その男気に惚れた!Dクラス職員の活躍がカッコいいSCP報告書5選

SCP

はじめに

今日も(SCPオブジェクトを)運ぶ
(理不尽な指示と)戦う (死刑囚徴用で)増える
そして (アノマリーに)食べられる

…と某ピ◯ミンばりに酷使され、
使い捨てられる存在として知られるSCP財団のDクラス職員ですが、
本日はそんなDクラス職員がカゲロウのように儚い命を煌めかせて活躍する、
読んでいて胸が熱くなるようなSCP報告書を全部で5本ご紹介します。

ネタバレ箇所は開閉式にして隠してありますので
例によってクリックで開いて閲覧してください。

それではどうぞ。

SCP-213-JP「監獄行き」

SCP-213-JP - SCP財団

SCP-213に指定されているのは
写真のクライスラーを含む、
ある異常を有する複数の車両群です。

その異常とは、SCP-213の後部トランクに入れられた物品が、
それが物であれ生きた人間であれ、
トランクの蓋を閉めた瞬間に忽然と消失してしまうというもの。

報告書にはこのアノマリーによって消失した物品は人間に対して敵対的な
人型SCPオブジェクト(以下SCP-213-JP-2)が複数存在する
別次元の保管所のような場所(以下SCP-213-JP-1)に転送されることが記されており、
またこのアノマリーが過去に日本で発生した一連の失踪・誘拐事件に
関連していた可能性があるという興味深い情報も記載されています。

と、のっけから何ともきな臭さ漂う本アノマリーですが、
しかしここで一つ気になるのが
財団はどうやってこれらの事実を確かめたのかという点です。

なぜなら報告書記載の実験記録213-JP-01、
および実験記録213-JP-02の内容には、
トランクを閉めた時点であらゆる通信が途絶することが記録されており、
それはつまり、SCP-213-JP-1に対する
あらゆる遠隔調査が不可能であることを意味しているからです。

それなのに、財団はどうやって内部の情報を知り得たのでしょうか?

内部にエージェントを送り込んで脱出法を見つけさせた?
SCP-213-JP-1から出てきたSCP-213-JP-2を捉えて尋問した?

いえいえ、そうではないのです。
実はこの事件の陰で最も大きな役割を果たしていたのは
一人の名もなきDクラス職員だったのです…

ネタバレ解説を読む▼

この物語のキーパーソンとなるのが
実験記録213-JP-02でSCP-213-JP-1に転送されていた
D-0442というDクラス職員です。

過去四度にわたる脱獄の実績(?)を持つD-0442は
そのスキルに加えて、Dクラスらしからぬ
真人間的な正義感の持ち主でもありました。

Dクラス職員というのは
一部の例外(重度の過失を置かした財団職員など)を除けば
そのほとんどが死刑囚の特別雇用という形で採用される人材であり、
大抵は人間のクズのような精神性の持ち主ばかりなのですが
D-0442の場合は死刑囚となった理由が
殺された妹の復讐殺人という止むに止まれぬ事情によるものであり、
その時点で他のDクラス職員とは一線を画する人物だったわけですね。

そしてある時財団の実験でSCP-213-JP-1送りとなったD-0442は
そこがSCP-213-JP-2が誘拐した人間を閉じ込めておくための監獄であったことや
誘拐された人間が数々の悲惨な扱いを受けていたこと、
さらにはSCP-213-JP-2の手先となって働く人間※までいたことなどを知り義憤に駆られます。
(※実際の誘拐はこの人間が担当していたものと思われます)

その後自らの脱獄スキルを活かして監獄を脱出したD-0442は
さらにSCP-213-JP-2の一体の隙をついて
元の世界への帰還装置の役割を持つ箱を奪取することに成功。

しかしその箱は外から鍵をかけなければ転送が行えない仕組みであり、
つまり誰かを元の世界に逃すためにはもう一人、
その場に残って鍵を閉める人間が必要なことが判明します。

そしてその状況においてD-0442は
自分がSCP-213-JP-1に残って誘拐された人々を
元の世界に帰し続ける役割を果たすことを決意したのです。

こうして自ら過酷な道を選んだD-0442は
自分の置かれた状況と救出役となる意思を書き記した紙を
箱を通じて財団宛に転送し、そのことによって財団は
SCP-213-JP-1の内部状況を知ることができたというわけですね。

