はじめに
後世のファンタジー作品に多大な影響を与え、
近年でもAmazonプライムで新作ドラマシリーズ
「力の指輪」が公開されるなど、
今なお高い人気を誇る映画、
ロード・オブ・ザ・リングシリーズ。
本日はそんなロード・オブ・ザ・リングの中でも、
劇中で語られた珠玉の名言の数々をご紹介します。
ガンダルフ、アラゴルン、サム…
綺羅星のようなキャラクター達の名言が、
あの日の感動を色鮮やかに蘇らせてくれるはず。
それではいってみましょう。
※引用するセリフの内容は字幕版準拠です。
ロード・オブ・ザ・リングの名言12選
目的を決めずに家を出て 足の向くままに歩くと とんでもない所へ行ってしまう
公開第一作目の「旅の仲間たち」より、
旅立ちの場面でのフロドのセリフです。
正確には、フロドが昔ビルボから聞いたこの言葉を
サムとの会話の中で引用した形ですね。
サム:
ここですフロド:
何が?サム:
この一歩先は今まで
足を踏み入れてない土地ですフロド:
来いよビルボは言っていた
"用心を"
目的を決めずに家を出て─
足の向くままに歩くと─
とんでもない所へ行ってしまう
これから壮大な旅が始まるぞという
雰囲気が伝わってきて個人的にも
お気に入りの名言&シーンの1つです。
また、これが元はビルボの言葉ということで
「ホビットの冒険」での彼の活躍を知っていると、
より一層の感慨が湧くセリフでもあります。
剣に誓う
「旅の仲間たち」より。
エルロンドの館で旅の仲間たちが
フロドの旅に同行することを誓った場面でのセリフです。
アラゴルン:
剣に誓う
(You Have My Sword)レゴラス:
僕は弓で戦う
(and MyBow)ギムリ:
俺は斧で!
(and My Axe)
お馴染みのメンバーが初めて顔を揃え、
誓いを立てるこの場面は
本作でも1、2を争う名場面の一つですね。
ただ、欲を言えば翻訳に関しては
「剣に誓って君を守る」といった具合に
あくまでもフロドに対する誓いであることを
強調する形であった方がよりしっくりきた様な気もします。
お前は死者に命を与えられるか? 軽率に死の判定を下してはならぬ
「旅の仲間たち」の
モリア坑道での休憩シーンより。
1つの指輪を狙い、密かに
一行の後をつけてきていたゴラムについて
フロドに語った際のガンダルフのセリフです。
フロド:
ビルボがやつを殺していれば…ガンダルフ:
情けだよ情けがビルボの手を止めた
死に値する者が生き永らえ
生きていて欲しい者が死ぬお前は死者に
命を与えられるか?軽率に死の判定を
下してはならぬ賢者とて
未来は読み切れぬあのゴラムも
善か悪かは分からぬが 役目を持っておるこの先 いつの日か…
ビルボの情けが
大勢の運命を変えるかもしれん
どんな存在にも何かしらの役割があり、
軽率に命を奪ってはならない…
ガンダルフの賢人としての性格が
よく表れたセリフですね。
そしてガンダルフのこの「予言」は後に
物語の最も重要な局面で実現することとなります…
つらい目に遭うと皆そう思うがどうにもならん それより今 自分が 何をすべきか考えることだ
「旅の仲間たち」の
モリア坑道での休憩シーンより。
次から次へと降りかかる災難の連続に
思わず弱音がこぼれたフロドに対し、
ガンダルフが静かに優しく語りかけたセリフです。
フロド:
僕が指輪を貰わなければ
こんな旅にも出ず…ガンダルフ:
つらい目に遭うと皆
そう思うが どうにもならんそれより今 自分が
何をすべきか考えることだこの世では善悪の力に加えて
運命の力が働くビルボは指輪を見つけ─
お前は それを
譲り受ける運命だったのだそう思えば納得できる
与えられた状況に不平不満をこぼすのではなく、
その中で自分に何ができて、何をすべきかに意識を向けること。
単に運に恵まれた人や才能のある人以上に
その態度が自然に備わっている人こそ
本当に強い人なのではないでしょうか。
ちなみにですが、
「それより今 自分が 何をすべきか考えることだ」
の箇所の原文は以下の通りです。
"All we have to decide is what to do with the time that is given to us."
