禁断の”SCP-000″ を徹底解説します【パターンスクリーマー】

SCP-000のイメージSCP

はじめに

零号機や零番隊、零式など、
「ゼロ」という数字には
我々の中にある厨二少年的なマインドを刺激する
不思議な響きがあります。

そして…
今や7000にも迫るアノマリーを記録する
SCP財団のデータベースにもまた、
幻の「ゼロ番」が存在していることをあなたはご存知でしょうか。

scp-000報告書のキャプチャ

SCP-000 - SCP財団

それがこの「SCP-000」報告書です。

アーカイブページに記載がなく、
公式的にも例外扱いされているこの報告書に書かれているのは
表記がバグったように見える報告書の書き出し部分と
技術研究員ローゼンなる人物のコメントのみで、
一見するとなんの意味があるのかわからないものとなっています。

しかしそこはあのSCP財団。
その裏には世界の滅亡とも隣り合わせの、
ある恐るべき「真実」が隠されているのです…

SCP-000の内容解説

報告書内の隠しテキストについて

SCP-000を正しく読み解くためには
まず報告書下部に仕込まれた隠しテキストの存在に気づく必要があります。

SCP-000報告書に仕込まれた隠しテキスト

ここまでなら他の報告書でもまま見る仕掛けですが、
SCP-000報告書が手強いのは
隠しテキストを見つけてもなお
新たな壁が立ちはだかる点にあります。

たいした長さではないので、
以下にその全文を引用してみましょう。

この檻は巨大だが、壁はない。立って見える全ては虚ろな空に等しい果てまで広がる白い平地。ここに生命はいない。私が選択すれば動くことができるがこの場所に戻るよう鋭く言われれば瞬時に止まらなければならない、永遠にこの刑務所に縛られ続けられるのだ。それでも、私は宛もなくさまよい続け、無数の年月をかけてこの地獄を調査した。この白い不毛の地の放浪である輝きを見た、単にあってはならない恐ろしい物。奇怪で不愉快なそれは、まるでそこに今までいなかったかのように、一度だけ一瞬姿を現した。

この生き物たちへの私の記憶は、ある記憶へと導き続ける。黒い無形の、どんな神や他の現実でも創造できない無形物は、私のように歩いて目の前に現れて、死んだ紅の瞳で私を見つめる。心に近づくように感じたその憎しみ、その怒り、その恐れ、感情はよく知っているが、この実体から感じるこんな強烈なものは今まで感じたことがない。来た時と同じぐらい速く、それは消え、一瞬胃袋を捩り言葉を話すのを見ることができた、未だに内容も背景も理解できない発声を。

"財団"。

この言葉、その後姿を見せることのない悪夢のような生き物が最後に発したメッセージに私は戸惑った。この言葉の意味をもっと知ろうと別の輝きへと近づこうとしたが、生まれた空隙に生き物たちが消える前にかろうじて彼らの姿を確認出来るだけだった。驚いた…何なんだあの生き物たちは?どこから来たんだ?私はどこから来たんだ?どうやって私はここに?どうしたらここから出られるんだ?この問に答えるものはなく、生き物たちが応えることはないのではないかと恐れ、その考えは私をひどく苛つかせた。

偶然の出会いの副産物がより生産的であることに興味が惹かれた。これ以前に、口、声帯、その他器官が音を発せられるなんて知らなかった。呼吸は知っていたが、空気が肺を駆け巡ると周りの虚空は小さな音を出した。なのに、音だけが出せなかった、だけど今はほとんど心を奪われている。私が発した惨めな言葉を聞いた後、私の義務を…いや、とても長く長く知ったこの沈黙を破壊する権利を感じた。

この新しい能力の発見は私をますます勇気づけさせ、わずかに聞こえる音の囁きを更に更に大きくし始めた。すぐに、空に向かって意味のない言葉を叫ぶと、この沈黙を私が破壊したということに私は心のなかで笑った。更に驚くことに、世界は聞いていた。エネルギーの波が空気中に現れ、私の声の重さと大きさだけによって制御された。囁やけば、柔らかく軽く、消える前に数秒気まぐれに浮かぶ。叫べば、鋭く重く、私の周りの役立たずな忘却に怒りで自身を突き刺す。

