オブジェクトクラスの違い、ちゃんと説明できますか?
こんにちは、daimaです。
SCP財団が難解だと思われがちな理由の一つが
その専門用語の多さですが、
中でも初読者が最初につまずきやすいのが
ほぼ全ての報告書に存在する割に
意味が曖昧で種類も多い
オブジェクトクラスの存在ではないでしょうか。
Safe、Euclid、Keter等の
超メジャー級のオブジェクトクラスですら
Safeなのに安全じゃないオブジェクトがあったり
逆にKeterなのに無害なオブジェクトがあったり
EuclidはEuclidで他二つとの線引きがいまいち曖昧だったりと
読み手を混乱させる要素が多々ありますし、
ArchonやTiamatのようなマイナーなクラスに至っては
そもそも名前すら聞いたことがないという方の方が多いかもしれません。
そこで本日は、そんな厄介なオブジェクトクラスを
改めて体系的に学び直すことを目的として、
特に目にする機会の多い12種のオブジェクトクラスを対象に
それぞれのネーミングの元ネタや属するオブジェクトの紹介等の話題を交えた
詳細かつ極力易しめの解説をお届けしたいと思います。
紹介するクラスの選出にあたっては
上記ページのリストを参考にしていますが、
一つの報告書でしか使われていないようなマイナーすぎるクラスまで
全て拾ってしまうと流石に記事が膨大になりすぎてしまいますので
今回は最低でも5本以上の報告書で利用されているものという条件のもと、
ご紹介するオブジェクトクラスの総数を12種にまで限定しました。
それでは、どうぞ!
Safe
Safeクラスのオブジェクトは容易かつ安全に収容できるアノマリーです。
これはしばしば財団がこれまでにそのオブジェクトを
十分によく研究しているため収容にそれほど多くの資源を必要としない事実か、
そのオブジェクトが動作するにあたって具体的かつ意識的な活性化または誘因を必要とするという事実によります。
「Safe」と分類されてはいるものの、これはそのオブジェクトを取り扱ったり動作されたりした際に危険がないということを意味するわけではありません。
概要
読み方は「セーフ」。
Safeとはご存じの通り日本語で安全を意味する英単語ですが、
SCP財団においてこれを文字通り受け取ることは命取りになりかねません。
なぜなら、オブジェクトクラスの判断基準は
人間に危害が及ばないかどうかではなく、
財団から見て収容が困難であるかどうかを基準にしているため、
例えば接触したあらゆるものを燃やし尽くす蝋燭(SCP-310)や
ガンマ線ストリームを発射できるおもちゃのロボット(SCP-846)
のような物騒な代物であっても
安定した収容が実現している限りはSafeオブジェクトとなりうるからです。
Safeに指定されているオブジェクトの一例
SCP-028「知識」
近くにいる対象に
『総体的かつ完全な知識』を齎す不可知の物体。
このアノマリーの影響を受けた鉱夫が
原始融合炉の設計ができるようになったり、
あるDクラスが「これは人生ではない」という
何かを悟ったような言葉を発して絶命したりと
何気にヤバげなアノマリーではありますが
収容自体は簡単であるためSafe指定がなされています。
SCP-131「アイポッド」
中央に青い目のついた涙型の生体機械。体長は30cmほど。
無害どころか非常に人間に有効的な性格であり、
自身が代わりに凝視することで
ある清掃スタッフをSCP-173から救ったこともあるという
Safeの鑑のようなアノマリーです。
SCP-1370「困らせルボット」
様々な電子部品の寄せ集めでできた
ロボットのような見た目のアノマリー。
自らを「運命の支配者」と称し、
あらゆる生命体に敵対的な反応を示していますが
その割にまともな攻撃能力がなく、
強気な言葉と裏腹のポンコツぶりが
笑いを誘う微笑ましいアノマリーです。
Safeなのに危険なオブジェクト
先に述べたように、Safeオブジェクトの中には
様々な理由から本質的に危険なアノマリーも含まれています。
いくつか代表例を見てみましょう。
SCP-343「神」
人種不明の全知全能のように見える男性。
強力な現実改変能力の持ち主で、
財団施設に無断で入り込んだり
機密情報にアクセスしたりといった
財団にとって明らかにリスキーな行動を繰り返していますが
オブジェクトクラスはなぜかSafe指定。
その理由を知る鍵は報告書末尾に掲載されている
███████████博士のネットワークドライブ内の記録にあり、
その記述内容からはSCP-343が自身の現実改変能力によって
