- はじめに
- 強欲な壺
- ハンデス三種の神器
- 苦渋の選択
- ファイバー・ポッド
- ラストバトル!
- 処刑人マキュラ(エラッタ前)
- 悪夢の蜃気楼
- 魔導サイエンティスト
- ヴィクトリー・ドラゴン
- 混沌帝龍 -終焉の使者 (エラッタ前)
- 次元融合
- 未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
- ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)
- No.16 色の支配者ショック・ルーラー
- 甲虫装機(ダンセル、ホーネット、センチピード、グルフ)
- 征竜シリーズ
- 魔導書の神判
- ソウル・チャージ
- 旧神ノーデン
- Emヒグルミ
- EMモンキーボード
- 十二獣モルモラット & 十二獣ブルホーン
- 真竜皇V.F.D.
- トポロジック・ガンブラー・ドラゴン
- 超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ
- ティアラメンツ・キトカロス
- クシャトリラ・フェンリル
- おわりに
はじめに
1999年に原作漫画から現実に飛び出した
遊戯王オフィシャルカードゲーム(以下OCG)は
2000年代前半に社会現象を巻き起こし、
当時少年だった今のアラサー世代男子の多くを熱中させた。
それから早20年余り。
その間もシリーズは継続を続け、
今では裕に10,000種を越えるカードが存在している。
しかし、それだけ歴史を重ねれば
時には「過ち」が起きるもの。
定期的にゲームバランスを著しく崩すカードや
環境を独占するテーマが出現し、
その度にリミットレギュレーション(旧 禁止制限リスト)で
禁止カード扱いにされて…というのが
遊戯王における一種の恒例行事となっている。
そして今回スポットライトを当てるのは
そんな禁止/制限カード群の中でも
特に環境に大きな爪痕を残した
所謂「ぶっ壊れカード」たちだ。
大量ドロー、ハンデス、先行制圧、1キル、
あるいは遊戯王の別ゲー化など罪状は様々だが、
そのどれもが当時物議を醸したカードばかりなので
少しでも遊戯王を齧った経験があれば
1つは懐かしく思えるカードがあるのではないかと思う。
また、ルール上のややこしい点や
近年になって導入されたシステムに関しては
なるべく細かい注釈を入れるよう心がけたので、
昔は遊戯王やってたけど今は全然…
という方も読み物感覚で気軽に読んでもらえれば幸いだ。
それでは、行ってみよう。
強欲な壺
《強欲な壺/Pot of Greed》
通常魔法(禁止カード)
(1):自分はデッキから2枚ドローする。
全てのドローカードの祖にして
今なお最強のドローソース。
マナの概念がなく、基本的に
引いたカードがすぐに使える遊戯王において
ノーコストで2枚のカードを引けるこのカードは
実質的に1枚で他のカード
2枚分の働きをすると言って差し支えない。
運が悪いと不要なカードを
2枚引き込んでしまう可能性があったり
デッキ切れが早まるなどのデメリットはあるが
そんなものは2ドローの魅力に比べれば些細なものだ。
しかしながら、果たしてこのカードは
本当に禁止カードに指定されなければならないほど
凶悪なカードだと言えるだろうか?
その理由を考えるとき、
大事なポイントとなるのが
「デッキ構築の多様性」という概念だ。
このカードが存在することで
何が一番ゲームにとって害であるかといえば
それはほぼ全てのデッキにとって
「このカードを入れない理由がない」という点にある。
実際、強欲な壺がまだ制限だった2006年以前は
強欲な壺を入れないデッキというのはまずあり得なかったし、
当時の大会のデータを見ても、
まず間違いなく全てのデッキで強欲な壺は採用されていた。
しかしそれは言い換えれば
デッキの構築枠が強欲な壺を入れられる枠分だけ
最初から減っているようなものであり、
各々のプレイヤーが独自の工夫を凝らした
多種多様なデッキが競い合うという
TCGの理想的なゲーム環境を損なうことを意味するのだ。
また、極端なパワーカードの存在は
「そのカードを(引けたから勝った/引けなかったから負けた)」
という理不尽感をプレイヤーに与えることにも繋がりかねない。
このロジックは強欲な壺に限らず、
今後紹介する多くの禁止カードに当てはまるパターンであり、
TCGにおける一つのタブーだと言えるだろう。
さらにいうとこの強欲な壺に関しては
「貪欲な壺」や「強欲で貪欲な壺」などの
下位互換カードが既に多数世に出ていることから
今後の規制緩和に関しては
最も可能性が低い1枚だと言わざるを得ない。
《貪欲な壺/Pot of Avarice》
通常魔法
(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。
そのモンスター5体をデッキに戻してシャッフルする。
その後、自分はデッキから2枚ドローする。
《強欲で貪欲な壺つぼ/Pot of Desires》
通常魔法(準制限カード)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
一方で、良くも悪くも
黎明期の遊戯王を象徴する一枚であることからか
グッズ化の機会には恵まれており、
2020年にはまさかの
陶器版 強欲な壺が発売されていたりもする。
実際のデュエルで使われることはなくなっても
こういう形で人々の記憶に残り続けられるなら
それはそれでこのカードにとっては幸せなことなのだろうか…。
ハンデス三種の神器
《押収/Confiscation》
通常魔法(禁止カード)
1000ライフポイントを払って発動する。
相手の手札を確認し、その中からカードを1枚捨てる。
《いたずら好きな双子悪魔/Delinquent Duo》
通常魔法(禁止カード)
1000ライフポイントを払って発動する。
相手は手札をランダムに1枚捨て、さらにもう1枚選択して捨てる。
《強引な番兵/The Forceful Sentry》
通常魔法(禁止カード)
相手の手札を確認し、その中からカードを1枚デッキに戻す。
ハンデス三種の神器は2000年4月に発売された
マジック・ルーラー -魔法の支配者- で登場した
上記の3枚の通常魔法カードを指す言葉。
ハンデスとは
ハンド・デストラクション(Hand Destruction)の略で、
その名の通り相手の手札を減らす行為全般を意味する。
実際に上記の3枚はどれも相手の手札を捨てさせたり
デッキに戻させたりする効果を持つのだが、
1:2交換が可能ないたずら好きな双子悪魔はともかく
残りの2枚は1:1交換にしかならないので
遊戯王を知らない方からすると
そこまで強いカードには思えないかもしれない。
だがこれらに関しては
相手の手札から「選んで」捨てられる点と
ピーピング(相手の手札を見る行為)ができる点で
いたずら好きな双子悪魔に優っている。
相手の手札の中で
最も強い札を的確に潰せる上に、
相手の手札の中身を見ることで
同時に情報アドバンテージを得ることができるのだ。
この情報アドバンテージというのは
地味だが決して無視できないもので、
相手の手札の良し悪しを見て
攻め手を変えられる点はもちろん
熟練したプレイヤーなら数枚の手札を見ただけで
相手のデッキタイプを絞り込むことも不可能ではない。
そのような理由から、これらのカードは
手軽に多大なアドバンテージを生み出せる
パワーカードと見做されており、
押収が07/09/01に禁止されたのを最後に
その全てが禁止カードから緩和されていない。
ハンデス自体、
デュエルの醍醐味である逆転を否定する要素でありやってる方は楽しいが嫌われやすい戦法でもあるので
今後これらのカードが復帰することはまずないだろう。
苦渋の選択
《苦渋の選択/Painful Choice》
通常魔法(禁止カード)
自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。
相手はその中から1枚を選択する。
相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、
残りのカードを墓地へ捨てる。
ハンデス三種の神器と同じ
マジック・ルーラー -魔法の支配者- で登場した通常魔法。
最初に自分がデッキから5枚を選び、
次に相手にその中から1枚を選ばせて手札に加え
残りは全て墓地に捨てるという
変則的なサーチ効果を持つ魔法カード。
しかし、このカードの真価はサーチ部分よりもむしろ
「狙ったカード5枚のうち4枚を確実に墓地に送れる」
という墓地肥やし能力の面にある。
遊戯王における墓地とは
第二の手札と呼ばれるほど重要なリソースであり、
それを無条件で一気に4枚も肥やした上で
1枚分の手札補充までしてしまえるこのカードは
明らかなオーバースペックなのだ。
もっとも登場当初はまだカードプールも浅く、
せいぜい上級モンスターを墓地に送って
蘇生させるくらいの用法が関の山だったが
時代が下るにつれて
処刑人─マキュラやカオスモンスターなど
相性が良いカードが増えていった結果
2004年3月の制限改定で禁止カード送りとなった。
それから一瞬だけ制限緩和されたりしたものの
2005年3月に再度禁止に指定されて以来
一度も禁止から緩和されていない。
現代では墓地の重要性が
当時とは比べ物にならないほど跳ね上がっており、
モンスターを一枚だけ墓地に送る効果”しか”もたない
おろかな埋葬ですら長年制限カードから緩和されないでいることを考えると
このカードが緩和される可能性は万にひとつもないだろう。
《おろかな埋葬/Foolish Burial》
通常魔法(制限カード)
