるのは以下の部分。

SCP-1414-JPの敷地内には7基の墓標が建てられており、それぞれ"A.G.","M.V.","E.R.","R.H.","L.N.","K.B.","T.R."と刻印されています。各墓標が立てられている場所からは数十体の遺骨が発見されました。DNA鑑定の結果、これらは墓標ごとに1人分のDNAパターンしか存在していないことが特記事項として挙げられます。

A.G.、M.V、E.RなどはDNAを提供したメンバーのイニシャル。
遺骨の主はオミクス氏が作成したクローンの成れの果て。
墓標ごとに1人分のDNAパターンしか存在していなかったのは
そこに埋められていたのが全て同じDNAから
複製されたクローンだったからと考えれば辻褄が合う。

そして、そう考えるのであれば
SCP-1414-JP-1こそが
クローンの作った作品ということになりますが、
それらに添えられていた批評は主に次のようなものでした。

観客のことを考えない独善的表現でしかない。

メッセージ性も何も感じられない駄作以下のゴミ。

あの彫刻師スカルプターがこんなバカをやるとは貴重な収穫だ。

オミクス氏によると思しきこれらの批評は
見ての通りボロクソにこき下ろすものばかりであり、
それはつまり、先の仮説に則れば
「芸術家の能力は生まれ持った才能だけでは決まらない」という
結論を意味することになります。

果たしてこの結果がAWCYに
どういう衝撃を持って迎え入れられたかについては
報告書末尾のオミクス氏と
他メンバーとのやりとりの中に生き生きと記されています。

多くの仲間たちが君の研究をずっと見てきた。君の研究は、私たちの世界を大きく揺るがしかねないものだからだ。皆が胸に抱きつつも、決して口に出すことのなかった問いに真摯に向き合った君を尊敬する。
批評家クリティックを筆頭に、画家ペインター、彫刻師スカルプター、剪定屋クリッパー、構築者ビルダー、作曲家コンポーザー、監督ディレクター……名だたる芸術家たちが君を支援したのは、君の情熱に揺り動かされたからだろう。

そして、ついに君はデュシャンやマルコスに並ぶ革命を起こした。
あの駄作の集合は、私たちにとっての希望だ。
「生まれ持った才能などない」。その証明が、私を含め多くの仲間たちが置いていたペンを、あるいは筆を、再び握る勇気をくれたんだ。
きっと今ごろ、君もそうしているに違いない。

これから史上2度目の、最も激しい芸術の戦争が始まるだろう。

つまり、SCP-1414-JPの真相は
AWCYの元落ちこぼれが
人間のクローン複製という禁忌に手を出してまで
哲学的問題の追求を続けた結果、
AWCYの価値観を根底から揺るがすほどの
インパクトを与える成果を得ることに成功した物語だった
というのが私の考察の要旨になります。

それを踏まえると、メタタイトルに冠された
「希望」の二文字に込められた意味が
非常に重く深いものに感じられてきますね。

SCP-1699-JP - 去り行く者たちへの卒業証書

Somehow I am cool yet.

SCP-1699-JP - SCP財団

AWCYメンバーの自宅から回収された
卒業証書入れのようなオブジェクトについての報告書。

深く考えずに読み進めていると、
"夢を諦めない"的ないい話だったなーと
流されてしまいそうになりますが、
冷静に見れば社会に害をなす危険人物が
再び野に放たれたに過ぎず、
実際のところ全くハッピーエンドではないのがアレですね(笑)

SCP-2113-JP - そして目を閉じた

これは全ての俺の終焉だ。そして銃砲で幕を上げる俺のいないcoolな世界だ。

SCP-2113-JP - SCP財団

ある人物の多次元同位体※を
殺傷し続ける銃弾についての報告書。
(※平行世界の自分のこと)

このお話を最後まで読んで私が抱いた感想は
病的なネガティブ思考ほど
恐ろしい毒はないな、というものでした。

SCP-2635 - アッツアツのポテト

おいおい、それはズルいよ。あなたたちはそれを誰かに渡して、皆で回すことになってるんだからさ! Coolじゃないね。

SCP-2635 - SCP財団

AWCYが作り出したヤバすぎるじゃがいも。

こんなものを平気で作れるってことは
もしかしてAWCYってGOIの中でも最強格なのでは…?

元ネタ▼

元ネタはホットポテトゲーム。

スミセイアフタースクールプロジェクト

ポテトを複数人で回す、
最後に持っていた人が負け
という点に類似性が見られますね。

SCP-5218 - プリコンセプション II

金属製引出しの中に何らかの物品(複数可)を配置してから閉めると、その物品は内部に落下し、SCP-5218は一定時間 — 通常は数秒から1分程度 — 振動した後、取出口に1個の物品を排出します。

SCP-5218 - SCP財団

全ての面に“怪奇部門所有”という文言が型押しされた、
投入口付きの機械装置についての報告書。

最初にこの報告書を最後まで読んだ時は、
本当に「やられた!」って感じでしたね。

報告書をたくさん読んできた人ほど
気持ちよく引っかかるんじゃないでしょうか。

SCP-280-FR - 明くる日の動物たち

時代遅れになり、世界は死んだ
これはその景色だ

SCP-280-FR - SCP財団

人間と動物の立場が逆転した世界についての報告書。

この世界もまた、AWCYの作品だったのだろうか…

SCP-2635と並んで
AWCYのポテンシャルの底知れなさが窺える内容でした。

SCP-2999-JP - アノマリー・ハラスメント

SCP-2999-JP - SCP財団

確かにCoolだけど、ここまでやるかフツー?

異常性のない動物群がなぜか
財団の職員として大量に雇用されていた…
という奇妙な事態を契機とする一大騒動の顛末を描いた報告書。

SCP財団という組織に内在する
ある種のタブーに切り込んだ内容となっており、
疑心暗鬼によって組織が崩壊していく様子が
生々しいリアリティをもって綴られています。

どんなに科学が発展しても
人間が人間である限りその心の弱さから
逃れることはできないということなんでしょうかね。

おわりに

本日はAre We Cool Yet?が登場する報告書のまとめをお送りしました。

財団の存在を意に介さず、
自分たちの美学だけを行動基準としているところが
他のGOIとは一線を画していて、魅力的な集団でしたね。

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

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