直訳すると「我々がしなければならないのは、
与えられた時間の中で何をすべきかを決断することだ」
といったところでしょうか。
2000歳は有に超える長命であるはずのガンダルフが
与えられた時間の限りについて言及しているところが
かえって味わい深いですね。
小さなものでも 未来を変えられるのよ
「旅の仲間たち」より、
ロスロリアンの奥方こと
ガラドリエル様の名言です。
フロド:
僕一人ではとてもガラドリエル:
指輪を授かった者は─その重荷に─
一人で耐える
それが あなたに
課せられた使命それを果たせるのは─
あなただけ
フロド:
よく分かりましたでも─
とても怖いんです
ガラドリエル:
小さなものでも
未来を変えられるのよ
「小さなものでも未来を変えられる」。
一見すると何気ないセリフのようですが、
全てを見終えた上で振り返ってみると
これほどロード・オブ・ザ・リングという作品の
本質を象徴しているセリフも他にない様に思います。
ここで1つ想像してみて頂きたいのですが、
もし仮に、本作がアラゴルンのような
「わかりやすく格好いいヒーロー」だけの
物語だったならばどうでしょうか?
確かにそれはそれで
1つの痛快な英雄譚にはなったかもしれないですが、
今のような不朽の名作としての評価は
決して得られなかったのではないかと思います。
主人公は小さく、ひ弱なホビットで、
自分一人では敵から逃げ回ることしかできず、
過酷な旅を終えた後も指輪の後遺症から
故郷へは帰れない(神々の国へと旅立たねばならない)宿命を背負う…
こうした安易なヒロイズムの排除こそが
ロード・オブ・ザ・リングという作品の妙味であり、
また主人公が脆弱であるからこそ
私たちはそこに自分の弱さを重ねて
深い共感を得ることができたのではないでしょうか。
望みは常にある
公開第二作に当たる
「2つの塔」のクライマックスでは、
老人や子供ばかりが逃げ込んだ小さな城を
アラゴルンたちが指揮官となって
数千のウルクハイの軍団から守る
角笛城の攻城戦が描かれました。
このセリフはそんな絶望的な戦いを前にして
不安げな様子を隠せずにいた一人の少年兵士に対し、
アラゴルンが勇気づけるために語りかけたものです。
ちなみに原文では「There is always hope」。
映画館で初めてこのセリフを聴いた時には
観ているこちらまで勇気づけられる思いがしたものでした…
この世には命を懸けて戦うに足る─ 尊いものがあるんです
前作にも増して過酷な戦いが描かれた
「2つの塔」を締めくくるサムの名言です。
フロド:
僕はもうだめだサム:
分かってます
こんなことになって
しかも こんな所まで─来てしまった
心に深く残る物語の中に
入り込んだ気がします暗闇と危険に満ちた物語
明るい話になり得ないので
結末を聞きたくない悪いことばかり起こった世界が
元に戻ります?でも この暗闇も いつかは
消え去ってゆくでしょう暗黒の日々にも終わりが…
新しい日々が来ます
そして太陽が より明るく輝く
そういうのが心に残る
意味の深い物語です子供の時は分からなくても─
なぜ心に残ったのか
今はよく分かる気がします物語の主人公たちは
決して道を引き返さなかった何かを信じて─
歩み続けたんですフロド:
何を信じればいい?サム:
この世には命を懸けて戦うに足る─
尊いものがあるんです
ロード・オブ・ザ・リングという作品には
数えきれないほど多くの魅力がありますが、
フロドとサムの友情もまたその1つですね。
さすらい人の身分は忘れ 生まれついての者となれ
最終作「王の帰還」より、エルロンドが自ら
鍛え直したアンドゥリル(イシルドゥアの剣)を
アラゴルンに手渡した場面のセリフです。
劇中でも1つのターニングポイントとなった重要な場面ですが、
アラゴルンの生い立ちについて知っておくとさらに味わいが増すので
少し長くなりますが簡単に解説してみます。
まず、劇中で語られていたように
アラゴルンはサウロンを倒したかつての英雄
イシルドゥアの血を惹く直径の末裔であり、
それはイシルドゥアが建国したゴンドールの
正当な王位継承者となることをも意味します。
ではなぜ当初アラゴルンがゴンドール王ではなく