(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。
ちなみにこのカード名の「苦渋」とは本来
「相手が選んだ1枚以外は捨てなければならない状況で
デッキから5枚のカードを選び出す」という、
つまりはこのカードを使用する
プレイヤーに対しての言葉だったはずだが
現実にこのカードを使われて苦渋を味わうのは
大概の場合で使われる側のプレイヤーだけであり
皮肉にも全く逆の意味合いになってしまっている。
ファイバー・ポッド
《ファイバーポッド/Fiber Jar》
効果モンスター(禁止カード)
星3/地属性/植物族/攻 500/守 500
リバース:お互いの手札・フィールド上・墓地のカードを
全て持ち主のデッキに加えてシャッフルする。
その後、お互いにデッキからカードを5枚ドローする。
禁止カードには、遊戯王というゲームをよく理解して
はじめてそのヤバさが理解できるものと、
全くの初心者であっても一目で
ヤバさが理解できてしまうものの2種類があるが
このカードは明らかにその後者の方。
効果はリバース時に、
除外されたカードとライフを除く
全ての状況をデュエル開始時に戻すというド派手なものだが
そのヤバさの本質は、それまでにお互いが積み重ねてきた盤面を
このカード1枚で無に帰せてしまえる点にある。
どんなに追い詰められた状況でも…
例えば相手の場に青眼の究極竜が3対並んでいるような状態でも、
単なる下級モンスターであるこのカードの効果さえ通って仕舞えば
とりあえず五分五分に近い状態にまでは戻せてしまうのだ。
想像してみてほしい、アニメを見て遊戯や海馬に憧れ、
彼らの切り札を頑張って召喚した少年が、
このラ◯ュタもどきみたいな訳のわからないカード一枚で
それをひっくり返された時に味わう絶望と理不尽が如何程のものか…
また、別にそういうシチュエーションに限定せずとも
このカードが十分に壊れカードであると言える理由が別にある。
それは、自分のターンと相手のターン
どっちで発動した場合も基本的には
使った側が有利な状況に立てるという点だ。
まず自分のターンで発動するケースを考えてみよう。
その場合、リバースモンスターである関係から
太陽の書のようなセットモンスターを
起こすカードとのコンボが前提となるが、
仮にそれがメインフェイズ1で決まった場合、
相手の場を空にした上で自分には
モンスターの特殊召喚や攻撃の選択肢が残されることになる。
墓地も空になるので蘇生札は使えないが
THE・トリッキーのような特殊召喚モンスターと組み合わせれば
一気に相手のライフを奪うことも可能だろう。
次に相手ターン中に発動する場合は、
基本的に裏守備状態のこのカードへの攻撃時、
つまりバトルフェイズ中の発動が基本となる。
そしてその場合、相手はすでに通常召喚権を
消費してしまっている場合が多く、
総合的に見ればかなり不利な状況を強いられることになるのだ。
特に手札からの特殊召喚の方法が
まだ充実していなかった当時はこうなってしまえば
多くの場合で後はせいぜい引いてきた罠カードを伏せて
ターンエンドするくらいが関の山だった。
そうなればファイバーポットを使った側のプレイヤーは
返しのターン中に、ガラ空きに近い相手の場を
補充した6枚の手札で蹂躙できるわけであり、
まぁやはり死ぬほど有利になったわけである。
そんなわけで何をどう考えたら
GOサインが出たのか理解できないこのカードは
初めて禁止カードが施行された
04/03/01をもって一発禁止カードとなり、
その後04/09/01に1度だけ制限緩和されたものの
05/03/01で再度禁止カードとなって以降は
一度たりともその座から動いていない。
いくらゲームとして未成熟だった時期とはいえ
まともな思考力があればゲーム性的にも商業的にも
絶対に刷ってはいけないとわかるであろう
あまりに滅茶苦茶な効果のカードであり、
今後も未来永劫禁止から解除されることはないだろう。
ちなみにこのカードが出た頃
私はまだ小学校の低学年だったが、
それでも効果を一目見て流石にこれはまずいでしょと
頭の中で思わず突っ込んでしまったものだった。
当時のデザイナーは居酒屋で
酔っ払いながら効果を決めていたのだろうか…
ラストバトル!
《ラストバトル!/Last Turn》
通常罠(禁止カード)
自分のライフポイントが1000以下の場合、相手ターンにのみ発動する事ができる。
発動後、自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、
そのモンスター以外のお互いの手札・フィールド上のカードを全て墓地へ送る。
その後、相手はデッキからモンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚し、自分が選択したモンスターと戦闘を行う。
この戦闘によって発生するお互いのプレイヤーへの戦闘ダメージは0になる。
このターンのエンドフェイズ時、どちらかのプレイヤーのみがモンスターをコントロールしていた場合、
そのコントローラーはデュエルに勝利する。
それ以外の場合は引き分けになる。
自分の場から選んだ1体の精鋭と
相手のデッキに眠る最強モンスターを闘わせ、
その結果をデュエルの勝敗に代えるという
非常に男らしいカード…
…などと考えていたのは
このカードのデザイナーくらいのものだろう。
このカードを与えられた当時のデュエリスト達が
実際に見出した有効活用法はといえば
自場に昇霊術師 ジョウゲンや異星の最終戦士などの
特殊召喚を封じるモンスターを残すことで
相手にモンスターの召喚すら許さず勝利を収めるという
実に寒々しいものだった。
《昇霊術師 ジョウゲン/Jowgen the Spiritualist》
効果モンスター
星3/光属性/魔法使い族/攻 200/守1300
手札をランダムに1枚墓地へ捨てて発動できる。
フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。
また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
お互いにモンスターを特殊召喚できない。
《異星の最終戦士/The Last Warrior from Another Planet》
融合・効果モンスター
星7/地属性/戦士族/攻2350/守2300
「ダーク・ヒーロー ゾンバイア」+「魔力吸収球体」
このカードが特殊召喚に成功した時、
このカード以外の自分フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
お互いにモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する事はできない。
一方でそのような裏技に頼らずに
このカードを使用した場合、
今度は勝利条件を満たすことが
絶望的に難しいという問題が頭をもたげてくる。
なぜなら、仮にこのカードを使われた相手のデッキに
自分の場に残したモンスターより
攻撃力の高い(特殊召喚可能な)モンスターがいない場合でも、
その代わりに異次元の女戦士のような戦闘を介した除去ができるモンスターや
キラー・トマトのような戦闘破壊時に後続を呼べるモンスターが1体でも残っていれば
その時点で発動側の勝利は無くなってしまうからだ。
《異次元の女戦士/D.D. Warrior Lady》
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1500/守1600
(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動できる。
その戦闘を行ったそれぞれのモンスターを除外する。
《キラー・トマト/Mystic Tomato》
効果モンスター
星4/闇属性/植物族/攻1400/守1100
(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。
つまり、このカードはまともに使えば弱すぎ、
有効利用しようとすれば容易く壊れるという
本当にどうしようもないカードだったのだ。
そのような存在をコナミも持て余したのか
2006年3月1日をもって禁止カードに指定されており、
それ以来現在に至るまで一度も規制緩和されていない。
TCGとしてまだまだ未成熟だった
初期遊戯王特有のガバガバカードの一枚であり、
今後も負の遺産として禁止枠に留まり続けることだろう。
処刑人マキュラ(エラッタ前)
《処刑人-マキュラ/Makyura the Destructor》
このカードが墓地へ送られたターン、
このカードの持ち主は手札から罠カードを発動する事ができる。
一時期の遊戯王を
ジャンケンゲーにしたもう一人の犯人。
罠カードは通常、伏せたターンには発動できないのだが、
このカードは墓地へ送られるという簡単な条件を満たすだけで
そのルールを捻じ曲げられるルール介入効果を持つ。
罠カードは即座に発動できない分、
神の宣告やサンダー・ブレイクなど
強力な効果を持つものが多く、
それらを即座に発動できることは
想像以上の大きなアドバンテージとなる。
《神の宣告/Solemn Judgment》
カウンター罠
(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。
●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。
それを無効にし、そのモンスターを破壊する。
《サンダー・ブレイク/Raigeki Break》
通常罠