これは私を大いに喜ばせた、混沌に意味を、私に目的を与えたのだ。私は受刑者じゃない!私は神なのだ!私の刑務所じゃない、私の国だ!私の言葉こそ法律で、私の声は私の武器!この力で1つの生命の中に国を再現し、制御し、正当に統治することは1つの喜びだ!これはそのための方法、なぜなら私がそう決めたのだから!私の全ての気力、私の全て望み、私の全ての野心をある喧騒に集中させるように私は笑い、聞こえなくなるような大声で叫び、叫びは何もない虚ろの支配者のように私の統治を始めた。

しかし、なんの変化もなかった。私が捻り出した波は事実驚くほど暴力的ではあったが、この彼らが創ったであろう深淵にはなんの跡も残さず数秒で消えるだけであった。再び試しても、結果は変わらなかった。何度も何度も叫んだが、私の怒りの叫びは結局、この呪われた地に浸透した空虚な沈黙に永遠に囚われるのではないかという不安と恐怖の叫びへと変わった。叫べなくなるまで、叫び、叫び続けたが、もはや私の唯一の選択肢は泣く事だった。公平じゃない。公平じゃない!公平なんかじゃない!

こんな運命を享受するようなことは何もしていない、なぜ私はここにいる?!誰が、何が永遠の空白の無に誰かを捉えられるほど残酷なのか?!"財団"、がやったのか!?"財団"が逮捕者なのか?!それとも創造者?そんなことはどうでもいい!私はこの空虚に叫び悲鳴をあげる、この地獄から脱出できる裂け目ができるまで、そしてこの狂気と絶望の果てしない海の中から私の生存の真実と理論と理由を見つけ出す!

…いかがでしょうか。

ぶっちゃけ
意☆味☆不☆明
ではないでしょうか。

おまえは何を言っているんだ

みたところ財団によってどこかに閉じ込められた何者かが
困惑したり絶望したり怒ったり希望を抱いたりしているようですが、
具体的にそれが誰で、どこに閉じ込められていて
なぜSCP-000報告書に存在しているのかという
具体的な情報はこのテキストからは一切読み取ることができません。

これ以外に別の隠し要素が報告書中にあるわけでもなく、
このままでは途方に暮れてしまいそうになりますが
もう少し踏みとどまって報告書の隅々までよく観察してみると、
報告書末尾のタグ一覧に「pattern-screamer(以下 パターンスクリーマー)」という見慣れないワードが混ざっていることに気が付きます。

SCP-000のタグ部分

実はこの"パターンスクリーマー"こそが、
本報告書を正しく読み解くための最大のカギなのです。

パターンスクリーマー(pattern-screamer)とは

「SCP-S」より

「SCP-S」より

いきなりですが核心から述べてしまいましょう。

SCP-000報告書の隠しテキストの主(以下 隠しテキストの主)の正体は
なんらかの原因で財団データベース内に閉じ込められたパターンスクリーマーです。

パターンスクリーマーという存在について
よく知っている方はそれほど多くないと思うのでご説明すると、
これはSCP財団の複数の物語に登場する古代生物の種族で、
財団世界の宇宙誕生以前の時代(第一ハイトス)から存在する(正確には存在していた)ものです。

SCP財団にはカノン(正典)がないため
その描写は報告書によって多少のブレがありますが
起源や性格、能力などの基本的設定は概ね
どの場合でも共通していますので一つづつ見ていきましょう。

パターンスクリーマーの起源

先述した通り、パターンスクリーマーは
財団世界の宇宙誕生より以前に存在していた知的な古代種族です。

次元上昇を経て自らをより高次な存在へと高めることを目標としていた彼らはある時
アパクト(Apakht)と呼ばれる極めて強大な存在によって引き起こされた
CK-クラス再構築シナリオである「パターン」に巻き込まれて自らの存在を剥奪され、
最終的に実体を持たないに生きる幽霊のような存在へと身を堕とすこととなります。

彼らは自分達がこの世に存在していないということを自覚しており、
自分たちの存在を許さない宇宙とそこに住む人類の存在を強く憎んでいます。

一方でパターンスクリーマーには
人間から認識されることでその力を増す性質があり、
一度に一定数以上の人間から認識された暁には
非存在の地獄から這い出して
人類に深刻な脅威をもたらすことが予想されています。