そして、報告書冒頭にあった特別収容プロトコルの以下の不可解な記述内容も
事件の全容を知ることでそれがD-0442から財団へ宛てた
救出任務のための支援要請であったことがわかる仕組みとなっています。

(更新)担当職員は3日に一度、発炎筒、水やレーションの入ったサバイバル・パックと新品の平バールをSCP-213-JPの後部トランクに入れて消失させて下さい。この行程に使う車両はSCP-213-JPだけに限定されています。

いくら先のない死刑囚の身であるとはいえ、
見つかれば死は免れられない凶悪な化け物だらけの監獄で
ひとり孤独に他人を救い続ける道を選んだD-0442は
まさにヒーローと呼ぶべき存在でしょう。

あとは、そう遠くないうちに財団が
SCP-213-JP-2への対抗手段を見つけ出して
D-0442を救出し、その後はそれまでの功績に免じて
過去の罪も無罪放免とでもしてくれれば万々歳なのですが…!

SCP-2933「ミスターおっかない」

SCP-2933 - SCP財団

SCP-2933は巨大な塩水貯水池の内部にある、
部分的に水没した鋼の建造物(SCP-2933-1)と
その最下層に存在が確認されている
正体不明のヒト型実体(SCP-2933-A)の総称です。

SCP-2933-1は迷路のように複雑に入り組んだ構造を持ち、
SCP-2933-Aを閉じ込めるために設計されたと考えられています。

一方でSCP-2933-Aについては不明な点が多く、
財団はその調査のため、
一人のDクラス職員(D-13321)を潜入させることにしたのですが…

ネタバレ解説を読む▼

報告書掲載の探索ログにて、
SCP-2933-1に潜入したD-13321は
体が徐々に錆び付いていく異常を訴えながらも
何とかたどり着いた最奥部で
身体中に錆が纏わり付き、苦痛にうめくSCP-2933-Aと遭遇します。

普通、逃げ場のない場所での
未知のアノマリーとの遭遇は想像するのも恐ろしいことですが
しかし
SCP-2933-Aは意外にも友好的な態度を見せ、
D-13321の「アンタ何者だ?」という質問への返答の中で、
自身が異常性のある物品の制作者として知られる
ワンダーテインメント博士(以下 ワンタメ博士)の制作物の一つであること、
さらにSCP-2933-1が自身を閉じ込めるために
同じくワンタメ博士が建設したものであったことを語ります。

加えて
SCP-2933-Aの話によれば
彼を苦しめる錆の病も元を辿ればワンタメ博士が
SCP-2933-Aになすりつける形で肩代わりさせたものらしく、
その経緯を考えればワンタメ博士のことを
恨み骨髄に思っても無理からぬはずなのですが

SCP-2933-Aは健気にも話の間中ワンタメ博士のことを父と呼び慕い、
いつの日か自分のことを迎えに戻ってきてくれると希望を語るのです。

そして…
やはりというべきか
冒頭でD-13321が訴えていた体が錆び付く異常は
SCP-2933-Aを蝕む錆の病が感染した症状でした。

一度感染すれば進行を食い止める手立てはなく、
錆は痛みと共に身体中に広がっていき、
最後には油と煙と錆だけを残して消滅する…

そんな残酷な事実を伝えられたはD-13321は
しかし一切取り乱すことなく、
自分の問いに答えてくれたSCP-2933-Aに
「そうか、ありがとな。」と礼を言ったのち一服の煙草を勧めます。

D-13321: そうか、ありがとな。(溜息と咳) アンタ、煙草はやるかい?

SCP-2933-A: いや、私は吸わないよ。私のし-真珠のような白い歯に何かあってはい-いけないからね! なにしろ私はミスター・え ― (呻き声) ― えがおなんだから!

D-13321: やっぱりな。

SCP-2933-A: き-君は…体の中に錆を感じるかね?