(1):手札を1枚捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
また、恵まれた属性、種族からサーチが容易であり、
発動を介さないルール効果ゆえに
天罰などで発動を無効化されることがない点も
このカードの有用性に拍車をかけていた。
そんな「マキュラ」を使用した中でも
特に悪名を馳せたデッキといえば
やはり【マキュラエクゾ】だろう。
強欲な瓶や八汰烏の骸などの罠カードを含めた
ドローソースを連打し高速で
エクゾディアを揃える先行1キルデッキであり、
この手のデッキの中では突出した成功率を誇っていた。
《強欲な瓶/Jar of Greed》
通常罠
(1):自分はデッキから1枚ドローする。
《八汰烏の骸/Legacy of Yata-Garasu》
通常罠
次の効果から1つを選択して発動する。
●自分のデッキからカードを1枚ドローする。
●相手フィールド上にスピリットモンスターが表側表示で
存在する場合に発動する事ができる。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
もっとも当初はまだこのデッキの天敵である
ハンデス三種の神器が現役だった頃であり、
それらの禁止後も【カオス】の台頭によって
大会を席巻するまでには至らず、
マキュラ当人もしぶとく制限〜準制限に留まり続けていた。
しかし、健全なゲーム環境にとって
このカードが潜在的な危険因子であるという事実は変わらず、
最後には2005年3月1日の禁止指定によって
処刑人が処刑されるというオチがついたのだった。
その後、長らくの間
古参デュエリストの思い出の中で
眠り続けていたこのカードだったが
禁止化から15年後の20/04/01に突如エラッタされ、
まさかの制限復帰を果たした。
(エラッタ後テキスト)
効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1600/守1200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンから墓地へ送られた場合に発動できる。
このターンに1度だけ、自分は罠カードを手札から発動できる。
効果の発動条件が場から墓地に送られた場合に限定され、
発動しても即座に発動できる罠は1ターンに1枚だけ。
さらに効果の発動時に
チェーンブロックが発生するようになったことで
チェーンして無効化することも可能になっており、
かなり徹底的な弱体化が図られている。
その甲斐あってかエラッタ後は
とんとん拍子で規制緩和が進み、
今ではデッキに3積みすることも可能。
もはや別物だが、それでも
使えるようになっただけ喜ぶべきなのだろうか…
悪夢の蜃気楼
《悪夢の蜃気楼/Mirage of Nightmare》
永続魔法(禁止カード)
相手のスタンバイフェイズ時に1度、
自分の手札が4枚になるまでデッキからカードをドローする。
この効果でドローした場合、次の自分のスタンバイフェイズ時に1度、
ドローした枚数分だけ自分の手札をランダムに捨てる。
2002年発売の
Pharaonic Guardian -王家の守護者-で登場した永続魔法。
効果を見るに本来はちょっとクセのある
手札交換用カードとしてデザインされたのだろう。
しかし、当時のコナミがうっかり
「永続魔法は場を離れた時点で効果を失う」
というルールを忘れていたために
このカードは異次元のドローソースに早変わりした。
そう、このカード
ドロー後に何らかの手段で場からどかすことで
後半のデメリットを帳消しにできたのだ。
手札0枚の状態で発動できれば驚異の4ドロー。
仮にどかす手段がなくても
単体で高速墓地肥やし装置として機能するので
それはそれで美味しいというのが実にズルい。
当然このようなカードが見過ごされるはずもなく
05/03/01には禁止カード送りとなったが、
ぎりぎり現役期間中に放送が始まった
アニメ遊戯王GXの初期では主人公の遊城十代が
このカードと非常食のコンボで
頻繁に手札補充をおこなっていたのはファンの間では有名な話。
《非常食/Emergency Provisions》
速攻魔法
(1):このカード以外の自分フィールドの
魔法・罠カードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。
自分はこのカードを発動するために墓地へ送ったカードの数×1000LP回復する。
魔導サイエンティスト
《魔導サイエンティスト/Magical Scientist》
効果モンスター(禁止カード)
星1/闇属性/魔法使い族/攻 300/守 300
1000ライフポイントを払う事で、
融合デッキからレベル6以下の融合モンスター1体を特殊召喚する。
この融合モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできず、ターン終了時に融合デッキに戻る。
2002年発売の
黒魔導の覇者で登場した効果モンスター。
数ある禁止カードの中でもこのカードは比較的
禁止になった理由がわかりやすい方ではないだろうか。
ターン1制限がなく、ライフさえ払えば
何度でも融合モンスターを呼び出せる時点で
悪用してくださいといっているようなもの。
特に、このカードと
カタパルト・タートルを組み合わせた1キルデッキである
【サイエンカタパ】の悪名は今なお語り種であり、
長年にわたって遊戯王を
所謂「ジャンケンゲー」に貶めていた張本人でもあった。
《カタパルト・タートル/Catapult Turtle》
(エラッタ前テキスト)
自分のフィールド上に存在するモンスター1体を生け贄に捧げる。
そのモンスターの攻撃力の半分をダメージとして相手プレイヤーに与える。
05/03/01で禁止入りして以来
一度も緩和されていないが、
現代においてはレベル6以下の
融合モンスターのカードプールが
当時とは比較にならないほど広がったことや、
シンクロ、エクシーズ、リンク素材にする等の
モンスターの活用法が増えたことなどから
相対的にこのカードの凶悪さも
当時に輪をかけて跳ね上がっており、
万が一釈放などされた場合、
即座に環境を滅茶苦茶に破壊するであろうことは間違いない。
唯一、第6期から施行された
新エキスパートルールの影響で
EXデッキ(旧融合デッキ)の上限が15枚に定められたことは
このカードにとって逆風だが、
それも先述した強化要因に比べれば瑣末なこと。
強欲な壺と並んで今後制限緩和される望みの最も薄い、
「最強の」禁止カード候補の一つといって差し支えないだろう。
ヴィクトリー・ドラゴン
《ヴィクトリー・ドラゴン/Victory Dragon》
効果モンスター(禁止カード)
星8/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守3000
このカードは特殊召喚できない。
自分フィールド上のドラゴン族モンスター3体を
生け贄にして生け贄召喚しなければならない。
このカードの直接攻撃によって相手ライフを0にした場合、
このカードのコントローラーはマッチに勝利する。
2003年4月に週刊少年ジャンプで実施され
た応募者全員サービスパックである
LIMITED EDITION 5で登場した最上級モンスター。
このカードについて説明する前に、
遊戯王におけるマッチについてご説明したい。
マッチとは公式大会やイベントで採用されている
3戦勝負のうち先に2勝した方が勝ちというルールだ。
また、最大15枚のサイドデッキというものが存在し
各プレイヤーはデュエルが終わるごとに
この中のカードを状況に応じて
メインデッキのカードと入れ替えることができる。
つまりマッチとはしばしば運ゲーになりがちな
カードゲームのゲーム性を高めるためのルールなのだが、
ヴィクトリー・ドラゴンは自身の攻撃で勝利した場合に
このマッチに勝利するという効果を持っている。
つまり、本来2回デュエルに勝つ必要があるところ、
このカードで相手にとどめを刺せば
1回の勝利だけで済んでしまうというわけだ。
もっともそのような強力な効果を持つ分、
それ以外の性能はかなり控えめなものとなっている。
・特殊召喚できない
・生贄が3体も必要
・生贄がドラゴン族限定
・攻撃力が2400と最上級にしては低め
・直接攻撃でフィニッシャーにならなければいけない
特殊勝利効果を除けば
全く貧弱としか言いようがないスペックであり、
一見するとなんとなくバランスが
取れているように思えてしまうかもしれないが
このカードの真の邪悪さは
テキストからは決して読み取れない部分にある。
このカードの持つ業、
その一つは遊戯王の持つゲーム性
そのものを否定してしまう点だ。
マッチ戦では負けたプレイヤーが
次のデュエルの先行後攻を決める権利を持つため、
仮に1戦目で先行を取られて負けても、
2戦目では自分が先行を取ることができる。
つまり、マッチ戦は先行有利と言われる遊戯王で
後攻しか取れず負ける理不尽感を減らす役割を果たしてもいるのだが、
相手に先行を取られてヴィクトリー・ドラゴンを出されて負けた場合
そのようなチャンスすら潰されてしまうことになる。
このカードが現役だった頃は、
相手がこのモンスターで勝つ盤面を整えるために
ひたすらソリティアし続ける姿を眺めただけで
大会参加が終わってしまったという
悲劇を味わったプレイヤーもいたことだろう。
そしてもう一つ、
このカードが許されない理由として
プレイヤーのマナー違反を誘発する点がある。
ここで1つ考えてほしいのだが、
もし相手が先行でこのカードを出す盤面を揃え、
なおかつ自分にそれを返す手がなく
このままだと次のターンに
マッチを取られてしまうとしたら
あなたはどうするだろうか?