財団に不当に低い危険度の判断をさせていたことが窺えます。
SCP-2950「ただの椅子」
普通の椅子では考えられないほどの
快適さを齎す不思議な椅子…というのは
Keter級の潜在的リスクのある本オブジェクトを
安全に封じ込めのためのカバーストーリーに過ぎません。
なぜならSCP-2950の本当の特性は
最も多数の人がこうだと思った姿に
変化するというものであり、
もしSCP-2950にSafeではなく
KeterやApollyonなどの指定がなされてしまえば
SCP-2950はそれらが与える印象に
相応しいだけの脅威に変身してしまうからです。
SCP-209-JP「Safeクラスオブジェクト」
今ここで紹介しないでどこですると言った感じの
メタタイトルが付けられたこちらのアノマリー。
その概要を一言で述べるならば、
近くにいる人間の危機管理能力を失わせる仏像です。
こう聞くとなんだか
大したことのないように錯覚してしまうかもですが、
日々世界を終わらせかねない危険物と
対峙している財団職員にとっては
致命的とも言える効果であり、
本来ならもっと厳重に保管されてしかるべきブツなのですが、
なにせこれを管理している職員も報告書を書いた職員も
本アノマリーの異常に曝露してしまっているために
オブジェクトクラスはSafeのまま、
大した手立てもなしに放置されてしまっているという
冷静に考えるともの凄く恐ろしい存在です。
Euclid
Euclidクラスのオブジェクトは完全に収容するのにより多くの資源を必要とするアノマリーや、その収容が必ずしも信頼できるものではないアノマリーです。通常これはそのオブジェクトの性質が十分に解明されていないか本質的に予測不可能であることによります。Euclidは最も大きな適用範囲を持つオブジェクトクラスであり、他の標準のオブジェクトクラスのいずれにも分類しがたいオブジェクトは通常このクラスに分類されます。
特に自律性、自我、知性を持つオブジェクトは、それ自身が思考または活動することにより本質的に予測不可能であるため、通常はEuclidに分類されます。
読み方は「ユークリッド」。
元ネタは同名の古代ギリシアの数学者から。
とりあえずの収容は出来ているけれど
未解明の部分が多くて
正確な収容難易度がはっきりしていないオブジェクトや
自我があって行動が予測し辛いオブジェクトに
与えられるケースが多いですね。
SafeやKeterに比べてどっちつかずな印象があるこのクラスですが
所属するアノマリーで有名かつ特にEuclidに相応しいと思える例を
一つ挙げるならばSCP-096『シャイガイ』でしょうか。
SCP-096は普段は財団の独房に収容されているものの
誰かがこのアノマリーの姿を直接間接問わず見た場合に
その人物の元へ高速で移動して殺害しに行く性質のあるアノマリーであり、
またこの移動は財団の知るどんな手段でも
阻止することができないという特徴を有しています。
つまり、Keterとは違い、安定した収容が可能な見込みはあるけれど
Safeとは違い、安定した収容がまだ実現はしていないという意味で
SCP-096は実にEuclid的なアノマリーであるわけですね。
ちなみに、SCPオブジェクトは
十分に性質が解明されているものの方が少数派であるためか
Euclidに指定されているオブジェクトの数は
現状全てのオブジェクトクラスの中で最多となっています※。
(※タグ付きの報告書の数で比較)
Euclidに指定されているオブジェクトの一例
SCP-173「彫刻 - オリジナル」
数あるSCPオブジェクトの中でもおそらく最も有名な
生きている不気味な石像のアノマリー。
財団所有のコンテナの中に収容されており、
誰かから見られている状況では置物のように不動ですが、
誰からも見られていない状態になると突然動き出し、
近くの人間の首をへし折って殺害してしまいます。
SCP-294「コーヒー自動販売機」
液体ならコーヒーでも硫酸でもニトログリセリンでも
何でも注文できるキーボード付きの異常な自動販売機。
動かないので収容自体は簡単であり
操作しなければ人に害を及ぼすこともありませんが、
未解明の部分が多いという点からEuclid指定がなされています。
SCP-1162「壁の穴」
財団施設の壁に空いた穴。
この中に手を突っ込むと過去に失くしたものが一つ見つかる代わりに、
現在持っている何かを一つ失ってしまいます。
ある回の実験に参加したDクラスは
このアノマリーで免許証を見つけた代わりに
腎臓を失うハメに陥ってしまいました。