D-13321: ああ、確かに感じるよ。

これでこの報告書の話はおしまい。
おそらくD-13321はこの後間もなく死亡したものと思われますが、
自分の運命を受け入れ、最後の最後に
暖かな思いやりを見せたその姿は実に格好良いものでした。

ちなみに報告書の最下部には
音声ファイルが添付されており、
再生するとSCP-2933-Aのものと思われるうめき声が聞こえます。

ひとり孤独に苦しむ彼を、
「父」が迎えにくる日は本当にやってくるのでしょうか…

SCP-1983「銀の弾丸」

SCP-1983 - SCP財団

SCP-1983はワイオミング州███████郡にある
平屋の農家(SCP-1983-1)で発生した異常現象です。

過去にある邪悪なカルト宗教による儀式殺人の舞台になった経緯を持つこの建物は
1968年に廃屋となった後、何らかの理由で内部に異空間が発生し、
さらにそこから定期的に体長およそ1.8mで二足歩行の
凶暴な二足歩行の生物(SCP-1983-2)が出現して
近くの動物や人間を襲い始めるようになりました。

SCP-1983-2が獲物となる生物を発見した場合直ちに襲い掛かり、
未知の方法で肌や組織を傷つけず心臓の身を引き抜いて殺害する性質があり、
これを倒す方法には唯一、心からの祈りを込めた弾丸を打ち込むしか方法がありません。

周囲への被害の大きさや潜在的な危険性の高さから、
財団は早急にこのアノマリーを無力化すべく、
二度にわたり機動部隊を派遣したのですが
しかしそのどちらも内部で大量のSCP-1983-2の戦闘になった挙句、
多くの死者、行方不明者を出すだけの結果に終わってしまいます。

こうして武力での制圧が失敗し、
対応に行き詰まった財団が次にとった手は、
通信機器を持たせたDクラスによる内部調査でした。

おそらく、Dクラスが犬死することは承知の上で、
少しでも次の突入作戦に役立つ情報を得ようとしたのでしょう。

しかし蓋を開けてみればこの調査は、
その目論みを超えて遥かに大きな結果を生み出すこととなったのでした。

ネタバレ解説を読む▼

結論から言うと、SCP-1983は
先述したDクラス職員によって無力化されました。

しかしその陰にはもう一人、
先の突入作戦で全滅した機動部隊と共に
SCP-1983-1に潜入していた
ある財団エージェントの存在があったのです。

この二人が一体何をしたというのか。
その答えはエージェントがSCP-1983-1内部に残した
以下のメモの内容を読めば理解することができます。

アイテム番号: わかんねえ

オブジェクトクラス: Keter。かわいそうに。

特別収容プロトコル: アンタは死ぬよ、残念だけど。

これは脅しじゃねえ。オレはエージェントバークレー。オレはこの呪いの中にいて、アンタに話してる、アンタもここに来たのか?アンタ死ぬよ。オレはすでに死んでるだろうけどな。

だから出れねえ。さっさと封印しな。方法は唯一つ。呪われた扉を閉めることだ。その扉を通っても戻れねえからな。まあ、もう試してるか。だけどヤツらは本気になれば外に出られる。そのせいでオレらはこのクソッタレな場所を見つけちまったんだからな。
アンタがもう扉を閉めてくれてるといいんだがな。オレらはもう閉めた。外に出るのは諦めたんだ。まだやってねえなら、まっすぐ戻って扉を閉じな。それが今、アンタがやる唯一つのことだ。なんにせよ、アンタは死ぬ。死ぬ前になんかイイことしときな。

説明: んで、ここから説明だ、もう知ってるかもな。財団はアメリカのど田舎で問題が起きたと知らされる。牛や野生生物が変死したんだと。行方不明者の数は増えるばかり。見つかっても心臓が無くなった死体で見つかる。切ったり、裂かれた痕もなくな。胸の真ん中がカラなんだと。

ヤツらは真っ黒いカスみたいなのが浮かんでるのを見つける。似たようなヤツを見たことがある財団の秀才野郎が、殺し方を発見した。神に祈りを捧げた銀の弾丸をぶち込めばいいってな。文字通りにな。なんでかは知らんが、それでうまく行く。どの神かは関係ねえ、アンタが心を込めたかが重要だ。

オレにはもうできねえがな。巣を見ちまったからな。

とにかく、財団はアレがすべてどこから来んのかわかってる。村の真ん中にある、なんかの家だ。殺人やらカルトやら儀式やらうわ言喚くやらなんやらあって以来そこには何年も空き家だ。肝心なのは、ここの玄関からヤツらが出続けてるってことだ。部隊がそんなか入っていったが誰も帰ってきやしねえ。でも、バケモンも出てこなくなった。正気な奴ならこう言うだろう。十分だ、目を離すな、少しでも動くものがあれば殺せ。だけど、これがこの財団だ。

アンタはどの糞部隊のタフ野郎だ。スクェーレ・ノースか、オレみたいに聖歌隊か。アンタは扉をぶっ壊して中に入る、それだけ。そしたら終わりだ。

居間は最悪だ。そこはオブライエンが捕まった場所だ。捕まるとアイツは突然ぶっ倒れ、ヤツらの一人が心臓を取ったんだよ・・・爪で、だったかな?