普通ならば諦めて帰り支度でもするしかないのだが、
遊戯王には一つだけ、この状況からでも入れる保険
なんとかならなくもない方法があった。
それは「わざと反則負けでデュエルを落とす」こと。
例えばデュエル中に自分のデッキをわざと崩せば反則負けとなるが
その場合マッチではなく1デュエルの敗北扱いにしかならないので
次戦以降のデュエルに望みを託すことができたのだ。
もっともこれはネット経由で後年知った話であり
私がその現場を直接目にしたわけではないため
本当にそのような理屈が通ったかどうかの真偽は定かではないのだが
このような話が出てくる時点でいかにこのカードの存在が
ゲームの根本を揺るがしかねない危険ものであったかは伺えるのではないだろうか。
実際に2007年3月1日に禁止に指定されてからは
これまで一度も緩和されておらず、
またマッチ勝利効果はそれ以降
公式戦使用不可のプロモーションカードにのみ
採用される慣例ができたことから
将来的な復帰もまずあり得ないと言い切れるだろう。
考えれば考えるほど
「なぜ刷った」と言いたくなるカード。
それがヴィクトリー・ドラゴンなのである。
混沌帝龍 -終焉の使者 (エラッタ前)
《混沌帝龍カオス・エンペラー・ドラゴン -終焉の使者-/Chaos Emperor Dragon - Envoy of the End》
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性モンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。
1000ライフポイントを払う事で、
お互いの手札とフィールド上に存在する全てのカードを墓地に送る。
この効果で墓地に送ったカード1枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える。
「混沌を制す者」で登場し、
当時多くの引退者を出す原因となった
「カオスモンスター」の中でも
ブッチギリでやべーやつ。
光属性と闇属性モンスターを
1体ずつゲームから除外するという
あまりにも軽すぎるコストに反してその効果は
お互いの手札とフィールドの全墓地送り + バーンダメージという恐るべきもの。
しかしながらこいつの本領は
墓地に送られた際に効果を発動する
他カードとのコンボであり、
特にクリッターや黒き森のウィッチ(共にエラッタ前)
を巻き込んで八汰烏をサーチし、
そのまま召喚→ダイレクトアタックで
相手のドローを封殺してしまう
悪魔のようなコンボが猛威を振るった。
また当時は優先権の関係で
召喚してすぐ起動効果が使えたため
奈落の落とし穴のようなカードで
発動を防ぐことができなかったことも
このカードの凶悪さに拍車をかけていた。
そんな混沌帝龍含む「カオス」の影響は
まともなテーマデッキが存在しなかった当時
人権カードと言って差し支えない圧倒的なものであり、
2004年当時の世界大会のTOP4のデッキは
やはりというか全て混沌帝龍 + 開闢の使者入りの
グッドスタッフで占められている。
特殊召喚・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ除外した場合のみ特殊召喚できる。
このカードの効果を発動するターン、自分は他の効果を発動できない。
(1):1ターンに1度、1000LPを払って発動できる。
お互いの手札・フィールドのカードを全て墓地へ送る。
その後、この効果で相手の墓地へ送ったカードの数×300ダメージを相手に与える。
ちなみにこちらは
2015年1月より適用されたエラッタ版のテキスト。
軽めの召喚条件や全墓地送り効果はそのままだが
発動ターン中に他の効果を発動できない制約が追加されており、
強力は強力だが効果発動後の追撃が難しく、
それどころか効果発動を止められたりすると
逆に自分が窮地に陥るキツめの調整がなされている。
この調整の結果、同年10月には無制限となり
(使い勝手はほぼ別物とは言え)12年ぶりの完全釈放となった。
次元融合
《次元融合じげんゆうごう/Dimension Fusion》
通常魔法(禁止カード)
2000ライフポイントを払う。
お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する。
「テキストが短いカードは強い」法則を体現する
シンプルな壊れカードの一枚。
2000ポイントのライフを支払うだけで
除外ゾーンからモンスターを何体でも特殊召喚でき、
【ドグマブレード】をはじめとする
多くの凶悪コンボデッキのメインエンジンとなっていた。
そんな危険なカードにもかかわらず
意外にも息が長く、ようやく
禁止カードとなったのは08/09/01のこと。
今でこそ除外ゾーンを利用するカードも珍しくないが、
このカードほどアドバンテージの概念が壊れたものは流石になく、
エラッタなしで釈放されることはまずあり得ないだろう。
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
《未来融合-フューチャー・フュージョン/Future Fusion》
通常魔法(エラッタ前)
自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、
決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
アニメ遊戯王GXの人気キャラクター
ヘルカイザー亮が使用したことでも印象深い魔法カード。
その効果は「未来融合」の名前の通り
発動時に素材をデッキから墓地に送り、
2ターンのラグを挟んで融合召喚を行うというトリッキーなもの。
デッキから素材を選べるのは強力だが、
すぐに融合モンスターが出てこない、
という部分でバランスを図るつもりだったと思われるが、
このカードの最大の問題は素材を墓地に送ることで
大量の墓地肥やしが実現できてしまう点にあった。
例えばキメラテック・オーバー・ドラゴンを指定すれば
デッキから機械属モンスターを好きなだけ墓地に送れたし、
その後にオーバーロード・フュージョンを発動すれば
2ターンを待つことなく超攻撃力の同モンスターを出すこともできたのだ。
《キメラテック・オーバー・ドラゴン/Chimeratech Overdragon》
融合・効果モンスター
星9/闇属性/機械族/攻 ?/守 ?
「サイバー・ドラゴン」+機械族モンスター1体以上
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動する。
このカード以外の自分フィールドのカードを全て墓地へ送る。
(2):このカードの元々の攻撃力・守備力は、
このカードの融合素材としたモンスターの数×800になる。
(3):このカードは1度のバトルフェイズ中に、
このカードの融合素材としたモンスターの数まで相手モンスターに攻撃できる。
《オーバーロード・フュージョン/Overload Fusion》
通常魔法
(1):自分のフィールド・墓地から、
機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、
その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
他にもF・G・Dを指定して
五体のドラゴン族モンスターを落とすなどの活用法があり
とにかく1枚で生み出せるアドバンテージが半端ではないカードだった。
《F・G・D/Five-Headed Dragon》
融合・効果モンスター
星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000
ドラゴン族モンスター×5
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードは闇・地・水・炎・風属性モンスターとの戦闘では破壊されない。
永続魔法ゆえに、発動時に割られると
効果が無効になるという弱点はあったが、
それを差し引いても到底許容される効果ではなく、
12/09/01の制限改定をもって禁止カードとなってしまった。
個人的には当時GXを見て
ヘルカイザーに憧れていたこともあり
手軽にヘルカイザーごっこができるこのカードは
お気に入りの一枚だったのだが
単体スペックの高さや融合モンスターが増えるほど
このカードの価値も天井知らずに上がっていく点を踏まえると
それも仕方ない判断だったとは思う。
(エラッタ後テキスト)
永続魔法
(1):このカードの発動後1回目の自分スタンバイフェイズに発動する。
自分のEXデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、
そのモンスターによって決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
(2):このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに発動する。
このカードの(1)の効果で確認したモンスターと
同名の融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
2017年にはエラッタ適用と制限緩和が行われ、
素材モンスターを墓地に送るタイミングが
発動1ターン後のスタンバイフェイズに改められた。
墓地肥やし効果自体は健在だが、
タイミングが遅くなったことで凶悪さが薄れ、
18/01/01には制限解除に至っている。
ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)
《ダーク・ダイブ・ボンバー/Dark Strike Fighter》
シンクロ・効果モンスター(エラッタ前)
星7/闇属性/機械族/攻2600/守1800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動できる。
リリースしたモンスターのレベル×200ポイントダメージを相手ライフに与える。
シンクロ黎明期に登場した
ぶっ壊れシンクロモンスター。
シンクロモンスターは融合モンスターと同様に
EXデッキに投入されるモンスターの一種。
レベルの合計が出したいシンクロモンスターと同じになるように
チューナーモンスターとチューナー以外のモンスターを場に揃えた上で、
それらを墓地へ送ることで召喚が可能。
素材縛りなしで星7のATK2600という恵まれたステータスに加え、
フィールドのモンスターを射出することで
そのレベル×200のダメージを与える起動効果を持ち、
単純にこいつ単体で殴ってから自分自身を射出するだけでも
総ダメージは4100と初期ライフの半分を上回る。
それどころか恐ろしいことに
この効果には一切の回数制限がなく、
場に存在するかぎり何度でも使用できる。
例えるならエクストラデッキから呼び出せる
キャノンソルジャーのようなものであり、
その手軽さと圧倒的なキル性能から
【レスキューシンクロ】をはじめとする
あらゆるデッキに搭載され暴れ回った挙句
290日という当時としては最短の記録で禁止カードに指定された。
(エラッタ後テキスト)
シンクロ・効果モンスター
星7/闇属性/機械族/攻2600/守1800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「ダーク・ダイブ・ボンバー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズ1に自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
リリースしたモンスターのレベル×200ダメージを相手に与える。
登場から6年後の2014年にはエラッタされ
ようやく娑婆に出ることを許されたが
エラッタによってかなりマイルドな性能に落ち着いており、
以後は目立った悪さをしていない。
No.16 色の支配者ショック・ルーラー
《No.16 色の支配者ショック・ルーラー/Number 16: Shock Master》
エクシーズ・効果モンスター(禁止カード)
ランク4/光属性/天使族/攻2300/守1600
レベル4モンスター×3
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、
カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。
相手ターン終了時まで、宣言した種類のカードをお互いに発動できない。
レベル4が3体という
少々重めの素材指定を持つエクシーズモンスター。
エクシーズモンスターは融合モンスターと同様に
EXデッキに投入されるモンスターの一種。
出したいエクシーズモンスターのランクと同じ
レベルを持つモンスターを必要な枚数分場に揃えた上で、
それらを下に重ねてエクシーズ素材とすることで召喚が可能。
しかしその効果は、
モンスター・魔法・罠のどれか1つを
相手ターン終了時まで発動できなくするという
極めて拘束力の高い効果であり、
カードの種類が偏りがちなデッキに対しては
死刑宣告にも等しい影響を及ぼすことができる。
さらにいうとこのカード、
名称ターン1制限がないので
もし場に3体並べることができれば
相手に一切のカード発動を許さない
完封状態を実現することまでできてしまうのだ。
もっとも出た当初は
レベル4モンスターを場に並べる手段が限られており、
素材を多く要求する割に攻撃力が
一般的な上級モンスターのラインにも届いていない
このカードはまだそこまでの脅威ではなかった。
しかし、時代が降り、9期に入ると
一気に大量のモンスターを召喚できる
ペンデュラム召喚の導入や
光天使、ソウル・チャージ(後述)、旧神ノーデン(後述)
などの相性の良いカードの増加で
このカードを出すハードルが一気に低下。
それにより、このカードを先行で並べて
相手の行動を縛る一方的な
デュエル展開が増えたことに加えて
当時KONAMIが推していたペンデュラム召喚に対する
致命的なメタにもなっていたという大人の事情もあり
このカードは16/01/01をもって
禁止カード送りとなってしまったのであった。
まぁ、仮にそう言った事情を抜きにしても
EXデッキに入る小型の大寒波という時点で
遅かれ早かれ禁止化されていたことだろう。
《大寒波/Cold Wave》
通常魔法(禁止カード)