さすらい人(レンジャー)として活動していたのかといえば
そこには主に次の2つの事情が関係しています。
まず1つはアルウェンとの関係です。
アラゴルンは(父アラソルン)が幼いころに急死したことで
エルロンドに引き取られ養子として育てられたのですが、
そこでエルロンドの娘であるアルウェンと出会い、互いに恋に落ちます。
ですが、エルロンドからすれば
大切な娘を簡単にはやれないという訳で、
アラゴルンにアルウェンと結ばれるためには
ゴンドール王以上の人間にならねばならないという
条件を突きつけました。
だからこそアラゴルンは
王となる前に世界を流離い
己を鍛え上げる必要があったのです。
そして、残るもう1つの理由は
先ほども触れたアラゴルンの祖先、イシルドゥアに関係しています。
「旅の仲間」の冒頭でも描かれていたことですが、
イシルドゥアはサウロンを倒し1つの指輪を奪った後、
指輪に魔力に心を奪われてしまい、
エルロンドの忠告にも関わらず
それを破壊することを拒んでしまいます。
その後しばらしくしてから
自分の過ちに気づくのですが、
その頃には時すでに遅く、
最後には指輪に裏切られる形で命を落としてしまいます。
アラゴルンはそんな
イシルドゥアの末路を知っていたからこそ、
その血が流れる自分にも
同じ心の弱さがあるのではないかと密かに思い悩んでおり、
それゆえ王となる決心ができなかったのです。
と、このようにアラゴルンの背後には
なんとも複雑な背景事情があり、
だからこそ、それらすべてを振り切って
王となる決意をしたこの場面は極めて重要なのです。
それは、本章のサブタイトルが
(フロドたちを差し置いて)「王の帰還」と
なっていることからも察せられますね。
今日は戦う日だ! かけがえのないすべてのものに懸けて─ 踏みとどまって戦うのだ
「王の帰還」より。
モルドールでの最終決戦を前に、
アラゴルンが自軍の戦士たちにかけた言葉です。
ゴンドールとローハンの
息子たち! わが同胞よ!諸君の目の中に─
私をも襲うだろう恐れが見える
人間の─
勇気がくじけて─
友を見捨てる日が
来るかもしれぬだが今日ではない
魔狼の時代が訪れ─
盾が砕かれ
人間の時代が終わるかもしれぬしかし今日ではない
今日は戦う日だ!かけがえのない
すべてのものに懸けて─踏みとどまって戦うのだ
西方の強者たち!
何度聞いても
カッコよすぎるこのセリフ!
これを聞いて
魂が震えない奴は男じゃないです(笑)
いいね それならいい
「王の帰還」より、
モルドールでの最終決戦前のギムリのセリフです。
ギムリ:
エルフの隣で討ち死にするとはレゴラス:
友達の隣でなら?ギムリ:
いいねそれならいい
ここに限らずギムリは
言うことがいちいち可愛くて
過酷な旅の良い癒し役でしたね(笑)
指輪の重荷は負えなくても あなたは背負えます!
「王の帰還」より。
滅びの山までもう少しというところで
力尽きそうになったフロドを背負って歩くという
漢気を見せたサムのセリフです。
一作目で初めて登場した時には
まさかサムがここまで大化けするとは思いませんでした。
映画史にその名を刻む、最高の相棒キャラですね。
泣くなとは言わぬ 全ての涙が悪しきものではない
「王の帰還」より、
フロドが旅で受けた傷を癒すため
神の国・ヴァリノールへと船出する場面にて、
別れを前に涙を堪えるサム、メリー、ピピンたちに
ガンダルフがかけたセリフです。
ここはガンダルフのセリフもそうですが
3人が何も言わず、一人一人フロドと抱擁して
別れるのがまたいいんですよね。
超大作の締めくくりにふさわしい、
何度見返しても涙を禁じ得ない名場面でした…。
おわりに
私が当記事を書こうと思ったきかっけは、
Amazonプライムビデオで
ロード・オブ・ザ・リング3部作を
久々に一気見した事でした。
今になってみると当時は分からなかった伏線や
細かなキャラクターの心の動きが分かるようになっていたりして、
最初に見た時とはまた一味違った感動を味わう事が出来ました。
というわけで、昔観たなぁという方も
実はまだ見ていないんですよという方も、
お時間があればぜひこの機会に
「ロード・オブ・ザ・リング」の鑑賞を検討してみてください。全部見ると10時間くらいとられるけどな!