ヤツらはここでは不明瞭だ。もう気づいてるだろうが。ヤツらは影みたいなもんだ。光から離れろ。バカみたいな話だけど、そうしろ。光の中で、影は強くなる。ヤツらは輪郭を持つ。暗闇ではヤツらは不明瞭になる。ヤツらはアンタにほとんど触れられないし、見ることもできない。オレはヤツらは影を見てるんだと思う。わからねえが。正直なところ、ここじゃ藁にも縋りてえ。

アンタはもう扉で戻ろうとしただろうな、だけどできねえ。それはもっと最悪な場所につながってる。そこにバケモンはいない、だけど…外に出て家から離れたジョーンズは、信じられねえかもしれないが、溶けた。アイツの身体から何かがはじけだして、そして…。アイツが戻って来なかったってことよく覚えておきな。そして、オレらは扉を閉めた。

それで、オレらは家の中を動き始めた。気づくまでオレらは光を点け続けた。3人がそれで殺られたが、おかげで周囲を良く観察することはできた。

ここがどこかって?でかい。ただの農家じゃねえ。ここは…ここはまるでいろいろな場所をかき集めて継ぎ合わせたようなとこだ。アパートみてえなとこもあればショッピングモールみてえなとこもある、信じちゃもらえないかもしれんが、オレの高校のロッカーまでありやがった。タイルも何もかも同じやつだった。

ほかにはなんでできてたと思う…ごみだ。それは黒く、影みたいで、ほとんどが光りに照らされていた。明かりが消えれば、アンタも手を入れられる。止めといたほうがいいがな。それでトレスは消えた。なんかがアイツを捕まえると、引っ張られていった。穴は小さかったが、それでもアイツは引っ張られていった。

だから、光は避けろ、暗闇で足元を見続けろ。

もちろん、脱出はできねえ。オレらもそれは理解した。アンタが見つける扉はこのキチガイ病院の別の部屋に着くか、外に出るかだ。ようやくオレらは死ぬんだとわかった。そう、ここじゃ餓死するか、ヤツらに捕まるかしかねえ。感動的な選択だよなあ、ええ?

ここでアンタがやることは一つだ。オレはやりきれなかったが、アンタはできるかもな。それをしてもアンタが生き残れるとは思わねえ…でも大事なことだ。誰かがやってくんなかったら、ヤツらはいつか外に出てくる。間違いなく。

ここは色々な場所を奪い取ってできたものだ。それで、オレはこう考えてる。ここにはまだ他に扉が存在するに違いないと。オレらは見つけた扉をすべて閉じきった。だけど、また扉が開いたら?そのとき財団がヤツらを見つけられなかったら?クソが、あいつらは扉を閉めることすら知らねえんだ。また誰かこの中に入ればヤツらを止められるってことに気づいてくれるのを願ってる。もっとも、入ったヤツがみんな扉を閉めるくらいには頭が回るって仮定の話だがな。

そうか、オレはこれを止める方法を見つけたと思う。それは巣だ。

オレは一度だけ、2, 3分見ることができた。デニングの心臓を抜き取ったクソ野郎をオレらは追った。オレはこの部屋がすべての中央にあるんだと思う。それは真っ黒で、どんな灯りも吸い込むことができるんだと思う。ランプ、懐中電灯、ロウソクなんかもな。他のヤツらも運んでいったのをオレらは見た。とにかく、中央にたくさんの心臓でできた塊がある。心臓はどれもこれも山に投げ込まれて、引き裂かれてた。ヤツらはデニングの心臓を放り込むと、それは鼓動し、脈打ち、のたうちまわった。それから引き裂かれて、心臓を一つ引きぬいた。それは震えて、成長し、動き始めた。塊がバラバラになっても心臓は鼓動し続けた。オレの胸も疼くのを感じた。

そこは影の集まり。バケモンってことじゃねえ、本当の人間の影の集まりだ。人間から伸びてる影は一つもない。影は心臓から伸びていた。そして、新しい影が現れると同時にバケモンが産まれた。影の奴は心臓から離れようとしていたが、離れられなかった。