メインフェイズ1の開始時に発動する事ができる。
次の自分のドローフェイズ時まで、
お互いに魔法・罠カードの効果の使用及び発動・セットはできない。
時代の変化によって
存在が許されなくなってしまった
典型的なカードの一枚である。
甲虫装機(ダンセル、ホーネット、センチピード、グルフ)
《甲虫装機 ダンセル/Inzektor Dragonfly》
効果モンスター
星3/闇属性/昆虫族/攻1000/守1800
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・墓地から「甲虫装機」モンスター1体を選び、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):このカードが自分フィールドに存在し、
このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「甲虫装機 ダンセル」以外の「甲虫装機」モンスター1体を特殊召喚する。
(3):このカードを装備カード扱いとして装備しているモンスターのレベルは3つ上がる。
《甲虫装機 ホーネット/Inzektor Hornet》
効果モンスター
星3/闇属性/昆虫族/攻 500/守 200
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・墓地から「甲虫装機」モンスター1体を選び、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):このカードを装備カード扱いとして装備しているモンスターのレベルは3つ上がり、
攻撃力・守備力はこのカードのそれぞれの数値分アップする。
(3):モンスターに装備されているこのカードを墓地へ送り、
フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
《甲虫装機 センチピード/Inzektor Centipede》
効果モンスター
星3/闇属性/昆虫族/攻1600/守1200
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・墓地から「甲虫装機」モンスター1体を選び、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):このカードが自分フィールドに存在し、
このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「甲虫装機」カード1枚を手札に加える。
(3):このカードを装備カード扱いとして装備しているモンスターのレベルは3つ上がる。
続いて取り上げるのは7期後半の環境を蟲地獄に変えた
甲虫装機(インゼクター)デッキのメインエンジンたちだ。
一見するとステータスも低く、
あまり強そうには見えないカード群だが、
インゼクターの恐ろしさは、
他の追随を許さない
凄まじいまでのアド取り能力にあった。
具体的にいうと、ダンセル召喚してホーネット装備、
さらにホーネット効果で自身を墓地に落として
場のカード1枚破壊 + リクルートでセンチピード召喚、
センチピード効果でホーネット装備して再度ホーネットを墓地に…
という流れで手軽に4枚分ものアドを稼ぎ出すことができたのだ。
これは、当時はおろか
現代基準でも調整ミスを疑う強ムーブであり、
インゼクターを環境の一角へと押し上げる原動力となっていた。
しかしながら、その頃のインゼクターには
「ホーネットで壊せる対象が場ないと動けない」という弱点があり、
他のデッキにもまだ付け入る隙があったのだが
次弾のGALACTIC OVERLORDで事件が起きる。
この弾で追加された
新規インゼクターモンスターの中に
先述した弱点をカバーする効果をもった
甲虫装機 グルフが含まれていたのだ。
《甲虫装機 グルフ/Inzektor Ladybug》
効果モンスター
星2/闇属性/昆虫族/攻 500/守 100
1ターンに1度、自分の手札・墓地から「甲虫装機」と名のついたモンスター1体を
装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。
このカードが装備カード扱いとして装備されている場合、
装備モンスターのレベルは2つ上がり、
攻撃力・守備力はこのカードのそれぞれの数値分アップする。
また、装備カード扱いとして装備されているこのカードを墓地へ送る事で、
自分フィールド上のモンスター1体を選択し、レベルを2つまで上げる。
これにより、それまででも
十分すぎるほど強かったインゼクターは
環境トップへの道を一気に飛翔。
当時のガチ環境は
右を向いても左を向いても蟲、蟲、蟲。
それ以外のデッキもインゼクターへのメタを
否応なく意識せざるを得なくなるという
異常事態となっていた。
そしてインゼクター全盛期に開催された
2012年の世界大会では1位から4位までを
全て【甲虫装機】が独占するという極め付けの異常事態が発生。
ここにきて流石のコナミも見過ごせなくなったのか、
大会直後の2012年9月1日の制限改定で
ダンセルとホーネットが揃って制限カードへと指定。
これにより安定感を大きく失ったインゼクターは
ようやく環境から駆逐されることとなったのであった。
遊戯王の長い歴史の中で
環境トップに立ったデッキは数あれど、
数枚のテーマカードでここまで
甚大な影響を及ぼしたデッキは決して多くはない。
それ以前の、コツコツとアドバンテージを稼ぐ
古き良き時代のデュエルの終焉と
高速化 & あらゆるデッキがワンキル標準装備という
現代デュエルの幕開けを告げたデッキとして
その名はこれからも末長く語り継がれていくことだろう。
征竜シリーズ
《巌征竜-レドックス/Redox, Dragon Ruler of Boulders》
効果モンスター(禁止カード)
星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族
または地属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
また、このカードと地属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、
自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する。
このカードが除外された場合、
デッキからドラゴン族・地属性モンスター1体を手札に加える事ができる。
「巌征竜-レドックス」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
《瀑征竜-タイダル/Tidal, Dragon Ruler of Waterfalls》
効果モンスター(禁止カード)
星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族
または水属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
また、このカードと水属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、
デッキからモンスター1体を墓地へ送る。
このカードが除外された場合、
デッキからドラゴン族・水属性モンスター1体を手札に加える事ができる。
「瀑征竜-タイダル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
《焔征竜-ブラスター/Blaster, Dragon Ruler of Infernos》
効果モンスター(禁止カード)
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族
または炎属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
また、このカードと炎属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、
フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。
このカードが除外された場合、
デッキからドラゴン族・炎属性モンスター1体を手札に加える事ができる。
「焔征竜-ブラスター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
《嵐征竜-テンペスト/Tempest, Dragon Ruler of Storms》
効果モンスター(制限カード)
星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200
このカード名の(1)~(4)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):手札からこのカードと風属性モンスター1体を墓地へ捨てて発動できる。
デッキからドラゴン族モンスター1体を手札に加える。
(2):ドラゴン族か風属性のモンスターを自分の手札・墓地から2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
(3):このカードが特殊召喚されている場合、相手エンドフェイズに発動する。
このカードを手札に戻す。
(4):このカードが除外された場合に発動できる。
デッキからドラゴン族・風属性モンスター1体を手札に加える。
遊戯王にシリーズカードは数あれど、
所属するカード全てが禁止経験済みのシリーズなど
この征竜が最初で最後(であってほしい)だろう。
ご覧のように征竜は地水火風の4属性が存在し、
それぞれが4つの類似効果を持つカード群なのだが
その殆どがメリット効果かつ、各効果間で完成された
抜群のシナジーを形成していたことが最大の問題だった。
手札から捨てた時の効果で
アドを取りつつ墓地を肥やし、
墓地に落ちれば自身の効果で蘇生、
さらに蘇生時のコストで除外されれば
同属性のドラゴン(征竜含む)をサーチと
一連の動作に全く無駄がなく、
征竜を場に出せば出すほど
逆に手札が増えるという意味不明な現象を引き起こす。
加えて、ブラスターの効果で
相手の場に干渉し、征竜に対するメタを潰せたことや
レベルの関係で当時貴重な誘発枠である
エフェクト・ヴェーラーを最大限有効利用できた点も強く、
その瞬間火力や対応力の高さは今から見れば明らかに
数年先の未来を先取りしたレベルのものであった。
また征竜に関しては、
その壊れっぷりをさらに助長した
各種仔征竜の存在も忘れてはいけない(戒め)。
《地征竜-リアクタン/Reactan, Dragon Ruler of Pebbles》
効果モンスター
星4/地属性/ドラゴン族/攻1800/守1200
ドラゴン族または地属性のモンスター1体と
このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「巌征竜-レドックス」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
「地征竜-リアクタン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
《水征竜-ストリーム/Stream, Dragon Ruler of Droplets》
効果モンスター
星4/水属性/ドラゴン族/攻1600/守2000
ドラゴン族または水属性のモンスター1体と
このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「瀑征竜-タイダル」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
「水征竜-ストリーム」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
《炎征竜-バーナー/Burner, Dragon Ruler of Sparks》
効果モンスター
星3/炎属性/ドラゴン族/攻1000/守 200
ドラゴン族または炎属性のモンスター1体と
このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「焔征竜-ブラスター」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
「炎征竜-バーナー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
《風征竜-ライトニング/Lightning, Dragon Ruler of Drafts》
効果モンスター
星3/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1800
ドラゴン族または風属性のモンスター1体と
このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「嵐征竜-テンペスト」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
「風征竜-ライトニング」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
これらのカードを組み込んだ
全盛期版征竜の脅威は言わずもがなで
2013年の世界大会を【魔導】と共に二分(とはいえ実際のシェアは征竜の方が4:1くらいで優勢)した結果
2013年9月1日適用のリミットレギュレーションで
4枚の仔征竜が一挙に禁止送りになるという
前代未聞の厳しい措置がとられるに至ったのだった。
だがしかし…
恐るべきことに
奴らはそれでも止まらなかった。
仔を奪われ、親だけとなった征竜たちは
その後も青眼や聖刻、シャドールなどに寄生する形で
長く環境に居座り続け、その間に
No.11 ビッグ・アイや黄金の封印櫃、
七星の宝刀、竜の渓谷などに対する
多数の巻き込み規制を生みつつ
ようやくその息の根が止まったのは2015年4月1日のこと。
親征竜全ての禁止送りという最終手段をもって
征竜はようやく環境から姿を消すこととなったのであった。
それ以来、現在に至るまで征竜に対する
厳しい規制は継続しており、
現在公式デュエルで使える征竜カードは
親が死にほぼバニラ同然となった仔征竜たちと
効果に同名ターン1制限が付け加えられた
