もう挫折しない!哲学初心者におすすめの入門本ベスト5

哲学
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哲学を楽しもう

哲学というと、「何だか小難しいもの」
「生活の役に立たないもの」
というレッテルを貼られがちです。

ですが、哲学の基本は「疑問を持ち、考えること」であり
全ての学問の根本につながるものだと思います。
忙しい日常からふと離れて、哲学の庭に遊ぶ時間は、
私たちの心を豊かにし、柔軟な思考力を育んでくれます。

また、哲学を学ぶことで
論理的な思考法と読解力が身につき、
意見の発表やプレゼンが上手くなるなど、
実用的な面でもたくさんのメリットがあります。

今回は、読み物としての面白さと
初心者にとっての親しみやすさを第一に考え、
私が読んできた中から、
初心者が哲学に触れる上で、
もっともおすすめの書籍を、
ランキング形式でご紹介します。

孔子、ソクラテス、デカルト、カント、ニーチェ、サルトル…
歴史に名を轟かす、知の巨人たちの思想に触れて、
もっともっと自分を大きく成長させましょう!

1. 史上最強の哲学入門 飲茶 著(電子書籍版あり)

史上最強の哲学入門の表紙

哲学と科学を扱う有名サイト、『哲学的な何か、あと化学とか』
の管理人である、飲茶氏の著作です。
本作は、このサイト内の哲学コンテンツの書籍化となります。

この本の素晴らしいところは、
難解な哲学者の思想や哲学用語を、
なじみ深い例えや、分かりやすい図を使って、
カンタンに解説してくれている点です。

WEBサイト発祥という事もあり文体はフランクで、
哲学と聞いて浮かぶ堅苦しいイメージは一切ありません。
とはいえ、決して中身が軽いという事は無く、
プロタゴラスからデリダまで、
西洋哲学の一連の流れを、余すとこなく学べます。

初心者向けの本として特に欠点はありませんが、
強いて言うなら、哲学史全体を俯瞰する性質上、
どうしても一人一人の記述量は限られています。
本書を読んで興味がわいた哲学者については
その著作を読むなどして、
さらに理解を深めることをおすすめします。

書籍の元になった飲茶氏のサイトは無料で閲覧できるので、
購入を迷われる場合はまずそちらをご覧ください。
(サイトのコンテンツと、書籍の内容は異なります)

ちなみに、インパクト大のカバーイラストは、
刃牙シリーズの作者板垣恵介氏によるもの。
これは、飲茶氏が同シリーズの
大ファンであることから実現したそうです。

また、西洋編を読み終えたら、
こちらの東洋編もぜひ読んでいただきたいです。
異なる文化圏の思想を知ることで、
より奥行きのある考えが学べますよ。

2. ソフィーの世界 ヨースタイン・ゴルデル著

ソフィーの世界の表紙

ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙

1990年に発売された、ヨースタイン・ゴルデルによる小説。
14才の少女、ソフィー・アムンセンの元に、
謎の人物から哲学講義の手紙が届くお話です。

著者のゴルデル氏はノルウェーの高校の哲学教師。
全世界で2000万部以上を売り上げたベストセラーでもあります。

もともと少年少女の哲学入門を考えて書かれた本で、
児童小説のようなやわらかい文体が特徴です。
哲学講義の差出人の正体を考える
ミステリー要素もありますので、
その点でも楽しみながら読み進められます。

とはいえ、その内容は非常に濃密。
600ページ以上に及ぶ大ボリュームで、
大人が読んでも十分に読みごたえがあります。

『万物は水である』と説いたタレスから始まり、
新しいものではホーキング博士のビッグバン理論まで、
扱う範囲は非常に広く、それぞれの解説も丁寧です。

先述の『史上最強の哲学入門』と比較すると、
あちらは読み物的にサクサク読めて、
こちらは学校の先生が書いただけあって、
より体系的に、丁寧に学べるのが利点です。

読書感想文のテーマとしても大変お薦め。
ただ、流石に小学生には難しいと思うので、
薦めるなら中学生以上かなと思います。

3. 哲学の教科書 中島義道 著

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日本における
カント研究の第一人者として有名な
中島義道氏の著書です。

哲学教授でもある中島氏が、
デカルト、ヴィトゲンシュタイン、
デリダ、カント、クリプキら
有名哲学者の思想を紹介しつつ、
哲学するということはどういうことか、
どんな人が哲学者に向いているのか
という
一番基本的な部分について、
クスリと笑えるユーモアを交えて綴られた書籍です。