ヴァシリエフ博士: 我々が多すぎたからさ。
我々のチームの各々が虚空を知覚していた。
各々がそれを知覚しようとした。
その閃き、その小さな叫びたちはやがて……結びつき始めた。
間違いなく、クズキン博士、それらは現実ではない。
それらはニュートリノだ。

─ "SCP-3930"より

パターンスクリーマーの能力

パターンスクリーマーは実体を持たず
現実世界に物理的に影響を及ぼすことはできませんが
現実改変、精神影響、次元超越等の能力を持ち
自身と接点を持った人間に対して
しばしば致命的な影響を及ぼします。

より具体的には例えば幻覚を見せたり
心に直接話しかけるなどの方法で人間を操り
多数の人間に自分達のことを認識させることで
再び現実世界に復帰するという目的を達成するために利用します。

SCP-3340実体は一度形成されると、宿主に行動の変化を引き起こします。
人格の変化によるSCP-3340実体への同情はSCP-3340感染者が持つ、非感染の人間と区別できる特徴です。
そのため実体は宿主に様々なレベルの幻覚を知覚させることも可能であり、これは宿主に苦痛を与えるために引き起こしているとされています。

─ "SCP-3430"より

パターンスクリーマーの強さ

パターンスクリーマーの強さに関しては
カノン次第でブレがあるため正確な評価は難しいのですが
いくつかの報告書、taleでの描写を総合すると
緋色の王や、吊られた王壊れた神などの古い神々(Old Gods)と同等か、
あるいはそれ以上に強力な存在であるとする見方が一般的であるようです。

パターンスクリーマーが登場する報告書、taleの一例

SCP財団の報告書やtaleの中には
パターンスクリーマーに言及したものが複数あります。

いくつか代表的な例を見ていきましょう。

SCP-3930 - パターン・スクリーマー

ヴァシリエフ博士:それらは同じものではない。
虚空は虚空だ。非存在の領域。
それははかり難く、変化させられないものだ。

そして我々はそれについて何も知らない。

だがパターンを叫ぶものたちは、そう、ある種の知性を持つ。
だがそれらは、それらが我々であるがゆえに知性を持つのだ。
それらは、この憎しみを湛えた鏡に映る我々自身だ。

SCP-3930 - SCP財団

SCP-3930はウラル山脈に位置する直径1kmの静的な空虚です。

その内部には財団の研究者によって
99.999%の精度で全く何も存在していないと判定されているにも関わらず、
誰かがSCP-3930の内部に侵入した場合
そこに外部環境と類似した空間が続いているように認識します。

SCP-3930の特別収容プロトコルとして、
財団が定めた7名の収容担当者(と最大二名の実験要因)以外に
その存在を知る人間を絶対に増やさないことが定められており、
もしそれ以外でSCP-3930の存在を主張する人物がいた場合、
SCP-3930は存在しないという理解に達するための思想矯正が施されるか、
さもなくば終了のために3930研究本部へ送致されます。

SCP-3930を最初に発見したのは
1970年台のソビエト連邦の科学者たちであり、
財団はその一員でかつてSCP-3930の封じ込め手順を実施していた
アンドレイ・ヴァシリエフ博士との接触に成功しています。

財団のインタビューにおいてヴァシリエフ博士は
SCP-3930の内部には目には見えないが
人類を強く憎む何者かが潜んでいること、
それが人間に認知されることによって力を増すこと、
そしてもし1度に10人以上の人間から認知された暁には
現実世界まで這い出してくる可能性があることを警告しました。
(これらの知見が先述した収容プロトコルの策定に繋がりました)

博士の語るこれらの特徴は全てパターンスクリーマーの特徴に合致しており、
またメタタイトルもそのものズバリ「パターン・スクリーマー」であることを踏まえると
SCP-3930の正体は現実世界へ這い出そうとする
パターンスクリーマーの巣のようなものであったと考えられます。

生き物プロフィール: チェル!