風征竜-ライトニング(制限カード)のみとなっている。
禁止を受けたカード枚数の多さ、
禁止化までのスピード、環境に及ぼした影響など
どれをとっても異常としかいえないカード群であり、
その名はカードゲームデザインの反面教師として
伝説上の生き物である竜の名にふさわしく
これからも末永く語り継がれていくことだろう。
魔導書の神判
《魔導書の神判/Spellbook of Judgment》
速攻魔法(制限カード)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):このカードを発動したターンのエンドフェイズに、
このカードの発動後に自分または相手が発動した魔法カードの数まで、
デッキから「魔導書の神判」以外の「魔導書」魔法カードを手札に加える。
その後、この効果で手札に加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚できる。
全盛期時代の征竜に対抗できた
数少ないデッキである【魔導】デッキの
強さの根源となっていた魔法カード。
タイミングはエンドフェイズと遅いが、
1枚が3枚にも4枚にもなる時点で何かがおかしく、
その上モンスターのリクルート効果まで備えている。
特に8期の末期ではリクルート効果を活かして
征竜のメタとなる昇霊術師 ジョウゲンや
霊滅術師 カイクウを呼び出す役割を担っていた。
しかし2013年9月1日適用のリミットレギュレーションで
【魔導】がライバルの【征竜】もろとも規制の対象となり
メインエンジンであったこのカードは登場から200日足らずで一発禁止化。
その後もしぶとく生き延び続けた【征竜】とは対照的に
このカードを失った【魔導】が環境から
プッツリと姿を消してしまったことを思うと、
いかにこのカードが壊れていたかが分かるだろう。
その後長い眠りについていたが、
9年後の2022年7月1日にまさかの制限復帰を果たし、
当時を知るデュエリストを驚かせた。
アドバンテージが得られるタイミングの遅さや
灰流うららをはじめとする妨害カードの増加、
魔導自体が全く環境についていけていないことを鑑みての措置と思われるが、
実際に今のところこのカードが暴れたという話を聞いたことはない。
ソウル・チャージ
《ソウル・チャージ/Soul Charge》
通常魔法(禁止カード)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、
このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
(1):自分の墓地のモンスターを任意の数だけ対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚し、
自分はこの効果で特殊召喚したモンスターの数×1000LPを失う。
1枚で最大5体のモンスターを完全蘇生できるという
シンプルに頭のおかしいカード。
1体につき1000ポイントのライフコストと
発動ターン中にバトルフェイズが
行えないデメリットはそれなりに痛いが、
それらを踏まえてもなおメリットが大きく凌駕する。
特に先攻の場合は
そもそも最初からバトルが行えないので
前者のデメリットはないに等しくなる。
登場当初からその凶悪さは認知されており、
登場から半年にも満たない14/10/01には制限指定されるが
そこから意外なほどの粘りを見せ、
禁止になったのはようやく19/10/01になってのことだった。
どんなデッキにも入る汎用性の高さと
先攻有利の風潮を助長する点を鑑みれば
もっと早期に禁止化されても良かったのではと思うが、
コナミとしては重めのデメリットで
ギリギリバランスが取れているという判断だったのだろうか。
ちなみにこのカードの初出は
初代アニメのドーマ編の1エピソードなのだが
その際は使用者(ラフェール)が
このカードのライフコストを利用して
自爆する目的で発動されていた。
そんな演出用カードを
なんとかOCGに落とし込もうとした結果
失敗してしまったというのが
このカードの実態だったのだろうか…。
旧神ノーデン
《旧神ノーデン/Elder Entity Norden》
融合・効果モンスター(禁止カード)
星4/水属性/天使族/攻2000/守2200
SモンスターまたはXモンスター+SモンスターまたはXモンスター
(1):このカードが特殊召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。
調整不足、というより
製作側の手違いで世に放たれたとしか思えない禍々しい何か。
一見すると融合素材の条件が重く、
手軽には出せないようにも見えるが
何を思ったのか簡易融合(通称 カップ麺)対応の
レベル4であったことが全ての災いの始まり。
カップ麺と併用することで召喚権を消費せず
ランク4エクシーズや
シンクロへと柔軟に繋げられたこのカードは
登場から間も無く多くのデッキでセット採用された。
また、このカードを単体で見たときに
特にイカれている点として
蘇生効果の制限のガバガバさが挙げられる。
まず第一にこの効果で
ターン1制限がない時点で明らかにヤバく、
ついで融合召喚限定でなく
あらゆる特殊召喚(墓地からの蘇生含む)に
対応している時点で申し開きの余地がない。
さらに言うと一見厳しく見える召喚条件も
見方を変えれば超融合で相手の場のシンクロおよび
エクシーズモンスターを吸えるというメリットになる。
《簡易融合/Instant Fusion》
通常魔法(制限カード)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):1000LPを払って発動できる。
レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。
これらのことを総合して考えると
ノーデンが存在することで発生する
その後のカードデザインに与える制約はあまりにも甚大であり、
仮にカップ麺が禁止になっていたとしても
遅かれ早かれ禁止送りになっていたことはほぼ間違いないだろう。
一方でクトゥルフを題材にした厨二心くすぐるデザインや
どことなくMTG味を感じる重厚なイラストは評価が高く、
効果の方もターン1制限をつける、
融合召喚時限定にするなどの改善案は考えられるので
禁止組の中ではまだ今後のエラッタ釈放の芽は
まだある方なのかもしれない。
Emヒグルミ
《Emヒグルミ/Performage Plushfire》
ペンデュラム・効果モンスター(禁止カード)
星4/炎属性/魔法使い族/攻1000/守1000
【Pスケール:青5/赤5】
「Emヒグルミ」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの表側表示の「Em」モンスターが
戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
Pゾーンのこのカードを特殊召喚する。
その後、自分は500ダメージを受ける。
【モンスター効果】
(1):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
手札・デッキから「Emヒグルミ」以外の「Em」モンスター1体を特殊召喚する。
ぶっ壊れP(ペンデュラム)モンスターコンビの片割れにして
OCGにおけるの最速禁止記録(167日、2023年1月現在)の保持者。
モンスターでありながら魔法カードのように
Pゾーンに置いて発動することもできるPカードの一枚なのだが、
このカードが壊れとなってしまった原因は
モンスター効果の方にある。
効果自体は、破壊された場合に
デッキから同名以外の「Em」モンスターを
1体リクルートするというものなのだが、
例によってこの効果にターン1制限がかけられていない。
つまり、1体目のヒグルミを破壊して効果を発動した後でも
別の手段で2体目以降のヒグルミをサーチし、
再度破壊することで複数回のリクルートが容易にできてしまうのだ。
また、この効果に関してはどこで破壊され、
どこに送られたかという条件指定が
一切ないことも壊れに拍車をかけている。
なぜなら、Pゾーンで発動されたPカードは
破壊されて場を離れた場合その時点で
モンスターカードとして扱われるというルールがあるので
Pゾーンで割ってしまえば召喚権を消費せずに効果を行使できるからだ。
そして、Pゾーンのカードを能動的に割る手段としては
当時から揺れる眼差しや竜剣士ラスターPがおり、
リクルート対象にもEmダメージ・ジャグラーや
Emトリック・クラウンなどの優秀なモンスターが揃っていた。
《揺れる眼差し/Wavering Eyes》
速攻魔法
(1):お互いのPゾーンのカードを全て破壊する。
その後、この効果で破壊したカードの数によって以下の効果を適用する。
●1枚以上:相手に500ダメージを与える。
●2枚以上:デッキからPモンスター1体を手札に加える事ができる。
●3枚以上:フィールドのカード1枚を選んで除外できる。
●4枚:デッキから「揺れる眼差し」1枚を手札に加える事ができる。
《竜剣士ラスターP/Luster Pendulum, the Dracoslayer》
ペンデュラム・チューナー・効果モンスター(制限カード)
星4/光属性/ドラゴン族/攻1850/守 0
【Pスケール:青5/赤5】
(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在する場合に発動できる。
そのカードを破壊し、そのカードの同名カード1枚をデッキから手札に加える。
【モンスター効果】
このカードを素材として、「竜剣士」モンスター以外の融合・S・Xモンスターを特殊召喚する事はできない。
《Emダメージ・ジャグラー/Performage Damage Juggler》
効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1500/守1000
「Emダメージ・ジャグラー」の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
(2):自分または相手のバトルフェイズにこのカードを手札から捨てて発動できる。
このターン自分が受ける戦闘ダメージを1度だけ0にする。
(3):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「Emダメージ・ジャグラー」以外の「Em」モンスター1体を手札に加える。
《Emトリック・クラウン/Performage Trick Clown》
効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守1200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「Em」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になる。
その後、自分は1000ダメージを受ける。
これらのカード、
そして後述するモンキーボードを始めとする
エンタメイトとも手を組み、
【EMEm】デッキのメインエンジンとして
2015年後半の環境をした本カードは
その結果として登場から半年にも満たない
167日という異例の速さで禁止送りとなり、
最速禁止ホルダーの名誉(不名誉?)に輝いたのであった。
EMモンキーボード
《EMモンキーボード/Performapal Monkeyboard》
ペンデュラム・効果モンスター(禁止カード)
星6/地属性/獣族/攻1000/守2400
【Pスケール:青1/赤1】
「EMモンキーボード」の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):もう片方の自分のPゾーンに「EM」カードが存在しない場合、
このカードのPスケールは4になる。
(2):このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。
デッキからレベル4以下の「EM」モンスター1体を手札に加える。
【モンスター効果】
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
手札の「EM」モンスターまたは「オッドアイズ」モンスター1体を相手に見せる。
このターン、そのモンスター及び自分の手札の同名モンスターのレベルを1つ下げる。
ぶっ壊れP(ペンデュラム)モンスターコンビの片割れにして
OCGにおけるの最速禁止記録(167日、2023年1月現在)の保持者。
ヒグルミとタッグを組み環境を席巻したカードだが、
こちらが壊れていたのはモンスター効果ではなくP効果の方。
使うだけで手軽にアドがとれ、しかも一切の条件や制約もない。
このカードから同じくサーチ効果を持つ
EMドクロバット・ジョーカーをサーチして
更なるアドを稼ぐというのが【EMEm】の基本的な動きだった。
テーマ内サーチは昨今では珍しくもないが、
それらの多くは召喚権が必要だったり、
使用後はテーマ外のモンスターの召喚が制限されたりといった
バランス調整がなされており、
そういう意味ではこのカードの反省が
生かされているといえなくもないだろう。
ちなみにヒグルミと同じくアニメ出身のカードであり、
ファンからの相性(?)は「猿」または「過ち」。
確かに壊れカードではあるのだが、
ヒグルミと比べてネタにされたり叩かれる機会が多いのは
やはりその見るものの神経を絶妙に逆撫でする
独特なビジュアルの所以なのだろうか…。
十二獣モルモラット & 十二獣ブルホーン
《十二獣モルモラット/Zoodiac Ratpier》
効果モンスター(制限カード)
星4/地属性/獣戦士族/攻 0/守 0
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「十二獣」カード1枚を墓地へ送る。
(2):このカードを素材として持っている、
元々の種族が獣戦士族のXモンスターは以下の効果を得る。
●1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
手札・デッキから「十二獣モルモラット」1体を特殊召喚する。
《十二獣ブルホーン/Zoodiac Broadbull》
エクシーズ・効果モンスター(禁止カード)
ランク4/地属性/獣戦士族/攻 ?/守 ?