オレは逃げた。オレは耐えられなかった、分かるか?オレはこのクソッタレな状況に対処する訓練なんて受けてねえ。オレの後ろでなにか聞こえた。それがオレを呼び止める仲間の声なのか、バケモンがオレらを見つけた音なのかわからないが、オレは皆と別れた。オレは隠れるのにちょうどいいクローゼットを見つけ、それ以来ずっと隠れ続けている。オレはこれをペンライトで書いている。ヤツらが近づく音が聞こえたら、オフにしてる。今の所、このやり方で上手くいっている。

オレはここから動けない。オレの銃には弾が少し残ってるが、意味なんてねえ。もう祈れない。巣を見ちまった。だけど、アンタ、これをアンタが見つけたら、オレに代わって、やり遂げてくれ。多分、アンタはオレよりも強い。決心がついたら、巣に行ってぶち壊してくれ。すべての心臓をぶっ壊すんだ。そしたら、ヤツらを殺せるかもしれねぇ。これがオレが考えられる唯一の方法だ。アンタは死ぬだろう、でも何やってもここじゃ死ぬんだ。だからなんの問題もないだろ?

オレ、オレはこれから居間へ向かう。アンタがこれを見つけてくれることを祈って。もちろん、オレの心臓はヤツらに使わせない。

幸運を。死にゆく者より敬礼を。

何が起こったかといえば要するに、
まずSCP-1983の弱点となるコアを発見しつつも
自分の祈りではコアを破壊できないことを悟ったエージェントが
次に入ってくる誰かに向けて上記のメモを残した上で
自分の心臓を使わせないために自決、
その後彼の残したメモを見つけたDクラス職員が
その遺志を受け継いで見事にSCP-1983を破壊せしめたということでした。

こう書くと、出来事自体はシンプルですが、
白眉なのはメッセージの内容ですね。

ぶっきらぼうな文章から覚悟が伝わってきてくるのが格好いいし、
最後の「幸運を。死にゆく者より敬礼を。」というセリフも抜群に格好いい。

そして何より、一番大きな役目を果たした
Dクラス職員の行動や心情ついては一切記載がなく、
こちらの想像に任されているというのが、
男は背中で語ると言った感じで何とも格好いい。格好良すぎる。

そのようなわけで、何度読み返しても胸が熱くなるこの報告書ですが、
報告書の最下段には今回の功績を称え、D-14134に対して
Dクラス職員としては史上二例目となる勲章が授与されたことが記されています。

ちなみに報告書内では明言されていないことですが、
もう一人の勲章を授与されたDクラスとは一体誰なんでしょうね?

もしかすると、本日ご紹介した
別のDクラスの誰かという可能性も…?

SCP-544-JP「孤独の放送室」

続いてご紹介するのは国内某県に存在するという
奇妙なデパートに纏わる報告書です。

かつては普通の商業施設だったというそのデパートには
ある年に廃業が決まり取り壊しが行われた後、
その翌日に何事もなかったかのように復元するという怪現象が発生し
そのことから財団によってSCPオブジェクト認定されたという経緯がありました。

アノマリーとなった後のSCP-544-JPの内部は
以前とほぼ同一の状態でありながら完全に無人であり、
食品類は全てサンプル製品に置き換えられています。

また、SCP-544-JPの五階には
放送室と思われる部屋があるのですが、
この部屋に関しては外部から中の状態を確認できず、侵入もできません。

そしてここからが本題なのですが
SCP-544-JPの内部に人間が侵入した場合、
その3分後に必ず「お知らせです。[対象A]さん、
[対象B]さんがお待ちでした」という形式のアナウンスが流れます。

上記アナウンスのうち、
対象Aには侵入した人物の名前が、
対象Bには侵入した人物に関連する個人または集団の呼称が入るのですが、
このアナウンスが流れた時点で対象Aの存在は対象Bの記憶から完全に抹消され、
その存在すら知覚することができなくなってしまいます。

しかもアナウンスは対象Bを入れ替えて何度も繰り返し読み上げられるため、
下手に長居をすると最終的に親や兄弟、友人、あるいは
恨みつらみの間柄も含めてこれまで関わってきたあらゆる人々から
自分の存在が忘れさられてしまう可能性まであるというのだから何とも恐ろしい異常です。