SCP-049「ペスト医師」
悪疫の治療と称して人間を対象に異常な手術を行い、
凶暴なゾンビのような存在に変貌させてしまう
中世のペスト医師のような格好をした人型のアノマリー。
目的や能力の底が不明であり、一定の危険性はあるものの
直ちに人類の存続を脅かすほどの脅威とまでは言えない微妙な立ち位置におり、
そういう意味では実にEuclidらしいアノマリーの一つであると言えます。
Keter
Keterクラスのオブジェクトは継続的にまたは確実に収容することが極めて困難であり、しばしば収容プロトコルが大規模で複雑なものになるアノマリーです。財団はこれらのオブジェクトに対する確固たる理解を得ていないか、これらのオブジェクトを適切に収容または対抗する技術に欠けているため、これらのオブジェクトを上手く収容できないことがしばしばあります。「Keter」に分類されていることはそのオブジェクトが危険であるということを意味するわけではなく、単に収容するのが非常に困難または費用がかかるということを意味します。
読み方は「ケテル」
元ネタは旧約聖書に生命の樹として登場し、
ユダヤ教のカバラでは善性・美徳の象徴とされる
セフィロトの樹を構成する同名のセフィラから。
このように何だか善玉っぽい命名元を持つKeterですが、
実態はその真逆で、ここに属するアノマリーの大半は
人類にとって極めて有害であり、中には
Kクラスシナリオ(人類滅亡のパターン)を引き起こしかねないものまで含まれています。
また、報告書の中には
最初はSafeやEuclidだと思われていたアノマリーが
イベントや実験を経て本当の危険性が明らかになり、
後からKeterに格上げされるというパターンもしばしば見受けられます。
Keterに指定されているオブジェクトの一例
SCP-682「不死の爬虫類」
収容困難、知性あり、人類に敵対的と
三拍子揃ったKeter中のKeterオブジェクト。
その名が示す通り、切断、毒物、爆発などの
あらゆる行為によって死なず、
定期的に収容違反を引き起こしては
大量の財団職員を殉職させている非常に厄介な存在です。
SCP-871「 景気のいいケーキ」
24時間ごとに自身に類似したケーキを生成する
237個のケーキのコレクション。
見るからに凶悪なSCP-682などと比べると
ずいぶんおとなしめのアノマリーにも思えますが
潜在的リスクはむしろSCP-682よりも上かもしれません。
まず、SCP-682は人間によって食べられる
以外の方法で損傷すると即座に再生してしまうため、
ケーキの増殖を抑えるには誰かが延々と
ケーキを食い続けなければならないのですが、
完食したところで元々の個数は絶対に減らないため、
ほぼ永久的に消費を続けなければなりません。
そして、万が一ケーキの消費が
ストップするようなことがあれば
ケーキはねずみ算的に爆発的に増殖し、
報告書の記述によればわずか80日で
地球がケーキに埋め尽くされ、結果的に
人類はケーキに滅ぼされるであろうことが予想されています。
SCP-1048「 ビルダーベア」
自我を持ち、人間とコミュニケーションが取れる
体長30cmほどの可愛らしいクマのぬいぐるみ。
当初はその外見と人懐っこい態度から
職員の士気を上げる効果があるとして
特別にサイト24内での自由行動を許可されていましたが
ある時同サイトの職員の耳を不明な方法で切除し、
それを寄せ集めた自身の分身を作成するという事件を発生させて逃亡。
報告書にはこのアノマリーがその後
多数の犠牲者を出す同様の事件を繰り返し引き起こしたこと、
そして今も尚サイト24のどこかに潜んでいることが示唆されており、
オブジェクトクラスも当初のSafeからKeterへの格上げがなされています。
先にも述べましたがSCP財団では
こういったオブジェクトクラスの格上げは珍しいことではないので、
たとえ最初に提示されたオブジェクトクラスがSafeであっても
最後まで気をぬくことができません。
Keterだけど無害なオブジェクト
数は少ないですが、
Keter指定されているにも関わらず
実はそれほど危険ではないオブジェクトというものも幾つか存在しています。
SCP-396「> 突然の椅子 <」
ランダムな感覚で、地球上にあるどこかの椅子と
自分の位置を入れ替える異常性を有するプラスチック製の椅子。
このアノマリーの特性はこれだけで、
極めて無害な存在ではあるのですが
「まともな収容が不可である」という
条件には当てはまっているためにKeter指定となっています。