レベル4モンスター×2
「十二獣ブルホーン」は1ターンに1度、
同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):このカードの攻撃力・守備力は、
このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから通常召喚可能な獣戦士族モンスター1体を手札に加える。
第9期の末期に登場したインチキエクシーズ集団、
十二獣のキーカードたち。
これらのカードについて触れる前に、
十二獣というカテゴリがどのようなものなのか
軽く説明しておこう。
十二獣とは干支をモチーフとした
エクシーズ召喚を主体とするカテゴリなのだが、
その最大の特徴として、
所属するすべてのエクシーズモンスターが
「1ターンに1度だけ」
「同名カード以外の自分フィールドの十二獣モンスター」の上に
「重ねて」特殊召喚できる共通ルールを有している点がある。
…もう一度いうが、
「重ねて」である。
つまり、実質的にモンスター1体で
エクシーズ召喚ができるようなものであり、
感のいい人ならこの時点で既に
何らかの危うさを感じるだろう。
そして、もう一つ重要な特徴として、
各エクシーズ体の持つ固有効果には
名称ターン制限がかかっていないため
「召喚し直せば1ターンに複数回発動できる」点がある。
例えば、今回取り上げた
十二獣ブルホーン(※禁止カード)は
1ターンに1度、エクシーズ素材を消費して
デッキから獣戦士族モンスターをサーチする効果を持つが、
重ねて召喚を行った後に正規の手段で
2体目以降のブルホーンを出せば、
複数回にわたってサーチ効果を発動することができるのだ。
そして、その2体目以降の展開に
この上なく都合の良い効果を持っていたのが
メインデッキに入る十二獣モンスターの一体である
十二獣モルモラットだ。
X素材となることで同名カードを
リクルートする効果を持ち、
一体でも召喚を許すと
二十日ネズミの如く瞬く間に増殖する。
具体的な手順は省略するが、
モルモラット1枚から未来龍皇と
ドランシアが並ぶなんてことはザラであり、
実質的に1枚で5~6枚分のアドバンテージを生み出す働きをしていた。
《FNo.フューチャーナンバーズ0 未来龍皇ホープ/Number F0: Utopic Draco Future》
エクシーズ・効果モンスター
ランク0/光属性/戦士族/攻3000/守2000
「No.」モンスター以外の同じランクのXモンスター×3
ルール上、このカードのランクは1として扱い、
このカード名は「未来皇ホープ」カードとしても扱う。
このカードは自分フィールドの「FNo.0 未来皇ホープ」の上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):このカードは戦闘・効果では破壊されない。
(2):1ターンに1度、相手がモンスターの効果を発動した時、
このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
その発動を無効にする。
この効果でフィールドのモンスターの効果の発動を無効にした場合、さらにそのコントロールを得る。
《十二獣ドランシア/Zoodiac Drident》
エクシーズ・効果モンスター(禁止カード)
ランク4/地属性/獣戦士族/攻 ?/守 ?
レベル4モンスター×4
「十二獣ドランシア」は1ターンに1度、
同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):このカードの攻撃力・守備力は、
このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、
フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
また忘れてはいけないが
(1)のデッキから「十二獣」カード1枚を墓地へ送る効果も
アドバンテージに直結する優秀な効果であり、
現在制限カードとなり、(2)の効果が実質的に死んでいるにもかかわらず
モルモラットが十二獣デッキで採用され続けている最大の要因となっている。
と、ここまで見ていただければわかるように
全盛期十二獣は壊れテーマ以外の何者でもなく、
当時のある大会では参加者72名中
71名がこのテーマを組み込んだデッキを使用し、
驚異の採用率99%という伝説を残している。
そのような状況もあってか、
10期が開始時に適用された
リミットレギュレーションでは
十二獣ドランシア、十二獣の会局が禁止、
十二獣モルモラットが制限となり、
さらに次のリミットレギュレーションでは
十二獣ブルホーンまでもが禁止になるという
これまでにない強力な規制をかけられるに至った。
1つのカテゴリでこれほど多くの禁止カードを
短期に生み出した例は他になく、
例えるなら遊戯王全体で急激なインフレが進んだ
9期の総決算と言えるカテゴリだろう。
真竜皇V.F.D.
