はじめに
元々はSCP-173という
ひとつのホラー作品から始まったSCPですが、
今ではそのすそ野は広がりに広がり、
決してホラーの枠だけに収まらない
多種多様なテイストの報告書が日夜投稿され続けています。
そして本日私が特集するのは
ある意味でホラーの対極ともいえる
シュールで笑えるタイプのSCP報告書です。
というわけでラインナップに含まれるのは
食べると献身的な女の子とラブラブになれる食パンや
蚊の抹殺に使命感を燃やす喋る殺虫灯などなど
どれも個性的で一癖もふた癖もあるものばかり。
いつもとは一味違う
SCPの世界をお楽しみください。
SCP-242-JP「SCP-242-JPの無料体験コースをただいま実施中です。」
アイディアが秀逸な報告書は数あれど、
これほど初見時に「あ、やられた」と
思わされた報告書はなかったですね。
アノマリーの特性と記事の構成がバッチリ噛み合っていて、
読み進めるほど書き手の術中に嵌っていきます。
この報告書の最後の折りたたみを開いた時、
きっとあなたも著者に白旗を挙げたくなる気分になることでしょう。
SCP-850-JP: 焼きそばノビール!
あまりにも間抜けなタイトルが目を引くこの報告書。
SCP-850-JPは一見普通のカップ麺ですが、
お湯をかけてから3分以上食べずに放置された場合に、
麺ではなくお湯をかけた人間の方の身長が
放置された時間に比例して伸びるという異常性を有しています。
…一瞬「何を言っているんだお前は」
と思われたかもしれませんが全くの事実です(笑)
しかも身長の伸びるスピードは
時間が経つにつれて加速するため、
わずか10分程度放置しただけで
身長が10mを突破してしまうという恐ろしさ。
ちなみにこの説明を聞いて
「タイミングの調整さえできれば
身長を伸ばしたい人にとっては
有益なアノマリーなのでは?」
と思われた方もおられるかもしれませんが、
残念ながら身長の変化には「質量は変化せず」
「胴体部分のみが伸びる」性質が伴うため
スタイル改善に利用すると
大いに後悔することになるでしょう。
SCP-919-JP - スプーン愛護
私たちがご飯を食べるときに使うあのスプーンが
動物の様に生命の営みを
繰り広げる姿を映した映像作品についての報告書。
この映像にはそれを見た人間の一部に
「スプーンの権利を守らなければならない」という
シーシェパードやハーマイオニーもかくやの
強烈な権利活動家意識が植え付けられる
地味に厄介な異常性があり、
目下財団による回収と破棄が進められています。
その他詳しいことは報告書を読んでいただくとして、
私が他に言えることとしては
今後ラザニアを食べるときは
なるべくスプーンは使わないようにしよう、ということですかね。
scp-2536-jp - タバコと滋賀はお好きですか?
異常な手段を用いた
人道的支援活動を行う非営利団体
「マナによる慈善財団」が作成した、
見た人間に煙草に対する
強烈な嫌悪感が沸き上がらせる
認識災害ポスターについての報告書です。
この説明だけ読むと
一体このアノマリーが滋賀県に
何の関係があるのかと疑問に思われるでしょうが
その笑劇衝撃の理由は
本報告書を最後まで読むことで明らかとなります。
SCP-718-JP: 奇祭「鰻飛ばし」
東北地方のごく一部の地域で
毎年年始に行われている
「鰻飛ばし」なる奇祭についての報告書。
褌一丁の男たちが海に向かって
鰻を放り投げるという祭りの内容自体も独特ですが、
この祭りがアノマリー扱いされる理由となった
異常現象の内容も実にシュール。
特に強烈なオチがあるわけではないものの
一度読んだら忘れられないインパクトがある報告書です。
ちなみにこのアノマリーが
重要なポジションで登場するtaleに
決戦。鰻。(tale)があります。
SCP-718-JPのシュールさからは
想像できないくらい熱い内容となっておりますので
こちらもぜひ一読してみることをおすすめします。
(その際は同じくこのtaleで主要な役割を持つ「scp-1970-jp」も併せて事前に読んでおくと尚良し)
SCP-510-JP: 蚊取閃光