私の印象では巷に哲学入門書は
あふれておりますが、それを読んで
本当の意味で哲学に眼を開かれる人は
きわめて少ないからです。

私は中学生のころ
跳び箱なんて恐ろしく、
まして「正しく」跳べないのに
「跳び箱の飛び方」というペーパーテストは
「教科書」を丸暗記していつもできていました。

こと哲学に関しては「教科書」は
こうした「跳び箱の跳び方」の
ようなものでは困る。
跳び箱の跳び方がわかるのではなく、
本当に跳び箱が飛べるように
ならなければならないのです。

上記は本書の序文からの引用ですが、
このように、哲学を
退屈な学校のお勉強のように捉えず、
人はなぜ生きるのか、
存在しているとはどういことなのかという、
だれしも一度は考える疑問の延長として、
生きた哲学の面白さを伝えてくれるのが
本書の素晴らしさであり、
私が皆さんに本書をオススメしたいと思う
最大の理由でもあります。

見所だらけの本書の中でも特筆すべきは、
中島氏による哲学書の読み方の解説でしょう。
難解な書として知られるカントの
純粋理性批判の一節を題材に、
本物の哲学研究者が
哲学書をどう読むのかについて、
知識がない人にもわかるように
懇切丁寧に解説されています。

生きることの意味や存在の不思議といった、
普通の人なら軽くスルーしてしまう悩みに
なぜか自分は躓いてしまうという方は
ぜひ一度この本を手にとってみてください
夢中になること請け合いですよ。

4. 大論争! 哲学バトル 畠山 創 著(電子書籍版あり)

大論争!哲学バトルの表紙

もし、カントとニーチェが討論したら?
もし、アリストテレスとマルクスが討論したら?
そんなドリームマッチの対話形式で、
各哲学者の思想を浮き彫りにする一冊。

「殺人は絶対悪なのか?」
「神様は本当にいるのか?」
「何のために生きるのか?」といった、
誰もが一度は考えた素朴な疑問をテーマとして、
有名哲学者らが熱いバトルを繰り広げます。

時には相手を強烈に批判したり、
意外な人物が共感しあったりと、
討論形式ならではの面白さが魅力ですね。

純粋な哲学者にとどまらず、
マルクスのような経済学者や、
カミュや森鴎外のような作家も登場します。
老子や荘子といった東洋の思想家も
登場する点も高ポイント。

注意点としては、
こちらも親しみやすい作風ですが、
前述の二冊に比べると、
登場する哲学者について、
多少は知識があるほうが楽しめると思います。

イラスト担当は、逆転裁判で有名な岩本辰郎氏。
討論に参加する哲学者の風貌が
活き活きとしたイラストで描かれており、
本作に華を添えています。

5. 超訳 論語 安富 歩 著

超訳論語の表紙

ニーチェやウィトゲンシュタイン編も出ている、
超訳シリーズの孔子編です。

孔子と言えば、言わずと知れた儒教の祖。
規律や目上の人間への「礼」を重んじる儒教は
特に江戸時代には幕府によって重用され、
今も私たち日本人の心に深く根付いています。

論語というと、保守的で古臭いという
マイナスイメージを持たれがちですが、
本書で語られる孔子の言葉はむしろ革新的。
そういう見方があるのか!と、
思わずうならされる深い洞察があります。
たとえば…

「有益なともだちは、率直な友人、道理のわかる友人、
もの知りの友人であり、
上手い話をもってくる友人、善人だが腰抜けの友人、
口達者な友人は有害である」

「君子は、自分で自分のありさまを見ていて、
人と比べない。
小人は人と比べてばかりで、
自分で自分のありさまを見ない。」

「過ちを犯しながらそれを改めない事を、過ちという」

これらの言葉に、ハッとしませんでしたか?
私は、自分が孔子の言う小人(つまらない人)に
当てはまっていて、驚きと恥ずかしさを感じました。

著者による訳文はシンプルで美しく、
言葉の意味がスラスラ頭に入ります。
また、巻末には漢語の原文も掲載されているので、
読み比べて自分なりの意味を考えることも出来ます。

東洋思想の入門編ならまずこの一冊。
孔子の言葉に深く共感できたなら、
孔子の弟子で同じ儒家の孟子や、
道家の老子や壮子もおすすめです。
特に、壮子は仏教の禅ともかかわりが深く、
是非知っておきたい思想家です。