《真竜皇V.F.D./True King of All Calamities》
エクシーズ・効果モンスター(禁止カード)
ランク9/闇属性/幻竜族/攻3000/守3000
レベル9モンスター×2体以上
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、属性を1つ宣言して発動できる。
このターン、以下の効果を適用する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
●フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、
宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分の手札の「真竜」モンスターの効果で破壊するモンスターを相手フィールドからも選ぶ事ができる。
1つのパックで10枚もの規制カードを出した
マキシマム・クライシスで登場したエクシーズモンスター。
その効果は相手の攻撃と効果の発動を
一方的に封じるという極めて強力なもの。
現代遊戯王においてモンスター効果は
多くのデッキで初動の起点となっており、
それを封じられることは死活問題に等しい。
しかもこのカードの(1)の効果は
「効果の発動」を封じる「残存効果」であるため
一度発動を許してしまえば、
例えこのカードを場から除去しても
以前効果は残り続けるという凶悪さを誇っている。
それでも登場当初は
レベル9モンスター×2という出しづらさから
まだ「出せれば強い」程度の認識だったのだが
11期に入ってVFDを安定して出せる
電脳堺というテーマが登場すると
そのぶっ壊れ度合いが一気に露呈。
《電脳堺狐-仙々/Virtual World Kyubi - Shenshen》
シンクロ・効果モンスター
星9/風属性/サイキック族/攻2800/守2400
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドから墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。
(2):自分のモンスターの攻撃宣言時に発動できる。
除外されている自分または相手のモンスター1体を選んで墓地に戻す。
(3):このカード以外の、元々の種族・属性が異なるモンスター2体を自分の墓地から除外して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
《電脳堺門-朱雀/Virtual World Gate - Chuche》
永続罠
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
除外されている自分の「電脳堺」カード2枚を選んでデッキに戻す(同名カードは1枚まで)。
その後、対象のカードを破壊する。
(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、
自分フィールドの「電脳堺」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベルまたはランクをターン終了時まで3つ上げる、または下げる。
特にレベル調整とVFDの保護を兼ねる
電脳堺門-朱雀と相性は抜群で、
電脳界を環境に押し上げる
強力な原動力となっていた。
そのような状況もあってか
このカードは登場から4年半後の21/10/01に禁止化され、
エースを失った電脳界も大幅な戦力ダウンを強いられることとなった。
このカードに限らず、相手に何もさせない
いわゆる「ハメ」のような状況を
容易に作れてしまうようなカードデザインは
対話のゲームであるTCGにおいて
やはり根本的に許されないことなのだろう。
トポロジック・ガンブラー・ドラゴン
《トポロジック・ガンブラー・ドラゴン/Topologic Gumblar Dragon》
リンク・効果モンスター(禁止カード)
リンク4/闇属性/サイバース族/攻3000
【リンクマーカー:上/左/右/下】
効果モンスター2体以上
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、
このカード以外のモンスターがリンクモンスターのリンク先に特殊召喚された場合に発動する。
自分は手札を任意の枚数ランダムに捨てる(最大2枚)。
その後、捨てた数だけ相手は手札を選んで捨てる。
(2):このカードがEXリンク状態の場合に発動できる。
相手は手札を2枚まで可能な限り選んで捨てる。
この効果で相手の手札が0枚になった場合、
さらに相手に3000ダメージを与える。
強力な2種類のハンデス効果を備えた
大型リンクモンスター。
リンク4であることと、
(2)の効果の発動にEXリンクを必要とする点から
一見すると「決まれば強い」タイプの
所謂ロマンカードにも見えるかもしれない。
しかし当時はまだハリファイバーや
ファイアウォールドラゴン(エラッタ前)、
サモン・ソーサレスなどの
優秀なリンクモンスターが健在であり、
このカードを組み込んだ
EXリンクを完成させること自体は
そう難しいことではなかった。
そして、一度このカードを絡めたEXリンクが成立してしまえば
脅威の4ハンデス(自ターンに(2)の効果を、相手ターン開始時に(1)の効果を使用する)で
相手の反撃の芽を確実に潰し、おまけにEXリンクの特性で
相手はEXデッキからの召喚が一切できない(10期ルール)という
万全の状態を作り出すことができたのだ。
ただでさえ先行有利と言われる遊戯王で
その傾向を助長するこのカードの存在が許されるはずもなく
2020年1月1日適用のリミットレギュレーションで一発禁止に。
一説によると、エクストラリンクと相性の良い
未界域の登場に合わせての規制とも言われている。
ともあれ、ハンデス三種の神器といい
ゼンマイハンターといい、このカードといい
ハンデスカードは何かと禁止に縁が強く、
いかに調整が難しいかが窺える。
戦術の多様性は大事とはいえ、
やはり対人ゲームとして
一方的に相手をハメ殺すような戦術は
根本的に受け入れられづらいのだろう…。
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ
《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ/Red-Eyes Dark Dragoon》
融合・効果モンスター(禁止カード)
星8/闇属性/魔法使い族/攻3000/守2500
「ブラック・マジシャン」+「真紅眼の黒竜」またはドラゴン族の効果モンスター
(1):このカードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、
その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
この効果は1ターン中に、このカードの融合素材とした通常モンスターの数まで使用できる。
(3):1ターンに1度、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。
その発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を1000アップする。
「ブラックマジシャン」+「真紅眼の黒竜」
という初代からのファンにとっては夢の共演…
しかし、それは夢は夢でも悪夢の始まりだった─。
耐性、盤面干渉、妨害効果を兼ね備え
単体性能だけ見ても相当強力なカードであることは
テキストを読めばすぐにお分かりいただけるかと思うのだが、
このカードが禁止にまでなった最大の理由は
その性能に釣り合わない異常なまでの出し易さにあった。
素材に最上級バニラモンスターを要求するため
一見すると重いカードのように思えるのだが、
このカードの場合は素材が手札になくても
デッキからの融合を可能とする「真紅眼融合」に対応しており、
さらにその「真紅眼融合」の持つ重いデメリットも
後に同じく禁止カードとなったリンクモンスター界の問題児、
「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」で踏み倒すことができたのだ。
とりわけ、リンクモンスターであるアナコンダは
効果モンスターを2体並べるだけで
どんなデッキでも出すことができたためメインに
ブラックマジシャン×1、真紅眼の黒竜×1、真紅眼融合 ×3を
突っ込んだお手軽出張セットが大流行。
かくして当時の環境では
誰もがいれるカードになった結果、
登場からわずか10ヶ月目の2020/10/01をもって
あえなく御用(禁止)になったのだった。
ちなみにこのカードの登場で
俄に環境デッキに引っ張り出される形となった
ブラックマジシャンと真紅眼の黒竜の両名だが、
当時の多くのデュエリスト達からの印象は
「ドラグーンを出すために仕方なく投入する
なるべく手札に来て欲しくない事故要因」という
あんまりなものであったことも付け加えておく。
ティアラメンツ・キトカロス
《ティアラメンツ・キトカロス/Tearlaments Kitkallos》
融合・効果モンスター(禁止カード)
星5/闇属性/水族/攻2300/守1200
「ティアラメンツ」モンスター+水族モンスター
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「ティアラメンツ」カード1枚を選び、手札に加えるか墓地へ送る。
(2):自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
自分の手札・墓地から「ティアラメンツ」モンスター1体を選んで特殊召喚し、
対象のモンスターを墓地へ送る。
(3):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。
2022年4月23日発売の
POWER OF THE ELEMENTSで登場した融合モンスター。
3種類の効果を持つが、
そのどれもがアドバンテージに直結するもので、
一度召還を許せば都合6枚分のアドバンテージをかっさらっていく。
その上、簡易融合対応で1枚からポンと出てくる上に、
簡易融合なしでもティアラメンツ・レイノハートや
絶海のマーレで水族ティアラメンツを墓地に落とすことで
やはり1枚消費で飛び出てくる。
《ティアラメンツ・レイノハート/Tearlaments Reinoheart》
効果モンスター(制限カード)
星4/水属性/戦士族/攻1500/守2100
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「ティアラメンツ・レイノハート」以外の「ティアラメンツ」モンスター1体を墓地へ送る。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
このカードを特殊召喚し、自分の手札から「ティアラメンツ」カード1枚を選んで墓地へ送る。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
《絶海ぜっかいのマーレ/Supreme Sea Mare》
融合・効果モンスター
星5/闇属性/水族/攻2300/守1200
「ティアラメンツ」モンスター+水族モンスター
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「ティアラメンツ」カード1枚を選び、手札に加えるか墓地へ送る。
(2):自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
自分の手札・墓地から「ティアラメンツ」モンスター1体を選んで特殊召喚し、
対象のモンスターを墓地へ送る。
(3):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。
また、3つある効果の中でもとりわけ凶悪なのが
一度に5枚もの墓地肥やしができる(3)の効果で、
この効果に着目した混合型デッキが多数考案され、
中でも強力な墓地効果を持ったモンスターを多数有する
【イシズ】との混合型デッキである【イシズティアラメンツ】は
極度のインフレが進んだ11期後半の環境においてなお
使用率トップに君臨するほどの強さを誇っていた。
そんな状況もあり、このカードは登場から8か月後の
2023年1月1日のリミットレギュレーションで一発禁止となり、
他にもシェイレーン、レイノハートが制限と
ティアラメンツは大きな打撃を受ける結果となった。
ちなみに登場から253日での
禁止カード指定は融合モンスターとしては
現状最速の禁止指定であり、
そのスピードはあのドラグーンをも凌駕している。
これは、強力なカードを刷っては禁止化するという
コナミの焼き畑的なビジネスを象徴する出来事であり、
その業を背負ったこのカードは当分の間、
禁止という名の海底で深い眠りを強いられ続ける事だろう。
クシャトリラ・フェンリル
《クシャトリラ・フェンリル/Kashtira Fenrir》
効果モンスター(制限カード)
星7/地属性/サイキック族/攻2400/守2400
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「クシャトリラ」モンスター1体を手札に加える。
(3):このカードの攻撃宣言時、または相手がモンスターの効果を発動した場合、
相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを裏側表示で除外する。
本日最後に、まだ禁止には至っていないものの
私が初めて効果を知った時思わずわが目を疑った
期待の新星を一名ご紹介して当記事の
締めくくりに代えさせていただきたい。
クシャトリラ・フェンリルは
2022年7月16日に発売された
DARKWING BLASTで登場したカードで、
発売前に前情報がリークされた時点から既に
そのあまりにイカれた性能を
デュエリストたちから不安視されていたカードだった。
では、具体的にこのカードが
どうイカれているかといえばそれは主に
・あまりにも緩すぎる召喚条件
・召喚後即座に後続(同名カード含む)をサーチする継戦能力
・裏側表示で除外という最高クラスの除去能力
の3点に集約される。
古参プレイヤー向けに分かりやすく説明するなら、
サイバー・ドラゴンとE・HERO エアーマンと
邪帝ガイウスのいいところを合わせて割らずに、
ついでに3割り増しで強化したようなカードといえば
このカードのヤバさが少しは伝わるだろうか。
このあまりに滅茶苦茶な効果は
インフレが加速した現代の基準でも
流石にオーバースペックすぎたのか、
登場からわずか四ヶ月後の2023年1月には
制限カードに指定される運びとなっている。
開発側の見切り発車が生んだ、
まさに「なぜ刷った」カードの典型だろう。
おわりに
ここまで、私が選んだ40枚の壊れカードを見てきた。
こうして並べてみると
開発側の努力不足を疑いたくなってしまうが、
初期はまだ色々と試行錯誤の段階であった事、
中期以降はスタン落ちがなく、
年々カードプールが膨らみ続ける遊戯王で
バランスを取りつつ、なおかつユーザーを飽きさせない
新規カードを考案し続ける難しさがあることから
ある程度は仕方ない事なのだろうと思う。
遊戯王もそろそろ12期に入ろうとしている中で、
今後これらを超えるぶっ壊れカードが登場するのか否か…。
楽しみでもあり、恐ろしいような気分でもある。