SCP-4999「私たちを見守るもの」
孤独な人の死の間際にどこからか突然現れて、
その側で最期の瞬間を見守る正体不明の人型実体。
このアノマリーのすることはただ見守ることだけであり
SCP-396同様に無害ではあるのですが
こちらも収容が実現できていないためやはりKeter指定がなされています。
ちなみに余談ですがこの報告書は
元はSCP-5000コンテンストの出品作品の一つであり、
惜しくもその座を得ることはなかったものの
他の報告書とは一線を画する私的な雰囲気に満ちた秀逸な内容で
個人的にお気に入りの一作だったりします。
SCP-4135 「魔ガモ」
地球上にいる不特定の個人の近くに
黒い体色の不死身のカモが出現し、
その人の殺害を試みてくるというシュールな異常現象。
しかし如何せんカモであるため
SCP-4135がターゲットの殺害に成功することは滅多になく、
実害としてはカモがぶつかってきて痛いとか
うっとおしいなどといった程度の事しかありません。
(カモがいると日常生活にはいろいろ支障が出そうではありますが…)
Thaumiel
Thaumielクラスのオブジェクトは財団が他のオブジェクトを収容するために特別に使用するアノマリーです。Thaumielクラスのオブジェクトは存在そのものが財団における最高レベルの機密であり、その所在、機能、現在の状態はO5評議会以外では非常に限られた職員にのみ知らされます。
ここからは一気に該当数が少なくなる
特殊なオブジェクトクラスの紹介に入ります。
ThaumielはO5などごく一部の限られたメンバーにのみ
その存在が知られているオブジェクトクラスであり、
未来予知や時空間移動など財団の活動に
極めて有益な特性を持つアノマリーのみが指定されています。
言わば財団の切り札的存在であり、
そう数こそ少ないもののSCP-2000を筆頭に
SCP財団のストーリーを大きく盛り上げている影の立役者です。
ちなみにThaumielの名前の元ネタは
ユダヤ教のカバラにおいてセフィロトと対になる
邪悪の樹(クリフォト)を構成する
クリファ(外殻)の一つであるタウミエルであり、
元ネタを同じくするKeterとは対応関係に当たります。
人類を脅かすKeterが生命の樹由来で
人類の助けになるThaumielが邪悪の樹由来というのは
なんとも皮肉が効いたネーミングですね。
Thaumielに指定されているオブジェクトの一例
SCP-2000「機械仕掛けの神」
人類やり直しマシーン。
ただし現在絶賛復旧作業中。
SCP-3000「アナンタシェーシャ」
海底に潜む全長300kmの巨大なウナギに似た生物。
こいつの分泌する粘液が
財団の任務に欠かせない記憶処理薬の原材料となっていました。
SCP-2799「航海者」
4つの小品からなる古びた航海用具。
未発見のアノマリーの位置を指し示す能力があったのですが、ある時不死の首飾りに閉じ込められ、どうやっても開放することのできない状態のブライト博士を指し示してしまい、一度指し示したアノマリーが収容されるまで次の対象を示すことができない性質があったこのアノマリーは二度と新たな対象を指し示すことができなくなってしまいました。
Neutralized
Neutralizedクラスのオブジェクトは故意または過失によって破壊されたもしくは無力化されたことを原因として、もはや異常ではなくなったアノマリーです。
読み方はニュートラライズド。
何らかの原因で異常性が失われたアノマリーに与えられるクラスです。
Neutralizedに指定されているオブジェクトの一例
SCP-3017 「要注意人物」
SCP-3017に指定されて"いた"のは
複数の犯罪歴や危険な組織との繋がりを持つ
要注意人物とみなされていた
フレイザー・メルブルックという25歳の男性です。
しかし実際にはそれは全くの誤りであり、
SCP-3017の本当の異常性は
キャリア(この場合はメルブルックを目視した、
あるいは会話した相手に一定確率で
キャリアが危険な人物だという
強迫観念を植え付ける認識災害だったのです。
このアノマリーに曝露した
財団のキラン博士はメルブルックを拘束して
厳しい尋問を連日強行。
そしてメルブルックが
協力者の手引きで脱出に成功した際には
暴走したキラン博士がメルブルックの実家を燃やして
家族を惨殺するという凶行に及ぶこととなり、
逃亡中にこれを知ったメルブルックは
世界に絶望して自らの死を選んでしまいました。
このようになんとも救いのない話ではありますが、
かくしてキャリアの死亡という形で