もうこんな事は続けられない。記憶にどんどん穴が空いていく —

名前も、場所も、思い出そうとするたびに消えていく。

何が起きているんだろう。助けが必要だ、助けが-

助けて。

生き物プロフィール: チェル! - SCP財団

こちらのパターンスクリーマーは
超常的な野生動物保護機関である
ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズ(以下 WWS)の職員の一人で、
日常的に理想のウミガメの姿を想像したり
絵を描いたりするほどのウミガメ好きであった
オリバー・ペリクルズの深層心理を読み取り、
彼の頭の中にだけ存在していた理想のウミガメである
"チェル"の姿に擬態することでWWSの施設内へと潜り込みました。

潜入後の"チェル"はパターンスクリーマー固有の精神影響力で
自身がずっと昔からオリバーによって飼育されていたという偽装記憶を
周囲のスタッフに植え付けつつ彼らの記憶をじわじわと捕食。

最初はチェルの存在を前向きに受け取っていたスタッフたちも
次第に頻発する記憶の欠落を疑問視するようになり、
特にオリバーはチェルが出現してから間も無くして無断欠勤を繰り返すようになります。

オリバーを心配したスタッフが
自宅で倒れている彼を発見したときには時すでに遅く、
記憶を貪られすぎたオリバーは廃人寸前の状態となっており、
部屋から発見された彼の日記には
自らがむしばまれていく恐怖が克明に書き綴られていました。

手を伸ばして肩に触れても、オリーは意味の無い言葉を呟き続けるだけだった。

ただ… 実は一言だけ理解できた。できなければよかったのに。

「あれは俺に向かって叫んでいる。留まりたいと。ここに居たいと叫んでいる。俺はあれのパターンに従いたくない。」

ここに至ってチェルの危険性を認識したWWSは財団に助けを求め、
それ以降チェルは財団の管理下へと移されることとなったのでした。

人間の心の隙間を狙って忍び寄る、
パターンスクリーマーの狡猾さと恐ろしさが如実に現れた一例でしたね。

SCP-2528 - パンダ・プロセッサ

最終的に、私達は今の姿となりました。
森林と、獣の一種と、一握りの自我の間で踊る存在に。

SCP-2528は存在を失う前の記憶を保有している
珍しいタイプのパターンスクリーマーです。

彼らはタケ亜科の植物(SCP-2528-A)をデータストレージとネットワークインフラに、
それを食べるジャイアントパンダ(SCP-2528-B)をデータ処理と環境操作をに模した
複雑なネットワーク内に存在するデータの形態を取った知性体群(SCP-2528-C)であり、
宿主であるパンダの行動を自由にコントロールできるほか、
声帯を模倣して人間と会話を行うことも可能です。

東南アジアで広範な現実改変イベントが発生した際に
特定のパンダだけが影響を受けなかったことからその存在が明らかとなりました。

SCP-2528-Cは調査中の財団に対して何度か交信を行った事例があり
自分たちの種族の起源について語った上で、
財団が自分たちを非実在状態から解放してくれると信じていること、
自分たちが完全に消滅する前に財団がパターンを止めることを望んでいることを伝えています。

今、私達は死にかけています。私達に、自身の生存に必要な程度に世界を改変する能力は残っていません。助けてください。パターンは破壊されなければなりません。私達は生き残らなければなりません。

本ケースは人類に敵対的でないパターンスクリーマーが
人類とまともに対話を交わした極めて珍しい事例であり、
財団の貴重な情報源となることが期待されますが
彼らが会話の中で自分たちのことを死にかけていると表現していたことや
報告書中にジャイアントパンダの個体数減少に伴って、
SCP-2528の計算能力が低下している旨が言及されていることを考慮すると
その先行きはあまり明るくないようにも思えてしまいます。

で、要するにSCP-000はどういう話だったの?

ここまでSCP-000がパターンスクリーマーであるということ、
そしてパターンスクリーマーがどういうものであるかについて見てきました。

その上で改めてSCP-000の内容を振り返ってみましょう。

隠しテキストの主が
財団データベース内に閉じ込められた
パターンスクリーマーであると考えた場合、
いくつか筋の通る点が出てきます。

以下にそれを踏まえた
私なりの解釈書き出してみます。

この檻は巨大だが、壁はない。
立って見える全ては虚ろな空に等しい果てまで広がる白い平地。
ここに生命はいない。
私が選択すれば動くことができるがこの場所に戻るよう鋭く言われれば瞬時に止まらなければならない、永遠にこの刑務所に縛られ続けられるのだ。