↑孔子のことばをもう少し知りたい方は、
当サイトでも専用の記事を投稿していますので、
よろしければ、是非お役立てください。

その他おすすめの哲学関連書籍

今回ご紹介した以外でも、
哲学的な学びや発見のある、
おすすめの本をいくつかご紹介します。

ソクラテスの弁明 プラトン著 久保勉 訳

「無知の知」の信念に従ったために
権力者たちから
「若者を堕落させた罪」によって訴えられ、
命を賭けた裁判に臨む
ソクラテスの姿を描く作品です。
ソクラテスと友人クリトンとの対話を記録した
『クリトン』を同時収録。

哲学の根っこである、「考え続ける事」
「真理を追い続ける事」を熱く訴える名著。
自身の命をかけた裁判での、
ソクラテスの堂々とした演説に心打たれます。

哲学を学ぶならはずせないのがこの一冊。
とっつきやすさの点でこの順位としましたが、
ページ数も100ページ前後とライトで、
他の哲学書と比較すれば、
圧倒的に読みやすい作品です。
未読の方はぜひ。

著者はソクラテスの弟子であるプラトン。
この人もイデア論など、語ることの多い哲学者です。
ご興味があれば、他の著作もチェックしてみてください。

ツァラトゥストラかく語りき フリードリヒ・ニーチェ著

日本でもトップクラスに有名な哲学者
フリードリヒ・ニーチェの代表作です。

「超人」「神の死」「永遠回帰」など、
ニーチェ思想の中核となるワードが登場し、
キリスト教批判を通じて
人間の生に対する激しい疑問をぶつけた
ニーチェ渾身の力作です。

主人公ツァラトゥストラの
旅物語の形式をとっており、
文章表現も豊かで面白く
哲学書になれていない方でも
比較的読みやすい内容です。

また、本書に登場する名言を
こちらの記事でまとめておりますので
ご興味があればぜひご一読ください。

これからの「正義」の話をしよう マイケル・サンデル著

NHKの『ハーバード白熱教室』で
社会現象を起こした、サンデル教授の著作。

この本が面白いのは、
興味深いストーリーと共に
哲学的テーマを考えさせてくれる点です。

村人に情けをかけて見逃したために
部隊を壊滅させられた米兵の話や、
三人が助かるために一人を食べた
漂流者の話など、
考えさせられる話が次々に登場し、
読み手の興味を実に巧みに引き出します。

カントやアリストテレスと言った
正義について論じた哲学者たちの
思想にも触れています。

注意点としては、著者のサンデル氏は、
(本人は認めてないそうですが)
共同体主義者の立場であるという点。
そこは、念頭に置いておく事をおすすめします。

自省録 マルクス・アウレーリウス著

ストア派哲学に学び、
「哲人皇帝」とも呼ばれた、
ローマ皇帝マルクス・アウレーリウスの著作。

ストア派は「ストイック」の語源にもなったように、
清貧を良しとする厳格な思想です。

本書は、アウレーリウスがのこした
メモを元にした言行録ような内容であり、
ストーリーものの様に読みやすくはありません。

ですが、そこに収められた言葉からは、
ローマ帝国の頂点に立ちながら、
僕らと同じように、死や人間関係に悩み、
それでも懸命に責務を果たそうとした
アウレーリウスの姿が浮かび上がってきます。

人生の不条理や、
どうしようもない不幸にぶつかったときに、
乗り越えるための勇気を与えてくれる一冊です。

カント入門 石川文康 著

近代哲学の山場とも言われるカントの思想を、
カント研究の第一人者である
石川文康氏がかみ砕いて教えてくれる一冊。

アプリオリや悟性といったワードはもちろん、
アンチノミーや道徳法則といったカントの思想を、
その人柄にまで迫りながら解説しています。

今回紹介した中では、
かなり本格的で難易度の高い本ですが、
その分得られるものは大きく、
脳みそを振り絞ってでも読む価値のある作品です。

そして、本書を読み終え理解できたなら、
岩波文庫から出ている
カント自身の著作に
手を出してみるのも良いでしょう。
(相当の知識と覚悟が要求されますが…)

まとめ

以上、私のお勧めする哲学入門書ベスト5でした。
今回ご紹介した書籍は、あくまでも初心者向けですが、
これらの本を機に、哲学って面白い!と感じる方が
少しでも増えてくれれば幸いです。

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