本アノマリーのオブジェクトクラスは
EuclidからNeutralized指定となったのでした。
SCP-2420 「ある忠犬」
SCP-2420にしてされているのは
自分の近くのあらゆる犬が
事故で死んでしまった
ペットのボーダーテリア犬のマティの姿に
変化する異常性を有していた人間の男性です。
この異常というのが実は
自分の不注意でマティを死なせてしまったのだと
後悔の念を抱えていた男性の心を救うために
マティが起こした奇跡であり、
マティは男性が財団によって収容された後も
数年にわたってこの能力で男性のそばに居続けました。
しかし、月日を経るにつれて
その力もだんだんと弱まっていき
最後にはマティのおかげで心の健康を取り戻した
男性に見守られながらマティが天へと召されたことによって異常も消失。
これを以て本オブジェクトは
Neutralized指定となったのでした。
動物好きなら思わず涙を誘われる、
何とも心温まるお話でしたが
しかし直前のSCP-3017を読んだ後だと
SCP財団の幅の広さというか、
読後感のあまりの差にちょっと頭が混乱してしまいますね(笑)
Explained
Explainedクラスのオブジェクトは、一般にはその性質が今や主流科学によって説明できるまでに完全に解明されたアノマリーや、これまでアノマリーと捏造または誤認されていたことが明らかにされた現象です。
SCP-8900-EX - 青い、青い空
科学の進歩で原理が解明され、
もはやアノマリーとは呼べなくなった
"元"アノマリーに指定されるクラス。
分かりやすいように現実の例で例えると
例えば大昔には火山の噴火が
神様の怒りであると信じられ、
時には祈りや供物が捧げられることもありましたが
現在では科学や地質学の発展によって
誰もがそれが単なる物理現象であることを理解していますよね。
Explainedはこれの火山の部分を
アノマリーに置き換えたようなものだと
捉えて頂ければ良いかと思います。
Explainedに指定されているオブジェクトの一例
SCP-8900-EX 「青い、青い空」
かつて世界がモノクロであったところに
SCP-8900-EXという感染した人間が
"色彩"を知覚できるようになるアノマリーが出現し、
さらにさらに財団がその蔓延を食い止められなかったために
今や世界に色彩が存在するのが当たり前になってしまったというお話。
かつての異常がなし崩し的ですが科学的常識となったことで
オブジェクトクラスもKeterからExplainedへの訂正がなされています。
SCP-4734-EX 「それは初めからずっと君の心の中にあったんだ」
いくつかの異常なアイテムの作成に関与した経歴のある
異常芸術家のグレゴリー・フランシスが所有していたジューサー。
このアノマリーに概念改変能力があるというタレコミを受け
財団がグレゴリーの自宅から回収したのですが
実際には何の変哲も無い、強いて言えば美味しいジュースを
作る能力があるだけの普通のジューサーであり、
タレコミもグレゴリーの妻のサラが夫婦喧嘩の腹いせに
行なった人騒がせないたずらであった事が判明した結果
めでたくExplained扱いとなりました。
Archon
アイテムは収容可能ですが、するべきではありません。
読み方はアルコン。
元ネタはグノーシス主義における偽の神アルコーンから。
定義は上記抜粋の通り。
収容する事で逆に被害が広まるアノマリーや
お互いの利益のために停戦状態になったアノマリーなどが対象となります。
Archonに指定されているオブジェクトの一例
SCP-1661「グレムリン」
主に航空機の部品によって構成される
知性ある小型機械の群れ。
一度は財団による捕獲が実施されたものの
捕獲後にこのアノマリーの存在が別の有害な
巨大アノマリーの活動を抑制していたことが判明し、
また人命救助など人類に友好的な
態度を示していたこともあってか
その後はArchonオブジェクトとして
財団の収容対象から外されることとなりました。
SCP-4052「サンドイッチ (曖昧さ回避)」
イリノイ州サンドイッチの町で
“サンドイッチ”という言葉を使って
定義できる物が町内に持ち込まれるか、
町内で作られると出現する
頭が食パンになった白人警官のような外見の人型実体の総称。
高度な知性と社会性、そして武力を有し、
財団と幾度かの衝突を繰り返したのちに
SCP-4052側からお互いの職務に
干渉しないという条件での停戦要求が出され、
財団がそれを呑んだ事で以後は
Archonオブジェクトとして扱われることとなりました。