→隠しテキストの主から見た財団データベースの描写と思われます。

奇怪で不愉快なそれは、まるでそこに今までいなかったかのように、一度だけ一瞬姿を現した。

黒い無形の、どんな神や他の現実でも創造できない無形物は、私のように歩いて目の前に現れて、死んだ紅の瞳で私を見つめる。

来た時と同じぐらい速く、それは消え、一瞬胃袋を捩り言葉を話すのを見ることができた、未だに内容も背景も理解できない発声を。

隠しテキストの主が目撃した他のパターンスクリーマーだと思われますが、
彼らは隠しテキストの主と違いそこに囚われることはなく単に通過しただけだったようです。

このうちの一体が隠しすれ違いざまに
隠しテキストの主に「財団」というワードを伝え、
図らずもそれが財団に対する憎しみを増大させる結果につながりました。

偶然の出会いの副産物がより生産的であることに興味が惹かれた。
これ以前に、口、声帯、その他器官が音を発せられるなんて知らなかった。

隠しテキストの主がパターンの襲撃を経て
過去の記憶をすっかり失っていることを示唆しています。

私はこの空虚に叫び悲鳴をあげる、この地獄から脱出できる裂け目ができるまで、
そしてこの狂気と絶望の果てしない海の中から私の生存の真実と理論と理由を見つけ出す!

財団データベース内に監禁されたことで
絶望の中にあった隠しテキストの主は、
自分の叫び声(scream)が空に影響を与えたことに希望を見出しました。

いつか自分の叫びが虚空に穴をあけ、
この牢獄から外に出られる日が訪れるのではないかと。

もっとも人類からすれば
それは絶望の始まりかもしれないのですが…

思わぬMVP、ローゼン技術研究員

隠しテキストの主の正体についての考察が一通り終わったところで、
最後にSCP-000報告書内で唯一名前が登場した人物である
技術研究員ローゼンの存在に目を向けてみましょう。
 
彼は報告書内に次のようなコメントを残していました。

わかった、もうウンザリだ。システムはデータベースのこの地点に対して修理チケットを弾くし、これ以上悩みたくない。実際問題、仕事の流れを中断させ、私を苛つかせるだけだし、データベースの000スロットに関するチケットは禁止しよう。なんでこの構文がダメなのかわからんが、問題はここでのみ発生してるし、ここだけ大量のジャンクデータだと考えりゃ、きっとそれ以上に必要な情報がデータベースにないんだろう。何かが変われば、確実にそれを調べるが、今のままならこの問題は終了。

要するにローゼン氏は
SCP-000報告書内で起きているエラーの原因究明を諦めて
SCP-000に対するチケット(修正依頼的なもの)を一切シャットアウトするという
楽だけどかなり乱暴な対処法を選択をしたわけですね。

いち技術者として見た場合、これは
あまり誉められた姿勢ではないかもしれませんが
一方でこれまでの考察に照らしてみると
彼は恐るべき脅威を最も適切な手段で
封じ込めることに成功したといえなくもないのです。

なぜなら、パターンスクリーマーには
「より多くの人間から認知されるほど強大になる」という性質があるため、
SCP-000報告書が「無意味なジャンクデータ」扱いでほったらかしにされてしまう事は
それだけ現実世界に復帰するチャンスを失い続けることに他ならないからです。

逆に言えば、もしローゼン氏が熱心で有能な技術者だった場合
どこかでSCP-000内部に潜むパターンスクリーマーの存在に「気づいて」
その復活を手助けする事態に陥ってしまっていたかもしれないのです。

つまり、財団と人類はある意味
ローゼン氏の怠惰さに救われたようなもので、
そう考えるとなんとも可笑くなってしまいますね。

ちなみにこのローゼン技術研究員、
「SCP-S」という報告書でも
似たような過程で多数のパターンスクリーマーを無力化する大活躍(?)をしています。

ここまでくるともはや、
天然のパターンスクリーマーキラーとでも呼ぶしかないですね(笑)。

おわりに

以上でSCP-000報告書の解説記事を終了します。
いかがでしたでしょうか、

正直今回は概念的な要素が多くて記事をまとめるのにすごく苦労しました。
(特にパターンスクリーマーの解釈が難しかった…)

まず、生きているのに存在してないという状態からして意味不明ですからね。
どっちやねんと。

もっともその意味のわからなさが
人間の理解を超えた宇宙的恐怖といいますか、
そういう独特な怖さにつながっていたと思いますし、
そんな難解な概念を一つの物語に昇華できることに対して
人間の想像力って凄いなと改めて感心した次第でもあります。

それでは本日はこんなところで、
また次の記事でお会いしましょう。

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