しかし、その事情を知った上でなお
SCP-544-JPの内部調査に志願したいという
一人のDクラス職員がいました…

ネタバレ解説を読む▼

当初、罪を犯した元死刑囚として
あえて忘れられるために調査に志願したD-1104。

しかし、調査の過程でアナウンスの声の主が
生きた人間の少女のものであることを察すると
自分に最後にできる善行として
地震が完全に忘れ去られる恐怖を感じながらも
少女がいると予想される五階のアナウンス室まで移動。

そこで少女を発見すると、
自分が代わりにアナウンス役となる形で少女を脱出させたのでした。
(この辺りはSCP-544-JPの影響で
通信が途切れていたため詳しい過程は不明)

脱出後少女は財団によって保護され、
その後親元へと返還。

一方SCP-544-JPの内部には
少女の声ではなくD-1104そっくりの声のアナウンスが
響くようになったと記録されています。

とここまでならD-1104かっこいい!
ですっきり終わる話なのですが、
すでに報告書をお読みの方はご存知のように
この報告書には最後にちょっと苦いオチがついているんですよね。

それについてはあえてここでは明かしませんので
まだ報告書を読んでいないという方は、
ぜひ実際の内容を見て確かめてみてください。

SCP-2439「スロット割り当てなし」

TIPS:
休み休み5分おきに読め。そうじが遅いと怪しい
全員で読むな。2人がそうじしている間に1人が読む
気持ち悪くなったらランプを見るのをやめる。かくすと人が来る
一生頭がおかしいみたいになりたくなかったら、これ以上読まない。作業
に戻る。
消す前に全ぶ読めやだ

その原始人みたいな拙い文章に
初見時ほとんどの人が「何だこれ?」
と面食らったであろうこちらの報告書。

内容を読む限り、どうやらこれを書いたのは
財団の研究者ではなくDクラス職員のようですが、
一体なぜ…?

ネタバレ解説を読む▼

SCP-2439はDクラスが清掃を担当している
別の無害なオブジェクト※の収容室の壁に発生した、
読んだ者の心をゆっくりと吸い取って支配する
異次元から来た太古の精神存在に由来する(と思われる)文章であり、
Dクラス職員のみがその存在を認知し管理しているSCPオブジェクトです。
(※汁を出すランプ。それ以上の詳細は不明)

ある日偶然この文字を発見したDクラスたちは
その危険性を理解すると、
一つは世界を危機から守ることによる贖罪のために、
もう一つは財団に対する最後の切り札として、
これを自分たちだけで、その身を犠牲にしつつも
管理することを決意したのでした。

これを消すのがあれを永遠に消す一番楽な方法だ。
でもする必要がないならするな。
なぜか。まず最初に、罪をつぐないたいならこれは俺た全員にいい方法だ。
あれを管理しておくには誰かがこれの存在を思い出す必要がある - あれはまず現れたんじゃないか?
これを消したら、ただまた他の奴のところに現れるだけだったらどうする?
他のサイトのDも似たようなのを持ってて消さなかったら?
だから俺たちが管理できるようにこれを消さない。

それかもしつぐないとかに興味がないなら、嫌がらせだと思って取っておけ。
これは俺らが知ってて奴らが知らないことだ - 最期のファックユーってやつだ。
あいつらは管理と知ることと全部の理解に必死だ。
あいつらはそれで俺達を使おうとする - 俺達の死に方が見たくて俺達を死なせる。
俺達にクソランプの出す汁を拭かせる。
俺達は使い捨てだ。
でもこれがあれば、俺達にはアドバンテージがあることになる。
奴らが何かを知るために俺達を1人殺すたび、あいつらを脳無しにするものについて知る機会を逃すことになる。
これは俺達の対財団兵器であり、1発で皆殺しにする核であり、あいつら決して詰め込まれることなく見る部屋にすぐ目と鼻の先にある。

どうせ死ぬ身なら
せめて世界の役に立って死のうとする心意気も格好良ければ、
絶対的強者である財団に対して屈服せずに
常に懐に刃を忍ばせておくという反骨精神もまた格好いい。

最後に本報告書の紹介の締めは、
報告書最後のこれまた格好良い一文を引用して締めくくりたいと思います。

念のため、お前が超常的存在だった場合: イカ頭は帰れ。たしかに俺達は社会の底辺だが、人並みにやるべきことは出来る。ここにてめえの居場所はないいれて。
ようこそ、赤い錠剤の世界へ プロジェクト・ライトハウスへ パンドラ部隊へ

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