私が毎年夏が来るたび思うのが
蚊という生き物の憎たらしさについてです。
トラやライオンなどとは比べ物にならないほどの
人類殺害スコアの高さもそうですが、
私が何より許せないのは
夜寝ていると狙いすましたかのように
耳元に飛んできて、耳障りな羽音で
人間様の安眠を妨げるあの性根の悪さです。
生きるために、子孫を残すために
人間の血が必要なのはわかる。
でもそれならなぜもっと謙虚に
申し訳なさそうに血を吸わないのか。
なぜ我々の睡眠を妨げるのか、
なぜ刺した部分を痒くするのか…
…
…
私怨から思いがけず
前置きが長くなってしまいましたが
いい加減本題に入りましょう。
SCP-510-JPは
先に述べたように人類の不倶戴天の大敵である蚊を、
この世から根絶やしにすることに生きがいを見出した
小さな喋る殺虫灯についての報告書です。
SCP-510-JPは蚊を確実に抹殺する為の
強力で正確無比なレーザー射出能力を有しているほか、
自身と会話した人間の心を瞬時に開かせ、
同じく蚊を滅ぼすための技術伝承を目的とした
弟子入り志願までさせる認識災害人心掌握術を有しており、
本報告書中ではそんなSCP-510-JPが
財団の実験で出会ったとあるDクラス職員と
師弟の契りを結び、彼を時に厳しく、時に優しく、
蚊と闘う勇敢な戦士へと鍛え上げていく様子が記録されています。
果たして過去に罪を犯したDクラスは
人類を守る戦士へと生まれ変われるのか。
そして物語の最後に待つ衝撃のラストとは…
その内容はぜひとも
君自身の目で確かめてくれ!(攻略本風に)
SCP-913-JP: ハラノちゃんのひと時の恋
人間の男性によって食べられると、
その人の職場やクラスに
「原野」という女の子がやってきて
ラブラブな関係になれるという
ファンタスティックな食パンについての報告書。
あまりにも効能が素晴らしすぎて、
もしその存在が一般に曝露されれば
すぐにでも日本中の独身男性が血で血を争う
争奪戦を繰り広げそうなこのオブジェクトですが、
実はこれを恋人を作る手段として見た場合
二点ほど看過できない重大な欠点があります。
それはまず第一に
SCP-913-JP-1の正体がメスのニホンジカである事。
第二にSCP-913-JPを食べた当人だけには
SCP-913-JP-1が人間の女性ではなく
正体であるニホンジカの姿のままで認識される事です。
つまり、対象となった男性の視点からは
シカが自分の顔を見つめて顔を赤らめたり
お弁当を作ってきてくれたりする
異常な光景が繰り広げられているにも関わらず
自分以外の誰もそれを変だと思わないという
シュール極まる光景が繰り広げられるわけですね。
私は動物が好きですし、
奈良公園にいる鹿にせんべいを挙げるのも好きですが、
動物が自分に恋愛感情を抱いて迫ってくるとなれば話は別。
何の悪意もない
SCP-913-JP-1にとっては可愛そうなことですが
普通の感性をした人間ならばいくら可愛くとも
シカを人の様に愛することなど出来るはずもないでしょう。
そう、『普通の感性』を持った人間ならね…(意味深)
SCP-1982-JP: ミスター・小悪魔系女子
いろんな意味でずるい報告書。
ネタとしての好みは分かれそうですが、
添付画像を見た瞬間に
全てを持っていかれるだけのインパクトがあります。
しかしながら個人的に
一番ツッコミどころだと感じたのは
本文中で目にした次の一文でした。
追記: D-1982に対しては、SCP-1982-JPとの交際中には6ヶ月以内には性交渉を行うように、ミームエージェントや月例報告の際にアドバイスなどを用いて誘導を行います。
すいません、『性交渉を行うように誘導』って具体的にどうやるんですか?(興味津々)
書き方的に何らかのアノマリーを用いるのだと思いますが、
もしそんなものがあれば
日本の少子化問題も一挙に解決しそうですね(笑)
おわりに
以上、シュールで笑えるネタ系のSCP報告書8選でした。
狙ったわけではないですが、見事に全部JPですね。
完全に主観ですが、日本支部はこういった
ネタ系、シュール系の報告書が比較的多いような印象があります。
それではまたの機会に