Tiamat
アイテムは人類に対し喫緊の脅威となりますが、公の戦闘など、ヴェールを破るような方法によって「収容」することはできます。
読み方はティアマト。
元ネタはメソポタミア神話における原初の海の女神から。
Kクラス並に危険で収容も困難だけど、
被害や財団の存在を隠すことを無視して
全力で対応すれば収容または
無力化が可能であるオブジェクトに与えられるクラスです。
Tiamatに指定されているオブジェクトの一例
SCP-3396「至天蟲」
物理的および形而上的に、世界人口のおよそ6%に感染し、影響を与えている変異原性の共生生物のゲシュタルトとして存在する、カテゴリー4異次元実体です(原文ママ)。
正直何をいっているのか分かりませんが、
ともあれこいつが危険な存在であることは確かであり、
財団が行った実験ではSCP-3396の分泌液に接触した人間が
体調25mで有害な胞子を撒き散らす巨大な菌類や
体からガトリング砲を生成できる凶暴な兵器人間などの
危険な異常存在に変質させる事が確認されています。
また、一部の要注意団体が
このアノマリーの特性を利用して
幹部を異常存在にしているとの報告もあり、
財団は将来的にこれが自分たちのコントロールを超えた場合には
残った人類の安全を確保するために必要な手段を取るとして
オブジェクトの破壊も辞さない態度を匂わせています。
Apollyon
アイテムは収容不能であり、能動的に世界の終焉を招きます。
読み方は「アポリオン」。
元ネタはギリシャ神話の太陽神アポロンのラテン語読みであるApolloのもじり。
財団が収容不可であると判断したオブジェクトに指定されるクラスであり、これを使用することは一種の敗北宣言に他ならないため滅多に使われることはありませんが、それだけにこのクラスが指定された時には既に手遅れというケースがほとんどです。
Apollyonに指定されているオブジェクトの一例
S. D. ロックの提言
太陽が日光を浴びた人間を
異形化させるアノマリーに変貌したお話。
SCP-4005「神聖なる天上の中国伝説都市」
火をくべて中を見つめると
その中に映し出された都市へ
「巡礼の旅」に行かなければならないという
強迫観念に取り憑かれるようになる古いモスクランプ。
極めて強い感染性があり、
最終的に人類の99.9%に感染したことで
Apollyonクラスへと分類されることとなりました。
Decommissioned
Decommissionedクラスは過去にシニアスタッフらによって、好ましくない記事をただ削除するだけでなく「してはいけないことの例」として一種の「恥の壁」に並べ立てるために使用されていたオブジェクトクラスです。このオブジェクトクラスはもはや使用されていません。
SCP財団の初期において、
質の低い記事を見せしめにするために
目印として存在していたオブジェクトクラス。
スタッフ個人の裁量が大きかった初期とは違い
SCP財団が大規模化した現在ではほぼ使われなくなっており、
またかつてこれが指定されていた報告書も
そのほとんどが削除済みとなっています。
None
何らかの事情でオブジェクトクラスの指定ができない場合に適用されるオブジェクトクラスです。
SCP-048「呪われたSCPナンバー」
このナンバーに指定されたオブジェクトが
高確率で破壊、停止、盗難などの理由で消失するために永久欠番となった報告書。
そのためオブジェクトクラスもNone(なし)になっています。
…というのは表向きの話で、実はこの報告書にはかつてこの番号に投稿された報告書が何故か悉く質が低く、それをサイトメンバーが面白がって「呪われたナンバー」としてメタネタに仕立て上げたというメタ的な裏話があったりします。
SCP-2508「長い待ち時間」
一度入ると絶対に脱出できないコテージ。
その性質上、SCP-2508についての情報を外部に送ることができないためオブジェクトクラスもNoneになっています。(ただしその場合何故このアノマリーが財団DBにインデックスされているのかという疑問が起こりますが、その理由は少なくとも本文中では明言されていませんでした。)
DUEL!
SCP-TCG-JP-Jオリジナルのオブジェクトクラス。
該当記事がTCGネタであることから、
同じくTCGでよく使われる単語である
デュエル(決闘)が元ネタと思われます。
SCP-TCG-JP-Jのみで使われている
限定的なオブジェクトクラスではありますが、
ネタ系オブジェクトクラスの一例として最後に取り上げてみました。